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「可能性を信じろ」ExcelでLINEスタンプを作る田澤のおじいちゃんに人生の話を聞いた

2017/08/17 UPDATE

田澤誠司。74歳の人気LINEスタンプ作者。Excelで描かれたそのイラストには、エクストリームさとポップさが兼ね備えられている、不思議な味わい深さがある。もともとは電気設備工事の仕事をしていた田澤さんが、なぜLINEスタンプを作ることになったのか?そしてその人生を聞いた。

PHOTO:江上嘉郁PHOTO:江上嘉郁

PROFILE

田澤誠司(74)Excelイラストレーター

  • 出身:満州生まれ茨城県育ち
  • 座右の銘:可能性
  • 好きな食べ物:ラーメン、ナポリタン
  • 嫌いな食べ物:牛乳(脱脂粉乳のせい)
  • 得意技:Excelで絵を書く、ゴルフ

PHOTO:江上嘉郁PHOTO:江上嘉郁

Interview

―LINEスタンプを作るきっかけは?

仕事を退職して、暇というよりか、もう人生終わったなと思ってたんだよ。あとはもう死んでゴミみたいな扱いをされるんだろうなって。そう思ったら、何か世の中を良くしたり、名前を残したいと思うようになったんだよな。で、そんなときにExcelで家族の絵を描いて孫に見せたら「LINEスタンプがあるよ」と教えてもらった。なーんだそれ?ってスマホを買ってアプリを知ったよ。。

俺はもともと工事現場で働いていて、Excelで安全確認のポスターを作っていたから、スタンプも作れるなと思って。安全確認についても、年寄りが若い人に「危ないじゃないか」って注意するよりも、スタンプで注意するものを作れば、老若男女、コミュニケーションが取れると思ったんだよ。

PHOTO:江上嘉郁PHOTO:江上嘉郁

―退職のショックがきっかけとしてある?

そうだね。男は家庭のことは何にもできないから。それに、俺は新しいものに手を出していきたいと思っているんだよ。もうこの歳にでもなれば、お金のことばかり考えて仕事なんかしなくていいから、周りが「すごいね」「かっこいいね」って言ってくれることをした方が、多くの財産が残ると思ってるよ。

―若いころから新しいことは好きだった?

そうだなあ。俺の青春時代はビートルズ。20歳のときに、仕事に行きたくねえなあって思ってテレビを見ていたら、突然イギリスの4人の若者バンドがアメリカのカーネギー・ホールで大成功したってニュースが流れてね、そのときに聞いたサウンドは衝撃だったね。それで俺はビートルズにできて俺にできないはずがないってバンドを結成してね。某エレキ大会で俺たちは4位だったんだよ。よみうりホールでもやったね。楽しかったよ。

―担当は?

何だと思う?ドラムだよ。ドラムセットが高くて誰もやろうとしないから、俺がやったんだ。でも、やっぱり高くて買えないから、車のホイールや空き缶なんかで練習したよ。あぁ、彼らの曲の歌詞は、人生に意味を持たせてくれるようなものばかりだったよ。

―今もビートルズは聞く?

今は演歌、鳥羽一郎だね。生きていたらいろいろ変わるもんだよ。

PHOTO:江上嘉郁PHOTO:江上嘉郁

―仕事は何をしていた?

中学を卒業して、日立製作所の養成学校に入ってそのまま日立製作所に入社。70歳まで働いていたよ。電気関係の制御盤の組立作業でね、若いころはいわゆる「きつい」「汚い」「危険」の3Kの仕事で、何度も辞めようと思った。サラリーマンに憧れもあったしね。でも、何をしても割りと楽しめる質だったし、家庭があったから会社を辞めることはできなかったな。

―退職までずっと同じお仕事を?

いや、52歳のときに制御盤の現場は若い人に任せて、自分は作ったものが据付現場で正しく運転されるかの確認を行う部署に異動したんだ。それで日本全国回ったよ。

これは辛かったけど自信が付いたね。会社にそのままいたんじゃ同じ人と同じことをしているだけだったけど、仕事もやって家庭も守って、行く先々の新しい現場で絶対ケガ人を出さないように指導したりするんだから。

―単身赴任ですか?

まあそうだね。家内には毎日電話していたよ。長電話するんじゃなくて、今日何があったかの確認だけど。それに、たまに帰ると新婚に戻ったような気分になるね。ごはんは何が食べたい?なんて聞いてきてさ。それに、ときどき俺の赴任先に遊びに来たんだよな。今でも二人でそのときの思い出の地に車で旅行に行くよ、車中泊してな。

PHOTO:江上嘉郁PHOTO:江上嘉郁

―今までで一番幸せなことと辛いことは?

辛かったのは、父、母、妹が亡くなったときだな。妹は42歳で亡くなったんだけど、きっと仕事のことでいろいろ悩んでいたんだろうな。妹は融和することを大切にしていたけど、俺はそんなに誰とでも融和する必要はないなって思ってたんだけどね。幸せだったのは、こうして70歳を過ぎていろんな人に注目されるようになったことかな。

PHOTO:江上嘉郁PHOTO:江上嘉郁

―これからの目標は?

絵本を出したいね。そうすれば、LINEを使わない子どもや同世代に俺のイラストを見てもらえるし、俺たちの世代の話や生き様みたいなものを伝えられるから。

PHOTO:江上嘉郁PHOTO:江上嘉郁

―一番伝えたいことは?

みんな持っている可能性を信じて、何事にもチャレンジしていくこと。俺の同世代の人たちに対しては、せっかくの人生なのにやりもしないでできないって思ってしまうのはもったいないって伝えたい。どうしても歳を取ると「俺にはできない」って言うからね。この前の中学の同窓会じゃ、みんなスマホなんて俺には使えないって言っていたよ。もったいないね。

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TOKYO GRAFFITI

街で見かける「普通の人」の「普通の日常」を写真で切り取る創刊12年目の雑誌「TOKYO GRAFFITI」。
若者、ちびっこ、お年寄りから、セクマイ、ギャルなど、登場するのは一般人ばかり。
まさに街にいる人々のいろんなリアルを写真で切り取るドキュメンタリー・メディアです。
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