A or Bどっちを選ぶ?私の愛する選択肢たち v.08 正社員で日系企業?契約社員で外資?

2019/06/14 UPDATE

外資企業勤務のユカリと申します。前回まで私の激貧でとても辛かった時期のことを書きました。派遣社員から正社員になったものの、給与等の条件を十分にすり合わせることなく入社してしまったため気がつけば給料は自分史上最低で、かつ毎日夜遅くまで働かなければ終わらない業務量が降りかかり、自分の生活すらままならなくなりました。でも、ここから一気に盛り返していきます。

守るものなんてないことに気づく

その日も私は夜遅くまで会社にいて、事務作業をこなしていた。その時働いていた会社は小さな派遣会社で、私は派遣社員40人を管理しながらさらに自分が担当する地域の派遣社員を増やすことを責務とする営業として働いていた。昼間は派遣先の開拓のためにずっと外出しており、しかも東京の東側と千葉全域を担当しており、時には茨城まで足を伸ばすこともあり帰社するのが8時過ぎ。そこからやっと煩雑な事務作業をこなす。毎日遅くまで働くことがあたり前になっていたが、いい加減私にも決心がついた。

「Sさん、お久しぶりです。お元気ですか」

Sさんは私が2社目で働いた会社の取引先だったとある外資系メーカーの営業部長だった。ありがたいことに彼には当時から一緒に働こうと誘ってもらっていたが私が「結婚するかもしれない」「外資ってすぐクビになりそうで怖い」「業界知識が全くない」と幾つも自分の中で理由を並べては断ったりはぐらかしたりしていた。何より、私がもし活躍できなかったらSさんの顔に泥を塗ることになるしそれだけは避けたいと思っていた。しかしこうも転職に失敗し、上場企業で働いていた私は今や激貧の生活である。背に腹は変えられないし、私が活躍できなかったら私のことをクビにしてくれればいい。これ以上落ちることもないだろうから、恐れることなど何もないことにようやく気づいた。Sさんからすぐに返信が来た。
「元気ですよ、いつ会いますか?」

初めての外資企業勤務へ

半年以上ぶりに連絡したとは思えないほど手際よくセッティングされ、都内のそれなりに値の張る寿司屋で集合した。知ってはいたが、Sさんは恐ろしく勘が働く人だった。

「で、いつから来られる?準備するから」

今考えても業界経験のない私を営業として雇うことはギャンブルに近く、また私も業務委託の契約社員として転職することにはかなりの勇気を要した。しかし私はどうしても営業としてキャリアを立て直したかったし、立て直せる最後のチャンスだと思って使えるものは全て使う覚悟をしていた。使えるものとはすなわち、若さ、多少の経験、そしてコネだ。最初は契約社員として入社し、半年をめどに正社員にするという条件だった。一時期会社全体の業績が下がってその予定は少し伸びたが、私は晴れて外資系企業でのキャリアをスタートすることができた。
その会社の日本支社も大きくはなかったので私の活躍が会社全体の成績に大きく関わるというプレッシャーがあった。また、業界全体ほぼ男性かつ年上という状況において、どれだけ私の話すことに説得力を持たせられるかは常に挑戦だった。ただ自分自身が長い間憂いたよりは、私は価値を提供できていたと自負している。私が入ったことによって新しいビジネスも生まれたし、実際売上げも上がった。

変わる面、変えない面

生活は一変した。外食することもできるし、気兼ねなくカフェにも入れる。タクシー移動には経費を使えるし、当時その会社は経費の管理がとても甘かったので出張の新幹線はグリーン車に乗ることができた。国内であれば九州から北海道まで時には1人で出張することもあったしその時のホテルだって多少高くても誰も何も言わない。プライベートでは初めて1人で海外旅行に行った。今まで我慢していたことを自分が稼いだお金でできるようになることがとにかくうれしかったし誇らしかった。お金に困らないということはここまで気持ちを軽くするのかと、ようやく私はある一定以上の収入を維持することはとても大切なことだと知ることができた。

そんな中でもあえて変えない部分がいくつかあった。まずむやみにブランドものは買わないということ。財布だけずっと欲しかったブランドのものを買い、それで満足していた。そして住む家だ。だいぶ生活が楽になった当時も学生時代からずっと住んでいる古くて狭いアパートからは引っ越さずにいた。生活レベルを上げるにはもう一段収入を上げなければならないと感じていたし、何より貧乏の怖さを知っていたからどこかで質素な部分を残そうと思っていた。

当時よりも更に数段収入が増えた今でもその考えは生きている。似たような服だったら迷いなく安い方を選ぶし、それを是としている。生きていく中には必ず踏ん張らなければならないポイントがいくつかあると思っていて、あの時は確実にそのポイントだった。勇気をもってステップアップすることを選んだ私の選択を愛している。

投稿者名

ユカリ

30代独身。都内で外資IT企業に勤務。
ジョブホッパーでメンタルが弱い。
ツイッターではナンパ師、恋愛工学生、「結婚して初めて人は一人前になる」と思い込んでいる既婚者、
キラキラマウンティング港区女子とよく揉めている。 Twitter:https://twitter.com/rita_sia22 note:https://note.mu/an_giee27