週末、息子と伊東の旅に出る

編集部通信

LIFE STYLE
2022.02.02

旅は好きですか?

私は好きです大好きです。できることなら一年中、旅をして暮らしたいし、なんだったら遊牧民になりたい。小説『アルケミスト』の少年のように生きたい。

すきあらばすぐ、どこかに旅に出ていたような気がします。まったくお金が無かった学生の頃、ボロボロのスーツケースを転がしながら海外を旅をした日々が、原点になっているのかもしれません。

タイのスコータイで見た仏像の数々、カンボジアのプノンペンからシェムリアップへ向かうおんぼろバスから見た果てしなく続く地平線、水浴びをする牛たち。そして子どもたち二人を連れ三人で訪れたモロッコで、フェズからカサブランカまでの電車から見る景色が、それになんだか少し、似ていたこと。

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旅はいつも自分に、この世界は私が普段見ているものがすべてではないこと、そしてその土地ごとに、しあわせの形があることを教えてくれます。

だけどなかなか気軽に海外へ旅に出ることが難しくなったこの二年弱。我が家は時期を見ながら、都内の家から近場への「旅」に変わりました。

箱根も熱海も大好きですが、最近我が家が「ハマっている」場所。それが、伊東です。

そんなわけで今回の編集部通信は、伊東の魅力について、ひたすらに語る回です。

今回は、息子と二人で。

5年生の息子は、気づけば塾にサッカーに、とても多忙な毎日を送っていて、なかなか二人ででかける機会もありません。いつもはサッカーのコーチをしている夫と二人で行動し、私は娘と二人で行動することが多くなっていました。

そこで今回は、たまにはこのペアを替えてみよう!と、夫と娘(共に絶叫系アトラクション好き。私と息子は苦手。)は、富士急ハイランドへ、私は息子と二人で伊東の旅に出ることにしました。

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伊東の良いところその1。東京駅から踊り子一本で行くことができる。

我が家では運転は夫の役目で、私は運転ができないので、私が子どもたちと旅するときは必然的に、電車の旅になります。

そしてこの伊東という土地、都内から電車での交通の便がめちゃくちゃ良いのです。

東京駅からは乗換なしで、踊り子(特急)一本で行くことができます。

もしくは、JRのグリーン券を買って、窓辺から海を眺めながらゆっくり行くのも良い。もちろん経由地の熱海まで新幹線で出ることもできますが、私はのんびり普通電車で行くのが好きです。

行きはいつも、10:00の踊り子に乗ります。これに乗ると、12:00に予約しているランチの時間に、ちょうど良い。

伊東の良いところその2。駅前にだいたい、揃っている。

ごはんを食べるお店も、私たちがよく泊まるホテルも、なんなら海だって、駅から徒歩圏内にある。だから、10:00の踊り子に乗って11:45に伊東駅着、そのまま徒歩でホテルに向かい荷物を預けて、12:00からのランチにも間に合います。

img_editors_004-03駅前商店街にある「伊豆柏屋」さんのいでゆむし極上栗蒸羊羹。ほんとうに、極上です。

駅から近いとこんなに楽なのか…!と、電車で伊東へ行ってみて初めて気づきました。

箱根も大好きですが、例えば強羅のホテルだと、小田原から登山鉄道かバスに乗る必要があります。(それもまた楽しいわけですが。)でも伊東は電車一本で着いてしまうので、特に子どもと一緒の場合は気楽なのです。

伊東の良いところその3。なんせ、なんせ、なんせ、お魚がおいしい。

到着した日のランチはこちら。

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伊東の地魚もいただける、「すしの寿々丸」さん。家族でいくなら二階のお座敷が気楽ですが、せっかく息子と二人なので、一階のカウンターに。

銀座でお寿司、となると、小学生を連れて行くのはちょっと気が引けますが、伊東だと少し、気が楽。そうは言っても、ここは「THE・カウンター」のお寿司!壁に貼られたお魚に、値段は書かれていない!なので、まずは、セットを頼むのもおすすめです。バランス良く、いろんなネタが入ります。

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セットのほかに私が好きなのは、中トロ、金目鯛の味噌漬け(隣の方が頼んでいておいしそうだったので頼んでみたらほんっっとにおいしかった!)、トロたく(絶品!)、納豆(私はほんとうに納豆が好きでして…)、そして、がりんちょ!

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このがりんちょというお魚、板前さんいわく、このあたりの海でとれる深海魚(!)で、市場にはあまり出回らない魚だそう。わたしも伊東近辺でしか食べたことがない。でもこれが、おいしいのです。行ったらぜひ食べてみてください。

あとこのお店の良いところは、小さい子どもにはネタを半分に切ってくれたり、子どもにもすごく優しいところ。とは言っても、子連ればかり!というわけではなく、「大人のお寿司屋さん」の雰囲気にもあふれています。子どもの「お寿司屋さんデビュー」にもちょうどいいかもしれない。大好きなお店です。

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伊東の過ごし方。

お昼をたらふく食べたら、少しお散歩。海を目指します。

img_editors_004-08息子、11歳。石があればいつまでも遊んでいられる。

チェックインの15時まではまだ少し時間があるので、商店街をぷらぷら歩くことに。

img_editors_004-09レトロなお店構えが素敵な、湯猪本舗さん。

いつも伺う酒屋さん「今井商店」には、日本酒好きにはたまらない銘品がそろっています。こんなレアなお酒が普通に置いてあるなんて…!ということもしばしば。

img_editors_004-10今回は「田酒」を買ってお宿でいただきました!

宿にチェックインして、お風呂に入って一休み。

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私は基本的には、お宿にこもるタイプの旅が好きです。海外のリゾートでも、沖縄でも、温泉でも、とにかくお宿でひたすら本を読む。それが私にとって一番好きな旅のスタイルです。

でも、ここ伊東では素泊まりにして、ごはんは外でいただくことが多いです。なぜならとにかく伊東駅周辺にはおいしいお店がたくさんあるから。お宿のごはんももちろんいいけれど、おいしいものを求めてぷらぷら歩くのがまた、楽しい。

今回の夜ごはんは、そんな風にぷらぷら町を歩きながら気になったお店。「旬の味たなか」さん。

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小上がりのお座敷があって、ここではお子さんを連れた家族連れもたくさん。一方カウンターでは、熟年のご夫婦が竹に入った日本酒をゆっくり飲んでいらっしゃったりして、とても良い雰囲気。

子どもも大人も、一緒においしいものを楽しめるのが、伊東の良いところかもしれません。

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ここではぜひ、むつの幽庵焼きを!!お箸をいれたらほろっと崩れ、でも食べごたえしっかり。私はこれを食べるためだけに二時間電車に揺られて伊東に来たっていい。と、いつも思います。

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あとここは、あこがれの「カウンターに並ぶおばんざい」が楽しめます。ドラマ『相棒』を見ては、私も大人になったら、こういう風にカウンターに並ぶおばんざいを少しずつ食べながらお酒を嗜むお店に通うものだと思っていました。

が、今の所そんなお店は見つかっていません。だいたい、子どもがいるとそんなお店に通うこともままならない。でもそれが、ここ伊東ではかなってしまうのです。今回は大皿から選んだ盛り合わせを。

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ああ、おいしい。誰かが作ってくれた「家庭料理」ほど、おいしいものはないのかもしれません。

ビールと焼酎でごきげんになって、お宿へ。

息子に「宿題はちゃんとやってね♡」と、そこは冷静に告げ、私はちょっと仕事をし、二人ともやることが終わったら、さてお楽しみの時間。田酒を飲みながら……

桃鉄。

負けた。

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だいたい私はこの桃鉄で、春先は調子が良いものの、いつのまにか調子を落とし、気づけば最下位に…という、愛するヤクルトスワローズというチームのような道を歩みます。

しかし!!!!!2021年は!!!!!ヤクルトは!!!!!日本一に!!!!!!なったのです!!!!!!!!!

ありがとうございます、みなさまのおかげです。なんせ私はこの編集部通信の初回で、「今年はいける気がする」と書いたのです。…ほんとにいけると思っていたかどうかはさておき。

…なんの話だっけ。

img_editors_004-17商店街のレトロなヴィンテージショップで買ったトートバッグ

二日目も、たくさん食べる。

翌日は朝から、こちらへ行きます。「杉国商店」さん。ここの干物がほんとうううううに、おいしい。夏に来ると海水浴帰りのお客さんも、ちらほら。暑い季節は外の席がおすすめです。

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ごはんセットにもできるので、食べざかりの息子はごはんセットに。私は干物を少しずつ頼み、お酒と一緒にいただくのが好きです。もう、朝からウーロンハイ飲んでしまいます。

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あと、ねこがかわいい。

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今回は、“裏メニュー”の「金目鯛の干物キッシュ」も!!

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「あじピザ」も絶品。「WASAFURU」(わさび版タバスコ…?)をかけていただきます。

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さて、おなかがいっぱいのはずなのに、伊東へ来たらここは欠かせない。「喫茶わかば」さん。

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ここのソフトクリームは絶品です。何度食べても、新鮮に「あれ、こんなにおいしかったっけ…?」と、思います。ヤクルトの坂口智隆選手の外野の守備を何度見ても新鮮に「あれ、こんなにかっこよかったっけ…?」と思うのと同じですね。

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はじめてのみかん狩りへ

まだまだ時間があったので、息子がお宿のポスターを見て「行きたい…!」と言っていた、みかん狩りへ行くことに。調べてみると、隣の宇佐美駅から徒歩で行ける場所にみかん園があるようなので、電車に揺られて行ってみました。

img_editors_004-25駅にヤギがいた。

農園のおじさんが一人で迎えてくれた農園は、思っていたよりもずっと広くて、なんだか開放的。

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「ここからここまで好きな木のみかんを取って、好きなだけ食べていいよ!この袋いっぱい持って帰っていいから、上手に詰めてね」と、親切な農園のおじさん。

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みかん大好きの息子は、大喜びでみかんを食べ比べ、いちばんおいしい木をみつけて、そこのみかんをたくさん狩っておみやげに持って帰りました。

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私は学生の頃から一人旅が好きだったのですが、息子が生まれてからしばらくは、二人でよく旅に出るようになりました。

二人で行った宮古島では、まだ歩き始めたばかりの息子をベビーカーにのせて、ビジネスホテルから海までゆっくりお散歩しました。息子が寝てくれたら、ベビーカーをとなりにとめて、ビーチで一人で本を読んで過ごしました。

だけどこの伊東の旅では、息子は海までの道を私より早く覚え、私の前を歩き、ビーチでは二人で並んで本を読みました。

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時間は、あっという間に過ぎていきます。

気づけば、息子と二人で並んで、こんなにたくさんの話をしたのはほんとうに、久しぶりのことでした。

そういえば宮古島へ二人で行ったときは「息子がとにかく全然食べない」ということで悩んでいました。ホテルの朝食ビュッフェで、ひたすらバナナだけを食べていた息子。だけどあの、全然食べなかった息子(あまりにも食べなくて「離乳食芸人」と名付けてTwitterでよくつぶやいていた…)も、今は私とおいしいものをにこにこ一緒に食べてくれます。

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子育ての悩みは、その時々によってまったく変わります。今だって子育ての悩みはほんとうに絶えないけれど、それも、あとから思い返せばなつかしく思うのかもしれない。(そのさなかにいるときは、なかなかそんな風には思えないけれど。)

久々に二人で並んで、おいしいものをいっぱい食べて、そんな風に思いました。息子もこの旅をいつか、思い出したりしてくれるだろうか。覚えていてくれるだろうか。いや、忘れてしまっても全然いいから、それでもなにか、あたたかいものが残ってくれるといい。また行こうね、一緒に行ってくれてありがとう!

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