歌い手S!Nの「僕とデートしませんか」 その1:名古屋城

2018/04/05 UPDATE

イケメンながらも過激な面白キャラで、若い女子を中心に大人気の、歌い手S!Nさん。そんな彼が、地元・名古屋のビミョ~な魅力をバーチャルデート目線で気ままに紹介します。


アイスム読者の皆様、初めまして。
紹介の肩書きにある通り、歌い手としてインターネットにカバー動画を投稿したり、配信をしたり、ライブハウスで人前に立ったり、そんな活動を主に行っています、S!Nと申します。

唐突ではありますが、アイスムさんでコラムを書かせて頂くことになりました。
Twitterに慣れ親しんで早7年、140文字という字数制限が芯まで染み込んだこの頭で文章が書けるのかどうか、かつてない見切り発車ですが、ご乗車頂けますと幸いです。
(S!Nの芯まで。。。へへっ。。。)

僕は現在、名古屋に住んでいます。
東・名・阪と3大都市に数えられることの多い名古屋、だけど、全国主要8都市の『都市ブランド・イメージ調査』内では『最も魅力的に感じる都市』で最下位、更に『最も魅力に欠ける都市』では最上位と、めちゃくちゃ残念な街なんですよ。
何よりこの調査、名古屋市が実施して大きすぎる墓穴を掘ってるんだよな。

そんな名古屋に住んでいる僕が、観光名所や街歩きの中で見つけた素敵なお店などを紹介できればな、なんて。
でも名古屋の紹介記事なんて巷にはありふれているので、併せて僕のことも紹介させて頂こうと思います。

名古屋とS!N、同時に紹介する方法を考えた結果、S!Nと名古屋の街をデートしている女子目線、をS!N自身が妄想しながら書くことになりました。
わけわからん。どうしてこうなった。

初めてとなる今回は、名古屋城。
名古屋城にデートをしにいく私とS!N(既になりきっている)、ご覧ください。

金時計に11時半待ち合わせ、でも彼はやっぱり遅刻

今日は彼とお出かけ。名古屋城に行くんだって。今更?って感じもするけど、案外こういう機会でも無いと行かないから、まあいっか。

待ち合わせは金時計に11時半。名古屋民の定番スポット。

11時40分。「着いた。桜通口で待ってる」彼からの連絡だ。
なんで遅れて来たのに待ってるんだろう。これじゃあ私が待たせたみたいだ。
あれ?珍しく季節感のあるコーディネートだ。普段の彼はお世辞にもオシャレとは言い難いのに。
彼の遅刻にはもう慣れっこで怒ってもいない。事実、11時20分頃に「ごめん、15分くらい遅れそう」なんて連絡が入ってた。
遅れることがわかった時点で連絡するのは、彼なりに大事なことみたい。

彼いわく、寝坊ではないらしい。
例えば8時に起きたとして、「まだ待ち合わせまで3時間もある」と思ってるうちにどんどん時間は過ぎて、気が付けば11時。まだ30分あるからそろそろ家を出て……と逆算してるうちに何故かギリギリ遅刻してしまうんだって。
わかんないなぁ。

電車移動中、ずっとスマホをいじってる彼

名古屋駅から地下鉄桜通線で久屋大通へ、久屋大通で名城線に乗り換えて市役所まで、約15分。
電車での移動中ずっとスマホを操作してる彼。“デート”の雰囲気は皆無だ。

「昨日は何してたの?」
「寝てたよ。いや、今日会えるのが楽しみで全然寝れなかった」
「ゴマをするならもっと上手にすって欲しいな?」
「ほんとほんと」
雑なやりとりには慣れっこだし、いっそ心地良さすらある。

「あと何分くらいかな」
「あ?」
聞きそびれたときの聞き返し方、すごくヤンキーっぽい。
はじめは怯えてたけど、何の他意もないらしい。


市役所7番出口から徒歩約5分。

今日の目的地、名古屋城に到着。
桜もちょうど見頃だ。

「そういえば……」スマホから顔を上げる彼。
「“市役所前”っていう名前の駅は他の土地にもあるんだけど、“市役所”だけを駅名にしてるのは名古屋のこの駅だけらしいよ」
「へえ、そうなんだ」

「それから」彼はようやくスマホをポケットにしまった。
「政令指定都市の市役所の中で2番目に古いんだって。名古屋市役所。なんかビルの見た目なのに瓦乗ってて格好良いよ」
「へえ、そうなんだ」

「あと確か、毎月届く市政だよりだかの表紙に市役所の時計が写ってるとき“7時58分(ナゴヤ)”を指し示してた気がする」
「へえ、そうなんだ」

あまり自分から会話を切り出すことのない彼だが、不意にその知識を披露してくることがある。
歴史に関係する内容が好きみたい。
残念ながら私には興味のないことばかりだけど、うんちくを話す彼のしぐさはちょっと可愛い。

ついに名古屋城に到着!

ポケットに手を突っ込み猫背で早歩き。
名古屋城に着いてから、心なしか彼の足取りが軽いような気がする。

こういう時って手を繋いだりするものじゃないの?

「はい」
そう思ってた矢先、急に振り向いた彼が手を差し出してきた。
思わず一瞬驚いて、固まってしまった。

「あー。ダメですよ。こういう時、すぐ握らなきゃ。せっかくデートっぽいこと演出しようとしたんですけど」
意地悪なことを言うときは大体敬語だ。

「もう一回!」
「大事なチャンスなんてそう何回もないんですよ。残念です」
ひどい。

「名古屋城はね、徳川家康が豊臣家を警戒する中で建てられた城なんだけど、築城に関わった人たちも歴史好きならテンションのあがるメンツでさ。福島正則とか池田輝政とか黒田長政とか」
「へえ」
ほんの一瞬訪れたデートらしい雰囲気は霧散した。

「その中でも加藤清正が担当した天守閣の石垣は"武者返し"って呼ばれてて、めっちゃ守備が強い」
「しゅびがつよい」
「全然興味ないでしょ。でももう少し続きます」
「はぁ」

「城の周りに堀があるでしょ。今は水が無くて鹿が住んでるけど。この堀の底、昔は電車が走ってました」
「全然想像つかない」
「ちょっとワクワクしない?」
「わからなくもないかも……」

「ちなみにさっき出てきた福島正則はこの名古屋城から名古屋港までの川を掘削したらしい」
「かわをほった」

「いつか名古屋港水族館でもいこっか」
この流れでサラっと誘ってくるの、ずるくないかな。

「返事がないからいきません」
「い き た い !」
「ダメですよ。こういう時、即答しなきゃ」

この人は自分の興味があるものにだけは饒舌だ。普段は喋るのも億劫そうなのに。何言ってるか半分以上わかんないけど、楽しそうに話してる姿を見るのは嫌いじゃない。


そして帰り道、彼の視線はまたスマホに釘付けになっている。グラドル?とかいうゲームが忙しいらしい。

電車のシートに座りながら、今日のデートを振り返ってみる。彼といて楽しいのかって言われると正直わかんない。魅力を聞かれると困るけど、なぜか居心地がいい、そんな名古屋に似てるのかも。

「僕、福岡出身ですけどね」

最後のオチすらうまく締めさせてくれないのね、この人。



はい!以上!

あーーーこんな感じですか?
ちゃんと名古屋の紹介になってましたか??
ちゃんと僕の紹介にもなってましたか???

ちなみにこのコラム、単発では無く連載だそうです。(頭抱え)

徐々に長文にも慣れていくんでしょうかね。

名古屋は観光スポットを聞かれると困るんだけど、歴史的な背景ならそれはもう有り余るほど語り切れないほど恵まれている土地の一つなので、いらっしゃった際には歴史の息吹を感じながら、街歩きしてみてください。参考になればうれしい限りです。

ではまた。


名古屋城
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/

住所:愛知県名古屋市中区本丸1番1号

電話番号:052-231-1700

開園時間:9:00 ~ 16:30


(※掲載内容は2018年3月時点のものです)

投稿者名

S!N

歌い手。2匹の猫とともに名古屋暮らし。
得意なことは企業へのクレーム。
苦手なことは自己紹介。
Twitter:https://twitter.com/sinxxx526
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