バスマティライスを買いに新大久保まで。パラッパラ炒飯レシピ

アイスム × note「私のイチオシレシピ」 #7

FOOD
2022.12.02

img_ichioshi_007-01

アイスムとnoteによる「#私のイチオシレシピ」コンテスト第二弾を開催し、今回も4名の受賞者を選ばせていただきました。おいしそうな料理のレシピはもちろん、誰のために、どんな日常の風景で作るのかなど、一人一人の料理に込められた物語をぜひ楽しんでくださいね。

今回は、自宅で料理教室を開催し世界の家庭料理を教えている、エンタメ料理専門家 Kaoliさんのエッセイ「バスマティライスを買いに新大久保まで。パラッパラ炒飯レシピ」です。
新大久保にあるイスラム横丁と各国のお米についての魅力を綴っています。自宅でも作れる、本格的な炒飯はぜひ試してほしい一品です。


コリアンタウンだけじゃない!「イスラム横丁」の魅力

新大久保といえば、コリアンタウン。

韓流好きな若者たちで賑わいを見せ、食のトレンドも次から次へと誕生。「いつ行っても活気のある場所だなあ」とちょっと感動します。

でも実は新大久保の真の魅力は、ほかにもあります。ハラル食品などを販売するお店が多い、通称「イスラム横丁」と呼ばれるエリア。

東南アジアやインド、パキスタンなどの食材、調味料、米、スパイス類の専門店が多数あるんです。いつも大量に買い込んでは「重い重い」と電車に乗る羽目になるので、「次はでっかいスーツケースを持参しよう」と思うほど(でもいつも忘れる…)。

力説したいおすすめ品はいくつもあるのですが、今回は、このイスラム横丁で買えるバスマティライスのお話です。

img_ichioshi_007-02

わざわざ新大久保でお米を買う理由

なぜ、お米だけのために新大久保まで行くのか。それはバスマティライスが特別すぎて、ほかの米では代用できないことに加えて、イスラム横丁の物価がびっくりするくらい安いからなんです。例え重くても、(運ぶのは夫だけど)買いたくなってしまう。

そして、「新大久保での買い出し(および食べ歩き)」自体がとてもとても楽しいので、わざわざ行く価値は十分すぎるほどあるのです。

私がいつもバスマティライスを買うのは、新大久保駅から徒歩2分ほどの「NASCO ナスコ」というお店。改札口を出て大久保通りを渡り、マツキヨがある路地を入ってすぐのところにあります。緑の看板が目印です。

並びには「NASCO FOOD COURT」があり、スパイシーで美味なチキンBBQ(しかも1本150円)や、ビリヤニ、肉がたっぷりすぎるケバブサンドなどを提供しています。まずはここで腹ごしらえをするのがお決まりのコース。幸せな満腹感を抱えて、右隣にあるNASCOの食材部門「GREEN NASCO」へと入店します。

ここは、スパイスやハーブの種類が大充実。しかも、何度も言うけど、安い。パキスタン人やインド人のお客さんに混ざって、小一時間は余裕で楽しめるくらいにいろんなものがぎっしりと並んでいます。

ちなみに、イスラム横丁北の端っこにある、香辛料を取り扱う専門店「THE JANNAT HALAL FOOD(ジャンナット ハラルフード)」もかなりディープでおもしろいです。

スパイスの種類はNASCOよりJANNATのほうが豊富かな?バスマティライスに関しては、NASCOのほうが若干安い場合が多いかも…とにもかくにも、どちらもくまなく見て回るのがおすすめです。本当に楽しいので。

バスマティライス、何がそんなに魅力的なの?

常日頃から「お米は絶対バスマティで!」と決めているわけではもちろんありません。

最近のお気に入りはほうじ茶で炊いた茶粥だし、ちらし寿司や肉寿司、おにぎりも好き。焼き魚、味噌汁、漬け物に炊きたてのごはんがあれば「日本人でよかった〜」としみじみ思います。和食には、日本のお米がベストだと私は思います。

一方で、日本の家庭って意外と「和食」以外の料理を作る機会も多いですよね。例えばそれが「ごはんもの」だとしても、インドカレーにグリーンカレー、リゾット、炒飯、ピラフなど、いろんな国の米料理が浸透しています。

日本で食べているジャポニカ米は「短粒種」ですが、実は、世界の主流は「長粒種」のインディカ米。中国もタイもインドもイタリアもスペインも、お米の種類がそもそも日本とは違うのです。

和食には「日本の米」が一番しっくりくるかもしれませんが、逆に和食以外の料理であれば「その国の米」のほうが相性がいいんですよね。

長粒種と短粒種は、単に米の形(長さ)が違うだけ、ではありません。

例えば、ジャポニカ米は粘り気があって、ふっくらツヤツヤに炊きあがるのが魅力ですが、インディカ米はパラパラッとしていて粘り気が出ません。日本で知名度が高いインディカ米といえば、ジャスミンライスですが、これはさらりと汁気の多いグリーンカレーのおいしさを際立てます。また、「香り米」ともいわれるくらいの独特の芳香は、スパイスと好相性で食欲をそそります。

さて、お待たせしました。今回のテーマであるバスマティライスがこちらです。

img_ichioshi_007-03

ジャスミンライス以上に米粒が長く、「世界で一番長いお米」とも言われます。

香りもジャスミンライスを上回るとされ、「香り米の最高峰」という異名を持ちます。そもそもBasmatiという名称は、”香りの女王”というヒンディー語に由来するのだとか。

玄米そのものに若干の香りがあるそうですが、さらに香りを引き出し、パラッとした食感もより際立たせるため、収穫後は必ず倉庫で数か月熟成させてから市場に出します。

日本では新米が重宝されますが、バスマティライスは熟成期間が長いほど価値があるのです。ところ変われば、ですよね。おもしろいです。

スパイスカレーを始め、あれもこれも劇的においしく!

インドやパキスタンの人々にとっては、バスマティが日常食。炊きあがってからお湯を捨てる「湯取り法」で炊きます。

水気や粘り気がなく、ぱらぱらっと炊きあがるバスマティライスは、汁気の多いカレーとも相性抜群。ビリヤニなんかも、バスマティの風味があってこそ成立する料理だと思います。

わが家でバスマティライスを使う料理を挙げてみると、こんな感じ。

◆スパイスカレー

img_ichioshi_007-04

◆ビリヤニ

インドとアジアの食材や雑貨を取り扱う「ティラキタ」で扱っている、ビリヤニの素はけっこうおすすめです。私はインドには行ったことがなく、マレーシアのインド料理屋で食べたビリヤニが非常においしかったので、ティラキタでもマレーシアのものを買っています。

新大久保に行けば本場のビリヤニの素もいろいろ売っていますので、店員さんにおすすめを聞いてみるのもいいですね!

◆ジャンバラヤ

img_ichioshi_007-05

「ジャワティーに合う料理コンテスト」でグランプリを受賞したこともあるジャンバラヤ。

この料理に使うスパイス類は新大久保で買っています。めっちゃ安くてなんでも揃うので、ほかでは買えなくなっちゃいました。

◆リゾットを詰めたロールキャベツ

img_ichioshi_007-06

え?ロールキャベツにバスマティライス?

そうなんです。リゾットを詰め物にしてみたんですが、イタリア産の米(カルナローリ)は日本で買うとお高い。かといって、リゾットを日本の米で作ると、どうしてもべちゃっとします。そこでバスマティライスを使ってみたらなんとまぁ!大変おいしくできました。

ちなみに、カルナローリは「中粒種」で、日本米より粒が大きくて硬いお米です。形が崩れにくく水分量も少ないのでスープを吸いやすい。だからリゾットに向いているんですね。

「ベチャッとしない」「味がしみこみやすい」という点でバスマティライスはリゾットにもいけちゃいます。同じ理由で、パエリアにもおすすめです。

ロールキャベツにせず、中のリゾットだけでも非常においしいです。

お試しあれ!バスマティ炒飯レシピ

img_ichioshi_007-07


材料(4人前)

  • バスマティライス…2合
  • 長ねぎ(白い部分)…1本分
  • チャーシュー…適量(お好みでたっぷりどうぞ!)
  • 卵…2個
  • ごま油…大さじ3
  • 中国の醤油「老抽」…大さじ2〜3
  • 塩・こしょう…適量

img_ichioshi_007-08

作り方

下準備
・バスマティライスを炊く。
・長ねぎはみじん切りに、チャーシューは角切りにしておく。
・卵はしっかり溶いておく。

1. フライパンにごま油を入れて熱し、長ねぎを炒める。溶き卵を加えてふわっと炒め、チャーシューも加えてさらに炒める。
2. 炊けたバスマティライスを加え、醤油、塩、こしょうで味付けしたら出来上がり!
img_ichioshi_007-09

以前は、味付け用に、何年も愛用している鹿児島の甘い醤油「かねよ 母ゆずり濃口」を使っていましたが、(これもおいしいです)おすすめは中国のメジャーな醤油である「老抽」。

中国料理用の調味料ブランド李錦記からも出ていて、Amazonやヨドバシドットコム、スーパーでも普通に買えます。

老抽は、ほんのり甘味があって、重宝します。塩味は控えめなので、お好みで塩とこしょうを加えてくださいね。シンプルな味付けだからこそ、米のおいしさが際立ちます。見事にパラパラッとしていて、絶妙にうまい!

おいしいだけでなく、作るのもジャポニカ米より簡単です。炒飯って「重たい中華鍋をぐわんぐわん振るわないとパラパラに仕上がらない」というイメージがありますよね?

なので私は「鍋を振らなくても絶対にパラッと仕上がるバスマティ炒飯」に出合うまで、「自宅できちんと炒飯」はあきらめていました。

ところが中国の炒飯について調べたところ、日本の五目炒飯の原型にもなったといわれる「揚州炒飯(ようしゅうチャーハン、またはヤンジョウチャオファン)」は細長い米で作られているのです。

最近の中国ではジャポニカ米が一種の「ブランド米」としてもてはやされていますが、元来の炒飯はパラッとした長粒種で作るものだそう。

だから炒飯にもバスマティライス。鍋を振るう必要はまったくなく、テフロン加工のフライパンでも見事にパラパラッと仕上がります。失敗知らずでめちゃうまです!

img_ichioshi_007-10

Kaoliさんのnoteはこちら


img_noteotsumami_banner

【note × アイスム】投稿募集企画 第4回開催中!
創作をする人、それを応援する人のためのメディアプラットフォーム noteにて、これまで「#私のイチオシレシピ」「#うちのカレー」など投稿募集企画を実施してきました。
第4回は「#おつまみレシピ」を募集中!(12月31日まで)
すてきな作品はアイスムのWEBサイトにも掲載いたします!たくさんの投稿をお待ちしております。

詳細はnoteの募集記事をご覧ください!

この記事をシェアする

編集・構成:佐々木沙枝

アイスム座談会