しんどいオカマのお悩み相談 その33.未来に希望を持てなくてしんどい?

2018/04/18 UPDATE

しんどいオカマがしんどいお悩みにお答えする、しんどくても頑張るあなたのための人生相談。今回は自分の未来に希望を持てないゲイからのお悩みよ。
オカマって希望を持ちながら生きてるっていうより、3秒先くらいのことしか考えてないから楽しく生きているように見えるだけなのよね。

【お悩み】
30代の無職で、ゲイです。
20代前半では仕事や勉強に励んでいましたが上手くいかず、ゲイであることの閉塞感と絶望感から投げやりな気持ちになり、仕事を辞めて家に引きこもり、現在に至ります。
最近は、祖父母の死を目の当たりにしたこともあり、親に迷惑をかけないように一人で暮らせる環境と、いつか来るであろう親の葬式代くらいはと思い、就職をしたいと思っています。

ブランク期間について、採用面接では自分がゲイであることは言わないほうがいいのでしょうか?
ただ、結局そうすると、将来ゲイだとばれないように話を合わせたり、言い訳を考えねばなりませんよね。
一応、対策として事前に言い訳は用意しているのですが、それでは疲れてしまいます。
ゲイであることを隠しながら働く人は、どうやって自分の心と折り合いをつけてるのでしょうか?

また、仮に会社での演技がうまくいったとしても、未来に対する希望が持てません。
このまま生きていても自分を好きになってくれる人はいるんだろうか、ゲイとしてすら満足なものは得られずに孤独に死んでいくんだろうか、とネガティブな思いばかりが頭をよぎります。
ゲイで明るそうに生きている人を見ると、なぜそんな明るく生きていられるのか不思議でたまりません。

面接でゲイであることを言う必要はないわ

あらやだ、面接でゲイであることをカミングアウトする必要はまったくないわよ。
あなたはひとつ勘違いしているわ。企業は人間関係を作るための場所ではなくて、労働をするための場所なの。
賃金をいただくことはもちろん、スキルの向上やキャリア形成のための場なのよね。同時に、自己実現であったりやり甲斐を求めるための場でもあるのだけど、いずれにせよ、まだ就職が決まってもいないあなたが優先して考えるべきは人間関係ではないわ。
セクシャリティに関係なく嫌がらせをしてくる奴なんてごまんといるからね。そんなものは運よ、運。
だから、ごくたまに聞かれる「彼女はいないの?」「結婚はまだなの?」という、いわゆるノンケっぽい質問なんて、ただ話題作りに聞かれているまでの些末な話よ。
チャリンコで疾走してたら顔面に虫が飛んできた程度のもので、仕事をする上では大した障害ではないわ。
アタシも学生時代は自転車で学校に通っていたけど、もう何匹の虫が顔面に当たったか分からないし、何匹の虫をそのまま飲み込んでしまったかわからないわ。バッタが口の中に入ったこともあったわね。
今ごろ、飲み込んだ虫たちが集まって十二指腸あたりで巣でも作っているんじゃないかしら。それくらい、些細なことなのよ。

話は少し逸れたけど、あなたはゲイであることがバレることによって、会社に自分の居場所がなくなることを恐れているようね。そして、それを隠すことに罪悪感と疲労感を覚えることが怖いのね。
ただね、ゲイに限らず誰にだって、大小はあるけど、バレたくないことや秘密にしたいことはあるのよ。でも、それは「隠し事」ではなくて、大抵が「言わなくていいこと」なのよね。
たまにまったく秘密を持っていない、頭蓋骨が開いて脳を直接見せつけたまま暮らしているような人がいるけど、それはごく少数なんじゃないかしら?そんなやつは脳梁をチョップして右脳と左脳を引き裂いてやればいいのよ。

セクシャリティの話を抜きにしても、企業の面接で「言わなくていいこと」をわざわざ言おうとする必要はないわ
あなたが自身のセクシャリティを言うべき面接なんて、ゲイビデオメーカーでの面接くらいのものじゃないかしらね。
面接では、「言うことによってプラスになること」しか言わなくていいの。
ゲイであることは決してマイナスではないけれど、それが原因で引きこもっていたとなると、これだけLGBTが認知されている時代では、仕事に対するメンタルは大丈夫なのかと思われるだけよ。

それでも、もしどうしても会社で自分のセクシャリティを言えない状況を窮屈に感じてしまうのであれば、面接の場ではなく、いずれ、ゆっくりとカミングアウトしていけばいいだけなの。
焦る必要はないわ。日本には企業が数百万社あるのだから、もしも自分を受け入れてもらえなければ、辞めてしまえばいいだけなのよ。

自分の心に折り合いを付ける方法は

社会人かそうでないかに関わらず、ゲイであることに折り合いを付けられない人は大勢いるわね。
彼らがなぜ折り合いを付けられないのかといえば、それは孤独であるからに他ならないわ。
同じ思いを共有できる人がいて、はじめて自分の存在を肯定できることって多いのよ。
アタシはオカマの友人がたくさんいるから、いつのまにか、自分が同性愛者であることと、隣に同性愛者のいる世界がごく当たり前になっていたわ。
ごく当たり前のことだから、アタシは会社でカミングアウトをしている。ただそれだけなのよ。

今では上層部も含めて、会社全体がLGBTに対して良い意味で関心を持っていないわ。恋愛話になると、事前にセクシャリティを確認することがあるくらい。
以前、新入社員の男の子に、事務員の子が「ねぇ、君ってゲイ?バイ?ノンケ?ちなみに係長(アタシ)はゲイなんだけどねー」となぜかアタシに対してアウティングをしていて笑ったのだけど、それは、アウティングという概念がまるでないほど、社内でLGBTの存在がごく当たり前になっているということなのよね。

アタシの会社は極端な例だと思うから、別にあなたがアタシのように、堂々とカミングアウトをする必要はないと思うわ。
ただ、あなたの周囲に誰もLGBTとして話ができる人間がいない限り、あなたの中で同性愛というものはいつまでも特別で、重く、やり場のない悔しさが沸き起こるものであり続けるでしょうね。
もしも会社のカミングアウトが難しいようであれば、会社の外にそういった友達をたくさん作るようにしてみてはどうかしら?
今はゲイバーやマッチングアプリもあるから、どんなセクシャリティであっても似た境遇の友達は簡単に作ることができるわ。大丈夫よ、100人と出会えば、誰でも2、3人は気の合う人がいるものよ。
そうすることで、あなたの価値観は、きっと、もっと時代に合ったものになるわ。
同性愛者でなくともそう。わざわざ会社だけに居場所を作る必要はまったくないのよ。
世界のどこかに、ひとつだけでも居場所があれば心を休めることができるの。孤独を取り払ってくれる人たちがいて、初めて希望が見えてくるものだと思うのよね。

嘘をつくのも一つの手よ

ゲイであることを会社でカミングアウトするのが難しいのであれば、「自分はバイセクシャルである」と嘘をついてみてはどうかしら?
バイの方には悪いのだけど、「女の子とも付き合ったことがあるんだけど、男性とも付き合ったことがあって~」なんてサラリと話をすれば、「男性しか愛することができなくて……」と重々しく話しを始めるよりは、話しやすいのではないかしらね。
アタシも、以前勤めていた会社でそういったカモフラージュをしていたことがあるわ。
いずれ隠しきれないオカマ的言動によって「ゲイ寄りのバイ」となり、最終的には「ただのゲイ」へと上手く(?)スライドしていったわ。
「異性愛者である」とどうせ嘘をつくことになるのなら、そういった嘘のつき方もある、ということよ。
人生、それなりに上手くやる方法はいくらでもあるの。あまり重荷に考えず、胸を張って自分の人生を生きられるよう、少しだけ工夫をしながら生きてみてちょうだい。

さて、このコーナーでは、読者の方からのお悩み相談を随時募集しているわ。
恋愛でも学業でも仕事でも、あなたがどんなことで悩み、どんな風に解決したいのか、できるだけ詳しく簡潔に教えてくれると助かるわ。
送り先は、アタシのツイッターアカウント(@BS_dim)のDMか、メールフォーム(okama.onayami@gmail.com)まで。
【お悩み相談内容】と【年齢、性別、職業など簡単な自己紹介】を忘れずにね。いただいた相談内容、個人情報はこのコーナー以外では利用しないし、長期的に保管することもしないから安心して。
また、このコーナーに関するご意見やご感想もお待ちしているわ。とっても励みになるから、気軽に送ってもらえると嬉しいわ。よろしく。

投稿者名

BSディム

夜な夜なネオン街をねり歩くアラサーのオカマ。
昼間は真面目な係長だが、退勤から3駅で夜の帳をドレスに変える。
中学2年生で周囲にカミングアウトし、以後オカマとしての人生を歩む中堅オカマである。
Twitter:https://twitter.com/BS_dim Blog:http://aiokama.hatenablog.com