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はるの珍人図鑑 その15「親族経営のスーパー銭湯で働いたらヤバかった話」

2019/04/02 UPDATE

春なので潰れたスーパー銭湯の話をします

こんにちは。はるです。すっかり春めいてまいりましたね。
いきなり景気の悪い話をします。こないだツイッターを見ていたら「勤めていたアニメーション会社が突然倒産して、いきなり無職です。お仕事募集します」というツイートが大量RTされていました。
そういえば大昔、わたしも働いてたバイト先がいきなり倒産して賃金未払いされたことあったな!と思い出しました。当時学生ながら、そんな社会の裏側みたいなのをガッツリ見てしまったのはかなり強烈でした。

相変わらず何のためにもならない経験談ですが、つらつら語ってみたいと思います。

二十年ほど前、女子大生だった頃に働いてた親族経営のスーパー銭湯

ある日、地元(田舎)の駅のそばに、温泉とレストランとマッサージ室とゲームセンターが融合した施設、要するにスーパー銭湯がオープンし、ゆるい女子大生だった私はお金欲しさになんとなくそこで働き始めました。

経営陣はといえば、まず女社長。そして専務が女社長の娘。さらに部長がその専務のお姉さんの夫。つまり親族経営です。部長は別の会社にいたのですが、オープン時に引き抜かれたそうです。演歌歌手のような派手な顔立ちで、性格も明るく、お客さんに人気がありました。

親族以外には、次長とコック長と配膳の人たちと私たちアルバイト。そしてマッサージの施術師さんたちがいました。私は受付です。女社長は厳しかったけど他の人たちはみんな優しくて、まかないが強制で450円も取られるのにメニューが毎回素ウドンなこと以外はゆるくて良い職場だな~って思ってました。

働き始めたらどんどんダメなところが見えてきた

でも、働き始めてしばらくすると、えっ?と思うことがどんどん出てきました。
マッサージ室の料金は1時間8000円くらいと高額だったのですが、ほぼほぼ毎日、社長とその娘が2時間くらい枠を取って施術を受けているのです。マッサージ師さんたちに払う代金もお給料も社長のお財布から出ているんだから、お客さんからお金をもらわないと儲からないのに、毎日そんなに身内で占有してたらダメに決まってます。「儲かってないじゃん!」と、当時アホ女子大生だった私でも思わず心の中でツッコミを入れました。

あと、「せっかく働いてるので自分も施術してもらいたいけど値段が高くて無理です…」って私が言ったのを聞いた部長が、たまに肩を揉んでくるようになりました。
一度、閉店した後に真っ暗なロビーで床に寝転がされて、腰を備え付けのマッサージ機で揉まれた時はさすがに(これはセクハラかなぁ…)と思ったんですけど、それ以上のことはなかったので、まぁ娘みたいな扱いなんだろうなって思ってました。

あと、その店はレジシステムもゆるゆるで、何人が入館したとか売上がいくらとかも全部受付の紙に書くだけだったのですが、ある時部長が受付の私に「お客さんが来たら、2人分くらいをレジを打たないで現金だけもらっておけ。後で回収に来る」と指示するようになりました。
入館料が1500円なので2人分で3000円。それを部長がそのままポッケに入れる日々。世間知らずでアホだった私は、まさかこんな大胆な不正を働くわけないよな…じゃあこれはアリなのかしら?と言われた通りにしてました。

さらにそれからしばらくして、女社長が体調を崩して店舗に顔を見せなくなりました。
すると鬼の居ぬ間になんとやらとばかりに、部長をはじめ、次長やコック長や配膳のおばさんたちが毎日酒盛りを始めました。
景気良く抜かれていくお店のビール。そしてどんどん出てくる豪華なお料理。もちろんお店の食材です。みんなベロンベロンになって大騒ぎしてとても楽しそうでした。

そして倒産、賃金未払いへ…

当たり前ですが、そんな日々が長く続くわけもなく、お店は数ヶ月ほどして潰れることになりました。理由は経営不振。お店自体は結構流行ってたんですけどね。どんだけ売り上げても内部からシロアリみたいな人たちがたくさん食い潰してたんだもの。そりゃ潰れるよ!

まぁまぁ仕方ないとバイトの私たちはすぐ諦めました。そのままグランドクローズを迎え、さて最後のお給料はいくらだったかな?と思って銀行口座を確認したら、お金が振り込まれてなかったんです。私はせいぜい3万円くらいだったんですけど、社員だった人たちも全員振り込まれてないらしく、これは流石に大騒ぎになりました。

3万円でも学生の私にしてみれば大金です。悔しい悔しい悔しい!悔しさのあまり、バイトのみんなで集まって社長の家に鬼電したり、家まで行ったりしました。当然出ないし家ももぬけの殻。どうやら夜逃げをしたみたいです。

このまま泣き寝入りかよチキショー!フロントにあったデッカい彫刻とか絵とか売ってお金作れよ!とか文句を言いまくってたら、数ヶ月して元社員さんから「国が立替払いをしてくれるそうなので集まってください」と通達がきました。

これ、正式名称は「未払い賃金立替制度」と言います。「会社が倒産して経営者とも連絡が取れない場合、国が最大8割まで国が立て替えて払ってくれる」というものです。もちろんそのまま会社が逃げ切れるわけではなく、国が立て替えた分を経営者から後で取り立てるので、あくまで従業員を守るためにある制度ですね。
ただ、そんな制度があることも知らなかった当時の私は「8割かよ!」とまだ怒りつつ、バイトのみんなと指定された場所に行って、必要な書類を記入して、後日無事に2万いくらかが振り込まれました。やれやれ。

身内経営の会社って、ひとりひとりがしっかりしていれば「アットホームな良い職場」になるんでしょうけど、そんなに自分に厳しくなれる人ってなかなかいないです。みんな戸棚のお菓子をちょっとつまむ感覚で勝手なことをして、中身が少しずつグダグダになっていくパターンが多いです。身内だから抑止力が働き難くて、部外者の社員やバイトには突っ込みを入れる権力もないので、それもグダグダを助長させます。その典型例を身近で目の当たりにすることができ、いい社会勉強になりました。

経営陣たちのその後

以下は、諸事情に詳しかったバイトリーダーの男の子から聞いた話です。
バイトの大学生たちは、若いし身軽なのでさっさと違うバイトを見つけました。コック長やマッサージ師のおじさんたちも、手に職があるのですぐ次の職場が見つかり、それぞれ元の生活に戻っていきました。

ですが、問題は部長と次長。
部長は当時50代、次長も40代後半です。資格といえば車の免許くらいで、前の会社には今更戻れず、かといって新しい会社に転職するのにはかなりキツい年齢です。仕事を選ばなければ何でもできるのでしょうが、下手にスーパー銭湯で美味しい汁を吸いまくってしまったせいか、人の下で使われるのは嫌だと、二人で会社を興しました。業務内容は「大きいペットボトルに温泉のお湯を詰めて売る仕事」でした。結局温泉かよ!

一度だけ、町で営業中の部長に会ったことがありました。以前はふくよかだったのに、かなり痩せて、車もセルシオだったのが軽になっていました。そして、見つめる私に気づくと「おう、またマッサージしてやるよ」と言い、ニヤッとしてから、ペットボトルを持って忙しそうにその場を立ち去って行きました。

部長の会社が上手くいったかどうかはわかりません。でもどこかで元気に温泉のお湯を売り続けてくれていたらいいな、と思っています。

投稿者名

は * る

独自のユーモア溢れるセンスで数多くのフォロワーを抱える女性ツイッタラー。
実は神経質で几帳面なA型。「世間話をしていたつもりなのに、いきなりシリアスなカミングアウトをされがち」とのこと。
ちょっとシニカルながらも多くの人が親しみを覚える切り口で、なんとなく思っているけど言葉にできないことを呟くツイートが大人気。

Twitter:https://twitter.com/PlasterStar999

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