油を使い分けて、さらにおいしく健康に!

六車奈々の子育てコラム「あいことばは、まあいっか」 #23

2022.01.13

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2022年になりましたね。いつもご愛読いただきありがとうございます。今年も、おもしろい&役立つコラムをお届けできるように頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回のテーマは「油」です。目玉焼きに炒飯、パスタ、ドレッシング。日常の料理をふと思い浮かべてみると、油は出番が多いですよね。

油を使うとき、どんな目的を持ってその油を選びますか?
おいしいから?
香りが良いから?
太りにくい油だから?

私の場合、「おいしさ」はもちろんですが、もう一つ考えていることがあります。それは「油の特徴を生かした使い方」です。

数年前、油について深く勉強したとき、あまりの面白さに夢中になりました。「加熱の向き不向き」「なぜ酸化しやすいか」「オメガって何?」など、これまであやふやだった情報を油の化学構造から紐解くことで明確に理解でき、その理由に深く納得。知れば知るほど「これはお料理をする時に、絶対に便利な知識だ!」と強く思いました

油にはそれぞれ特徴があり、それを理解しておくと、家族の健康を考える上で非常に役立ちます。そこで今回は、毎日の料理に役立つ油のお話です。

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油はガソリン…だけではない!

「油」と聞くと、「体を動かすエネルギーとなり、余った分は脂肪になる!」と想像しやすいですが、実は体を作る材料としても、体を機能させる上でも、非常に大切です。

たとえば人間は約60兆個の細胞でできていますが、一つ一つの細胞を包んでいる細胞膜は、油(コレステロール)でできています。細胞膜の質が良いと、細胞は健康を保つことができます。ホルモンの材料も油。ですから油をとらないと、肌にツヤが無くなる、月経が止まる、などのトラブルにつながります。

また、骨を丈夫にするにも油は必要。「骨と油」って一見無関係に思えますが、カルシウムの吸収を高めてくれるビタミンDは、体内のコレステロールに紫外線が当たることで合成されます。さらに脳の約60%も油でできています。「頭の良い子に育ってほしい」と思った時、どんな油を摂るかは大切なポイントです。

ですが、油なら何でもよいわけではありません。酸化した油は体に悪影響を及ぼします。でもきちんと良質の油を摂れば、細胞膜から生まれ変わることができ、ホルモンがしっかり分泌されたり、血液がサラサラになったり、肌にツヤも出てきます。

どの油をどう使う?

では、どの油をどのように使えば良いでしょう?今回は難しい話を省いて、私が使い分けている五種類の油を実践的にまとめました。

1. バター(飽和脂肪酸)

【ポイント】
加熱調理に強い
バターは常温では固まっていますよね。つまり高温にしないと溶けないほど劣化しにくいということ。油脂の中では最も酸化しにくい(後述のココナッツオイルも同様)ので、安心して高温調理ができます。

体脂肪として蓄えられやすい
バターやラードなどの飽和脂肪酸は体脂肪として蓄積されやすいので、食べ過ぎには注意です。

【我が家での使い方】
・無塩バターを購入(塩分の過剰摂取を避けるため)
・パンを食べる時などにそのまま
・熱に強く風味も良いので、バター炒めに(娘はエリンギのバター炒めが大好き!)

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2. オリーブオイル(オメガ9系・一価不飽和脂肪酸)

【ポイント】
加熱調理に適している
バターやラードほどではありませんが、酸化しにくいので高温調理にもおすすめです。とはいえ揚げ物に使った油は、一回限りで捨てることをおすすめします。一度揚げた油は、加熱に加え、食材から出た成分などを含んでいるため、酸化が進みやすくなっているからです。

血液サラサラ
魚油、亜麻仁油などのオメガ3ほどではありませんが、血液をサラサラにする効果を期待できます。

エクストラバージンオイルには抗酸化作用
「エクストラバージンオイル」はオリーブの実を圧搾した最初の絞り汁、つまり一番搾り。これにはポリフェノールが多く含まれているため、抗酸化作用も期待できます。風味や抗酸化作用を求める場合は、エクストラバージンオイルがおすすめです。

体内で合成できる
オメガ9は足りなければ体内で作られる上に、現代人は過剰摂取気味。意識する必要性は低いです。

【我が家での使い方】
・サラダやパンなどにそのまま
・熱に強いので炒め物や揚げ物に(一度使った油は捨てるため、少量で済むよう揚げ焼きにしています)

オリーブオイルは、亜麻仁油ほどではないものの健康効果を期待でき、加えて酸化しにくい構造、コスパの良さ、使い道の幅広さなどを考えると、非常にバランスの良い油。ドレッシングから加熱調理まで、日常使いに便利です。

3. ゴマ油(オメガ6系・多価不飽和脂肪酸)

【ポイント】
体内で合成不可能
ゴマ油やサラダ油などオメガ6系の油は、体内で作れないので食品から摂取する必要があります。ですが現代人は過剰摂取気味と言われているため、意識して追加する必要性はないです。

摂りすぎは、アトピーや花粉症、様々な炎症が悪化
むしろオメガ6を摂り過ぎると、アレルギーや炎症に対して過剰に反応やすくなってしまいます。

酸化しやすい
ゴマ油やサラダ油などのオメガ6系は、酸化に注意。高温調理ではなく、なるべく生で使うのが理想です。

・肝臓を保護
ゴマ油に含まれているゴマリグナンには強い抗酸化作用があります。脂肪分が多い肝臓は、脂溶性のゴマリグナンが効果的に保護。お酒をよく飲む人におすすめです。

【我が家での使い方】
・ナムルやサラダなど、生で使うことが多いです。
・熱に弱いので、加熱調理に使いたい時は火を止めてからまわしかけます。

4. 亜麻仁油(オメガ3系・多価不飽和脂肪酸) 

【ポイント】
・体内で合成不可能
自分で作ることができないので、食品から摂取する必要があります。

・最も必要な脂肪酸
オメガ3は青魚に多く含まれる油。魚を食べる機会が減っている現代人にとって、最も足りない油です。

・さまざまな健康美容効果
アレルギー抑制や血液循環の促進、抗炎症作用による肌トラブル改善、肌の新陳代謝促進、女性ホルモンのバランスを整えるなど、さまざまな健康美容効果を期待できます。

・体内でDHAとEPAに変換される
亜麻仁油を摂ると、わずかではありますが体内でDHAとEPAに変換されます。DHAとEPAの健康効果をシンプルに言い表すなら「DHAは脳に良い!」「EPAは血管に良い!」といえます。青魚が苦手な方にとっては嬉しい味方です。

・酸化しやすい
最も酸化しやすいので、保存方法も使い方も注意が必要です。冷蔵庫に保存し、早めに使い切ること。絶対に加熱しないで、生で摂ること。

【我が家での使い方】
・朝食後に小さじ1杯をそのまま飲んでいます。(初めて飲む場合は少量から。様子を見て徐々に増やしてください。)
・亜麻仁油だけに頼らず、週の半分は魚を食べるようにしています。

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5. ココナッツオイル(直鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸)

【ポイント】
・酸化しにくい
バターなどの飽和脂肪酸に近い構造をしているので、最も酸化しにくい油。加熱調理も長期保存もOK。

・ダイエット
脂肪に変換されにくい油。中鎖脂肪酸を多く含むココナッツオイルは複雑な代謝経路をたどらないので、あっという間にエネルギーとして燃えてくれます。

・健康効果
オメガ3やオメガ9ほどではないものの、血管にも良いと言われています。また中鎖脂肪酸は速やかにケトン体を作って脳に届けられるため、(ブドウ糖をうまく利用できなくなってしまった)アルツハイマー型認知症の改善や予防にも効果を期待できます。

【我が家での使い方】
・炒め物に
・ダイエットの時、他の油と置き換え(バターの代わりにパンに塗るなど)

いかがでしたか?我が家では油をこのように使い分けています。とはいえ、おいしさを優先してごま油を少し炒めることもありますし、そこはこだわり過ぎず臨機応変に。

油は「おいしさで選ぶ」に加えて、それぞれの特徴や目的に合った使い方ができると便利ですよ。ぜひ参考にしてみてください。
最後に、油は1グラムあたりが9kcalです。どんなに体に良い油も、摂り過ぎには注意してくださいね。

六車奈々

京都府生まれ。1989年にモデルとしてデビュー。

女優、タレントとして活動しながら、2016年に“六車奈々の『食べる美人塾』”をスタートさせ、女性を対象とした美と健康に関する講演活動に取り組んでいる。

2019年には国家資格である保育士を取得。1児の母として自ら育児を楽しみながら、育児の楽しさと知識を伝える活動もスタートさせる。

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イラスト:あきばさやか
撮影:馬場伸子(SIGNO)
ヘアメイク:城所とも美

<参考文献>
井上浩義, からだによいオイル, 慶應義塾大学出版会, 2016
厚生労働省, 「日本人の食事摂取基準(2020年版)算定検討会報告書」, 2021年12月18日アクセス
斎藤衛郎, 「n-3系多価不飽和脂肪酸の生理的有効性と栄養学的側面からみた安全性評価」, 2021年12月18日アクセス
寺田新, 「脂肪酸の種類や油脂の構造による消化・吸収および代謝の違い」, 2021年12月18日アクセス
青山敏明, 「中鎖脂肪酸の栄養学的研究 : 最近の研究を中心に」, 2021年12月18日アクセス
久保加織, 川勝聡美, 堀越昌子, 石永正隆, 「あまに油の保存性と食品への利用」, 2021年12月18日アクセス
農林水産省, 「脂肪酸」, 2021年12月18日アクセス

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