歌い手S!Nの「僕とデートしませんか」 その4:謎解き

2018/05/28 UPDATE

イケメンながらも過激な面白キャラで、若い女子を中心に大人気の、歌い手S!Nさん。そんな彼が、地元・名古屋のビミョ~な魅力をバーチャルデート目線で気ままに紹介します。


アイスム読者の皆さま、こんにちは。第四回の更新です、S!Nです。

名古屋の街を紹介しながら僕自身のことも紹介する、というテーマのもと、S!Nと名古屋の街をデートしている女子の気持ちをS!N自身が妄想しながら書く、ちょっと変わったデートコラム。今日も元気に更新していきましょう。

第四回となる今回は、いま名古屋市営地下鉄を舞台に開催されている、街歩き型謎解きイベントを体験してきました。
2人で協力して謎を解いていく私達(一人称は既に女子である)、そんな1日をご覧ください。

※謎解きに関するネタバレはありませんので安心してお読みください。

いつもの唐突なお誘いで、栄に13時

「明日何してる」
絵文字も何もない用件のみのLINEが彼から届いた。
「何もないよ、どうしたの」
どうしたの、なんて言いながら今度はどんなお誘いだろうかって考えている私は、自分で言うのもなんだけど女子だなって感じ。
この女心が彼に伝わってるかというと…。

「名駅、栄、金山、どこか選んで」
このそっけなさ。伝わってないよね。
「えっ。じゃあ…栄?」

「栄に13時ね」
「わかったー。なにするの?」
既読にはなったけど返信はなかった。用件を終えると既読スルーするんだこの人は。

しばらくしてもう一度LINEが鳴った。
「栄の交通局サービスセンターに13時ね」
「どこそれ?」
「調べろよスマホで連絡してるんでしょ」
「絶対そう言われると思った(笑) 頑張って調べますー」
「オアシス21の近く」
教えてくれるなら最初からそう言えばいいのに。彼はいわゆる一言多いタイプだ。


明日はどんな服を着ていこう。最近は暑かったり寒かったりして、毎日気温に振り回されている。彼に振り回され、気温に振り回され、私って可哀想な女ね。
なーんて芝居じみたことを考えながら、いつもより入念にお風呂上がりの保湿ケアに努めている私を、誰か褒めて欲しい。

突然始まった謎解きデート

地下鉄栄駅10番出口下すぐ。

交通局サービスセンターは意外と簡単に見つかった。
忘れ物の届け出をしたり、定期券を購入したりする場所だ。

「へー、遅刻せずに来たんですね偉い」
「偉いでしょ、もっと褒めて」
「当たり前のことで調子に乗るなよ」
「平気で遅刻してくる人知ってますーー」
「さて、今日なんですが…」
「わざとらしく真面目な表情してもスルーできてないよ(笑)」
「うるせぇぞ。『地下迷宮に眠る謎』やろう」

そういって彼は謎解きキットを手渡してきた。

「謎解きとか得意?」
「やったことない」
「そう、じゃあ頑張って。僕は苦手だから」
「なんでこれにしたの(笑)」
「僕と一緒に何かするの喜ぶかなと思って」
この自信は一体なんなの。図星なのがまた悔しい。

「キットの中に入っている問題の指示に従って、謎解きしながら地下鉄で移動してゴールを目指すんだって」
「面白そう!」
「これは移動がめんどくさそう」
「自分が誘ったんでしょ!(笑)」
「効率よく解いていくために別行動しましょうか」
「それ2人で来た意味なくない?」
「冗談で言ったんですけど、もしかしてそんなに2人で一緒に居たいですか」
今日はいつにも増して意地が悪い。

雑談しながら、地下迷宮の謎を解く

こうして謎解きデート(?)が始まった。
問題を解いて指示された駅へ。その駅で更に問題を解いて、次の駅へ。
天気がよくて、街歩きにも絶好の気候だ。

「疲れたーーー、休まない?」
一方、彼はさっきからそんなことを言っている。
なんならもうベンチに座って休んでるじゃん!

「あ、この問題ってこういうことじゃない?」
「いやちょっと待って」
「どうしたの?」
「今戦闘始まったから、これ終わったら」

せわしなくスマホをタップする彼。またグラブルってゲームやってる!
(グラドルだっけ?って質問したらすごい勢いで訂正された)
この人はいつでもこれをやってないと気が済まないのかな。


彼の言う戦闘とやらが終わって、次のポイントへの電車移動中。

「東山線の中で駅の間が一番長いところって、伏見駅~名駅間なんだって」
「そうなんだ」
「でも、その間に柳橋駅っていう駅を増やそうか、みたいな計画が進んでるんだよ。1950年くらいにも計画されてたけど実現しなくて、『幻の駅』って呼ばれてたんだって。去年の年末くらいに河村市長が視察してたはずだよ」
「よく知ってるね」
「名古屋に住んでてご存知ないんですか???」
めちゃくちゃ嬉しそうに煽ってくる。この人。

「名鉄百貨店からレジャックのあたり、わかる?」
「うん分かるよ。ナナちゃん人形とかがあるところだよね」
「あそこは再開発で全部まとめて長さ400メートルくらいのビルが建つ予定らしいよ。楽しみ」
「へえ、そうなんだ。私にもそれくらい興味持ってよ」
冗談めかしてめんどくさい女みたいなことを言ってみた。
「顔面を再開発するってことですか?それとも胸?」
今日の煽りはいつにも増して鋭い。カウンターが完全にクリーンヒットしてしまった…。

「雑談は問題解いてからにしてもらえますかね、お嬢さん」
「雑談してきたの、しんさんだけどね」
「そこ、私語は慎みなさい」

次の場所への移動中。
「もしかしてS!Nさんですか?」
電車を降りてホームを歩いている時に、1人の女子に話し掛けられた。
どうやら彼のファンのようだ。
私と一緒にいるの見られると困るかな。思わずちょっと距離を置いてしまう。

「えーすごい、ほんとに名古屋にいるんですね!」
「いるいる、どこに行くの?」
「今からエステに行くんです!」
「めちゃ綺麗になるじゃん」
「S!Nさんは何してるんですか?」
「これ。謎解きやってんの。めっちゃ移動してるよ、疲れた(笑)」
「そうなんですね。ていうか私声ヤバくないですか。ストレスで。今度仕事辞めるんですよ」
「ストレスで声枯れたりすんの?」
「ストレス性気管支炎っていうらしいです」
「はー、そんなのあるんだね。気をつけよ。お大事にね」
「ありがとうございます!じゃあ頑張ってください!」
「ん、行ってらっしゃいー。声かけてくれてありがとう」
私と一緒にいる時とはえらい違いだ。なんというか、きちんと会話してる。

ファンの子は手を振りながら去っていった。
それを見計らって彼に近寄る私。
「どこ行ってたの」
「いや、なんか悪いかなって思って」
「気が利くじゃないですか。えらいえらい」
ファンの子に対応してた時の人当たりの良さそうな感じはどこへやら。
私の知ってるいつもの彼だ。

「私の時と対応が全然違くない?」
「なんで身内に気を遣って話さなきゃいけないんだよ」
その言葉の意味をすぐには理解できなくて、うまく返事ができなかった。
少し間を置いて照れてしまった。自分のことを“身内”と呼んでくれたことに気付いて。


「しかしこれ、解いてる時間より移動時間の方が長いな」
自分が誘っておいて、面倒くさそうな顔をする彼。
私は少しでも長く一緒に居られるから楽しいんだけど、とは伝えない。

「ところでひとつ問題があるんだけど」
「どうしたの?」
「行きたい駅ここじゃん。乗り換えこうじゃん。この駅で降りる意味なかったわ」
「えっ(笑)」
「電車乗りなおしますかー。ごめんごめん」
自分に非があるときは素直に謝ってくる。別に気にしないのに。

「乗り換えも上手にできないの?名古屋に住んでらっしゃるのに?」
でも、調子に乗って意地悪言ってみた。いつものお返しに。

「少しでも長く一緒に居られるようにわざと間違えたんですよ」
謎解きの問題文を見ながらそう言われた。
さっき私が思ったことだったから驚いた。急にデレてくるの卑怯じゃないかな。

なんとかふたりでゴールイン!

ちょっとしたミスも挟みつつ、一つ一つ謎を解き明かしてゴールに向かう私たち。
「はーー。こうやって使うのかーー」
「今の解き方は面白かったね」
「キットを全部使い切った感じするわー」
「考えられてるね、すごい」


ゴール地点にある記念撮影用の看板が見えた。

「ゴーーーール!」
「ほんとにゴールできたねー、すごいすごい」
褒めてるのか馬鹿にされてるのか。多分後者だ。

「まあ、楽勝でしたね」
いやこの人ほんとに何もやってないんですよ!
さっきまで疲れたとかだるいとか言ってたのが嘘みたいに上機嫌だ。

降りたことのない駅で降りたり、見慣れない街を散策したり、乗り換えを間違えたり、なんだかんだで楽しかった。
彼もゴールの看板を見ながらスッキリした表情を浮かべている。

「2人の共同作業、ってやつですね」
「ほとんど私が解いたけどね!」
「だって、僕が解いたらついてくるだけになってつまんないでしょ。ヒントくらいは出してあげたでしょ、たまに」
「たまにね!!ほとんど罵られてばっかりだったけどね!!」

最後のキーワードをサイトで入力して一緒にエンディングを見た。


「せっかくだしゴール地点で写真撮る?」
「撮るわけないでしょ恥ずかしい」

いやいやノリノリじゃん。
こういうところが憎めないのよね。


「ちょっと待って」
「え、どうしたの」

「く る ぶ し 蚊 に 刺 さ れ た 」

しっかりオチ作ってくれてありがとう。

はい!以上です!


今回は“謎解き”という性質上、具体的な内容は書けなかったのですが、いかがだったでしょうか。

謎自体はそこまで難解なものはなく、移動時間を含めて3~4時間でゴールまで行けるような内容になっています。
ゴールを目指すことだけに躍起になっていると「移動が面倒くさい!」なんて感じてしまうかもしれませんが、一日乗車券が付いているので、駅周辺の街歩きや、気になったお店での小休憩を挟みながら、のんびりと楽しんでみてはどうでしょうか。
問題を見ながらあーだこーだ言ったり、間違えて違う駅に行っちゃったり、複数人でワイワイ言いながら遊んでみるといっそう楽しい企画だと感じました。

くれぐれもネタバレはしないように!

では、また。


地下迷宮に眠る謎
http://realdgame.jp/chikameikyu/
開催期間:2018年4月14日~2018年7月31日
料金:2,160円(税込)※専用一日乗車券付


(※掲載内容は2018年5月時点のものです)

投稿者名

S!N

歌い手。2匹の猫とともに名古屋暮らし。
得意なことは企業へのクレーム。
苦手なことは自己紹介。
Twitter:https://twitter.com/sinxxx526 Instagram:https://www.instagram.com/sin_nrn/ YouTube:https://www.youtube.com/c/SiNxxx526