5歳さん嫁非公認コラム Episode:50「みんなで子供にかえりましょう」

2019/07/16 UPDATE

ちょっと奇抜な奥さまと元気な息子さん達とのユーモラスなエピソードが大人気!ツイッター界随一の恐(愛)妻家5歳(嫁公認アカウント)さんのコラム!

今回は、素直になれない大人の不自由さについて。大人もたまにはワガママになっていいじゃない…!?

第1章 子供の頃は素直なのに

保育園に通う5歳の次男が恋をしている。
お相手は同じクラスの、ヒナちゃんという女の子だ。
「ヒナちゃんにすきっていわれた」
ある日、僕が家に帰ると息子が嬉しそうに報告をしてきた。そして、手紙を書きたいと言い出したので、あいうえお表を見ながら親子で書くことにした。「なんて書くの?」と聞くと「ヒナちゃんすきだよ」と伝えたい、と息子は言う。

シンプルイズベスト。

「ヒナちゃんすきだよ」

こんなにシンプルかつストレートな手紙があるだろうか。大人になると、その一言がなかなか出てこない。あーでもない、こーでもないと堂々巡りをして、結局言えない。
しかし、子供は恥ずかしさの壁を楽々と乗り越えて伝えることができちゃうんですよね。もちろん、子供には語彙力がまだまだないので、選べる言葉自体が少ないっていうのはありますが、言葉をたくさん手に入れたはずの大人が、その語彙力を以てしても自分の気持ちをなかなか言えないことを知っている僕は、彼らの自由でストレートな表現をカッコイイとさえ思うのです。

普段、人生相談や恋愛相談などを受けていると、大人の生きにくさをひしひしと感じるし、どうしたらそこまで認知が歪んでしまうのだろう、と気の毒になってしまう。とにかく、ひねくれてしまっている人の多いこと。「素直」という言葉を、どこかに置き忘れてしまったのでしょうか。

「好き」ってなんですか?
わたし/ぼくの事を好きになるはずがない
SNSでのやり取りの方法がわからない
付き合っているのに愛されている気がしない

そんな相談を聞いていると「ありのままで素直に生きていこうぜ!」とアドバイスしたくなるけど、それと同時に、どうしてそうなってしまったのだろう、人は歳を重ねるうちに段々と不自由になってしまうのかな、と思わずにはいられないのです。

第2章 大人になって得るココロ、失うココロ

僕が息子のお迎えで保育園に行った時、男の子を「お!その服カッコいいじゃん!」と褒めると得意満面で「いいでしょ!」と返ってくるし、「コマ回し上手くなったね!」と言ってあげると「ぼくがいちばんながくまわせるんだよ!」と、もう一度コマ回しの技術を披露してくれる。女の子に「お!今日はお姫様みたいだね!」と声を掛けると「そうなの、かわいいでしょ?」とハニカミながら答える。逆に、彼らは嫌なことがあれば全身全霊で抵抗するし、泣いて叫んで駄々をこねる。子育てをしているとよく目にする光景ではありますが、それさえも僕は素晴らしいなと思います(たまには、親として「マジでいい加減にしろ!」と叱る時もあるけど)。

もちろん、大人には大人の良さがあります。大人の良い所は、想像力を働かせて人の気持ちをちゃんと考えられる所。自分の気持ちよりも他人の気持ちを優先したりもします。子供にも人を思いやる気持ちはありますが、やはり自分中心だし、己の気持ちに一番素直です。息子や保育園の子供たちと接していると、その素直さに安心するし、むしろそうであってほしいと願い、大人が忘れてしまった大切な何かを思い出させられる気がします。

みんな最初は、素直で真っさらな心で生まれてくるのでしょう。だけど、誰かにいじわるをされたり、否定されたり、イジメられたり、悪意に晒されたりして、本来持っていた素直な心が少しずつ削られていくのかと思うと切ない気持ちにもなります。どうか、今の気持ちをこのまま大切にしてほしいと、そんな思いで子供たちを見守っていたりするのです。

第3章 みんなで「素直」を受け止め合う、究極の方法

今読んでくれている皆さんに、子供の時に持っていたはずの素直な気持ちを忘れていないかどうか、問いかけたい。
もちろん、大人は子供と違います。例えば、大人は働かなくてはいけない。そうすると、責任だって持たなくてはいけない。「自分、自分!」と主張していると、協調性がないと周囲から言われてしまう。なので、なかなか自分の気持ちに素直になれない。「好きを仕事に!」なんて声高々に言われる時代ではあるが、ほとんどの人は、本当は家でゴロゴロしていたい気持ちをグッと堪えて、歯を食いしばって、気の進まない仕事を頑張っている。
そんな状況はよく分かっているけど、でも、子供のような素直な気持ちを心の隅っこでもいいから持っていてほしいなと思う。本当にちょっとだけでいいんです。

時々はわがままを言ってみる。ムカついた時にムカついた顔をしてみる。やりたくない事はやりたくないと言ってみる。恋愛対象とか関係なく、好きな人に「好きです」と言ってみる。楽しそうな予定が入ったら仕事の予定をキャンセルして遊んでみる。そして、たまには仕事をズル休みしてみる。

これらは、よく息子たちがやる事です。息子は嫌な事があると表情に出るし、わかりやすい。お手伝いを頼むと、「いまはゲームがたのしいのでムリ」と言う。好きな子にはすぐにラブレターを出し、大好きな友達にはカッコいいカードをあげる。近くで絶好のザリガニポイントを見つけた時は「パパしごとなんていかないでザリガニをつかまえよう」と僕に仕事を休ませようとする。病気じゃないけど、気持ちが乗らない時は、時々学校、保育園もズル休みする。

子供たちはストレスフリーで生きている。僕は全部実行できるわけではないけど、時々はハメを外して付き合うことにしています。ちなみに、時々大人がやる素直な行動は精神衛生上めちゃくちゃ良い感じがしています。

ここで突然ですが、皆さんは“赤ちゃんプレイ”をご存知ですか?
概要を説明すると、大人がオムツをつけておしゃぶりをしたり、哺乳瓶でミルクを飲んだりするものです。バブーバブーと赤ちゃん返りした大人をママ役の方が「よしよし良い子でちゅね〜」と甘やかしてくれたりします。
そうです。この赤ちゃんプレイを、世間で積極的に取り入れたらいいんじゃないかと僕は思っています。もちろん、そのまま赤ちゃんプレイをするわけではありません。時々、赤ちゃんになるのです。

嫌な事があったら「バブぅぅぅうう!!」と声を上げて泣いてみる。
バブぅが恥ずかしかったら、「いやだよぉおお!」と態度で示す。
嬉しい事があれば「バブぅぅうう↑↑↑」と喜んでみる。

実際、周りのストレスフリーな生き方をしている人たちは、ナチュラルに赤ちゃんプレイをしています。よく観察してみて下さい。バブぅぅぅう!!とは言っていないものの、それと近い事をしています。本人以外は呆れていたりする場合もありますが、みんなその人を見習って、時々は赤ちゃんプレイをすればいいのになと思います。自分も、そして周りも時々は赤ちゃん返りして、それを呆れながらも許し合えばいいのですよ。

さすがに、赤ちゃんプレイはちょっとやり過ぎかもしれないけど、時々は子供を見習って子供返りして、わがままに生きていこうよ。そして、周りのわがままを少しは許していく心の余裕を持つことができれば、ストレスフリーの、少し緩い世界になっていくのではないでしょうか。
窮屈さを感じるこの世の中に必要なのは、自分のわがままと他人のわがままを許し合う事なのかもしれません。

投稿者名

5歳

34歳。嫁と息子2人。
嫁は可愛くて、恐ろしい。
息子達は可愛いくて、可愛い。
そんな4人家族の半径15mの生活。
嫁が快適に生活出来る事を一番に考えながら今日も僕は働いて、そして書く。
普段僕の話を聞いてくれる人はいないので皆さんが聞いて下さい。よろしくお願いします。
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