親も子も幸せになれる特効薬〜ハグをしよう!〜

六車奈々の子育てコラム「あいことばは、まあいっか」 #7

2020.08.07

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7月から、娘の保育園登園を再開しました。早い段階から自主的に休んでいたので、かれこれ3ヶ月ぶりの保育園。
登園再開の前夜、娘を膝に乗せてお話しました。

「せりちゃん、明日は久しぶりに保育園だね。楽しみだね!」
「はずかしいなぁ。てれちゃうなぁ。」

娘はモジモジして答えました。

「そうだねぇ。久しぶりだと、ちょっとドキドキしちゃうよね。じゃあさ、お友だちのお名前覚えてるかな。お母さんと一緒に言ってみよっか?」
「うん!ぜんぶで10人だよ!ユイちゃん、アキちゃん……」
「すごーい!全員覚えていたねぇ。明日はみんなに会えるよ。嬉しいね!よぉし。寝るぞ!」

二人でベッドに入り、電気を暗くして、いつものように頭を撫で撫で。
しかし……寝られない!!!!!

久しぶりの保育園。
嬉しくもあり、恥ずかしくもあり、ちょっとドキドキで、なかなか寝られません。
ようやく寝られたのは、深夜0時をまわってからでした。

翌朝、

「せりちゃん、おはよう!今日は保育園だよ〜!」

その言葉を聞いて、娘はパッと飛び起きました。

「なんか、てれちゃうなぁ。」

と、開口一番。
その後も、「てれちゃうなぁ」を連発しながら朝ごはんを食べて、ヘアスタイルを決めて、元気に家を出ました。


ところが、だんだん保育園が近づいてくると、

「ママ。ちょっとゆっくり歩いて。」

娘は、歩くペースを落としました。

「はずかしいなぁ。」

モジモジしながら、立ち止まる娘。

「そうだね。久しぶりだと、ちょっと恥ずかしいよね。」
「・・・・・。」
「せりちゃん。実は、お母さんも今日、久しぶりのロケなんだよね。ほら、ずっとおうちカメラで撮ってたでしょう?だからお母さんも、ちょっとドキドキ。お互い、楽しんでこようね!」

何を言っても、気が進まない様子。
保育園に到着し、しぶしぶ門の中に入りました。すると、

「せりちゃん!」

娘の姿を見つけたお友達が、嬉しそうに駆け寄ってきてくれました。さらに、

「せりちゃん、久しぶりだね~!」
「せりちゃん!大きくなったねー!」

次々と、優しく声をかけてくださる先生方。


『まさか、こんなにも温かく迎えてもらうとは!!』(→娘の心の声)

さっきまでの恥ずかしさは、どこへやら。
娘は、嬉しさのあまり体をクネクネさせて、ニコニコ顔。
そして私に「バイバイ!」と手を振り、お友達とさっさと中に入っていきました。


え?!こんなアッサリ行っちゃうの?
「ママ~!!!」と、別れ際に泣くと思ったのに。私の方が、寂しいやないかい(笑)。


娘も成長したなぁ。
大きな喜びと、ちょっぴりの寂しさ。

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こうして娘の保育園生活は再開しましたが、まだまだ心も未熟な4歳児。初日と二日目は楽しく過ごしたものの、三日目にはイヤがってしまいました。
「ママと一緒にいたい。」
そういって涙を流し、しがみつく娘。
しかしここは、頑張ってほしい。
娘の気持ちが落ち着くまで抱きしめて、送り出しました。

仕事を終えて急いでお迎えに行くと、
「保育園楽しかったー!」
と、ニコニコ顔の娘。


『お友達と遊ぶのは楽しいけれど、ママともずっと一緒にいたい。』
4歳児なりに、心が揺れ動きながら、環境の変化に慣れようとしているんだなぁと思いました。


環境の変化は、幾つになっても、心身ともにエネルギーが要るもの。それが幼い子供なら、尚更です。


子供が新たな環境に慣れようと頑張っているとき、その反動で、家ではいつも以上に甘えんぼになったり、ワガママになったりするかもしれません。
そんな時は、ぜひ、思いきりお子さんを抱きしめてあげてください。
子供にとって、大好きなパパやママのハグは、どんなことよりも子供の心を安心させ、満たしてくれます。

ハグこそ、子供が安心できる特効薬

私が保育士試験の勉強をしていたとき、
『子供の心の安定や心身発達には、スキンシップが非常に重要である』
と学びましたが、先日、それが科学的にも実証されました。


東邦大学医学部解剖学講座の吉田さちね助教と船戸弘正教授らの研究グループ(東京大学、大阪大学との共同研究)は、親子のハグにより、双方がリラックスすることを実証しました。(2020年4月6日、雑誌『iScience』にて発表)

100組以上の親と0歳児のペアに、まずは母親に乳児を

  • 軽く縦抱きする
  • かわいいと思ってぎゅっとハグする
  • そのまま走れるくらい力強く抱きしめる

という3つの抱き方で20秒間行ってもらい、心拍間隔の増加率を比較しました。

その結果、母親から「かわいいと思ってぎゅっとハグ」された時は、他の2つと比べて心拍間隔の増加率が高くなり、乳児がリラックス状態であることがわかりました。

また父親のハグでも調べたところ、母親とは手の大きさや体格が違っても、母親と同様の結果が示されました。
一方、初対面の女性がハグした場合は、両親がハグしたときと比べて、乳児の心拍間隔の増加率は下がりました。

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出典:東邦大学

つまり、両親がいつもの強さでハグすると、乳児がリラックスすることが示されたのです。

ちなみに生後4ヶ月以前の乳児では、このような結果が認められなかったことから、生後4ヶ月間での乳児の発達や、両親との関係性の成熟を示すと考えられています。

ハグは、パパとママの心もリラックス!

さらにアンケート調査では、9割以上の両親が「自分の子をハグすると安心する」と答え、実際の調査でも、両親ともに自分の子をハグすると、心拍間隔の増加率は高くなり、リラックスすることが示されました。


『20秒のハグ』は、子供だけでなく、親も幸せな気持ちになれるということ。
実際、私も娘をギュウっと抱きしめると、心から幸せな気持ちになれます。


お子さんが不安や緊張状態にあるときには、ぜひハグをしてあげてください。
大好きなパパやママにギュウっとハグをしてもらうと、子供は心から安心します。安心できると、子供はまた勇気を持って、新しいことにチャレンジができます。

また、パパやママがちょっとイライラしちゃったときも、ぜひハグをしてみてください。子供をギュウっと抱きしめると、本当に不思議ですが、心がポカポカに。穏やかで、幸せな気持ちになれますよ。

もちろん、何もなくても毎日たくさんハグをすれば、心が『ほわっ』と幸せになれます。


20秒のハグ。
たったこれだけで、親も子も心がリラックスするなんて、凄いですよね。
私の場合、「せりちゃん、好き好き~!!!」とハグをしすぎて、嫌がられることも多いですが(笑)。


ハグは、家族みんなが幸せになれる、一番の特効薬。
毎日、たくさんハグしちゃいましょう!

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六車奈々

京都府生まれ。1989年にモデルとしてデビュー。

女優、タレントとして活動しながら、2016年に“六車奈々の『食べる美人塾』”をスタートさせ、女性を対象とした美と健康に関する講演活動を毎月開催。

2019年には国家資格である保育士を取得。1児の母として自ら育児を楽しみながら、育児の楽しさと知識を伝える活動もスタートさせる。

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撮影:馬場伸子(SIGNO)
ヘアメイク:橋本京子
イラスト:あきばさやか

<参考文献>
東邦大学『両親のハグによって乳児がリラックスすることを実証』
「iScience」(2020年4月6日公開)
論文タイトル:Infants show physiological responses specific to parental hugs
著者:Sachine Yoshida*, Yoshihiro Kawahara, Takuya Sasatani, Ken Kiyono, Yo Kobayashi, Hiromasa Funato*(*責任著者)
DOI番号:10.1016/j.isci.2020.100996
アブストラクトURL:https://doi.org/10.1016/j.isci.2020.100996