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サブカルバンドマン・ショウタの○○を笑うな!! 第12回「辞める勇気を笑うな」

2018/10/02 UPDATE

サブカルバンドマン・ショウタさんが世の中の風潮にモノ申す「○○を笑うな!!」シリーズ第12回!

あんなに長く続けてきた趣味に対して最近そこまで打ち込めなくなってきてしまった。 仕事やプライベートが忙しくてそれどころではなく、かつての趣味の道具が今では部屋の片隅で埃をかぶっている。そんな状況は誰しも一度は経験あるはずです。
継続は力なりと信じ、辞めることに後ろめたさを感じる我々に、地道な活動でバンドを10年以上続けているショウタさんが「別に辞めたっていいじゃないか」と自分の考えを述べて下さいました。

生活環境や価値観は日々変化していくもの

こんにちは、ショウタです。
凝り性なのに飽きっぽく、熱しやすく冷めやすい、典型的なダメ人間的性格の僕なのですが、唯一バンド活動だけは長続きしています。
オリジナルのバンドでステージに立った19歳の頃から数えると、今年で12年目。干支が一周してしまいました。

長い間バンドをやって、様々な人達との出会いがありました。
これは凄い!と目からウロコが落ちるようなバンドや、おれもいつかこうなりたいぞ、と思うような人と知り合うこともあれば、打ち上げで売れ線批判を延々繰り返し、聴いてるこっちの顔が(いやまいったね……)と渋くなるような迷惑バンドおじさんと飲むハメになったこともあります。なんとなく会っているうちに、気づけば長い付き合いとなった人も多くいます。

出会いがある一方で、別れもあります。
かつて一緒にバンドをやっていたものの、今ではすっかり疎遠になってしまった人もいます。

音楽がもたらす繋がりというのは強いようで弱く、かつては毎週、毎日のように会っていたのに、気づけば連絡を取らなくなって久しい、というケースが珍しくありません。そういう時、「あの日々は一体なんだったんだ」と、夢でも見ていたような気分になります。

ただ、生活環境や価値観は日々変化していくのも事実です。
例えば、学生時代に友人達とバンドを組み、月に2,3本のペースでライブをやっていたとします。メンバーと毎週スタジオに入り、時にはライブ後にお客さんを交えて朝まで飲んだりすることもあるでしょう。
ところがその後、人生における大きな転機を迎えるごとに、少しずつ状況が変わっていきます。
学校を卒業して就職をすれば、仕事の都合で平日にライブを行うことが難しくなります。結婚をすれば好き勝手にバンドにお金を使うわけにもいかなくなるでしょうし、子供が生まれたら、家を留守にして朝まで飲んでいる場合ではありません。

その結果、それまで付き合っていた友人知人たちとの間に、価値観や考え方などのズレが生じてきます。かつてほどの熱量で音楽に取り組むことが難しくなり、少しずつ活動のペースが落ち、音楽を通して知り合った人々とも徐々に疎遠になっていきます。
バンドの方も解散もしくは自然消滅。あれだけ毎日触っていた楽器も段々部屋の隅に追いやられ、音楽から遠ざかっていく……というのが、一般的なよくある話です。

理由があるなら辞めてもいいじゃないか

僕はこういう話を持ち出して「おれはいつまでも音楽を続けるぞ!」とか「夢を諦めるな!」とか、そういうことを言いたいわけではないのです。

むしろ「辞めるなら辞めるでいいじゃないか」ということを強く主張したいのです。
就職、結婚、出産といった理由でそれまでのライフワークを辞め、かつての仲間と距離が開く、と言うと、マイナスな出来事のように思われるかもしれません。
しかし、かつての仲間から離れる一方で、社会、家庭、地域といった新しいフィールドで生まれる新しい出会いも確実にあるのです。

社会に出て働きお金を稼ぐということは素晴らしいことです。特に僕は27歳まで無職とアルバイトを繰り返すデタラメな生活をしていたので、ちゃんと学校を卒業して就職した、王道を歩んでいる人に頭が上がりません。
結婚し家庭を持ち、それを維持するということも、並大抵の努力ではできません。そしてその道を選ぶ決意をして音楽活動を辞めた人のことを「夢を諦めた人」などと言って揶揄することなど、間違ってもできないのです。

人の価値観というのは生きていく上で変化していきます。それは自然なことです。
その人は「夢を諦めた」のではなく「違う夢を見つけてそっちに向かっていった」のです。

むしろ、いつまでも環境を変えようとせず、意固地になって一つの価値観に固執し、変わっていく周りを悪く言って否定する方が問題なのではないでしょうか。

バンド周りには音楽活動を辞めていく人を冷遇する風潮があります。
「その程度で辞めるなんて熱意が足りない」と本気で言っている人を何度か見たことがあります。
そしてそういう人は最後にかならずこう言います。
「音楽は続けていくことが一番大事で、一番難しいんだ」
確かにそれはその通りです。僕も小規模ながら12年ほどバンド活動を続けていますが、その大切さ、そして困難さは身にしみて分かっています。
けれど僕は思うのです。「続けていくことと同じくらい、辞めることは困難であり、勇気がいることなのではないか」と。

勇気を出して辞める決断をした人をバカにするな

人は誰しも幸せになるために生活をしています。
しかし、その一方で、なかなか現状を手放すことができません。「今辞めてしまったら、これまで続けてきたことが無意味になってしまうのではないだろうか」「新しい不慣れな環境に適合できるだろうか」という恐怖があるからです。
そのため、多くの人は辞める決断すらできず、惰性で時を過ごしていきます。なんとなくバンドをやっている人はなんとなくバンドを続け、なんとなく現状維持のまま日々をやり過ごします。そうやって年老いて活動歴だけ長い、なんだかよくわからないおじさんになっていく人が大勢います。

長く続けてきたものを「辞める」という選択を取った人に対しては、今までよりもっと大切なものが見つかったことを祝福し、大胆な決断を実行した勇気を称賛するべきです。外からつべこべ言う筋合いなど一切ないのです。

ずっとバンドの話をしていましたが、これは他の事柄にも当てはまります。
演劇、映画、漫画、小説、お笑い、スポーツなど、全ての場面に辞める勇気は存在するのです。何かにひたむきに取り組んできたとして、ある地点でそれを辞める決断をすることは、とても潔い行動です。
それを笑う権利など、誰にもないはずです。

僕は今までバンドを続けることに対しての勇気を発揮してきましたが、今後もしかしたら、辞めることに対して勇気を出す場面が現れるかもしれません。
それがいつ訪れるかはわかりませんが、その時が来たら、勇気を持って音楽とは違う方向へ舵を切ることができるよう、今現在やれることに全力を注ぎたいと思います。

そして今回を持って「サブカルバンドマン・ショウタの○○を笑うな!! 」は最終回となります。半年間お付き合い頂いた皆様、ありがとうございました!またTwitterか、どこかのライブハウスでお会いしましょう!

投稿者名

ショウタ

サラリーマンとバンドマンを兼任する昭和62年生まれ。インターネットと深夜ラジオによって思春期を完全に棒に振り、どうにもパッとしないまま現在に至る。親族の「子供の頃は明るかったのに」という言葉を無視するのが得意。
“日本語によるプログレッシブハードフォーク”を標榜するバンド「曇ヶ原」のバンマス。「怨恨プログレ」「怨念フォーク」とも呼ばれる。パートは歌とベース。
Twitter:https://twitter.com/show1987
曇ヶ原:https://twitter.com/kumorigahara

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