「誰かのため」だけではなく、「自分のため」の料理も大切にーーともさかりえさんとごはんの話

EAT-TALK いいトークは食べながら

2020.11.23

日々の「暮らし」を楽しむみなさんに、おいしいごはんを食べながら、リラックスして食にまつわるお話をうかがう「EAT-TALK」。今回のゲストは、女優のともさかりえさんです。

母の手伝いがきっかけで、料理が好きになったんです

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「グレープフルーツも、パルメザンチーズも大好きなんです。うれしい!」

美しさと可憐さを兼ね備えた素敵な笑顔が、お料理を見た瞬間にともさかさんの顔一面に広がり、現場の雰囲気は一気に和やかになります。

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昔から料理が好きだったというともさかさん。その背景には、料理上手なお母さんの存在がありました。

「母の手伝いをよくしていて、そこで料理の楽しさに気づきました。料理は“実験”みたいな側面があるじゃないですか。料理本を見て、その通りに作ったら本当にできた!という達成感、今でも鮮明に覚えています。それに、作った料理を“おいしい”と喜んで食べてくれた父や母の顔も印象に残っていて。幼い頃の私にとって、料理は、大切な人たちが喜んでくれるものだったんです。」

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料理は実験。たしかに、ほんの少しの手間を加えたり、調味料を加える順番を変えるだけでも、完成する料理の味は、驚くほどに変わります。

そんな「実験方法」がたくさん載っている料理本を眺めるのも、幼い頃からのともさかさんの趣味だったそう。

「暇さえあれば、料理本を読んでいました。好きなのは、有元葉子さんや山本麗子さん、藤野真紀子さんなど、ライフスタイルも含めて素敵だなあと思える方たちの本。お料理の写真を見て、“やっぱりカメラマンはこの人か!”と発見したりするのも楽しかったな。」

作るだけではなく、「見る」楽しみまで。料理のさまざまな側面の魅力に、幼い頃から惹かれていたといいます。

大好きなのは、母親が作ってくれたちらし寿司や豚汁

そんなともさかさんに、特に好きな料理について聞いてみると、「やっぱり、母親が作る料理が一番好き」という答えが。中でも、ちらし寿司や豚汁が大好物だったそう。

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「誕生日など、何か特別な日に母からリクエストを聞かれたら、いつもちらし寿司がいいと答えていました。にんじんや椎茸やかんぴょう、甘酢レンコン、錦糸卵など、具材はオーソドックス。昔から、酢飯のような、酸味のあるものが好きだったんです。」

豚汁に関しては、今、ともさかさんご自身が家でよく作る料理でもあるそうです。

「とにかく具だくさんなものが好き。豚肉、白菜、大根、ねぎ、ごぼう、椎茸、えのき……。えのきと白菜は必須です。それ以外は、冷蔵庫にあるものを適当に入れちゃう。味も好きですが、豚汁さえ作っておけば、あとはたいしたおかずじゃなくても良いかな、と思えるくらい栄養もたっぷりだし、主婦の味方ですよね(笑)。」

豚汁は、ともさかさんの息子さんも大好きで、よくリクエストされる料理のひとつでもあるのだとか。好きな料理は、世代を超えてつながっています。

息子の健康を守ることが、自分の健康にもつながっている

ともさかさんのお話の中には、何度も息子さんの話が登場します。現在高校1年生の息子さん。その存在は、ともさかさんの食生活に、大きな影響を与えているそうです。

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「今は、息子の健康を守ることが第一です。もし私がひとり暮らしだったら、自分のためだけにわざわざごはんを作るのは大変だし、仕事終わりに何も食べずに寝てしまう……なんてこともあると思うのですが、息子がいるから、ちゃんと作らなきゃって思えます。」

「息子の健康を支えることが、巡り巡って、自分の健康も支えている」と言うともさかさん。

……とはいっても、毎日ごはんを作るのは大変ではないのでしょうか? そう聞くと、ともさかさんからはこんな答えが返ってきました。

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「私にとって、毎食の献立を考えなくてはいけないことがいちばんの負担なんです。でも、彼は“これが食べたい”というこだわりがすごく強い人。ちゃんとリクエストをくれるから、それはそれで楽ですね。昨日も、仕事帰りにYouTubeのリンクが送られてきて、この作り方で作ったラーメンが食べたいと注文がありました。あまりにこだわりが強くて、ちょっと面倒くさいくらい(笑)。“お腹が空いているなら、なんだって食べれば良いのに!”とも思うのですが、どうやらそういうことではないみたいです。」

本当に面倒くさいんです、と言葉をこぼしながらも、「彼がね……」と息子さんのことを話すときのともさかさんの表情は、とても柔らかく、慈愛にあふれていました。「守るべき存在」から、少しずつ対等になっていく親子の関係。ごはんにまつわる会話からも、二人のそんな関係が感じ取れます。 

疲れた時は、自分のためだけに料理を。

女優のお仕事をしながら、日々母親として家事もこなす。そう聞くと、かなりストイックな生活のようにも思えますが、ともさかさんは自分のことを「全然ストイックではない」と言います。

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「適度に手を抜いていますよ。私は外食も大好きなので、息子にもよく“外食しようよ”と誘っています。彼は家で食べる方が好きなので、断られることも多いけど……。今日は、昨晩から“焼き鳥を食べに行こう”と息子と約束しているので、すごく気が楽です(笑)。」

何事も無理しすぎないことが一番、と言うともさかさん。少し疲れた日には、外食や出来合いのものを食べるといった「適度に手を抜く」以外にも、「自分のためだけに料理を作る」という息抜きの方法もあるのだとか。

「今は子どもがいるので、ごはんを作ることが“任務”になっています。自分が好きなものを作るというよりは、作らなくてはいけないものを作っている感じ。だから、疲れた時には、作らなくてはいけないもの“ではないもの”を作ります。自分の体が純粋に求めているヘルシーな料理とか、お菓子とか。」

最近は、かぼすなどの柑橘類を使った料理が、ともさかさんの中でのブームだそう。撮影で用意したグレープフルーツのサラダも、「私は大好きだけど、息子は食べないような料理で、家ではなかなか作れないからうれしい」と、喜んで食べてくださいました。

「誰かのため」ではなく、「自分のため」の料理が、ともさかさんの安らぎにつながっているのです。

ごはんは、プライベートでリラックスできる至福の時間

最後に、ともさかさんにとってごはんを食べる時間とは?と尋ねると、「とてもプライベートで、リラックスできる時間」という答えが返ってきました。

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それゆえに、食卓を囲むのは、誰とでもいいわけではないと言います。家族や友人など、本当に好きな人たちと、おいしいものを食べながら他愛もない話をする。その時間は、ともさかさんにとって、何よりのストレス発散であり、心地よい時間です。

大切な人との、日々の食事の時間を楽しむ。大切な誰かのために、ごはんを作る。時に疲れてしまった日には、自分のためだけに思いっきり料理をする──。

ともさかさんの自然で柔らかな佇まいは、そんな、毎日の「プライベートでリラックスできる時間」を大切にしているからこそ生まれるものなのかもしれません。

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ワンピース¥18,000(ノーク)/お問い合わせ先:ノーク 03-3669-5205


今回のごはんは・・・
白いごはんと柑橘類が好きだというともさかさんのために、「ごはんのおとも」4種と「トレビスとグレープフルーツのサラダ」を料理家の堀出美沙さんに作っていただきました。

ともさかりえ

1979年、東京都生まれ。92年のドラマデビュー以降、数々の作品に出演。近年の出演作に、ドラマ『ぬけまいる〜女三人伊勢参り』、映画『酔うと化け物になる父がつらい』、舞台『鎌塚氏、舞い散る』などがある。 CXドラマ『監察医 朝顔2』4話(11月23日放送)から桑原 忍 役でレギュラー出演。またMBSドラマ『そのご縁、お届けします』4話(11月24日放送)にも出演。

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取材・文:あかしゆか
撮影:中野修也(TRON)
ヘアメイク:北一騎
スタイリスト:斉藤くみ