5歳さん嫁非公認コラム Episode:22「寿司屋に連れて行っても喜ばなくなった家族の話」

2018/05/29 UPDATE

ちょっと奇抜な奥さまと元気な息子さん達とのユーモラスなエピソードが大人気!ツイッター界随一の恐(愛)妻家 5歳(嫁公認アカウント)さんのコラム!

“家族を幸せにしたい”。純粋に奮闘する父の姿、ここにあり。
幸せな生活ってなんだろう…大人が抱える心の葛藤を、5歳さんが吐露します。

第1章 家族の喜ぶ顔が見たいのに・・・

以前、テレビで極楽とんぼの加藤さんが
『子供達を叙々苑に連れて行っても喜ばなくなった』
と言っていたのを最近よく思い出す。というのも、今の僕の家族がそれと似た状況になってしまっているのです。
以前は『寿司屋に行くぞ!』と宣言すると嫁も息子達も『わーい!わーい!』と大喜びしていました。それが1年前の話です。去年の秋には寿司屋の近くに引っ越して、それを機に頻繁に寿司屋に行くようになりました。僕は家族が喜ぶ顔が見たくて『寿司屋に行くぞ!』をよく使っていたのですが、段々と寿司屋に行くのが当たり前になってしまって、最近では『わーい!』とも言われなくなってしまいました。

『違う、僕が思っていたのと違うぞ!』

と、そんな思いが沸き上がってきます。

寿司屋ばっかりだからいけないんだ!と思った僕は、焼肉屋に連れて行ったりもしました。
最初こそは『わーい!わーい!焼肉!焼肉!』と喜んでいたのですが、やはり繰り返し行くと段々と慣れて、なんとなく無感動になっていく様子が見て取れました。

『なぜだ!こんなはずじゃなかったのに!!!』

と、僕は今思っています。

第2章 昔、「もやしラーメン」に感じた最高の幸せ

僕が子供だった頃の話をしようと思います。

僕はどちらかと言えば貧乏な家庭で育った。団地に住んでいたし、兄弟は4人いた。父は“北の国から”に憧れて、脱サラして農業を始めちゃうような人だったので、裕福とは言い難い生活をしていました。でも、父も時々は僕たちを喜ばせる為に外食に連れて行ってくれました。よく行ったのが近所の中華屋さん。当時小4だった僕は、そのお店のもやしラーメンをこの世で一番美味しい食べ物だと思っていたので、父が『中華屋行くぞー!』と言うとそれこそ『いやっほーーーーーー!!!!!』と喜んだものでした。
もやしラーメンの値段は650円くらいだったと思います。中華屋さんの帰り道は家族みんな幸せな気分でした。母はいつも『やっぱりあそこの中華屋さんのおじさんは天才だわ!』と言っていました。僕も本当にその通りだと思っていました。
今思い返してみても、あの頃の我が家の家計はギリギリだったと思います。でも、僕はそのことを別に気にすることもなく、そうやって時々外食に連れて行ってもらい、最高の幸せを感じていた。もやしラーメンの幸福感を今でも鮮明に覚えています。


そして大人になり、家族を養う立場になった僕は、ただみんなの笑顔が見たいだけでした、、、。
僕が小さい時に感じた、あのもやしラーメンと同じ感動を味わってもらいたかっただけなのに、、、どこで間違えてしまったのだろうか。
僕は子育てや結婚生活をしていて、つくづく人って幸せへの順応性が高いよなと思っています。寿司、焼肉、おもちゃ、仕事の帰りに買って帰るアイスクリーム、etc.....
段々と当たり前になって、そのうち普通になってしまう。
僕は幸せの大売り出しをやってしまい、ちょっとした幸せの価値をどんどんと下げてしまったのです。

第3章 心に残るのは「お金」より「手と心」

僕は今、いままでの人生の中で一番働いて、稼いでいる。
毎日朝8時に家を出て、帰宅するのは夜の11時なんてざらで土日も仕事が入っています。なぜそんなに働くのか?それは率直に、家族に良い暮らしをさせたいからです。
幸せな生活をさせてあげたいと思っているのです。
美味しいごはんをたくさん食べさせてあげたいし、色んな所へ旅行にも連れて行ってあげたい。今借りているマンションも住み心地はとてもいいけど、嫁がびっくりするくらいとびきり良い家を建ててやりたい。そして値段を気にせずに好きな家具も揃えてあげたい。
『家族にもっとより良い生活を!』と考え出すと際限なく僕の想像が広がってしまうのです。しかし、それと同時に幸せのハードルがどんどんと上がってしまうのではないかという不安も感じている。いつかみんな『このくらいの幸せじゃ全然足りない!』と言い出すんじゃないかと、、、。

そんな事を考えていた時に、たまたま読んだ育児書にこんなことが書かれていた。

【物を与えるのではなく、手と心を十分にかけてあげるのです】

この文を読んだ瞬間、こう思いました。

『ああ、僕はこれが抜け落ちていたのだな』

息子達にだけではなく嫁に対しても、物や食べ物やそういうモノではなくて、手と心が圧倒的に足りていなかったなと。
思い返してみれば、息子達が一番楽しそうな顔をしている時って公園で遊んでいる時なんですよね。嫁が一番楽しそうにしているのは僕と手を繋いでデートしている時。
どっちも手と心を十分にかけている時だったんですよね。
僕は、小さい時のもやしラーメンの幸せの記憶があまりにも強くて、家族にもやしラーメン的な幸せを与えようと頑張っていましたが、ちょっと違ったようです。そういえば僕だって記憶をさかのぼってみれば、父が公園でバク転の練習に付き合ってくれた事とか、母と山に探検に行った事とか、手をかけてくれた事をちゃんと覚えているんです。その大切さを、寿司や焼肉を目の前にしてすっかり忘れていました。

なんかこの2年間死に物狂いで働いてきましたけど、もしかしたらお金をガンガン稼ぐよりも、ちょっと仕事を減らしてでも家族の時間を作った方がいいのかもしれません。
お金はもちろん大切、でもそればかりを優先しちゃうと、二度と過ごせない家族との時間が、いつの間にかタイムオーバーになってしまうかもしれない。
僕はいい意味でも悪い意味でも、自分が感じた幸せの尺度でしか子供達に幸せを与えられないと思っています。
子供の頃の僕は何に喜び、幸せを感じていたか?今こそ思い出して、次に伝えていきたい。
のんびりはしてられない、息子達はこうしている間にも僕達から少しずつ離れていっているのだから。

投稿者名

5歳

34歳。嫁と息子2人。
嫁は可愛くて、恐ろしい。
息子達は可愛いくて、可愛い。
そんな4人家族の半径15mの生活。
嫁が快適に生活出来る事を一番に考えながら今日も僕は働いて、そして書く。
普段僕の話を聞いてくれる人はいないので皆さんが聞いて下さい。よろしくお願いします。
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