育児 × 介護 = “戦略的”二世帯同居!への道 Step10:終の棲家、見つけたはいいけれど

2018/06/28 UPDATE

こんにちは。よく眠りたまに考える主婦こと、フリーライター甘木サカヱです。
このコラムの第一部では、幼い息子のワンオペ育児に疲弊しつつある鬱病持ち主婦・甘木サカヱが、元気な義両親との育児・介護の戦略的同居生活のために、中古の一戸建を探す経緯を描いてきました。
今回から始まる第二部では、ようやく見つけた理想の住まいの成約から、実際に引っ越しをするまでの一年間の準備期間のあれこれを綴ります。
第二部もぜひ、甘木家のドタバタ同居準備にお付き合いください。

ようやく見つけた終の棲家、引き渡しは1年後?

長い珍物件めぐりの旅の末、ようやく理想の中古住宅を見つけた甘木家。
「みんなが良いって言うならもう決めちゃっていいわよ」と、実際の家を見もせずに言う思い切りがいいにも程がある義母を、それでも何とか説得して再び物件見学に訪れ、ようやく家族全員の合意を取り付けました。
広さも築年数も間取りも申し分なく、また家主の裕福な暮らしぶりを反映し、設備も充実しているこの家。
ただ、一つだけ問題がありました。それは、家主の引っ越す予定の新しい家がまだ完成しないため、物件の引き渡しが丸1年後になるということ。
私達若夫婦は賃貸のアパート暮らしのため、それでも特に問題はありませんが、困ったのは義父母です。持ち家のマンションを売却して新しい家の購入資金に充てる予定のため、こちらもちょうど引き渡しを1年後まで待ってくれる買い手を探す必要があります。義父母のマンションは便利な立地とはいえ築年数はかなりのもの。果たしてそんな都合のいい買い手が見つかるでしょうか。
そうでなければ、買い手が現れたタイミングでマンションを退去し、賃貸で仮住まいをすることになります。引越し費用と家賃、これは非常に痛い出費です。
頭を悩ませる私達夫婦と義父に、義母がいつもの調子で軽く言い放ちます。「大丈夫よ、誰か一人くらい、1年待ってでも買いたいっていう人がいるわよ」
完全に、何の根拠もない…と思いながらも、楽天的で強運の持ち主である義母がそう言い切ると、何とかなりそうな気がしてきます。
私達も、ようやく見つけた理想の住まいを、引渡し時期の問題だけで諦める気にはどうしてもなれません。
確かに義父母のマンションは駅が近く人気があり、中古物件の売買も盛んです。何事も慎重派の義父も、売る方はなんとかなるだろうと最終的に踏ん切りをつけ、この家の引き渡しを1年待とうという結論に達しました。

オークション?値引き?ドタバタ購入契約

ところで、私達が買いたい物件は、少し変わった売出し方法をとっていました。オークション方式です。売り主の希望額が提示され、買い手は定められた期日までにインターネットを通じて入札をします。当然、一番高い額を付けた人だけに購入権があることになります。
更に複雑なのが、値引き交渉も可能という点です。入札者は、売り主の希望額よりも低い金額で入札することができるのです。もし他に入札者がおらず、売り主が値引きに合意すれば、その値段で家を買うことができます。
これは家を買う側からすると、なかなか難しい仕組みです。ギリギリまで値引きしたいけれど、オークション終了時間直前に他の人が少しだけ高い金額で購入権を掻っ攫っていく可能性があるからです。オークションの終了時間の自動延長はなく、時間ぴったりに終わるので、万が一競り合った時、迷っている時間はありません。
不動産会社の担当Y氏に、競合入札者が居るかどうかそれとなく聞いても「わかりません」の一点張り。も~ほんとにY氏は肝心なところだけわかんないって言うんだから~!!と、これまでの珍物件めぐりの分も合わせて彼に対するフラストレーションが噴出しかけましたが、オークションシステムを提供する会社の社員として、絶対に開示できない情報なのでしょうし、駄々をこねても仕方ありません。
あの家に住むには、入札で勝つしかない。家族で顔つき合わせて真剣に話し合った結果、作戦はこうなりました。

~私達の理想の住まい落札大作戦~

・売り主の設定金額より◯◯万円下げた額で入札する(この額については、いざ交渉となった際に、売り主の心象が悪くならない程度のギリギリの値引き額を何度も話し合いました)

・オークション終了時間10分前までは入札しない(他の入札者の動向を見るため)

・万が一競った場合、オークション終了直前に、売り主の提示額プラス◯◯万円を入札する。(この額についてもかなり揉めましたが、自分たちが出せるギリギリまで入札しようと腹をくくりました)

そうして、いよいよ迎えたオークション終了日。Y氏付き添いの元、不動産会社のPCで入札することになりましたが、万が一の機材や回線のトラブルに備え、自宅からノートPCを持参する念の入れようでした。
家族全員、固唾をのんでPC画面のカウントダウン表示を見つめます。オークション終了30分以上前からずっと待機していたので、時計が進むのが異常に遅く感じました。いよいよ終了10分前、いまのところライバル入札者は居ないため、値引きした希望額を入札します。さあ、これで万が一、私達よりもギリギリまで待っている入札者がいれば、最悪の場合、やっと見つけた理想の住まいの購入権を掻っ攫われてしまいます。10分をあんなに長く感じたのは初めてでした。
震える手でマウスを握り、いつしか全員でカウントダウンをします。10、9、8、7、6、5、…

「オークションが終了しました」の表示が出た時には、膝の力が抜けてへたり込みそうでした。結局、心配していたライバルの存在はなく、完全に独り相撲だったことになります。いや、しかしまだ戦いは終わっていません。私達の提示した値引き額に、売り主が納得してくれるかどうか。緩みかけた気持ちを再び奮い立たせていたところ、電話を持ったY氏が笑顔でこちらに歩み寄ってきました。
「今、売り主さんから電話ありまして、OKだそうです」
「えっ」
「お値引きOKだそうです」
オークション終了後、数分も経っていなかったと思います。あまりにあっけない決着に、今度こそ私達の緊張の糸は切れ、ずるずると椅子にへたりこんだのでした。

ようやく理想の物件の購入権を手にした甘木一家。
しかし、家の引き渡しまでの1年は、予想していたよりも遥かに長く波乱万丈で…?
これからの甘木家の奮闘を、引き続き、どうぞお楽しみに!

つかさちずる

イラスト・つかさちずる

娘との日々をブログ「むすメモ!」に綴ったりLINEスタンプを作ったりしている絵描き。
回転寿司とゲームをこよなく愛するアラサー。
毎週金曜日にブログに四コマを掲載してます~遊びにきてね!

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