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サブカルバンドマン・ショウタの○○を笑うな!! 第6回「天才のフリをするな」

2018/06/27 UPDATE

サブカルバンドマン・ショウタさんが世の中の風潮にモノ申す「○○を笑うな!!」シリーズ第6回!

天才、それは天から与えられたかのような才能を持つ者のこと。彼らの多くは普通の人がどれだけ努力しても決して成し得ないことを感性の赴くままにあっさり達成します。我々はそんな天才に対して憧れを抱きます。そして時々、自分が天才であるかのように振る舞ってしまいます。今回、サブカルバンドマンのショウタさんが、自分の経験を元に「いやいや、俺達凡人が天才のフリをするのはよくないよ」と語ってくださいました。

世の中には本物の天才がいる

こんにちは、ショウタです。
過去の連載の中でもことあるごとに「気づけばもう30歳」と言い続けてきましたが、弱ったことにあと2ヶ月で31歳になってしまいます。
特に目立った活躍もないまま31歳。何もせずとも時は流れる。恐ろしい話です。

少し前に巷を賑わせたのが、15歳の天才音楽少年、崎山蒼志さん。以前からその名前は一部で知られていたそうなのですが、とあるネット番組に出演したことによって知名度がグンと高まりました。
そこで披露した楽曲のクオリティの高さに審査員一同舌を巻き、SNS上では岸田繁さんや川谷絵音さんなど著名なミュージシャンが賛辞の言葉を送り、一躍注目の的となりました。
バンド好きの母の影響を受けて4歳からギターを始め、小学6年生からオリジナル曲を作り、15歳の現在までに作った曲の数は300以上。週2ペースで新曲を作り続けている計算になります。

これだけ目覚ましい活躍をしておきながら、一方学校では決して目立った存在ではなく、番組に出演した翌日にクラスメイトに「あの動画って君でしょ?」と言われて驚いた、ということをインタビューで語っています。
部活動も音楽系ではなく美術部に所属し、ギターを弾くことは遊びの延長線上であるとのこと。遊びの延長であのような曲が作れるのだから凄まじいもので、このようなエピソードの一つ一つに“天才性”が滲み出ているのが、素晴らしくもあり、羨ましくもあり、というところです。

さて、このみんなが憧れる“天才性”、本物の天才がこうして天才性を遺憾なく発揮すると大変素晴らしいことになるのですが、別に天才でもない普通の人、いわゆる凡人がそれに憧れて“天才っぽいふるまい”をし始めると、非常に困ったことになります。

天才性を捏造する凡人の2パターン

凡人は様々な方法を使って自身の天才性を捏造しようとします。
その種類を大まかに分けると、ポジティブな捏造ネガティブな捏造の2パターンがあります。

まずポジティブな捏造方法について。これは簡単で、自分の能力を一切顧みず、ひたすら虚言を吐き続けます
音楽に例えて言うなれば、一度もまともに曲を完成させたことがないのに「持ち曲は山のようにある」とか、弾けもしない難易度の高い楽曲を「あんな曲は簡単」とか、そもそもろくにライブをやったことがないのに「バンド経験がある」とか言い出すなど、とにかくできもしないことをできると言い張り、自分を大きく見せようとします。
ウソ、大げさ、紛らわしいといった物事は必ずバレるもので、このような大口ばかり叩いていると結局途中で話の辻褄が合わなくなり、初めは話を聞いていた人々も「あんなヤツのたわ言を真に受けてるとバカを見る」と気づいて愛想を尽かし、相手にされなくなり次第に孤立していきます。

ひとつ個人的なエピソードを思い出しました。
バンドを組みたかった中学生時代、知り合った友人が「音大付属の学校に通ってたからピアノは任せておけ」というので、家にギターを持って遊びに行きました。3000円で買ったヤマハのギターを構えながら、スーパーバンド結成の第一歩だ、とワクワクしていると、友人は調律が狂ってるからとかなんとか言って一向にピアノを弾こうとしない
よくよく話を聞いてみると、通っていた幼稚園が音大の付属だったというだけのことで、特に専門的な音楽教育を受けたわけでもなく、ピアノもほぼ弾けないということが判明しました。
結局その日はテレビを見ながらお菓子を食べて終わり、ついでにスーパーバンド結成計画も終わりました。苦い思い出です。

もうひとつのネガティブな捏造方法。こちらは先程のポジティブなものと違い、目につきにくいというか、むしろだからこそ余計に厄介で業が深いものでもあります。

天才性に憧れるまでは同じなのですが、基本的に自信がなく、その上ハードルが異様に高いというのが特徴です。前者と違ってオリジナル作品を作ったり技術を磨いたりはするのですが、あくまで一人の世界に閉じこもります。作り出したものを「まだ人に見せられない」となり、一向に事が進まないのです。
とにかく完璧なものにこだわるところがこの手の人種の特徴です。自信はないのですが、心の底では自分の“天才性“を信じています。そして、それを他人の前に出すことで、批評され、崩されてしまうのを何より恐れています。「ちゃんとしたものでなければ人前に出せない」と考えているため、1つのものを作るのにとんでもなく時間がかかり、やっと完成したものも「やっぱりまだまだ不十分だ」と引っ込めてしまうため、結局何も成せないまま時間ばかりが過ぎていくのです。
その一方で頭の中では理想が膨らみ、更にその間、色々なものを見聞きして目は肥え耳は肥え、ますます理想と実力の乖離が激しくなり、何もしていないのにどん詰まりに陥るという悲惨な事態になります。

つべこべと書いてきましたが、これはまさに僕のことで、天才に憧れるあまり、自分の理想が実力を遥か高く上回り、それに到達しなければ人前に出してはならないという強迫観念的な想いに囚われ、結果他者との切磋琢磨の機会をことごとくドブに捨ててきました。
その辺もう少し柔軟にやっておけばよかったなあ、と、今にして思います。

凡人であることは恥ずかしいことではない

天才に憧れている」というのは、言い方を変えると「凡人を許せない」ということです。
天才に憧れ、凡人である自分を認めることができず、結果的に天才性の捏造に走ってしまい、悲劇が起こるのです。

ここで僕が言いたいのは、
「凡人であることはそこまで恥ずべきことなのか?」
ということです。

もちろん、天才的な人というのは素晴らしいことであり、憧れを持つのは当然です。しかし凡人が努力して優れた結果を残すのも、それと同じくらい素晴らしいことなのではないでしょうか?
言うまでもなく、天才的な人というのは一握りしかおらず、当然僕を含めた世の多くの人々は凡人です。しかしそれを悲観して落ち込んだり、天才のフリをしてどん詰まりに陥ったりしても何もいいことはありません。凡人には凡人のやり方があり、それを全うして良い結果を出すことが、最も前向きな方法なのではないでしょうか。

100点を出し続ける天才に憧れるあまり、100点のものでなければ人前に出せない、出すことを許されないと思う気持ちもわかります。しかし我々のような凡人は、高くせり上がったハードルをここで一旦ぐっと下げ、まずは100点ではなく85点のものを人前に出すことから始めるのが重要なのです。
一度形にして人前に出すことによって、初めてわかることが必ずあります。それを繰り返し繰り返し続けていき、85点のものを90点に、90点のものを95点に仕上げていき、少しずつ100点に近づけていく作業が、我々凡人には必要なのです。

何もないところからいきなり完璧なものを生み出せる人はいません。
特に我々のような天才に憧れている凡人、つまり普通の人々は、恥を捨て、真似をすることを恐れず、たとえ完成度が低くても、まずは何か一つ形にして、それを人目のつくところに出すことから始めるべきなのではないでしょうか。
それを繰り返すことによって、例え天才にはなれなくとも、良いモノを作る凡人にはなれるはずです。

もっともそれを繰り返すことが一番難しく、僕ももう少し早い段階でそれに気づいていればなあ、と思うことしきりです。
が、このようなことに早い遅いはありません。今からでも自分のやり方次第で、良いモノを作ることはできるのです。
世の凡人の人達、頑張りましょう。僕も天才になれなかった凡人として、頑張りますから。

投稿者名

ショウタ

サラリーマンとバンドマンを兼任する昭和62年生まれ。インターネットと深夜ラジオによって思春期を完全に棒に振り、どうにもパッとしないまま現在に至る。親族の「子供の頃は明るかったのに」という言葉を無視するのが得意。
“日本語によるプログレッシブハードフォーク”を標榜するバンド「曇ヶ原」のバンマス。「怨恨プログレ」「怨念フォーク」とも呼ばれる。パートは歌とベース。
Twitter:https://twitter.com/show1987
曇ヶ原:https://twitter.com/kumorigahara

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