しんどいオカマのお悩み相談 その51.努力が報われなくてしんどい?

2019/01/21 UPDATE

しんどいオカマがしんどいお悩みにお答えする、しんどくても頑張るあなたのための人生相談。今回は努力が報われない男性からのお悩みよ。
最近アタシのまわりが結婚式ラッシュなんだけど、ご祝儀を配り続けるオカマの苦しみはいつ報われるのかしらね。

【お悩み】
28歳の男性で、営業職です。
これまで努力が報われた経験がありません。
高校時代はサッカー部に所属していましたが、レギュラーになれたことはなく、いつも補欠でした。
大学も第一志望に受からず、家庭の事情で浪人はできなかったため、妥協に妥協を重ねた大学へと進学しました。
卒業してからは営業職に就いたものの、鳴かず飛ばずの状態が続き、気がつけばアラサーになっていました。
これまでずっと「出来うる限りの努力をしてきたにも関わらず」です。もともとの能力が低いのはわかっていますが、本当に何一つ努力が報われませんでした。
このまま報われないうちに人生を終えるのかと思うと胸が苦しいです。どのように折り合いをつけて生きていけばいいのでしょうか?

もう幸せにはなれないのかしら?

「報われた」とはどういう状態を指すのかと考えてみたのだけど、「結果に心から納得できた」ということなのでしょうね。
そう思うと、アタシも人生で報われたことなんて何ひとつなかったわ。
これまで他人から「よかったね」「羨ましいな」なんて言葉をもらったこともあるのだけど、それはあくまで他人からの評価よね。
評価していただけることはありがたいけど、自分が納得のいっていない結果に対する言葉は、どんな偉人の言葉だって、どんなイケメンの言葉だって響かないものよ。
相談者のあなたも、これまでの人生で心から納得できたことなんて、ただのひとつもなかったんじゃないかしら。

自らを否定し続ける人生なんて、そんな不幸なことはないわよね。もし、あなたがすんなりと現状に納得して、自分を肯定できるような人間だったら、どんなにか楽に、幸せに生きられただろうね。
サッカーだって大学だって、「サッカーができるだけでも幸せ」「大学に行けただけでも御の字」なんて思えていたら、「報われない」だなんて嘆くあなたはいなかったはず。

でも、世の中には、意外にもそうやって現状に納得し続けている人がたくさんいるのよね。アタシも仕事をしていて、そういう人に出会うことがままあるわ。
彼らこそが真に幸福な人間なのだと思うし、実際に幸せそうよ。
ただ、だからといって、アタシは現状に納得できないあなたを責めようとは思わないわ。
渇望は、他人からとやかく言われることで抑えられるものじゃないし。望むものが手に入らず、今にも泣き出しそうな心の中の自分は、そう簡単に捨て去れるものじゃないからね。
心にまとわりついた、拭ってもとれないヘドロのような絶望に、すべてを諦めてしまいたくなる気持ちはわかるの。
それでも、あなたがいつか自分の人生に納得して、幸福になれる可能性はまだ残っているとアタシは思うわ。
あなたは人生に納得するための手段を知らないだけ。ただそれだけなのだから。

正しい選択肢を選ぶ力が必要よ

あなたが今考えている人生の目的って何かしら?何を達成すれば、結果に納得できそう?
お悩み相談の内容からは読み取ることができなかったけど、もしかするとそれは、地位や名誉や、お金かもしれないわね。
目先の目標としてはそれでもいいと思うのよ。なにか具体的な目標を持っていれば、なんでもいい。なんだって「人生の納得」につながるはずだから。

ただ、あなたはいつも、目的に対する努力の方向性を間違っていたんじゃないかとアタシは思うのよ。
適材適所という言葉があるように、人にはそれぞれ適することと適さないことがあるのよね。
たとえば、アタシには女優になりたいという夢があるのだけど、今から清純派女優になろうとメイクやファッションに力を注いで、オーディションを受けまくったとしても、絶対に合格しないと思うのよね。アタシは第二のガッキーにはなれない。
ただ、小汚いオカマ役だったらどんなオーディションを受けても合格するという自負はあるのよ。なぜならば、アタシは天性の小汚いオカマだから。
つまり、自分の適性ではないことに力を注いだとしても、それが報われる可能性はとても低いということよね。
もしかしたら、あなたはこれまでの人生で、自分の適性に合わない選択肢を選び続けてきたのかもしれないわよ。
これはあくまで想像だけど、サッカー部ではあなたにとって非効率な練習を繰り返していたのかもしれない。大学選びも、もっとあなたの能力を引き出せる大学があったのかもしれない。今の仕事も、あなたの性質を十分に活かした上で他人に貢献できるものではないのかもしれない。

あなたに足りないのは、努力の量ではなく、自分の適性を見極める力だったんじゃないかしら。
適切な環境で、相応の力を注ぐことこそが、報われない不幸を回避するためのもっとも有効な手段なのよ。
でも、サッカーで培った忍耐力や、大学で得られた知識、仕事で積み重ねてきた実績は、決して無駄にはならないと思うわ。
それは、未来のあなたの適性となりうる。将来のあなたの成功に繋がっていくものよ。
だから、絶望するにはまだ少し早いの。

遅すぎるなんてことはないわ

アタシもね、自分の適性が何であるかなんて、いまだによくわかっていないのよ。
だけど、最近はようやくそれを掴みつつあるの。もうアラサーも後半だけど、ようやくよ。その先にはきっと幸福な、充足した日々が待っているという希望をほのかに抱いているのよね。
「遅すぎる」なんてことはないの。死ぬ瞬間までは、報われるチャンスがあると思ってしたたかに生きていくべきよ。
それに、曖昧な未来にだってこうして希望を抱いて生きていくほうが、報われない人生に折り合いをつけて生きていくよりは、いくぶんか幸福でいられるじゃない?
そう思わないとやってられないわよ、こんな世知辛い世の中なんだから。

さて、このコーナーでは、読者の方からのお悩み相談を随時募集しているわ。
恋愛でも学業でも仕事でも、あなたがどんなことで悩み、どんな風に解決したいのか、できるだけ詳しく簡潔に教えてくれると助かるわ。
送り先は、アタシのツイッターアカウント(@BS_dim)のDMか、メールフォーム(okama.onayami@gmail.com)まで。
【お悩み相談内容】と【年齢、性別、職業など簡単な自己紹介】を忘れずにね。いただいた相談内容、個人情報はこのコーナー以外では利用しないし、長期的に保管することもしないから安心して。

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投稿者名

BSディム

夜な夜なネオン街をねり歩くアラサーのオカマ。
昼間は真面目な係長だが、退勤から3駅で夜の帳をドレスに変える。
中学2年生で周囲にカミングアウトし、以後オカマとしての人生を歩む中堅オカマである。
Twitter:https://twitter.com/BS_dim Blog:http://aiokama.hatenablog.com
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