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アイスム発!就活生応援企画 センパイのエントリーシート見せてください!

業界File.006 大手インターネットメディア企業

矢島光さん

就職も漫画執筆も、前のめりにフルコミット!!

就職活動とサイバーエージェント社員を経た漫画家の収穫

2017/08/01 UPDATE

自己紹介・業界紹介

職業 漫画家。前職はサイバーエージェント!

登場したオシャレでキュートな矢島さんに編集部員一同、目が釘付けになってしまいました。 登場したオシャレでキュートな矢島さんに編集部員一同、目が釘付けになってしまいました。

新連載の準備にお忙しいところ、ありがとうございます!自己紹介をお願いします。
矢島 光(やじま ひかる)、28才です。慶應義塾大学SFCの環境情報学部を卒業後、株式会社サイバーエージェント(以下:サイバー)へ2012年に新卒入社しました。2015年に退職し、現在は漫画やイラストのお仕事で生計を立てています。
漫画家という、まったく違う畑でご活躍されている矢島さんですが、IT業界イチ華やかでチャラいと言われるあのサイバーでは、どんなお仕事をされていたのでしょうか。
フロントエンジニアとしてアメーバピグのアクションスクリプトを書いたり、デザイナーさんと一緒にワイヤーを考えたりしていました。
クリエイティブ系技術職だったんですね。やっぱりモノをつくる側への関心が強かったんでしょうか。
そうですね!漫画家を目指していた一方で、現実的には漫画で食べていくのは難しいと思っていました。その当時は広告テクにも憧れがあって、私もプログラミングやデザインを見よう見まねで勉強していました。どこの会社だとこれをシゴトにできるのか考えたときに、サイバーさんが業界内でも気鋭だと感じたので、志望しました。

選んだ道は、険しい道。幼い頃からの夢を追い続けた

漫画家を志されたのはいつですか?
小学生の頃からです。中高生時代はバトントワリングという体操競技にのめりこんでいたのですが大学に入ってから漫画家への想いがよみがえって、描き始めました。
幼い頃からの夢だったんですね!当初はサラリーマン業と漫画家業とを兼業するつもりで入社されたのでしょうか。
両方頑張ってみて、どうなるかは分からん!という見切り発車ですね(笑)。私自身は、副業ってあんまりよくないと思っているんです。両方全力でやって、目途がついたら退職するつもりでした。
見事に夢を叶えられた経緯を教えてください。
会社はすばらしい環境だったし楽しかったけれど、『これから先、毎日会社と家との往復で、仕事に追われたままでいいのかな』という不安が消えず、退職を決意しました。
期を同じくして新潮社の女性マガジンアプリ「ROLA」(2017年4月休刊)の編集長さんから「みんな興味があるから、サイバーでのことを描くといいよ」とアドバイスをいただきました。何度も何度もネーム(構成段階の原稿)を直して『もうダメかも……』と思いもしましたが、退職した一週間後くらいにOKをいただいて、連載が決まりました。
「彼女のいる彼氏」(完結)という作品ですね。現在は漫画アプリ「comico PLUS」でも公開されており、単行本も出版されています。職種は違えど以前IT業界にいた私にはグサグサ刺さるエピソードが満載で、貴重な“心底共感できる少女漫画”だと感じました。
漫画家業へ専念される決断は勇気のいるものだったと思いますが、どんな思いが決め手になりましたか。
デザイナーやエンジニアで優秀な人は星の数ほどいて、彼らに負けないくらい成長するための努力ができないと思ってしまったんです。漫画家にもスゴい才能や技術を持つ天才はたくさんいるけど、漫画でなら、努力できると思えました。
エネルギーを惜しまずに注げると思えたから、踏み切ることができたのですね。現在の生活はどのようなものですか?
今月はずっと描いていて。新連載の準備をしていました。
素敵ですね。
はい。幸せです。

ゆっくりとした口調で丁寧にお話してくださる矢島さんからは、芯の強さを感じます。 ゆっくりとした口調で丁寧にお話してくださる矢島さんからは、芯の強さを感じます。

リア充になりそこねた大学時代

失礼になってしまうかもしれませんが、こうして矢島さんとお話していると正直、サイバーのイメージと違うというか……アッパーな雰囲気をあまり感じなくて、おっとりフワフワ、インドア派っぽいというか(笑)。どんな学生さんだったのでしょうか。
そうですよね(笑)。大学でもずっと研究室に引きこもってました。
やっぱり!勝手に私と同じニオイを感じてたんです。
サッカーとバスケのサークルに入って大学デビューしようとしたんですけど。「ナイッシュ~♩」とか言って。全然ムリでしたね。1ヶ月でやめちゃった。
イケイケサークルでの大学デビューをやんわり失敗されて。
はい、やんわり失敗して(笑)、それからはずーっと漫画を描いては、出版社主催の新人賞に応募し続けました。でも最初の2年は続けて落選し、相当落ち込みました。
私はずっとバトントワリングをテーマに描きたかったんですけど、大物になってから描こうと思っていたんです。でも“とっておき”を描かないとダメだと思い翌年、大学4年生のときに講談社の「MANGA OPEN」にバトンの漫画で応募したら奨励賞をいただき、初めて担当がつきました。
試行錯誤を繰り返しながら、ストイックに漫画に力を注いだんですね。
そうですね。卒業旅行にも行かなかった。旅行なんかにウツツを抜かしたら担当に見放されると思って(笑)、ずっと描いてました。
漫画漬けの日々の中、就職活動も同時並行で行われていたんですね。

イメージ通り!最高に楽しかった“キラキラ企業”

サイバーを志望したのには、大学時代に失敗した、所謂“ウェイ”な人たちと仲良くなることを諦めたくなかったという理由もありました、実は(笑)。
実際に入社して、“ウェイ”な方々とは仲良くなれたんでしょうか。
いざ入社してみると、“ウェイ”な人たちも大人になっていて、平等に“ウェイ”をくれる(笑)。
平等に“ウェイ”をくれる……?
なんだろう、自分からは「ウェーイ!」ってできない性格の人も「みんなで仲間!」「飲みに行こうよ!」みたいな輪の中に入れてくれるんですよね。この会社最高だなと思いました。ほんと楽しかったです。
一緒に働いている人みんなが仲間、という認識なんですね!サイバーといえば入社式の超キラキラ系で華やかなパーティーが印象的ですが、他には例えばどんなキラキラ系イベントがありましたか?
メンバーの誕生日をみんなで祝ったりしますね。あとは、表彰が多い。
イケてる企業のイメージそのものだ……。
表彰式では「ほんと嬉しいです、〇〇さんなら獲ると思ってました!」って、プロデューサーやメンバーがみんなで褒めちぎるんです。だれしも嬉しくて、いい気分になるじゃないですか。それで仲間になるんですよ。
矢島さんご自身は、そんな会社の雰囲気に馴染めましたか?
みんな前向きで明るくて、「みんなで成果出していこうよ!」というポジティブさが大好きでした(笑)。『なんか楽しいんですけど!』って感じてました。
大学時代は引きこもりだった矢島さんが……!サイバーに入社すると性格まで変わるんでしょうか。
あーもう超変わりましたよ。
エッ、ほんとに?

会社員時代の話題になり、目が輝く矢島さん。サイバー、いい会社なんですね。 会社員時代の話題になり、目が輝く矢島さん。サイバー、いい会社なんですね。

私はとてもネガティブで、毎日『消えたい、死にたい』と思ってたほどだったのに、入社してからは『明日は明日の風が吹く!』と考えられるまでに明るくなりました。
人格形成にまで大きな影響があったとは。ムリすることなく明るい性格になれたんですか?
なれました。自分のひとつの側面を発見したというか。
自分の中に隠れていたアッパーな面を引きずり出してもらえた感覚なのでしょうか。私は自分のアッパーな面なんて未だ見たことがないので、不思議です。
じゃあ海坂さんもぜひ、サイバーに。
もし入れたら、私でも前向きになれますかね。あまりに眩しすぎて、3日で自殺する気がするんですが。
いやいや、明るくなれますよ。いい会社ですから(笑)。
緊急の業務が入ると、可愛いプロデューサーさんがデスクの横にしゃがんで「矢島さん、これって明日までに実装できませんか?」なんて、困った顔でかわい〜く頼んでくるんですよ。「え〜っ、明日まで〜?」って渋い顔をすると、「お願いします♡」ってクッキーちょこんと置いて。「くううーっ可愛い!やりますよ~!」ってヤル気が出るんです(笑)。
あはは!前向きな空気感が徹底しているんですね。
そうですよ。そこが一番すごい会社だと思いますよ(笑)。

サイバーの信条“前のめりにフルコミット!!”

サイバーは相当バリバリ働くイメージが強いですが、実際はどうでしたか?
それが楽しくもあり、一番ツラいところでもありましたね。日付が変わる頃に帰宅して、夜中の3時まで漫画を描いて、朝は6時に起きて、9時までまた漫画を描いて、10時に出社……という毎日でした。
忙しい業務に加えて漫画も描き続けていたんですね!?
平均睡眠時間は3~4時間でした。でも自分自身は働くのが好きで、『残業してバリバリやりたい!』くらいのモチベーションで頑張っていました。飲み会も好きだったので、毎日のように参加していましたね。
ヒ―!体力と精神力に驚かされます。
“フルコミット”が大事なんですよ!
“フルコミット”?
“前のめりにフルコミット”しなきゃダメなんですよ、何でも!
サイバー用語ですか!まさに実践されていたんですね。会社も漫画もフルコミット。
2つのことにフルコミットだから、200%ですよ、200%。

「前のめりにフルコミットが大事なんですよ!!」ポーズつきの力説。 「前のめりにフルコミットが大事なんですよ!!」ポーズつきの力説。

2倍、努力されていたんですね。会社の雰囲気も、働くことも好きだったけれど休職の末に辞められた、その大きな原因はやっぱり両立がタイヘンだったところなのでしょうか。
『このまま両方頑張っても、両方成果が出ない』と思ったからです。描いても描いても報われず、電車の乗り換えもできないくらいに心身が疲れてしまいました。休職して、もう漫画はやめようと思い、旅行や趣味もしてみました。でもやっぱり描いてしまうし、諦められなかったんです。思いきって退職して今、こうして漫画にフルコミットできている。よかったなと思います。

エントリーシート、見せてください!

早期内定を実現したのはインターン経験

具体的にサイバーのどういうところに魅力を感じられたのでしょうか。
デザイナーとして大活躍されている中村勇吾さん、ラフォーレの広告をつくられていた野田凪さんなど、クリエイティブデザインが好きだったんですけど、サイバーの社員さんにも、バキバキの“ライゾマ(注:株式会社Rhizomatiks。メディアアート分野で高名な企業)大好き勢”がいっぱいいたんです。この人たちとなら価値観を分かち合えるかもと思ったのがキッカケです。
ほかに志望された会社はありましたか?
面接が面倒くさくて選考辞退した会社はあります。早く漫画を描きたかったので、就活してる場合じゃなかったんです。
夢があるから“就活してる場合じゃなかった”!……新展開です。いち早く内定を獲得できた要因はなんだと思われますか?
就活が始まる前年にインターンに参加したことです。期間はたったの1週間ですが、すごく楽しかった。社員さんと仲良くなれるし、人事に印象付けることができる場でもありました。お互いに相性を確かめられる、いい機会だったと思います。
インターンではどんなことをされましたか?
アメーバピグのログインページをつくるという課題を与えられて、参加者同士で協力して取り組みました。
実践的なことを任せてもらえるんですね!
でも、同じチームだった多摩美術大学の男の子が超天才で、デザインもプログラミングもできるから、なんにもやることなかったです(笑)。彼は入社後あっという間に昇進して、3年目でクリエイティブディレクターになっちゃいました。
異例な出世スピードですよね。
業界でもほとんど例がないと思います。サイバーならではの話ですね。
インターン経由で内定された矢島さんは、かなり期待されていたということになるんでしょうか。
内定者のうちインターン参加者は1,2割と少数なので、関係ないと思います。目立ってはいたかもしれませんが。
どんな風に目立っていたのですか?
すごく生意気でしたね、イタくてヤバいくらい(笑)。自分の意見を曲げられなかったんです。「絶対にこうしないと、イケてるものになんないから!」って。イケてるものってなんなの!?って今となっては思いますよね。社員さん相手にも反発してました。
社員さんにまで?
はい。バカみたいに生意気でスイマセンでした……って感じです。根拠のない自信があったんですね。

エピソードを盛らない、自分を飾らない

エントリーシート

エントリーシートを記入する中で、心がけていたことはなんですか?
飾らないようにはしました。
飾らないようにというと、例えばどんな風にでしょうか。
自分を取り巻く要素が明確でシンプルだったので、ありのままを書きました。漫画を描きたい。早く就活を終わらせたい。漫画ばかり描いてきたから漫画しか言うことがない。でもバトンも熱中してきたし「バトンで根性が培われました」も書いとくか。みたいな。
それがポイントだったように思います。自分の経験に基づいたエピソードを素直に書くことで、人となりを誤解なく理解してもらえますね。
別に誰かに自慢できるようなことや、人より優れていることを書かなくちゃいけないわけじゃないですよね。エピソードなんて些細なことでいいのに、みんなどうしても生徒会っぽいことを書きたがる。
例えば学生時代引きこもっていたとして、引きこもりながらやってたこともあるはずですよね。YouTubeめっちゃ観てたから、お笑いに超詳しい、とか(笑)。
誇れるものがなくても、語れるものがきっとあると。
そう。絶対ある。絶対あると思うんです。

エントリーシートは”合コンの自己紹介”!?

サイバーのような人気企業は非常に狭き門だと思いますが、見事勝ち抜くための秘訣やコツはあると思われますか?ぜひ教えていただきたいです。
超プレッシャー(笑)。大丈夫かな。
矢島さんはご自分のエントリーシートの特徴はどこだったと思いますか?
一貫して『根性があって努力家で明るい』という、いかにもモテそうな面をプッシュしました。
モテそうな面!
だってサイバーなんて、モテない人は絶対に入れなそうじゃないですか。
アーッ、わかります!童貞は入れなそう。
でしょう?(笑)モテ系を好みそうな会社だったらやっぱり、モテ系に見てもらえる要素を詰め込むべきだと思います。その企業の社員と合コンするとしたら、自己紹介ではどこをアピールするか。
合コンの自己紹介ですか!?もっと詳しく教えてください。
例えば金融マンと合コンするなら、きっと服装もパステルピンクのノースリーブで、ちょっとパールなんかつけちゃって、賢くて育ちのよさそうな雰囲気をアピールした方が絶対にイイじゃないですか。金融系企業に出すエントリーシートも同じ考え方で戦略を立てるべきだと思うんですよ。
ふむふむ。
サイバーはね、多少オシャレじゃないといけないと思います。すこし変わってるくらいがいいかもしれません。合コンで「え~っ何それちょっと、どゆこと~?」ってツッコまれる要素を出していく。
社員との合コンのつもりで選考に臨む。新しい発想ですね。
そうです。我ながらひどいアドバイスですけど。

めっちゃ笑ってますが大真面目です。恋愛漫画を描かれていた矢島さんならではのアドバイス! めっちゃ笑ってますが大真面目です。恋愛漫画を描かれていた矢島さんならではのアドバイス!

勝因は……モテそうだったこと?

これには実は根拠があって。以前、人事に「“サイバーは顔採用”ってよく聞くけど、本当ですか?」って訊いたことがあるんです。
おお、全就活生の疑問をぶつけたんですね。
「雰囲気のイイ子を採ってます」という回答でした。“雰囲気イイ子”ってことはモテる子じゃないですか!(笑)
長所や強みをすなわち、自分のモテ要素に置き換えて書く。これは確かに……一理、あるかも。
その企業の社員にモテるためには優しさが重要だと思ったら、自分の優しさをエントリーシートでどう伝えるか。そう考えるとワクワクします。
長所や強みなんて自分にはないと思っても、モテる要素は何かあるかもしれないですしね。
就職活動に手こずっていた男友達がいて、失恋を乗り越えたことをエントリーシートに書いて「やべえ、やっちまった」と落ち込んでいたことがあったんですね。それに対して「普通そんなこと書いちゃダメでしょ」って言うのは簡単だけど、どうしてダメなのかというと、合コンでいきなり自分の魅力として「や〜この前彼女に振られたんだけど、オレ乗り越えてさ」ってアピールしだしたとしたら。
(爆笑)
そんなやつ、絶対モテないじゃないですか(笑)。
なるほど!合コンで話したらウザがられそうなことは逆に、書くべきじゃないと(笑)。キラキラ企業たるサイバーっぽい提言です!
サイバーっぽいでしょう!
じゃあ、矢島さんご自身の勝因もやっぱりモテたこと。なんですかね。
……自分では言いにくいです(笑)。当時は分からなかったですけどね、モテとか。でも合コンだったとしたら、印象は悪くなかったかな。

この素敵な笑顔と可愛い仕草。絶対モテるやつじゃないですか。 この素敵な笑顔と可愛い仕草。絶対モテるやつじゃないですか。

就職へと、背中を押してくれたものとは

サイバーは矢島さんご自身も志望されていたし、業界内外にも存在感が大きい企業です。でもその一方で就職は、漫画家というご自分の夢には遠回りになるかもしれない。そんな葛藤の中で、何が矢島さんの背中を押したのでしょうか?
講談社の担当に「漫画に集中したいから就職はしません」と言ったことがありました。そしたら「サイバーに行ける漫画家なんていないから、5年くらい頑張ってテッペンを見てこい、そしたら『島耕作』が描けるかもしれないじゃない!」って言われたんです。
意外です。普通は「ぜひ漫画ひと筋に注力して、イイ作品を描いてください!」って言いそうなものですけどね。
そうですよね。サイバーの社員さんからも助言をいただきました。今でも尊敬しているデザイナーさんで、かつてフリーランスのアーティストとして活躍されていた方なんですが、「だからこそわかる。お金が大事」と。
ああ……説得力がありますね。理想を追求するにも資本が必要なんですよね。
そうなんです。親身になってくれている言葉だと納得できたから、決意が固まりました。

戦う就活生へのメッセージ

漫画家が「就職してよかった!」と思う理由

今振り返って、就職はしてよかったと思われますか?
はい、思います。絶対にみんな、就職したらいいと思う。

漫画家としての矢島さんが「就職してよかった」と断言する、その理由とは。 漫画家としての矢島さんが「就職してよかった」と断言する、その理由とは。

助言は正しかったんですね。どうしてそう思われますか?
多くの発見を得られたからです。例えば、世の中のトレンドに敏感になれる。
なるほど。
作風にもよりますが、私はいかにたくさん共感を得るかで勝負するタイプなので、人々のリアルな生活や感情をよく理解しておかなくてはいけないんです。世の中には当然、会社勤めの人が多いじゃないですか。すると“大衆の文化”を知らなくてはいけない。
例えば女の人がどういうところで疲れるのか、どういうときに結婚に焦らされるのか。あるいは男の人はどういうキャリアを望んでいて、どんなタイミングで結婚をするのか。知っているからこそ描けることがいっぱいありました。
マーケティング的な視点が培われるんですね。
今はもう、いかに広くウケるかしか考えていません。『MANGA OPEN』の授賞式で、審査員の東村アキコ先生にお会いしたんです。「バトントワリングの漫画を描いた矢島です」とご挨拶をしたら、「バトンの漫画なんてだれも読まないよ」と言われました。
さすが第一線で活躍されているプロは、キツいことをおっしゃるんですね……。

そのとき東村先生に書いていただいたサインだそう。”バトンマンガは売れてから!!” そのとき東村先生に書いていただいたサインだそう。”バトンマンガは売れてから!!”

「あなたが何を描きたいかなんて、だれも興味ない。読者のことだけを考えていたら売れる」って言われて。そのときは正直不服だったけど、今は超わかる。
次の連載ではバトンの漫画を描くんです。描いてるんかいって感じですけど(笑)、昔のように『バトンが描きたい』という情熱だけで描くことは、もうしない。主人公をどんな人物に設定したら親しみやすいか、読者がバトンに興味を持てるために何をフックに引っ張るかといったことをずっと考えています。
会社員生活は、インプット期間として意味があるんですね。大衆について学ぶ・理解することが、ご自身の作品づくりの役に立っていると。
大衆に受け入れられるものをつくることへの捉え方も変わりました。アメーバピグには「ポップでキャッチー」というスローガンがあるんですが、「ポップでキャッチー」なものはつまり、“世の中にウケる”ものなんですね。それをクリエイティブ側ではどう実現しているかというと、イラストレーターさんが旬のファッショントレンドを雑誌でしっかり調べて、流行の色やモチーフを上〜手に、ピグの世界に落としこむ。
はあ〜。そうなんですね。
ユーザが“そのとき”に求めているものが何かを常に考えてつくられてる。よくない言い方をすると所謂「大衆に媚びてる」ものなんですよ。でもそれが、全然ダサくないと思えるようになった。
多くの人に受け入れられるプロダクトのつくり方を理解できたんですね。
こんなにタイヘンで、こんなに計算されてるものなんだと知れたことによって、漫画でも斜に構えずに素直な表現をすることや、わかりやすい言葉でセリフを言わせることは、すごく大事なんだと学びました。
それはクリエイターとして、貴重な気付きですよね。

会社員経験が、作品づくりに欠かせない知見となっているそうです。 会社員経験が、作品づくりに欠かせない知見となっているそうです。

サラリーマンを経験したからこそ、漫画家として歩む夢が叶ったと思うことはありますか?
あります。大学卒業後そのまま漫画とだけ向き合っていても、たぶん一生世に出られなかった、食べていくことはできなかったと思います。

表現者志望だからこそ、就職しろ!

矢島さんからはぜひクリエイター、あるいはミュージシャンや役者などの表現者になる夢を持ちながら、就活に臨むべきか否か悩んでいる、かつての矢島さんのような学生さん方に向けた助言をいただきたいです。
自分は表現者になるから就職しない!と決意している人はたくさんいると思うんですけど、それは言い訳かもしれないということを、省みてほしい。
経験に基づく言葉は厳しめです。
今すぐにその夢で食える目処がないなら、おとなしく就職した方がいい。世の中のことなんか知らずとも圧倒的な才能を発揮して活躍できてしまう人はたまにいますけど、そこに到達できるほどの自信がないのなら、いったん世の中に身を投じればいい。
それは長い目で見たらプラスになりますか。
絶対になります。
とりあえずでもいいから企業に就職して経験を積んでインプットを増やすという回り道は間違ってないということですね。
月曜日のツラさは多くのサラリーマンが経験するけど、サラリーマンにならないと経験できないですよね。月曜日のツラさ、リアリティをもって描けた方がいいじゃないですか。
共感できる作品は、胸に訴えかけてくる熱量が全然違いますからね。
就職は大きな決断だから、迷うこと自体は悪いことじゃない。夢がある人にとってもない人にとっても、社会を知る・大衆を知る経験はいいものだと思います。その中で、見つかるものがあるかもしれません。
矢島さんにしか語ることのできない力強いメッセージです。ありがとうございました!次回作のバトントワリングの漫画も、楽しみにしています。

唯一無二のエールをありがとうございました!矢島先生の次回作、心待ちにしています! 唯一無二のエールをありがとうございました!矢島先生の次回作、心待ちにしています!

おまけ

女子あるある?学生時代の後悔

学生時代を振り返って、後悔していることはありますか。
友達をもっとつくればよかったと思います。学生のときに友達をいっぱいつくっとくと……アラサーになってから、出会いのチャンスが増えます。
…………。頷くのに忙しくて、声が出ませんでした。
「ヤバいよ結婚できないよ、どうしよう」ってボヤくとみんな「簡単だよ!大学時代の友達全員に片っ端からメッセージ送ればいいんだよ」って言うんですけど、私には送る相手がいない!そういうときに『いっぱい友達つくっとけばよかった……』と思います。
今回の企画に参加いただいた女性の2名とも、友達をつくればよかったという後悔が残っていると。そしてそれは私自身も、深く深く、共感するところです……。

バトントワリングの動画を見ながら熱く語ってくださる矢島さんと聞き入る海坂。仕事を忘れてるぞ。 バトントワリングの動画を見ながら熱く語ってくださる矢島さんと聞き入る海坂。仕事を忘れてるぞ。

矢島 光さんのサイバー時代の経験をもとに描かれたマンガ『彼女のいる彼氏』は以下より購入できます!
■ Comoco PLUS:http://plus.comico.jp/manga/2174/
■ Amazon:http://amzn.asia/gCqmIgQ


話し手:矢島 光(やじま ひかる)
矢島 光(やじま ひかる) 漫画家。東京都出身の28歳。
慶應義塾大学SFC在学時、講談社「MANGA OPEN」にて奨励賞を受賞。
2012年に株式会社サイバーエージェントへフロントエンジニアとして新卒入社、2015年退職。同年、漫画家としての活動を開始し、新潮社ROLAにて「彼女のいる彼氏」にて初連載を持つ。
実体験をもとにした業界あるあるが人気を集め、「リアルすぎる恋愛漫画」として注目される。
趣味は温泉とお裁縫。特技はバトントワリング。
現在は新たな連載を準備中。
Official HP:http://yajimahikaru.strikingly.com/
Twitter:https://twitter.com/hikarujoe
聞き手:海坂 侑(うなさか ゆう)
海坂 侑(うなさか ゆう) 都内IT企業に営業職として勤めたのち退職。
就職活動では必ず個人面接で落とされたという人格破綻者。
現在は日々ボンヤリしている。
Twitter:https://twitter.com/ameni1952