ごぼうのきんぴら/ごぼうと蒸し鶏のサラダ/ごぼうのカリカリ

五感をひらくレシピ #21

2021.11.26

「五感をひらくレシピ」を、自炊料理家の山口祐加さんに教えてもらうこちらの連載。今回のテーマは、「ごぼう」です。「ごぼうは香りの野菜」だという山口さん。香りを楽しむ、ごぼうが主役のレシピ三種。日持ちがしてアレンジもできる、覚えておくとうれしいレシピです!


日々の献立を考えるとき、まず「旬の食材の中から、何を食べたい?」と自分に聞いてみる。この時期だと、豚汁の中に入っている野菜はほとんど旬の野菜になる。

旬の野菜を食べる一番の理由は、その季節を今生きていることが手に取るように感じられるからだ。昨年外出ができなくなった時、産直やスーパーマーケットに行くと、その季節らしい野菜が並んでいて「もうすぐ次の季節が来るんだな」と感じた記憶がある。

また、旬になると収穫量が増えて野菜が安くなり、お財布にやさしい。加えて、秋冬野菜は体を温めるなど、身体が欲している栄養や作用をもたらしてくれて、いいことしかない。これが旬の野菜の魅力だ。

この時期になると、土の香りがぐんと立つ「ごぼう」が食べたくなる。春や夏にはごぼうの名前すら頭に浮かばないのに、秋になるとごぼう入りの豚汁が食べたくてうずうずしてくるから不思議。今回はごぼうが主役の料理を3種類ご紹介したい。

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ごぼうは日本で古くから食べられてきた野菜だけれど、実は食用として食べている国はほぼ日本のみ。最近は健康効果が注目されて、中国や台湾でも食べられるようになっているとか。確かに中華料理の味付けとごぼうはとても相性が良さそう(甘酸っぱい炒めものとかおいしそう)。

ごぼうを選ぶとき、泥付きにするか洗いごぼうにするか、悩ましいところ。泥を落とすのをめんどうに感じていつも洗いごぼうを買うけれど、今回は「五感をひらくレシピなのだから」と泥つきを買ってみた。

手でごぼうをこすりながら洗ううちに、ざらっとした触感のごぼうが現れる。ごぼうの皮はたわしで擦ったり包丁でこそげたりせず、皮にある香りを残すために手で洗うだけで終わり。

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改めてごぼうの表面を見てみると、象の足のようだ。根菜類の中でも、こんなに「根っこらしい」野菜はなかなかない。ごぼうを最初に食べようと思った人はすごいなと思う。匂ってみると先ほどまで泥に包まれていた、土の香りがする。では料理してみよう。

ごぼうのきんぴら

きんぴら界の王者と言ってもいいほどの「ごぼうのきんぴら」は私もよく作る。彩りににんじんやれんこんを入れることもあるが、それよりもごぼうの味そのものを味わうために、ごぼうだけで作ることの方が多い。今回は究極にシンプルなレシピで作りたい。

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ごぼうはささがきではなく、千切りにして作る。私がせっかちなせいか、ささがきの作業が昔からどうも苦手でいつもまな板の外に飛び出してしまうので、千切りに落ち着いた。

ごぼうを斜めに薄切りしてから、重ねるように並べ切っていく。こうすると、繊維を断ち切っているので柔らかくなって食べやすい。細く切ることにこだわる必要はまったくないけれど、細く切ると達成感があるのと、ごぼうが細いだけで玄人っぽい仕上がりになるので元気がある時は細く切る。

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フライパンにごぼうを加え、ごま油と米油を半々加えて炒めていく。3〜4分あまり触らずに炒める。炒めている途中、熱気とともにごぼうの香りが立ってくるのがいい香り。

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全体に火が通ったら、みりん:醤油=1:1で味をつける。この時、追加で砂糖を加えたり、もしくはみりんの代わりにすべて砂糖で作ると甘めの味付けになり、昔ながらのきんぴらになる。

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口に運び、噛み締めながら食べると、力強い、野生味溢れる香りが広がる。生には生の食感のよさがあるが、火を通すことでより香り高くなり、食べ方の幅も広がる。改めて「料理する」って大事な行為だなと思う。

この素朴なきんぴらは主役級の風格はないが、副菜として食べることの方が多いので、これくらい控えめな仕上がりが好み。汁気がないので冷蔵庫で5日ほどは日持ちするし、お弁当にも使える。ごぼうのきんぴらは昔から食べられてきただけあって、優秀な料理だと改めて感じた。

ごぼうと蒸し鶏のサラダ

ごぼうサラダが大好物である。そして私が作るごぼうサラダは、必ずきんぴらを経由する。紹介したごぼうきんぴらを薄味にしておくのは、サラダにアレンジすると決まっているから。一回で二度おいしいに越したことはない。

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以前ご紹介した蒸し鶏を作っておき、手でほぐしてきんぴらとマヨネーズ、レモンで和える。

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ごぼうの香りがマヨネーズでコーティングされていて食べやすく、蒸し鶏の柔らかい食感とごぼうのシャキシャキ食感のコントラストが絶妙。レモンの酸味が味を引き締めていて、無限に食べられる。バケットなどハード系のパンに挟んでサンドイッチにするのも味わい深い。

ごぼうのカリカリ

昔食べた居酒屋のサラダに、どっさりとカリカリごぼうが乗っていた。ささがきごぼうを揚げただけのものだが、これだけもっとちょうだい!と思うほどごぼうの香りが良く、パリッとした食感に手が止まらなくなった。

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作り方はごく簡単で、ピーラーでささがきにしたごぼうをフライパンに入れ、少なめの油で揚げ焼きにしていく。

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3〜4分、弱めの中火でたまに混ぜながらカリカリ食感になるまでゆっくり火を入れる。

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出来上がったごぼうのカリカリは、手づかみで口に運ぶ。いっぱい食べようとすると、口につっかえるのもまた一興。カリカリ、パリパリとした食感とともにごぼうの香ばしさが味わえる。そのまま食べてもおいしいし、塩やカレー塩などお好みの味付けで。

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作った半分は残しておいて、サラダのトッピングにするとごちそう感がプラスされる。

ごぼうのポタージュ、ごぼうの甘辛揚げ、鶏ごぼうごはん…今回は紹介できなかったごぼうの料理もたくさんある。そのどれも、香りが印象的で「ごぼうは香りの野菜」なのだと感じた。この香りを活かすレシピはまだまだ探りがいがありそう。今年の冬はごぼう三昧の食卓にしてみたい。

山口祐加

自炊料理家、食のライター。共働きで多忙な母に代わって、7歳の頃から料理に親しむ。出版社、食のPR会社を経て2018年4月よりフリーランスに。日常の食を楽しく、心地よくするために普段は一汁一菜を作り、ハレの日は小さくて強い店を開拓する。料理初心者に向けた対面レッスン「自炊レッスン」や、セミナー、出張社食、執筆業、動画配信などを通し、自炊する人を増やすために幅広く活躍中。好物は味噌汁。
Voicyにて「山口祐加の食べラジオ」を配信中。

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