育児 × 介護 = “戦略的”二世帯同居!への道 Step31:「建設的に揉める!二世帯同居のケンカのお作法その①」

2019/05/16 UPDATE

もともと別々に暮らしていた親世帯と子世帯が、一緒に住もうと思い立ち始まった我が家の二世帯同居生活。
それなりに穏やかに毎日を過ごしてはおりますが、小さなもめ事は日常茶飯事です。
ですが、世代も個性も様々な家族6人が毎日暮らしていて頻発する問題を「小さなもめ事」で済ませられるようになったのは、我が家の大きな進歩だと思っています。
じゃあ、以前は毎日大ゲンカを繰り返していたのかって…?実は逆なんです。
自分の要求や不満をうまく表現できず、心の中にストレスをため込んで、限界を超えてちょっとのきっかけで爆発する、あるいはメンタルの調子を崩す…
言いたいことも言えないこんな家の中じゃ…という繰り返しだった私が、10年を超える同居生活の中で、どうやって自分の意見や不満を表明し、かつ(比較的)穏やかな同居生活を送ることができるようになったのか…過去の反省も踏まえ、多人数家族の建設的な揉め方、ケンカのお作法を改めて考えてみました。

・同居の息子は「板挟みでかわいそう」なのか?
同居を始めた当初、義母から私へよく言われていたことがあります。「私とサカヱさんが喧嘩すると、息子(旦那)が板挟みになってかわいそうだから、もめ事は息子に持ち込まないようにしましょうね!」というもの。
当時は私も年若く、確かにそうだな、嫁と姑がいがみあっている家は旦那には居心地が悪いだろうし、実の親を悪く言われると旦那の気分も良くないだろうし…と素直に受け取り、たとえ義父母に不満があっても、なるべく旦那には伝えずにいました。
しかし、これが大きな間違いだったことに、数年後にようやく私は気づくことになるのです。

一つ屋根の下で何人もの人が暮らしていれば、特に性格が合わない訳ではなくとも、細かな不満がどんどんたまってくるのは当たり前のことです。
例えば、同居嫁の立場である私への不満を、義母は義父に話して解消する。義父は義母に話して解消する。わざわざ当人に伝えれば角が立つが、夫婦間で愚痴を言い合って解消できるならば平和です。しかしそれでは、嫁の立場である私の不満は、旦那へ一切持ち込まないとすれば、誰に話せばよいのでしょうか。


気軽に相談できる友達が一人もいない訳ではありませんでしたが、あまりたびたび愚痴を聞かせるのも気が引けます。同居を始めた当時はSNSもあまり一般的ではなく、結局私は、一つ一つは笑ってしまうほどささやかな不満たちを、どこにも放出することができず、心の中に貯め込み続けることになっていったのです。
そうしていよいよ耐えきれなくなって初めて、数年に一度、泣きながら旦那に積もる気持ちを訴える…ということになるのですが、旦那からすればそれはきっと、青天の霹靂だったことでしょう。そもそも人の気持ちの機微にあまり敏感なほうでない旦那は、私から不満を訴えられなければ、家族間の問題などあまり存在しないと思っていた節があります。
また私自身も、整理整頓や掃除が苦手で、決して「よくできた嫁」にはなれないという引け目もあり、また自分が仕事に行っている間、子供の面倒を見てもらっているのだから、義父母に文句など言っては罰が当たる、と、今考えればずいぶん卑屈な精神状態になっていました。

数年間そんな状態を繰り返し、ついに私は、小康状態を保っていた鬱病の再発を迎えました。
幸い、相性の良い医師と出会い、投薬治療が功を奏して、数年をかけゆっくりと回復することができましたが、再びストレスを抱え込めば同じことの繰り返しなのは火を見るよりも明らかです。
心身の健康のために、この家を居心地の良い家にしなければならない、と痛感した私が、まず実行したのは次のことでした。

・家族内に「部外者」はいない!
義母に言われるがままに、旦那に家庭内のもめ事を持ち込まないようにしていた私でしたが、この方式ははっきりと間違っているのだと、鬱の再発を経てようやくきっちり認識することができました。
義母にとって、旦那はいつまでもかわいい息子です。なるべく苦労をかけたくないと思うのはある意味当然のことかもしれません。
しかし、旦那は中年期を迎えた立派な大人です。家族間の問題の調整に、一人だけ責任を持たないでいる方がよっぽど不自然です。
「帰ってきて疲れてるんだから」とか、「板挟みになってかわいそう」など義母の言い分はまるで幼い子供に対するような対応で、このままでは旦那はいつまでも家族の問題から蚊帳の外で、揉まれて成長する機会すら与えてもらえません。
仮にこのまま年月が過ぎ、子供が成長して家を出て、旦那をかばってくれる義父母が世を去った時、残されるのは家族関係の問題解決能力を身に着けずにのほほんと年をとった旦那と、数十年の恨みつらみを身の内に圧縮させた私です。
そんな恐ろしい未来予想図を実現させてはいけない。外で働いていようが血縁関係があろうがなかろうが、この家の中に傍観者は一人もいない。
家族の中に揉め事があった時、ついついいつもの癖で(わざわざ旦那を巻き込まなくても…辛い思いをさせるだけかも…)と流されがちな私にとって、「家族に部外者はいない」というのが、心の合言葉となりました。

さて、今回は「二世帯同居のケンカのお作法」と題しながら、実際に家族で揉めるところまではたどり着かずに前編が終了してしまい、大変申し訳ありません。
次回の後編では、いかに無駄にこじれずに自分の意見を表明するか?家族間の根回しテクニック、家族のコミュニケーションのクセを見極めよう!などをキーワードに、どんどん前向きに、建設的に揉めていこうと思います。
次回もどうぞお楽しみに!

つかさちずる

イラスト・つかさちずる

娘との日々をブログ「むすメモ!」に綴ったりLINEスタンプを作ったりしている絵描き。
回転寿司とゲームをこよなく愛するアラサー。
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