サラリーマンのオレが諦めた夢の続きを見てみたくてアーティストにインタビューをしてみた 第6回 ~あとがき~

2018/06/18 UPDATE

アイスム読者のみなさん、こんにちは。左利きのメン(右利き)です。
クソみたいな日に良い仕事をするのがプロ、本当にそうですね。そうありたいです。

全5回にわたり、かつてバンドマンに憧れ挫折し、いまは東京でサラリーマンをやっている僕が、音楽・小説・絵画、さまざまなジャンルでいまも表現を続けている友人たちを訪ね、自分と彼らの生き方はどこがどう違っていたのかを振り返る企画をお届けしてまいりました。

特になにものでもない自分のつたない企画に最後までお付き合いをいただきありがとうございました。
企画を通して友人と普段話さない本音について話ができて充実した時間を過ごすことが出来ました。

今回はあとがきです。

1.あなたのレジュメにWillはありますか?

先日、お世話になっている先輩と話していて、「そういえば君のレジュメちゃんと見たことないから今度書いてみてよ。結局、なにができるのかわからないからさ」といわれ、就職活動以来(!?)はじめて自分の職務経歴書を書いてみるという経験をしました。

なるほど良い機会かもしれないと思い、その週末、新卒時代から今にいたるおよそ8年間の徹夜勤務記録をはじめて明文化し、自分で改めてレジュメを読んでみたのですが、なんとも言えない物足りなさを感じたのです。

入社以降、尊敬する先輩たちに追い付こうと必死であがき、チームメイトが逃げ出していった大変な仕事もやりきり、どの仕事も途中で投げ出すことは絶対にしませんでした。
その副産物(?)として、実際たくさんのことが出来るようになったと思っているし、レジュメに並ぶ言葉もそれなりに迫力があるものになりました。

けれども今、僕が手にしている自分自身の経歴を読んでいると、どうにも世界史の付録の年表を眺めているような無機質な気持ちになるのです。

そんな違和感を感じつつ、先輩に出来上がったレジュメを送った所、こういわれました。
「大変な仕事やってきたことはわかるんだけど、結局君がどんだけすごいのかがいまいちわかんないんだよな……。これって大変だったけど、我慢したよってだけの話じゃないの?

オーイエス。図星すぎて言い返す言葉もなく「そうですね」とうなずきました。
物足りなさの正体。それは「自分の意思の欠落」。
自分の職務経歴には、なぜその仕事を選びやってきたのかのストーリーが決定的に欠けていたのです。


会社の決めた目標やゴールに届くためにたくさん我慢はしたけれど、他の誰でもなく、自分自身が決めた目標に向けて努力しそれを実現する、という行為が自分のこの8年間、そしてレジュメからはすっぽりと抜け落ちてしまっているのです。

もちろん、これまでの自分の生き方をすべて否定するつもりはないし、今の自分に対する自信もそれなりにあるけれど、自分ももう32歳。
立派な中年・オッサンなので、もう少し主体的に自分の人生を考えないとな…と決意を新たにした出来事でした。

2.自分だけの時間、なにして生きますか?

全5回のこの企画でインタビューさせてもらったアーティスト5人は、自分の人生に主体性を強く持って生きている人だなぁとインタビューをしながら感じました(本人たちは否定するような気がするけれども)。

彼・彼女たちは仕事の合間の時間(ある人はかけることができるありとあらゆる時間を)を自分の好きな領域に、他の誰でもない、自分のために使い、そして少しずつ、ひとつずつ小さな成果を積み重ね、その結果が世の中から認められている人たちでした。

まず何よりも先に自分がやりたいことがあり、そして手段としての仕事がある。
やりたいことに対しての言い訳や妥協がないからこそ、届けたい人達に届けたいものがしっかりと届いているのです。

人生の本筋みたいなものがあるじゃないですか。みんながやらなきゃいけないこととか、なんとなくやらないといけないなって感じていることとか、でも、僕らは脇道にそれた部分の面白さを伝えたい。(第1回ポップしなないで)。」

「自分にとって勇気はハードル設定とハードルに挑戦してる時だけ必要ですね。自分が課したハードルを超えられたら満足だし、自分が書いてて楽しい文章を書き続けられたら満足です。10人に1回読まれるものを作るよりも、1人に10回読まれる感じのものを作りたいですね(第2回 樋口恭介)。」

「金がないとやんないくらいならもうやめとけって。サラリーマンやれって思う。中途半端だよ。そういうの(第3回 スズメーズ)。」


まず最初に仕事があって、残った時間でできる範囲のやりたいことをやる。そんな自分の生き方がひどく格好悪いもののように思えました。

自分は「なにを仕事にするか?どのようにお金を稼ぐのか」について就職活動を通して、そして社会人になってからの余暇の時間を使い考えてきたけれど、「仕事をしない時間をどうすごすのか?」「結局のところ、自分がやりたいことはなんなのか?」についてはほとんど考えることがありませんでした。

「デジタルがない。電力もない。そんな時、自分はなにをどうするんだろう。そもそも作るのかな?とか考えたんですね。(中略)その時、圧倒的に人間って普段無理してるんだなってことを感じてしまって。(第4回 荒渡巌)。」

「自分の曲が細野晴臣さんのラジオで流してもらえるとか、そういう自分の想像を超えるような反応が最近は少しずつでもあったりするので、それを積み重ねていくくらいしかないんじゃないかな。音楽はいつまでもやっていきたいし、そのためにどうするかっていう話じゃないかな(第5回 ポニーのヒサミツ)。」


少し前までは仕事がプライベートに食い込んでいる時間が多かったので、考えることを諦めてしまっていたように思います。

この記事を読んでくれているみなさんは、「自分だけの時間をどうすごすのか?」「結局のところ、自分がやりたいことはなんなのか?」に答えることはできますか?

もし答えられないのなら、ブラウザを閉じ、スマホの電源を切って一人になって、真剣に考えてみませんか?(荒渡君おすすめの車でしかいけない海がいいのかもしれません)

技術進歩は日々進みます。働き方改革の文化も少しずつ根付いています。
これらはもちろん喜ぶべきことだけれども、それと同時に会社のために働いていたから、毎日が忙しいから、といって自分の人生に言い訳できる時代は終わりを迎えます。

どこに就職したか、なにを仕事にしたかよりも、なんのためにどうしてその仕事を選んだのか?について、自分自身が納得して生きていけることが大切になっていくと思います。そうならなければいけないのです。

この記事を読んでくれた人が、古い価値観や常識、自分のコンプレックスにとらわれることなく、好きなことに自信をもって取組み、自分を実現するための生き方を考えるきっかけにしてくれたら嬉しく思います。それではまたどこかで。

投稿者名

MENSANS

大手外資コンサルティング企業に勤める32歳。一児の父。
『元・激務界の貴公子』という異名を持つ。
強靭な体力と精神力を誇るが、アルコールからの誘惑にはめっぽう弱い。
論理的な風を装うがその実、好きなマンガは「るろうに剣心」「幽遊白書」「ジョジョの奇妙な冒険」という、ジャンプを愛しジャンプに愛された熱血ビジネスマン。
Twitter:https://twitter.com/uudaiy