具材を炒めてから包む!祖母の愛情たっぷり餃子のこと

コラム・アラカルト

2021.09.06

「今日は餃子だって!!」

「まじで!?ヤッタ〜!」

我が家では、餃子が食卓に並ぶ日に歓声があがる。

そのラブコール具合といったら、寿司や焼き肉よりも熱烈だ。

餃子を作るのは祖母。家族全員が揃うとなれば、100個、150個なんて餃子が量産されることもあった。

そんな我が家の餃子が“全国共通のスタンダードな味ではない”と知ったのは、中学生くらいのことだっただろうか。外食や人の家で食べる餃子と、食べ慣れた実家の餃子が根本的に違うことに気づいた。

常に台所に立っていた祖母

img_nakano_002-01

今年89歳になる母方の祖母は、この歳になっても腰はピンとまっすぐで、毎日1時間ほどの散歩をし、歩いてスーパーまで買い物に行く。同い年の登山家・三浦雄一郎さんを敬愛し、「100歳まで元気に歩きたい」と言う。

そんな祖母の姿を思い返すと、常に台所に立っていたイメージがある。今でこそ、料理担当は母が取って代わるようになったが、祖父が健在だった5年前まで、台所は祖母にとっての聖域というイメージがあった。酒飲みだった祖父に有り合わせの食材でつまみを作ったり、自ら田んぼで採ってきたイナゴで佃煮を作ったり、年末年始になるとせっせとおせち料理を仕込んだり。年中台所に立つ割烹着姿の祖母を見ると「今日のごはんはなんだろう?」とワクワクしたものだ。

祖母の家は実家から車で20分ほどのところにあり、小学生の頃は週末になると家族揃って遊びに行き、夕飯を食べて帰るという過ごし方をしていた。

中でも焼き餃子が食卓に並ぶときは、冒頭でも触れたように家族のテンションがあがるのだった。

肉が不得意な祖母が肉料理を出す理由

img_nakano_002-02

さて、そんな家族から愛される祖母の餃子は、外見こそ餃子のなりをしているが、その製法には一般的な焼き餃子と大きな違いがある。

あまり肉の匂いが得意でない祖母は、先に具材を炒めてから皮に包むという手順で餃子を作っていた。しっかりと味付けをして炒めることで、苦手な肉々しさがなくなるのだと言う。

一口食べればもちもちの皮からトロトロほろほろの餡があふれる。そぼろのような新感覚の餃子として楽しめるし、ごはんとの相性もいいのだ。油が少なくて味も濃いのでお弁当に入れても大活躍。醤油やラー油などの調味料いらずで、冷めてもおいしくいただける。肉々しい餃子が好きな人でもきっと楽しめるはず。

「ばあちゃんは肉が苦手だから」と度々口にする祖母だったが、そんな発言とは裏腹に食卓にはメインに肉料理を並べることがほとんどだった。餃子の他に生姜焼きやら焼き肉のタレをからめた豚や鶏のソテーが大皿に盛られた。

そもそも肉が苦手なら、肉を使わない餃子を作る選択肢もあるだろう。しかし、祖母の餃子には肉が使われている。祖母に理由を訪ねると、「満足できるごはんのおかず=肉料理」だと考えているようだった。

幼い頃は「ばあちゃんは肉ばっかり食べさせるなぁ」と弟と笑っていたけど、自分で子どもを育てるようになった今なら、祖母の気持ちがなんとなくわかる。育ち盛りだった弟や私の満足感を第一に考えていた祖母。食卓に並ぶ料理には、自分が食べやすいかどうかだけでなく、家族を思う気持ちがあったと知って嬉しくなった。

そして、何度も、何度も作られた餃子のレシピは、祖母から母、母から私へと受け継がれ、祖母と離れて暮らす今も、月に一度は作る我が家の定番料理となった。

祖母の焼き餃子の作り方

img_nakano_002-03

祖母の餃子は、食材も調味料も目分量なのが特徴だ。だいたい、豚ひき肉1パックにキャベツ1/2玉、ニラ1束が基本の具材。野菜はみじん切りにしておき、冷蔵庫に余っているしいたけや長ねぎなどの野菜を追加することもある。最近の肉売り場には餃子用にみじん切りされたカット野菜も売っているので、それを使うとかなり時短になって便利!

まず、ひき肉を油を引いた深めのフライパンに入れ、肉の色が変わりはじめるくらいまで炒める。

img_nakano_002-04

そこに野菜をすべて加え、しんなりするまで炒める。この時点ですでにおいしそう。

img_nakano_002-05

さらに酒、砂糖、しょうゆを入れる。分量は適当なのだが、我が家では1:1:1くらいになるように調整することが多い。甘めの気分のときはどさっと砂糖を入れるし、濃いめの味にしたいときはしょうゆを多めに入れる。餡の味見をできることも、この餃子のよさ。

img_nakano_002-06

味を見てよさそうであれば、水溶き片栗粉を加えてとろみをつける。

最近では水溶き不要の片栗粉もあり、我が家ではそれを使っている。ササッと具材に直接振りかけられるので手間いらず!

img_nakano_002-07

餡が完成したら、ひたすら皮に包んでいく作業。

この焼き餃子は、皮のもちもち感と餡の濃い味が合うので、みっちりと皮いっぱいに餡を包むより、余白を持たせてティースプーンに1〜1.5杯ほどの量で作るのがおすすめ。一人20個くらいは、ぺろりといける。

img_nakano_002-08

油を引いたフライパンに餃子を並べ強火で、皮に焦げ目がつく程度焼く。コップ1杯ほどの水を入れ、ふたをして5分ほど焼けば完成!パリパリの食感がお好みなら、水の代わりに水溶き片栗粉を入れると羽根ができておいしい!

img_nakano_002-09

余った餡はごはんに乗せて丼にするのもおすすめ。温泉卵を乗せてもおいしくいただける。

img_nakano_002-10

私にとって料理の原体験は焼き餃子を作ること

祖母のオリジナル焼き餃子は、誇るべき我が家の味であり、私にとって料理の原体験でもある。幼少期の食卓を思い出すと、餃子をせっせと包むシーンばかりが浮かぶ。

img_nakano_002-11

私の記憶にある限り、祖母の家でも実家でも、保育園の頃から焼き餃子は食卓のレギュラーメニューとして1ヶ月に2〜3回は並んでいた。火や包丁を使うことが難しい保育園児でも、餃子を包む作業なら安心してできる。

週末の夕方になると、『笑点』を観ながら食卓に新聞紙を広げては、炒めた具材がのったフライパンを囲み、家族総出でチマチマと餃子を包んでいた。

「皮を二枚使って包んでUFO型にしよう!」
「これはアタリだから、とろけるチーズが入っているよ。」

様々な形や具材を入れた餃子を作るのも、餃子作りの醍醐味だ。こうして『サザエさん』が始まる頃の食卓には焼き餃子が積まれた大皿が2、3皿並べられ、にぎやかな食事がはじまる。

幼少期から餃子作りにいそしんだおかげで、今でも一人で100個近くの餃子を作ることだって苦にならないし、調味料を計らなくても、バチッと味が決まる加減もわかるようになった。

だから「得意料理は?」と聞かれたら、胸を張って「餃子」と答えている。

祖母の家で餃子を作っているとき、はじめは「面倒くさい!」と言いながらも、次第に工夫したり、雑談したりと家族みんなで楽しく手を動かしていた。今でも机を囲んで餃子を包む時間は、大切な一家団欒のひとときになっている。

ナカノヒトミ

1990年長野県佐久市出身。2017年よりフリーライターとして活動開始。どこでも地元メディア「ジモコロ」などウェブメディアを中心に執筆を行う。2018年4月に雑貨屋「シンカイ」の店長になり、佐久市から長野市に引っ越す。2020年に出産し子育て&仕事の日々。

この記事をシェアする

がんばる日も、がんばらない日も、あなたらしく。

がんばったことやがんばらないと決めたこと、
ハッシュタグをつけてアイスム編集部に教えてください!

#アイスムがんばる日

投稿する

#アイスムがんばらない日

投稿する