しんどいオカマのお悩み相談 その18.職場の飲み会がしんどい?

2017/08/30 UPDATE

しんどいオカマがしんどいお悩みにお答えする、しんどくても頑張るあなたのための人生相談。今回は職場での飲み会が苦痛な男性からのお悩みよ。どうして大人になると、お酒を飲まないと人付き合いができなくなるのかしら。ウーロン茶だけでもいいじゃない、ねぇ?

【お悩み】
27歳の男性です。半年前に事務職から技術職に転職しました。
仕事はまだまだ未熟ですが順調で、年収も前職より少し上がり満足しています。
ただ、職場の人間関係は悪くはないのですが、部内での飲み会が苦痛です。
もともと口下手で内向的な性格のため、時間が経つとしゃべることがなくなります。
一緒にいてもつまらないと思われるのか、最後はひとりぼっちでお酒を飲むことが多く、いたたまれない気持ちになります。
会社の飲み会が苦痛にならない方法を教えてください。

あなたと彼ら、いったい何が違うのかしら?

「おとなり、いいですかぁ?」
いやに鼻にかかった猫なで声を上げながら、白目になりそうなほどの上目遣いで物欲しそうにこちらを見つめる細身の男。
ひとりでゲイバーのカウンターに座ると、必ずと言っていいほど、アタシのタイプとはかけ離れた“自称”かわいい系のゲイがとなりの席にやってくる。
「別にいいけど」
そう言ったが最後、くねるような身振り手振りを交えて愚にもつかない話を閉店まで聞かされる。
そのあいだカウンター後ろのボックス席では、オカマたちが汚い言葉で罵り合って爆笑しながら、アイドル歌謡を振り付きで歌い、ママは無表情のまま手拍子を打つ。
アタシも仕方なく、ママとおんなじ顔をして手拍子を打つ。
居心地の悪さをごまかそうとぬるいビールに口をつけても、鉄さびのような苦味とともに後悔の波が押し寄せてくる。
孤独。アタシはここへ居場所を求めに来ているはずなのに、いつも孤独を噛みしめてしまう。

ある程度の人数が集まったお酒の席は、誰もがおおいに笑って饒舌にしゃべる楽しげな空間であらねばならないという強迫観念が空間を支配しているように思うわ。
そういった場のほとんどは、いわゆるお調子者たちが空気を先導しているから、彼らの居心地がいいように会話が進んでいく場合が多いわよね。
年齢や立場に関係なく、小粋なボケとツッコミと、ウィットに富んだ……と、一見思わせるような会話を要求される。そんな重圧を感じるわ。
アタシは仕事柄、たまに経営者が集まる食事会に参加するのだけど、悲しいことに50代になっても60代になっても、お調子者のオッサンたちがあの空気を作っているのよ。

お酒を飲めば飲むほど気分が落ち着いて口数の少なくなるアタシや相談者のあなたが、どんなに自分をごまかしたって素直に楽しめるような場所じゃないわ。
でも、あなたはお酒が嫌いなわけじゃないし、人と会話をしたくないわけじゃないのよね。きっと気の合う少人数での落ち着いた席であれば、充足感を得られているのではないかしら?
その差って、自分が受け入れられているという安心感の度合いだと思うの。
そもそも飲み会に参加しないという選択肢が取れない場合に、この居心地の悪さによる苦痛を和らげられるとしたら、その方法はただひとつね。
口下手を恐れず、自分が思ったまま、考えたままにしゃべることよ。

「話し上手は聞き上手」を安易に考えちゃダメよ

「話し上手は聞き上手」ってことわざを知っているかしら?
自分ばかりが饒舌にしゃべることよりも、相手の話をじっくりと聞いた上で話をすることが、真の話し上手であるという意味の言葉よ。
アタシ、このことわざが嫌いでね。
相手の話を聞きながら適度に相槌を打って、適当に質問していればいいという意味にも受け取れて、あたかもコミュニケーション能力が低い人への救済措置のように思えるじゃない。
でも、実際に聞き上手に徹して相手から話を聞き出そうとすると、多大な労力を使う並行作業になるのよね。
まず自分から話題を提供して、相槌を打ちながら適度に所感を述べつつ、相手を褒めながら自然に次の話題へとシフトしていかなければならない。
それには途轍もないコミュニケーション能力と幅広い話題についていくための知識量が必要だから、アタシたちみたいな日陰者が一朝一夕で至れる境地ではないのよ。
ともすれば相槌を繰り返すだけになって、相手は赤べこに話しかけているのと同じような心境になるわ。つまらない奴だと思われて当然よ。むしろ気まずくならないだけ赤べこに話しかけたほうが楽しいかもしれない。

アタシはね、人に受け入れられるためには、話し上手や聞き上手でなくてもいいと思っているの。
不器用ながらも、ちゃんと自分が思ったことを伝えていれば、どんな人でも受け入れてもらえるものなのよ。
あなたのまわりにいる人たちを思い浮かべてみてちょうだい。
話し上手や聞き上手である以前に、しっかりと自分の心を開いている人ほど周囲に受け入れられているのではないかしら。
口下手な人って、大抵が相手にすべてを合わせようとして何もしゃべれなくなるのよね。過剰に空気を読むことで、逆に空気の読めない奴になってしまうだなんて皮肉だわ。

人の会話なんて案外唐突に始まるものだから、話題がなくなりそうなときに「そういえば」とか「話は変わるけど」なんて断っておけば、思いつきでしゃべっても会話は続いていくわよ。
聞き上手にも話し上手にもならなくていい、オチなんてなくていいから、まずは口下手で内向的なところも含めて、自分を知ってもらいましょう。
それに、あなたと同じように誰かの言葉を待っている人が、きっと近くにいるはずだから。

親しくなりたい人がいるのは幸福なことよ

アタシは普通の話を普通にできる友達を作りたくてバーに通っているというのに、泥酔した“自称”かわいい系のゲイかオカマというモンスターしかお店にいないのはなぜなのかしらね。おかげでアタシはいつも赤べこよ。
あなたは「職場の人間関係は悪くない」とのことだから、親しくなれる、なりたい人たちがいるのね。
もし誰にも興味を持てないような職場だったら、たったひとりでいることも諦めがつくものね。
職場に親しくなりたいと思える人がいることは、とても幸福なことよ。そして肩ひじを張らない自分を受け入れてもらえれば、もっと幸福になれるはず。

アタシはそろそろ諦めて、お店を変えてみようと思うわ。赤べこだって、ときには首を横に振ってもいいじゃない、ねぇ?

さて、今回のお悩み相談は以上よ。
このコーナーでは読者の方からのお悩み相談を随時募集しているわ。
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投稿者名

BSディム

夜な夜なネオン街をねり歩くアラサーのオカマ。
昼間は真面目な係長だが、退勤から3駅で夜の帳をドレスに変える。
中学2年生で周囲にカミングアウトし、以後オカマとしての人生を歩む中堅オカマである。
Twitter:https://twitter.com/BS_dim Blog:http://aiokama.hatenablog.com