逆転の発想!食育は、入口ではなく出口から攻めるが吉
あれは、娘が一歳半のとき。
二人でお風呂に入っていると、娘が突然の便意を催してしまいました。
「あらら。せりちゃん、お母さんが体を拭く間、少し我慢できる?」
「いやぁぁぁん。」
待てない様子の娘。
仕方がない。ここでさせてしまおう。
「よっしゃ!ここでウンチしていいよ。頑張れー!」
私に促されると、娘はその場でウンチを始めました。
口をへの字にして、プルプル震えながら排便。
するるるるんっ♬
なんとまぁ!立派なウンチ!!!
太陽の塔のごとく、そびえ立っているではないですか!
私は人生で初めて、『立つウンチ』を見ました。
「せりちゃん、すごいねーっ!いいウンチが……」
褒めてあげようと思ったら、ウンチを見た途端、娘は泣いて浴室を飛び出してしまいました。
「ふぁ、ふぁ、ふあーん!」
怯えた様子で、泣く娘。
そうか。人は初めてウンチを見たとき、『コワイ』と思うのか。
「せりちゃん、おいで。そうだよね。せりちゃんは見たことがなかったよね。これは『ウンチ』っていってね、せりちゃんのお腹から出てきたものなんだよ。」
声をかけてみても、まだ近寄ろうとしません。
「大丈夫だから見においで。せりちゃんがオムツの中で『うーんっ!』って頑張ったあとは、このウンチが出てたんだよ。いつもと同じウンチ。」
『いつも出ていたのと同じ』と聞いて、少しは警戒が解けた様子。
「これは『バナナウンチ』と言ってね、ちゃーんとごはんを食べた子しか出ない、とってもいいウンチなの。せりちゃん、ちゃんとごはん食べてエラかったもんね。だからこんないいウンチが出たんだよ。」
娘は恐る恐る近づいてきました。
「しかも、見てごらん。立ってるでしょ!これは本当にスゴイよ!お母さん、ウンチが立ってるのなんて初めて見たもん。スゴイねーっ!」
たくさん褒められたことで、娘の顔には笑顔が戻っていました。
よし。これからはちゃんとウンチを見せよう!
それ以来、私は娘がウンチをするたびに見せるようにしました。と同時に、解説もしました。
「見てごらん。いいバナナウンチが出たよ!ちゃんとごはん食べたからだね。エライね〜。」
「あれれ。今日はユルイね。見てごらん。冷たいものを食べ過ぎたかな?今日は、アイスはやめておこうね。」
「見てごらん。コロコロウンチだね。硬いからおしりも痛いでしょ?お野菜をちゃんと食べないとカチカチになるからね。今日はお野菜食べよう!」
こんな具合で、必ず二人でウンチの観察をしました。
そしてバナナウンチが出ているときには、思い切り抱きしめて頭をなでなでし、褒めてあげました。
「せりちゃん、すごいね~!このバナナウンチは、最高だよ!」
さらに、バナナウンチが出たときには、大好きなシールを貼れるように、トイレの壁にシール表も用意しました。
これを毎日続けていったところ、娘に変化が出てきました。
ウンチが出ると、自らウンチチェック。
立派なバナナが出ていると、興奮した声で報告します。
「ママ!バナナだよ!」
「うわぁホントだ!エライねー!」
お母さんにたっぷり褒められた娘は、今度はお父さんに報告に走ります。
「パパ~!!!せりちゃんね、すっごいバナナウンチが出たんだよ!」
「エライね!ちゃんとごはんを食べたからだね!」
両親に褒められると嬉しくて、ジャンプして喜びます。
3歳を過ぎたころからは、『ウンチごっこ』を始めました。
食べものが体の中を通ってウンチになるまでを、一緒に遊びながら表現する遊びです。
「せりちゃんが食べたモノが~~~。胃の中に入りました!グッチャグッチャグッチャ!細かくしま~す。」
胃の辺りをコチョコチョ揉んでやると、ケラケラ笑いながら、自分も同じように揉み揉み。
「次はどこかなぁ???小腸だ!」
そう言いながら、胃から小腸へコチョコチョすると、大爆笑。
「小腸に到着!栄養を吸い取りまーす。吸収!吸収!」
ヘソの周りをモミモミすると、
「キャハハハハハ!」
ヨダレを垂らしながら、笑い転げます。
「さぁ、栄養が肝臓に運ばれるぞ~!」
ムギュっと肝臓辺りをつまみ、
「大腸へ行くぞー!どんどんお水が吸い取られます!お水が吸い取られて、ウンチが出来上がってきます!」
笑い転げる娘の大腸を、ウンチの通り道に沿ってコチョコチョし、最後は、
「ウンチが出たーっ!ぷりっ!」
と、おしりをパクパクする。
これが『ウンチごっこ』。アホみたいな遊びです(笑)。
ですが、この遊びのおかげで、ウンチが緩い時は冷たいものを我慢し、
硬い時は野菜を食べるようになりました。
ウンチとは、なんて偉大なのでしょう!!!
「野菜を食べろ」と言っても食べない娘が、「野菜食べるとバナナウンチになるよ」というと、頑張って食べるのですから。
食べたものが、ウンチになる。
逆を返せば、ウンチの材料は、食べたもの。
食育をするには、同時にウンチ教育もした方が好循環につながると実感しました。
そんな経験談を昨年、100名ほどの保育士さん対象の講演で話したところ、大好評をいただきました。講演後のアンケートには、
「食育をウンチから攻めていくという発想はありませんでした!」
「ウンチごっこ、うちの保育園でもやってみます!」
など、嬉しいお言葉を沢山いただきました。
食育をするなら、親も子供も楽しいのが一番。
楽しく学んだことは、しっかりと身に付きます。
ちなみに私は、日本成人病予防協会認定講師として、文部科学省「早寝早起き朝ごはん」全国協議会、公益社団法人日本PTA全国協議会 後援『バナナうんちで元気な子!~生活リズムを整えよう~』で、色々な小学校をまわっています。(詳しくはこちら)
『バナナうんちで元気な子!』は、生活リズムが乱れている子ども達に向けて、早寝早起き朝ごはん、食物の選び方、体の消化・吸収・代謝・排せつの仕組み、便の種類について正しく理解してもらうための出前授業。
日本成人病予防協会は『バナナうんちで元気な子!』で、平成24年度『優れた「早寝早起き朝ごはん」運動の推進にかかる文部科学大臣表彰』も受賞しています。
小学校に入れば、食育の一環としてウンチの大切さを学ぶ機会も出てくるとは思いますが、早いうちから自分の体を知っておくことは、とても良いこと。
まずは、毎日の『ウンチチェック』をお子様と一緒にしてみてくださいね。