100個は食べたい海苔フリット

アイスム × note「私のイチオシレシピ」 #6

FOOD
2022.11.16

アイスムとnoteによる「#私のイチオシレシピ」コンテスト第二弾を開催し、今回も四名の受賞者を選ばせていただきました。おいしそうな料理のレシピはもちろん、誰のために、どんな日常の風景で作るのかなど、一人一人の料理に込められた物語をぜひ楽しんでくださいね。

今回は、イタリア料理をベースにした肉料理店のシェフ、doriokun/綴る料理人さんのエッセイ「100個は食べたい海苔フリット」です。揚げ物をする親心と子の想いを軽快に綴っています。3ステップで作れる海苔フリットは必見のレシピです。


先日、6歳の娘のかねてからのリクエストに応えて、家で「海苔フリット」を作ることにしました。

娘が言う海苔フリットとは「ゼッポリ」というイタリア料理のことで、以前、私が働いているレストランで食べてから、ことあるごとに食べたいと言うようになったのです。

ゼッポリは南イタリア、ナポリの名物料理で、ピザ生地に生青のりを練りこんで油で揚げた、一口サイズの揚げパンのような料理。

サクッ、フワッ、モチッとした食感が特長で、スナック菓子のような感覚で食べることができる、とても手軽なイタリア料理なのです。

img_ichioshi_006-01

作り方もいたって簡単。

「材料を混ぜる」、「生地を発酵させる」、「揚げる」という3ステップだけでできてしまいます。
生地を発酵させるのに1時間から1時間半くらいかかりますが、実質の仕込み時間は3分くらいなので、完成させたい時間からの逆算さえできれば、特に大変なことは何もありません。

と…頭では分かっていても、やはり面倒くさいと感じてしまうのが揚げ物。

揚げ物をした後のコンロ周りの掃除や、油の処理などを考えてしまい、どうしても腰が重くなってしまうのです。

娘からは「海苔フリットが食べたい!」と何回もリクエストされていたのですが、その度になにかと言い訳を作っては、先延ばしにしてきてしまいました。

しかし今回、しびれを切らした娘から、
「ねえ、一体いつになったら海苔フリット作ってくれるの?」

と言われてしまったので、重い腰を上げてしぶしぶ作ることにしたのです。

img_ichioshi_006-02

海苔フリット


材料(約40個分)

  • 強力粉…75g
  • 薄力粉…  38g
  • ドライイースト… 1.5g
  • 塩… 2g
  • 生青のり… 30g
  • ぬるま湯…75cc
  • オリーブオイル… 少々

作り方

1. 材料を混ぜる

まずはボウルに小麦粉、ドライイースト、塩を入れて、フォークを使ってよく混ぜます。

そこに生青のり、ぬるま湯、オリーブオイルを加えて、そのままフォークを使って全体を混ぜていきます。

ある程度混ざったら、ゴムベラに持ち替えて粉気がなくなるまでしっかりと混ぜます。

2. 生地を発酵させる

生地がまんべんなく混ざったらラップをして、温かい場所に置いて発酵させます。

イースト菌は35℃前後の温度帯で活発に働くので、できれば30〜35℃の場所に置けるとベストです。

そのまま放置で1時間から1時間半。生地が2倍に膨らんだら発酵完了です。

3. 揚げる

揚げ油を170〜180℃に熱して、生地をスプーンですくい取って揚げます。揚げ時間はだいたい1〜2分。表面がサクッとなって、持ち上げた時にフワッと軽く感じたらよい頃合いです。

生地を油に入れるとブワッと一回り大きくなるので、すこし小さめにすくい取って、丸っこくなるように揚げるのがコツ。

網の上にあげて油を切ったら、塩(分量外)で味付けをして出来上がり。

img_ichioshi_006-03

娘に食べさせる前に、まずは味見がてら、お先に一ついただきます。

「熱いっ、けどおいしい〜。」

サクッ、フワッ、モチッという食感と共に、ほどよい海苔の香りがフワーっと鼻に抜けていきます。

やっぱりコレにはビールでしょ、そう思った私は、さっそく冷蔵庫からよく冷えた缶ビールを取り出して、プシュッといただきます。

そして、海苔フリットをもう一つ口に放り込んでから、テーブルで待つ娘のもとへと運んでいきます。娘は目の前に海苔フリットが置かれると、待ってました!と言わんばかりに、すぐにペロリとたいらげました。

わが家の揚げ物用の鍋はとても小さいので、一回で揚げられる海苔フリットはせいぜい8個くらい。私は、8個揚げたら娘が待つテーブルへ運び、再びキッチンに戻っては、また8個揚げるということを繰り返していました。

すると娘が言いました。

「おいしすぎて全部食べちゃうから、パパの分はないからね。」

私は全部食べられてたまるものかと、ビールを片手に、キッチンでこっそり何個もつまみ食いをしていました。

しかし、海苔フリットの生地が残りわずかになってきた時、

「あぁ、あと100個くらい食べたいなぁ」

と言う娘の声が聞こえてきました。

私はつまみ食いをする手を止めて、残りの海苔フリットを全部娘にあげることにしました。

おそらく私が想像していたよりも、娘はこの日を楽しみに待っていたのだと思います。

こんなにおいしそうに食べてくれるのなら、もっと早く作ってあげれば良かったな…そう思いながら飲む二本目のビールは、ほんの少しだけ海苔の香りがするのでした。

img_ichioshi_006-04

doriokun/綴る料理人さんのnoteはこちら


【note × アイスム】投稿募集企画 第4回を近日開催!
創作をする人、それを応援する人のためのメディアプラットフォーム noteにて、これまで「#私のイチオシレシピ」「#うちのカレー」など投稿募集企画を実施してきました。近日中に、第4回も開催予定です!続報をお待ちください。

この記事をシェアする

編集:佐々木沙枝
イラスト:東麻マユカ

アイスム座談会