月刊住むひと vol.08 小田急小田原線 町田駅 徒歩10分 賃料6.5万円 〜冬の風呂の寒さ〜

2019/01/09 UPDATE

この連載はほぼ実在する(ほぼです)ひとつの物件を取り上げて、この部屋に住んでいるひとの人生はどんなだろう、と勝手に妄想していくものです。

北向ハナウタが描く「住むこと」についての漫画とエッセイ、第8話。

交通:小田急小田原線 町田駅 徒歩10分
賃料:6.5万円(管理費含む)
築年数:築13年
主要採光面:南
間取り:1K / 24.2㎡
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その他:鉄筋コンクリート、1階

もっとも内側に突き刺さる寒さ、それが風呂上がり

寒い。
暖冬暖冬と言いながら今年もしっかり仕上げてくるじゃないか、十分寒い。

生きていく上で「寒っ」と思うシーンっていろいろある。朝目が覚めてまだぼんやりした体で布団を引き剥がすとき、駅に停まり電車のドアが開くと同時に冷気が入り込んだその瞬間、深夜のちょっとしたコンビニへの外出。個人的にもっともつらい、外から内側まで鋭利に貫通する寒さだと思うのが今回のテーマである「風呂上がりの寒さ」である。

身体が冷えるからしっかり湯船に浸かった方がいいのだろうけど、そんじょそこらの賃貸物件に追い炊き機能などついているわけもなくすぐにお湯も冷めてしまう。特にユニットバスは構造上断熱性が低いのだそうだ。
一般的に日当たりのいい南側はリビングに充てられるため、水回りは北側に押しやられる=浴室のドアの外はもう屋外の寒さに等しい。

外に放り出されて身体を拭くなんてもってのほか、バスタオルでしっかり身体の水分を残らずふきとってから浴室〜温もりの場所〜を出るようにしている。できることならすべて服を着てから出たいくらいだ。

そうだ、実家はあたたかかった

昔は夏の暑さが苦手でまだ冬の方がマシだと思っていたのだけれど、いつの間にか夏と冬の立ち位置が逆転していた。NO MORE 冬なのである。冬がはじまるよ、などと浮かれて歌っている場合ではないのだ。
なんでこうなったかなーと考えてみたら、それは”一人暮らしで冬の寒さと真正面から向き合うことになったため”なんじゃないか、という結論にたどり着いた。

実家はあたたかかった。それはあの、”家族の団欒が…ぬくもりが…”とかそういうスピリチュアルの話じゃなくて、帰るころにはたいてい誰かがいて部屋には暖房がついているし、脱衣場もある。まあ実家の建物の構造は人それぞれだけど、とはいえ一人暮らしよりいくらかあったかい環境だったかと思う。

ひとりで暮らし始め、春は新生活に心躍らせ、夏は家計のやりくりに悪戦苦闘し、少しこなれた秋には自分なりの暮らしを楽しみ、そして「冬寒ぃ」になるのだ。寒いよな。わかるぜ。

いろいろ対策があることを知らずに生きてきた

この話を書くのを機に、何か冬の風呂場対策ってないものかと思い調べてみたらいろいろ出てきた。

・脱衣スペースにヒーターを置け
・できるだけ湯船に浸かれ
・とにかく入る前に浴室を温めておけ
・窓ガラスがあるなら断熱シートなどを貼れ
・床マットやすのこを敷け

できることはたくさんあるのだ。入る前に浴室を温めておけというのはもっともで、お湯を張る時は蛇口からではなく、シャワーで高い位置から入れると蒸気で浴室全体があたたまるのだそうだ。お湯の温度は外気に触れた分下がるので設定温度は高めにしろということだ。なるほどなー。

特に寒さ対策もせずに丸腰で「冬は寒くてむりだ」「自然には抗えないのだ」とぶつくさ言っていたけど何故いままで何も行動してこなかったのか。我々ニンゲンには"工夫"がある。そうだ、立ち上がれ人間ども。もっと考えて、積極的に大自然に立ち向かっていくのだ!

という文章を布団にくるまりながらスマートフォンでポチポチと書いている。暖房の位置が悪いのか寒いんだよなぁ。冬は行動力そのものがそがれるよなぁ。

投稿者名

北向ハナウタ

東京を拠点に活動する兼業ライター・イラストレーター。
好きなおでんは大根、好きなサイゼリヤメニューは、たらこソースシシリー風です。

twitter:@1106joe
blog:http://kitamuki.hateblo.jp/