育児 × 介護 = “戦略的”二世帯同居!への道 Step24:「ぼくらの食費戦争」

2019/01/31 UPDATE

義理の両親との同居生活も数か月が過ぎ、ようやく新しい生活に慣れ始めた甘木一家。
とはいえ台所もお風呂も共同という完全同居生活を、価値観のまったく違う二組の夫婦が営んでいくのです。当然、アノ問題が発生することは避けられないわけで…?

スケールメリットどこ行った?

※スケールメリット:企業などが組織を拡大することで得られるさまざまなメリットのこと。

二世帯同居を始めてから数か月。親世帯子世帯、お互いの生活リズムがなかなか合わないことにも少しずつ慣れ始めたころ、また新たな問題が発生しました。

そう、食費です。

私たちの住む家は、二世帯住宅ではない普通の一軒家。台所もお風呂もひとつの完全同居形態なので、食事も一緒に作り、一緒に食べることになります。
そもそも完全同居形態を決意したのは、義母の「せっかく一緒に住むんだから食事もお風呂も別々なんてもったいないわよ」という意見に、なるほど大勢が一緒に住むことで食費や光熱費を削減できるメリットがあるな……と納得したことによるもの。
5人家族分の食事を一緒に作るようになったことによって、当然3人家族と2人家族が別々に暮らしていた頃よりも食費を削減できるはず!と思い込んでいたのです。

初めは気のせいかと思っていたのですが、やがて食費が家計に占める割合のあまりに高すぎることがはっきりしてきました。
原因として思い当たるのが、家族カード、そして生協の食材宅配です。
同居を始めてすぐの頃は、義父母から毎月決まった額の生活費をいただき、食費や光熱費、日用品費などをすべてまとめて払うようにしていました。
しかし義母が「自分でもこまごましたものを買いたいし、かかった金額をいちいち請求するのは気後れする」と言います。そこで、家族用クレジットカードを作り、義父母に持ってもらうように配慮しました。
たしかに今まで主婦として家計を取り仕切っていた義母にとっては突然息子夫婦に家計を握られて自由に買い物もできない状態はさぞ窮屈でしょうし、買うものも生活必需品ならば、それほど高価になることもないだろうと思ったのです。

甘かった。

そもそも、義父母と私たち若夫婦の金銭感覚が大きく異なることを、これまでの引っ越し準備で痛いほどに理解していたはずなのに、私の見通しが甘かったのです。
義父母は、決して金遣いが荒いわけでも、無駄遣いをするわけでもありません。ただ、食費に関してはあまりにも感覚が違っていたのです。

義父母が2人きりで暮らしていたときの食費を聞いて、私はギョッとしました。
「食費?そうね、月10万円くらいかしら。外食は別で」

3人家族、食費月5万円ほどで特に不満も感じていなかった私は衝撃を受けました。
しかし義父母がかつて住んでいたのは、駅ビル内の高級スーパーでのお買い物が便利な駅近マンション。また、来客も多い家にはお茶菓子なども常に用意してあったため、2人で10万円という金額もありえなくはない……ような気がする……と、当時は無理やり自分を納得させていたのでしたが。
食費の差は、住んでいた場所やよく行くスーパーの違いだけではない、まさに価値観の違いだったのです。

たとえば日々の献立。私は早めに消費すべき食材からメニューを組み立てる派です。そのためには、クリームシチューとレンコンきんぴら、など多少チグハグな献立になっても気にしません。なるべく食材のロスを削減し、かつ栄養バランスが取れていればいい、という大雑把なところがあります。
かたや義母はメニューありき、家族のリクエストありきだったのです。
消費期限が当日に迫った魚の干物と豆腐が冷蔵庫にあっても、孫の「ハンバーグが食べたい!」のひと声で義母はわざわざ買い物へ行き、ひき肉とサラダの材料……だけでは飽き足らず、おいしそうなドレッシングがあったとか目新しい調味料があったとかの理由で、こまごまとした食材を山ほど買ってきてしまいます。
予告なしに冷蔵庫に飛び込んでくる予定外の食材に、私の献立計画は翻弄されっぱなしでした。

頭を悩ませていた私がたどり着いた結論。それは、生協の宅配を利用することでした。
週1度、カタログを義母と一緒にチェックして注文すれば、互いのすれ違いもなくなるし、足りないものだけ私が買い足せばよいのです。
なんて良い考えなんだろう!勢い込んでさっそく生協に利用申し込みをしました。

しかし、ほどなくしてこれも最善の策ではなかった…むしろかなりの悪手だったことに気づいたのです。

まず、注文はマークシート式の注文書にチェックするだけで済むため、実際に頼んだものの量がイメージしにくいこと。
さらに、翌週になると先週頼んだものを忘れがちで、同じような商品をダブって買ってしまうこと。
そして、直接現金で支払うわけではないので、つい余計な商品まで頼みがちなこと。
これらの問題が、主婦2人分、2倍になって家計を襲います。
その上とても忘れっぽい私がついカタログチェックを忘れ、義母の思うがままに注文されてしまった結果、翌週届いた大量かつ単価高めの食材にビックリ……!というようなことも、何度もありました。
そうして1か月の請求金額は、目を疑うような額に。
このままではいけない。やはりどうしても、食費の財布のヒモだけは、私が握っておかないと身の破滅だ……!

それからの数年間は、義母と私の攻防が続きました。
思うように食費が使えずに苛立つ義母 VS 何とかして食費を抑えたい私。
お互いに、ここだけは譲れない!という防衛ラインを探りながら何度も衝突し、それでもここ数年、ルールがある程度定まってきたおかげで、比較的穏やかに過ぎています。

紆余曲折を経て、我が家の食費ルールはこのようになりました(暫定)。

その一、自分が作るものの材料は自分で買うべし
その二、食料品の買い物は基本的にお互い週一回ずつ。なるべくスーパーの安売り日に合わせるべし
その三、調味料や日用品は、私が安い店でまとめて買うべし
その四、冷蔵庫内の肉や魚は勝手に使わず、お互いの献立の予定をきいてからにするべし

たまのすれ違いはあれど、このルールが定着してきたおかげか、今はここ10年で一番うまくいっていると感じています。
何より、毎日台所を共有することで義母と私がお互いのペースを把握しつつあるのが一番の要因かな、と思います。

いろいろと大変なこともありますが、相互に歩み寄ったり、どうしても嫌なことは嫌だと言い続け合うことで理解を深め、妥協を覚えつつある主婦2人です。これから子どもたちの成長や義父母の加齢に従い、我が家の台所事情はまだまだ変化していくに違いありません。

つかさちずる

イラスト・つかさちずる

娘との日々をブログ「むすメモ!」に綴ったりLINEスタンプを作ったりしている絵描き。
回転寿司とゲームをこよなく愛するアラサー。
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