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はるの珍人図鑑 その3「三人のお局」

2018/10/09 UPDATE

独特の人間観察力とユーモアあふれるツイートで大人気の「は * る」さん。そんなはるさんがこれまでに関わり合った珍しい人たちについて語るコラム「珍人図鑑」、第三回目をお届けします。
今回はバイト先で出会ったお局エピソード、しかも三本立て。彼女たちの強烈過ぎる逸話をぜひ最後までお読みください。



秋ですね。秋といえばスポーツの秋。私は日頃、増え続ける脂肪と戦うためにジムに通っていますが、平日の昼間は圧倒的に女性が多く目につきます。彼女たちの熱心なトレーニング姿を見ていると、女性のパワーってすごいなと常々思います。

今回はそんな溢れるパワーを、よくわからない方向に噴出してしまったお局たちのエピソードを書かせていただきます。

接客業をして長いので、さまざまなバイトを経験しているのですが、なぜかその時々で強烈な個性を持つお局先輩に出会います。彼女たちはとてもパワフル。自己主張がめちゃくちゃ激しい。そしてマイルールすんごい。

そんな彼女たちにまつわる、忘れようとしても絶対に忘れられない思い出三連発です。

その1「ファストフード店の怒鳴るお局」

某有名ファストフード店でアルバイトを始めた時に出会ったお局さんです。

初出勤の時って、周りがどんな人かな?職場の雰囲気って良い感じかな?ってドキドキしながら仕事に挑むじゃないですか。そこで店長に「彼女に教えてもらって」と言われて紹介されたのが、50代のバイトリーダー的存在、勤務歴の長い“主”みたいなオバさんでした。

「はじめまして、よろしくお願いします」と挨拶したら、いきなり「あんたねえ!!今までどんなとこで働いてきたか知らないけどね!!ウチにはウチのルールがあるからね!!それに従ってもらわなきゃ困るんだよ!!」と怒鳴られました。

もーびっくり。もー初日で辞めたくなった。でも一瞬で「あーここはこういう職場なんだな」と理解はできました。

しかもこのオバさん、この時だけでなく日常的に大声を出すのですが、バックヤードで怒鳴るならまだしも、普通にレジ前で怒鳴るんです。お客さんもびっくりしてました。恫喝ゼロ円が売りなのかなって思われそうで恥ずかしかったです。

ある時、店長に「あの方、いつもあんな感じなんですか?」って聞いてみました。そしたら、「注意事項を忘れていました。彼女は何かトラブルがあったときに質問すると、自分が責められてると勘違いしてパニックになり暴れるので、その点に気をつけてください」と言われました。そんな申し送りあるのかよ…とドン引きしました。

その職場には、そのオバさん以外に長く勤めているバイトの人がいなかったので、余計その人が権力を振るっていたのですが、なぜ他にいないかというと、自分が気に入らない人はとことんイジメて辞めさせるからだそうです。

女子大生アルバイトの子が、天井についている電球を付け替えようとして脚立から高いところにのぼったら、何も言わずに後ろから脚立を外してどこかに持っていってしまったことがあるそうです。
目撃した人は「あれ本当怖かったです。本物のイジメを見た!って思いました…」と震えていました。

結局私も、そのオバさんのハードさに疲れて一年ほどで辞めてしまったのですが、あれから数年経った今でも、たまにその店の前を通ると、可愛らしい大学生アルバイトちゃんたちを集めてガンガンに怒鳴っているオバさんの姿が見られます。元気で何よりですね…。

その2「あたしモテモテよ!ギャルお局」

ファストフード店を辞めてしばらくして、洋服のリフォームをするお店で働き始めたころの思い出です。

そこは割と大きめのチェーン店で、親族経営の上司たちが取り仕切っているところでした。

私が配属されたのは新規オープンのお店でした。オープンしてしばらくは私とアルバイトの女の子だけで営業していたのですが、立地のせいかとても忙しく、アルバイトだけでは無理が出てきました。そして一ヶ月ほど経ったある時、かつて別の支店で店長をやっていた社員さんが配属されることになりました。

勤務開始日にお店にやってきたのは、ピンクのコートを着て、髪の毛は茶色のロング、チェリーレッドの口紅を塗り、爪に魔女みたいなネイルアートを施した、20代前半のギャルでした。

(なんかインパクト強いな…)

内心そう思いながらも、「よろしくおねがいします!」と挨拶したところ、フフンっと鼻で笑って「ねえ。ミーたんってアタシのこと好きなんだよ」と言い放ちました。

私が人生で関わってきたヤバイ人に共通する特徴のひとつとして「全然知らない人の名前をいきなり会話に混ぜてくる」というのがあるのですが、まさに典型的なケースでした。

それ以降もダラダラと続くギャルの話を聞いていたら、以下のことがわかりました。

・ミーたんは社長の息子で35歳独身
・ギャルは入社式でミーたんに一目惚れされた
・ミーたんというあだ名はギャルがつけた
・ギャルはミーたんが好きではないが手玉に取っている

ど、どうでもいい~~!

彼女とミーたんがどうなろうが知ったこっちゃないのですが、ギャルにしてみれば“社長の息子が自分のことを好き”というのは相当に自慢できる要素だったらしいです。毎日「ミーたんがアタシのことどんだけ好きか」「アタシすごい若くて可愛くて超絶モテるし」さらに「親戚にめちゃくちゃ有名な芸能人がいる」の話が延々繰り返されることになりました。

彼女はとにかく構ってちゃんで、相手が男でも女でも自分が常に注目されていないと気が済まないらしく、一緒に6時間働いたら6時間ぴっちりとアタシの話をし続けるので、心底疲れる。お局というにはちょっと若い気もしますが、めんどくささはお局そのものでした。

しばらくは耐えていたのですが、ある日とうとう相槌打つのにも疲れちゃって、私はもう生返事だけして黙ってました。そしたら、私のことを大声で呼んで「静電気で髪の毛が頬っぺたに張り付いて超ウザいんだけど!」と叫んできました。もうわけが分からな過ぎて、あー辞めよう、と思いました。

※余談ですがギャルは足が長くて顔が小さくて、さすが平成生まれ!昭和生まれ(私)とは作画が違うな!と思っていました…。

上司に「あのギャルが限界なので辞めます」と言うついでに、「他の店舗で働けないですかねえ?」と相談してみました。すると「他の店舗はあまり忙しくないし、居心地も良いらしく、人員が定着して空きがない、この店舗は新規オープンだし忙しいからみんな嫌がって入りたがらない、在籍し続けて欲しい」と言われました。

中小企業の悩みを煮詰めたみたいな問題を目の当たりにしつつ、関わっていても疲れるだけなので、私はその頼みを聞かずにアッサリ職場を後にしたのでした。

その3「関東支社の中でも有名な取扱注意お局」

倉庫のピッキング作業のアルバイトをした時に遭遇したこのお局さん。彼女は今までのふたりが小ボス~中ボス程度だとすると間違いなくラスボスクラス。規格外れのハリケーンのような大物です。

年齢は50代後半で、勤務年数も長く、それをいいことに怒鳴る怒鳴る。その1で話したファストフード店のオバさんは強い立場の人には割と殊勝な態度だったのですが、ハリケーンオバさんは相手が上司だろうが構わず怒鳴る。それに飽き足らず、外注の業者の人や本社の社員さん、しまいにはお客さんにも怒鳴るという、狂犬みたいな人でした。お局は、その会社の関東エリアで一番有名なヤバい人として名を馳せていました。

怒鳴る理由も完全に自分の機嫌。短期で働いていた中年のオジさんには「それは昨日違うって言ったでしょー!!」「あんたは本当に使えないね!!」と暴言を吐く。留学生のアルバイトの子たちには「あーもう全然ダメ!!もう帰れ!!」と言って無理やりタイムカードを押させて退勤させる。まさに暴挙の嵐でした。

そのほかにも、出入りのトラックの人には「私あなたのこと嫌いだから近寄らないで!!」と突然命令し、何か気に入らないことがあると本社の偉い人に電話を入れて叫びまくり。まるで「一日3回怒鳴るのがノルマ」と自分に課しているかのようでした。

あと余計なことをする。忙しくて他の人が一生懸命作業してるのに、なぜか外に出て街路樹の植木を事務用バサミで一生懸命に剪定していたりしました。

そんだけ酷いならクビになるんじゃない?と疑問に思う方も多いでしょうが、このオバさんは「見るに見かねて注意した人のことを本社のコンプライアンス窓口に訴える」という必殺技を持っており、下手に触ると危険が及ぶため仕方なく放し飼いにされていたのです。

そんなハリケーンオバさんが一度だけものすごく凹んだ事件があります。

彼女は体調不良でしょっちゅう早退をする人だったのですが、早退時に打ったタイムカードを修正液で消してから普段通りの退勤時間に書き直すことを常習的にやっていました。勤務時間の改竄です。

ある時、タイムカードが何箇所も修正されているのに気づいた事務の人が修正液を剥がしてみたら本来の退勤時間が現れ、悪事が発覚。当然、店長と本社の社員さんを巻き込む大騒ぎになり、ものすごく怒られました。するとなんとハリケーンオバさんはその場で大泣き。「ここをクビになったら食べていけない!心を入れ替えてまじめに働くからここにいさせてください!」と同情を買い、厳重注意で終わらせてしまいました。

しかし、その件で評判が地に落ちたハリケーンオバさん。今まで仕方なく会話していた社員さんたちもピタッと近寄らなくなり、さすがにこれはマズいと思ったのか、態度が変わり献身的になりました。

とはいっても、まじめに仕事をするわけではありません。寒い日に自費でホッカイロを買ってきて皆に無理やり貼る。出勤直後で慌ただしい皆を呼び止めてコンビニで買ってきた大量のパンを無理やり食べさせる。とある社員さんのお母さんの三回忌にデカい花輪を突然持ってきて無理やり渡す。とにかく誰も喜ばない余計なことばかりしていました。

花輪を渡された社員さんは、丁寧にお断りして返したそうなのですが、そうしたら次の日にタイムカードのところに「私は断られてとても傷つきました。謝ってください」という手書きのメモが挟まっていたそうです。こわい。

ある日、ハリケーンオバさんが社員さんと話しているところに私が偶然通りかかったのですが、オバさんの背中越しに見えた社員さんの顔が、心の底から嫌そうな表情をしていました。そこにはとても暗く冷たい世界がありました。

ドラマや映画だったら、そこで勇気ある人が一刀両断して、オバさんも反省して心を入れ替え、めでたしめでたしとなるところでしょう。しかし、この話に特にスッキリしたオチはありません。その後一年ほど経過して、ハリケーンオバさんは加齢のせいかさらに体調を崩すことが多くなり、やや作業が楽な本店の方に異動していきました。その後もあいかわらず怒鳴って暴れていたそうですが、本店の人たちはそれに負けないくらいパワフルなのであまり相手にされていない、と風の噂で聞きました。

私もお局となってきた今…

そんな嵐のような日々から数年。私も現在のバイト先に落ち着き、お局と呼ばれる存在になりました。

後輩の不手際を見つけると、ついイラッとして、感情の赴くままに厳しい一言を放ってしまいそうになります。でもその度に、あの時ハリケーンオバさんの背中越しに見た暗く冷たい世界を思い出し、背筋が寒くなり、思い留まります。私はあんな悲しい世界で生きたくありません。

三人のお局を思い出して実感するのは、自分を客観視することの重要性です。

彼女たちは、自分がどうして嫌われるのか、避けられるのかを全く理解していませんでした。ただ自分の感情の赴くままに行動して、何かあると他人のせいにして、自分自身で暗く冷たい世界を作り上げていました。もし彼女たちが人生のどこかで自分を顧みる習性を身につけていたら、ああはならなかったはずです。

これを読んでいる皆さんも、もし過去に嫌な先輩がいた経験をお持ちでしたら、それを思い出だけで終わらせずに、教訓にすると良いかもしれません。そして「今の自分は周りからどんな風に見えているかな?」と見つめ直してみると、気づくことがあるかもしれません。
理不尽なことも多いこの世の中ですが、せめて自分は周りの人に少しでも優しくして、温かな世界を作っていきたいですね。

投稿者名

は * る

独自のユーモア溢れるセンスで数多くのフォロワーを抱える女性ツイッタラー。
実は神経質で几帳面なA型。「世間話をしていたつもりなのに、いきなりシリアスなカミングアウトをされがち」とのこと。
ちょっとシニカルながらも多くの人が親しみを覚える切り口で、なんとなく思っているけど言葉にできないことを呟くツイートが大人気。

Twitter:https://twitter.com/PlasterStar999

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