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はるの珍人図鑑 その2「スナックで出会った元カレ」

2018/09/26 UPDATE

独特の人間観察力とユーモアあふれるツイートで大人気の「は * る」さん。そんなはるさんがこれまでに関わり合った「珍しい人たち」について語るコラム「珍人図鑑」の第二回目をお届けします。
今回はずっと昔に付き合った元カレにまつわる話ということで、ダメ恋愛好き女子も必見です!

こんにちは。九月に入り、やっと暑さも峠を越した感じですね。喉元過ぎれば熱さを忘れる、ということわざがありますが、本当は逆な気がします。

酷暑と呼ばれた夏が過ぎ、少し涼しくなってからようやく「今年の暑さはやはり異常だった」と気づくように、人間関係もその時は全然普通だと思っていたのに、すこし経ってから「あれ?よく考えたらあの人って変な人だったかも…」と思うものかもしれません。

私の場合、その頻度が多少、ほかの人に比べて多いような気がします。そんな「変わった人に会いやすい私」が、過去に付き合った恋人もだいたい変わった人。

ちなみに元カレの中には、こんな方々がいました。

スーパーファミコン版の風来のシレンにハマりすぎて就活失敗した人。

私と喧嘩したらいきなりバイトもバックれて失踪して大騒ぎになったのに、三日後くらいに青森土産を買って普通に帰ってきた人。

ナルシストで常に見た目をバッチリ決めていたのに何故か鼻毛が高確率で出ていた上に、それを指摘したら繁華街のショーウィンドウを見ながら突然抜きはじめた人。

今回はそんな珍人さんの中でも特に記憶に残っている、二十代前半の頃に付き合ってた元カレのことを思い出して書いてみます。

秘密の多い彼

あれはいまからおよそ十数年前の話。大学四年から社会人になる頃にかけて、夜のお店(いわゆるスナック)でバイトをしていたんですけど、その時に厨房にいた板前さんのことを好きになりました。

顔は一昔前の尾崎豊似の色男風。背もスラっと高くて…と思ってたら厨房の床が一段高いだけで、降りたら割と小さめの身長でした。細部をよく見ないで好きになるのは若気の至りですね。

でも細マッチョで働き者で、物腰も柔らかかったので、お店の子にもお客さんにもなかなか人気のある人でした。

その彼は女の子たちの送迎もやっていました。帰りの車でよく話すうちに、当時世間知らずだった私には自立した大人の素敵な男性に見えたんです。それで、尊敬してますアピールをしてるうちになんかまぁそんなような感じになって、私が彼の家に押しかけた感じで、なし崩しに付き合うことになりました。

私は一応、お店に在籍している女の子だったので、彼が「やばい、手を出したのがオーナーにバレたら小指を詰められる…」とボヤいていたのをよく覚えています。

一応、お店の店長にだけ報告したんですけど「まあ、お客さんとかにはバレないように上手くやってね。つーか俺にも誰か紹介して!」というユルいノリで、なんとなくお店公認みたいなカップルになったのです。

彼はなぜか極端に持ち物の少ない人で、私服もTシャツとスラックス二、三枚しか持ってなかったので、どうしてなの?と聞いたところ「昔はたくさん持ってたんだよ。でも火事で全部燃えちゃったんだよね」と言っていました。

そして以前の写真を見せてもらったのですが、バブルもとうに終わった頃なのにダブルの紫のスーツを威風堂々と着こなしており、大変不謹慎なのですが(燃えてよかった…)と思ったものでした。

2018年の今なら一周まわってアリかもしんないんですが、2000年当時は完全にナシでしたね…。

そんな彼はその頃、板前さんと送迎の仕事で月収40万円くらい貰っていたし、家も3LDKの広くて綺麗なマンションで、趣味はスロットで毎週のように通ってたし、デートで美味しいお寿司屋さんに連れて行ってもらったりもして、てっきりお金持ちだと思ってたんです。

てっきりお金持ちだと…思ってたんです…。

彼との幸せな日々

付き合って数ヶ月。私は大学を卒業して、都内のIT企業に勤めていました。その頃にはもうスナックは辞めて、彼の家に半同棲みたいな感じで、神奈川の端っこにあるマンションから二時間かけて豊島区の会社に通っていました。

毎朝早起きをして始発に乗って、電車に座って寝て行くのですが、だいたい私の隣には決まってとても太った男性が座り、ずっと寄っかかって寝られるのがすごいストレスだったのを覚えています。

好きな人との同棲生活ですっかり浮かれていた私は、実家で飼っていた猫も彼のマンションに連れ込み、新妻気分で下手くそな目玉焼きを作っては彼にプロの目線でダメ出しされたり、スイカを食べた後に皮を捨てるのがめんどくさくてトイレに流したら詰まらせて水道屋さんに怒られたりと、けっこう幸せな日々を送っていました。

平和だったはずの、とある日。
彼の車のタイヤが磨り減りすぎてバーストしました。車屋さんに持って行ったら全部のタイヤ交換で20万円かかるとかで、あらら大変ね~でも消耗品だしね~はやく直してもらいなよ~とか言ってたら「いま手持ちがないんだ。ごめん、ちょっと貸して」って言われました。

えっ、20万円がないんですか?とは思いましたが、まぁお給料日前だし、車がないと送迎の仕事もできないしね、ていうかそんな大事なことで頼られるなんて、私信頼されて頼りにされてるなウフフ!って思って貸しちゃいました。

今考えるとすげえバカ。

もちろん貸したお金は、次のお給料日が過ぎても戻ってこず。

私が辞める少し前に、お店のボーイとして“身体的には女性、精神的には男性”という、いわゆるオナベの子が入ってきたんですけど、入ってすぐに彼に懐いてしまい、彼も可愛い後輩ができてまんざらではないのか、よく二人でスロットに通ってました。お金は返してくれないくせに。

オナベの彼(彼女)は、身長は普通の女の子でしたが髪型が坊主刈り。最初はナベシャツを着て胸を潰していたのですが、そのうち苦しくなってきたのか普通にワイシャツにブラジャー着用で勤務しはじめました。そうすると意外と巨乳で、坊主頭・巨乳・しかもワイシャツからブラが透けている、というコンセプトのわかりにくい外見でした。

そんなあの子と一緒にスロットに行ってるだけって言うけど、あの子は格好が男なだけで性別は女だし、あなたへの親密な雰囲気はどう見ても女性の男性に対する態度に見えるんだけど!?と勘ぐってしまった私。「あいつは男だよ」と彼は反論するのですが、若かったこともあって、納得できませんでした。お金返してくれないのにスロット打ちに行くし。

暴かれた彼の秘密

そんな諸々の出来事で、「…この人なんか変?」と思い始めていた頃。彼の留守中、リビングの片隅に何やら大事そうな手紙が開封してあるのを見つけました。

「督促状」と書いてあったと思います。

そこにはさらに「今月中に32万円支払わないと、法的な措置を取らせていただきます」とありました。

さ、32万円?
なにそれ?
消費者金融か何かから借りたの?

びっくりするよりも心配で、(それくらいなら代わりに払ってあげようかな。利息も高そうだし…)そう思って、もう一度手紙の金額を確認したら、一桁間違えてました。

320万円でした。

マジかよ。

慌てて彼にメールして、ちゃんと説明してよって問い詰めたところ、白状しました。

・自分の借金じゃない。親の借金。
・親も自分で借りたんじゃなくて、親戚の借金を被った。
・自己破産すると持ち家も手放さなければいけないので、それは出来ない。
・返済の目処が立たないので、お店の経営者の人に一度お金を借りれないか相談してみる

これで「私が支える!」ってなれたら美談だったんですけど、残念ながらそこまで頑張る気力は私にはありませんでした。若かったし、私の実家も貧乏だったから頼ることもできないし、ちょうど私の仕事も忙しくなりはじめて、自分のことで精一杯だったし。

それでもなんとなく離れられず、半同棲は続けていたのですが、ある日私が二日間ほど実家に帰るので、猫のご飯をよろしくねと頼んでおいたら、「わかったよ!」って言っていたのに、彼は結局二日とも留守にしたらしく、帰ってきて猫のごはんのお皿を見たらキャットフードが腐って虫がウニョウニョわいてました。帰ってきたらお腹を空かせた猫が「ニャー…」って鳴いていたのを発見したときに、本気で悲しかったのをよく覚えています。

ペットを飼ってる人ならわかると思うんですけど、自分が嫌なことをされても許せるかもしれないけど、自分のペットに危害を加える人のことは絶対に許せないんですよね。

それでサヨナラを告げたんです。

「いろんなことがあって、もう一緒にいたいという気持ちがなくなりました。経済的にも大変だろうから、貸したお金はもう返さなくていいよ。大事なことを言ってくれなかったこともそうだし、猫を放ったらかしにされて、あなたを信頼できる人だとも思えなくなった」と別れ話をしました。
そうしたら彼は「わかったよ。ごめんね。今度の休みは一緒に遊びに行こうと言ったからそのつもりでいたんだけど、予定がなくなっちゃった…」と寂しそうに笑っていました。

別れた次の日、お店の同僚に報告したら…

家になかなか帰ってこなかったのも、タイヤのお金を返してくれなかったのも、きっと金策に走っていて余裕がなかったせいだね…。
自分の借金でもないのに、バカな人だな。でもいい人だったな…。

そんな風に感傷に浸りながら、次の日くらいに当時同じお店で働いていて友達だった女の子に、彼と別れたことを報告しました。

「え?借金とかは知らんけど、彼って同じ店の女の子と浮気してたよ。別れたんなら言えるけど、あんたとの二股の話は店中ですごい噂になってたよ。やっと言えたからスッキリしたわー!」って言われました。

今世紀最大の「早く言ってよ!」が出ました。

相当ショックを受けた私が「やっぱり?あのオナベのボーイと浮気してたの?!」と聞いたら「ううん。全然違う女の子だよ。ちなみにオナベのボーイは私としましたー!向こうから誘ってきたけど、あんまり大したことはありませんでしたー!ちなみに私はチーママともしましたー!あと店長ともしましたー!さらにチーママはオナベともしたそうですー!」と、刺激的かつややこしい相関図を教えてもらい、それだけはすごく面白かったです。

彼の浮気相手は、私がバイトしてた頃の同僚ホステスでもあったので、もちろん知っていたのですが、バツイチで前の旦那さんとの子供を実家に置いて、新しい彼氏と一緒に暮らしてる人でした。彼氏とも実家ともあんまりうまくいってないと噂に聞いたことがあるんだけど、まさか彼とそんなことになっていようとは。

彼が無断外泊して、猫のご飯に虫がわいていたあの日も、その女性と朝まで一緒にいたから家に帰れなかったみたいです。猫かわいそう。

流石に腹が立って、そのあとマンションに荷物を取りに行きがてら、もう一回会って「お店の子と浮気してたの!?なんで!?」と聞いてみたんです。

そしたら彼はまた寂しそうに笑って「彼女を、寂しさとかしがらみとか苦しさから解放してあげたかったんだ…」ってツイッターのポエマーみたいなことを言ったので、シャモジで頭を引っ叩きたくなりました。

※相関図を描いたらわかりやすくなるかな?と思ったけど余計ややこしくなりました。あと友達が妙に頑張ってややこしくしてる感じもあります。

思い返すと結果オーライ…かな?

十数年間経った今、こうして振り返ってみるとIQの低い恋愛だったなとしみじみ思います。彼が今どこで何をしてるかも全くわかりませんが、ご飯に虫がわいてしまったかわいそうな猫は、その後15年以上生きた後に大往生したので、結果オーライということにしておきます。

でも彼は彼なりに、彼の優しさを大切にしながら生きていたのかもしれません。私やオナベのボーイや浮気相手の女の子に優しくして、そのお返しとして彼女たちから優しくされて、優しさで自分を囲い込むことによって、どうしようもない借金とかのプレッシャーから身を守っていたのかなって。

人ってどこかに安心する場所がないと生きられないですからね。彼の場合、それが女の人との関係の中にあったということなのでしょう。

そんな彼でも別れてしばらくはグズグズ言っていたし、ちゃんと愛されなかったことですっかり恋愛に対する自信も失っていた私ですが、次の彼氏ができたらすぐふっきれました。

この記事を読んでいる人の中にも、今現在どうしようもない恋愛をしている方がいるかもしれません。そんなあなたに、これは以前の私のツイートです。

自分に自信を持ち、胸を張れる人生を送るためには、異性との関係に重きを置くのではなく、自分自身の中にしっかりとした核を据える方が近道なのかもしれません。


最後に、彼から教えてもらった美味しい目玉焼きの焼き方をメモして終わりますね。

・フライパンに油を引く
・油がバチバチするくらいに熱してから卵を落とす
・少し経ったらコップに半分くらいのお水を入れて、フタをしてしばらく蒸らす
・黄身の表面に白い膜が張ってきたらフタをとって、水分を飛ばして出来上がり

今でも私の得意料理です。

投稿者名

は * る

独自のユーモア溢れるセンスで数多くのフォロワーを抱える女性ツイッタラー。
実は神経質で几帳面なA型。「世間話をしていたつもりなのに、いきなりシリアスなカミングアウトをされがち」とのこと。
ちょっとシニカルながらも多くの人が親しみを覚える切り口で、なんとなく思っているけど言葉にできないことを呟くツイートが大人気。

Twitter:https://twitter.com/PlasterStar999

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