しんどいオカマのお悩み相談 その13.ブスかもしれなくてしんどい?

2017/06/21 UPDATE

しんどいオカマがしんどいお悩みにお答えする、しんどくても頑張るあなたのための人生相談。今回は容姿についてのお悩みよ。オカマって、常にブスに囲まれているのに美の基準は一切下がらないのが不思議よね。

【お悩み】
20代後半、会社員の女性です。自分がブスかもしれないという疑惑を受けいれられません。
一人っ子として、親から蝶よ花よと育てられてきた私は、自分は当然かわいいものと思い込んで生きてきました。
成人してようやく、周囲の態度から「自分はブスなのでは」と気づき、動揺しました。
たとえば友人と買い物をしているとき、ふたりで店員さんのオススメを聞いたのに、友人だけが感想を求められるとか。
しかし、鏡を見ても客観的な目線でブスかどうかを判断できません。
いい歳なのに容姿について悩むこと自体が恥ずかしく、やめたいです。
ルックスを気にせず朗らかに生きたいのですが、どうすればいいのでしょうか?

オカマはなぜ二言目にはブスと叫ぶのか

自宅でコーヒーをすすっていると、呼び鈴の音が耳に入った。玄関の扉を開けて迎え出ると、オカマたちが「ブス」「ブス」「ブーーース」と合唱していた。オカマの言う「ブス」はあいさつ代わりだからもう慣れたけど、近所迷惑になるからやめてほしいわ。そして、玄関先では自己紹介をせずにまずはちゃんと名前を名乗ってほしいわ。

オカマといえばブス、ブスといえばオカマというイメージは、世間一般にも浸透してきたわよね。
オカマが美醜にこだわる理由はね、男性同性愛者の世界には外見至上主義がはびこっていて、学歴や資格などは関係なく、ルックスがなによりモノをいう世界だからよ。
細身で色白の医師・弁護士よりも、筋骨隆々で短髪ヒゲの脳筋イケメンのほうが人気は高いの。
大半のゲイが将来的に家庭を築くつもりがないわけだから、パートナーの地位や年収、能力にこだわる理由もないのよね。
お互いの価値観が合って、さらに見た目が好みであれば、他に望むものはないのよ。ある意味、ピュアな関係ではあるわね。

逆をいえば、ブスなオカマはいくら地位や年収があってもモテないのよ。
かくいう私も、そんなブスでモテないオカマのひとり。唯一の能力といえば、「イケメンノンケの個人情報を短時間で大量に聞きだせる」ことくらいかしら。
前世はセクシー女スパイだったに違いないけど、きっと業が深すぎたのね。オカマに転生したわ。

アタシもあなたとよく似ているのよね。
幼いころ、両親にかわいいかわいいと言われて育てられたの。そして大人になって、まわりのオカマたちから「アンタ、オカマの中でもブスなほうやで」と言われてやっと、自分がブスなのではないかと疑うようになったのよ。親が我が子に感じる愛らしさと、美醜という基準に照らした「かわいい」は別物だと気づいたの。
それでも、鏡を見ても客観的に自分がブスなのかどうか、判断はできなかったわ。
でもね、ある日の美容院で「後ろはこんな感じですけど……」と鏡を持ち出されたとき、ふと合わせ鏡の中に映った自分の顔を見て驚愕したのを覚えているわ。うわ、アタシめっちゃブスやん、と。
人は真正面から鏡を見たり、写真に写ったりするときって、無意識のうちに表情を作っているのよね。
不意に目に入った合わせ鏡の中の醜い自分、これが真実の姿だったの。
そこから私のドブス人生がはじまって、「普通の人」としての人生は終わりを告げたわ。

私は「普通の人」に戻りたいのよ。
普通から美人になりたいと願うのは、現世から天国に召されたいと願うようなもの。
ブスから普通になりたいと願うのは、地獄から現世に這い上がりたいと渇望するようなもの。
自分がブスだとまだはっきりとは自覚していないあなたは、私よりもずっと救いがあるわ。

心と体がちぐはぐなら、どちらかに合わせるしかないわ

ブスと普通の境目にいるあなたが救われるためには、ずばり自己肯定感を高めるしかないわ。
世の中には、少数ではあるけど自信に満ちた明るいブスがいて、男女関係なくおしなべて周囲から慕われているのよね。
自分はただここに存在しているだけで価値があると本心から思っていて、周囲もそのあふれる自己肯定感のオーラに呑まれている。そんな奇跡のブスが存在するわ。
それが地の性格の明るさから来るものなのか、ありのままを肯定され続けているからなのかはわからないけど。
大抵のブスは、事あるごとにブスである現実を突きつけられ、存在を否定され、どこかで自信をなくすものなのよ。

あなたが20代後半までブス疑惑を疑惑にとどめて生きてこられたなら、あなたはブスではない、もしくは奇跡のブスなのではないかしら。
このまま、生活の中に漂うかすかなブスの予感を「気のせい」として、胸を張って生きていくのも幸せかもしれないわよ。

ただ、もしもあなたがブスだったとして、今後ブスを完全に自覚してしまった場合、まずは、なにが自身をブスたらしめているのかを正確に知ることが必要よ。
そもそも、顔の美醜は絶妙なバランスによって決まるものよ。
たとえば目が大きければ大きいほど、鼻が高ければ高いほど美人であるとは限らない。
そして、人にはそれぞれに好みというものがあるから、最終的には自分自身の感性が美の基準となるでしょうね。
幸運なことに、女性は化粧という鎧をまとうことができるわ。醜さの本質を見極めて、納得のいくまで試行錯誤を繰り返せばいいの。
私みたいな骨格レベルで男性のオカマは、化粧をすればするほどブスになっていくからね。女性ホルモンの力には嫉妬しちゃうわ。

それでもコンプレックスを拭えないのなら、美容整形に頼ることだって、ひとつの手段よ。
美容整形は、倫理観の問題を差し置けば、「たくさんお金がかかる」「失敗する可能性もある」以外のデメリットをアタシは知らない。
魂の器なんてね、どんな形でもいいじゃない。醜かろうが、美しくなろうが、分相応だと思えるならそれでいいのよ。

人はだいたいみんなブスだけど、自分をごまかしながら生きているの

今日もSNSを覗けば、美男美女が自撮りを上げては周囲からチヤホヤをかすめとっているわね。
ただ、現実の街を見回してみても、容姿端麗な人間は滅多にいないわ。
つまりは、単にみんな自撮りが上手いだけなの。ということは、みんな少しでも美しく見られたいと思っている、ということ。
美の基準は文化や時代によっても違うものだけど、この高度な情報化社会では、その基準は必要以上に引き上げられているような気がしてならないわ。

意外にも世の中なんて、あなたとわたしとそれからあの子、みんなちがってみんなブス。そしてそれぞれのやり方で、ごまかしたり脱却しようとしたり、みんな必死にもがいている。そのくらいの心持ちでいた方が、心の安寧は得られるのかもしれないわね。


さて、今回のお悩み相談は以上よ。
このコーナーでは読者の方からのお悩み相談を随時募集しているわ。
恋愛でも学業でも仕事でも、あなたがどんなことで悩み、どんな風に解決したいのか、できるだけ詳しく簡潔に教えてくれると助かるわ。
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投稿者名

BSディム

夜な夜なネオン街をねり歩くアラサーのオカマ。
昼間は真面目な係長だが、退勤から3駅で夜の帳をドレスに変える。
中学2年生で周囲にカミングアウトし、以後オカマとしての人生を歩む中堅オカマである。
Twitter:https://twitter.com/BS_dim Blog:http://aiokama.hatenablog.com