料理もネタも、人の笑顔を思い浮かべて作るものーーかまいたち・濱家さんのおもてなし論

きのう何作った?

2020.10.05

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著名人の方々に、おうちごはんをテーマにお話を聞くインタビュー連載「きのう何作った?」。今回のゲストは、バラエティ番組に引っ張りだこのお笑いコンビ・かまいたちの濱家隆一さんです。料理好きとして知られる彼は、家で育児をしているパートナーのために、ランチ用のお弁当を用意して仕事に出かけることもあるのだとか。優しい「おもてなしの心」について、じっくり伺いました。

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お話を伺った人:濱家隆一さん

1983年大阪府生まれ。かまいたちのツッコミ担当。2020年10月からは、テレビ朝日系列にて冠レギュラー番組『かまいガチ』がスタート。

料理好きだからこそーー専業主婦である、パートナーへの気遣い

ーーかまいたち冠番組『かまいガチ』決定、おめでとうございます。このところ引っ張りだこで、めまぐるしい忙しさなのでは?

濱家隆一さん(以下、濱家):最近は、なかなか料理が出来ない日々が続いていますね。今、家事は妻が全部やってくれている状態です。毎日仕事で帰りが遅くなりがちなので、「家にいる時間だけは、自分が出来ることをしよう」と思って、ちまちま食器洗いとか洗濯とかやってます。

ーー濱家さん、偉すぎます……「家ではしっかり休もう」とは、思わないんですか?

濱家:子どももまだ小さいし、やれることはやろうかなと。僕、洗い物が結構好きで。面倒なんですけど、達成感があるんですよね。水が飛び散ったシンクを、綺麗にするのが心地いいんです。

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「そんな爽やかに撮ってくれるん!? おしゃれやん!!」と照れ笑いする濱家さん

ーー家事が、ストレス解消にもなっているんですね。

濱家:でも、奥さんが大変やから、次引っ越すときは食洗機を買おうと思ってます。……あかんな、好感度上がっちゃうかな。ちょっと、控えめにしておきますわ(笑)。

ーーいやいや、続けてください。いい話なので。

 濱家:うちの奥さんは真面目で、家事もマイルールを作って遵守するタイプ。僕は適当なんで、「キッチリやるの、しんどない?」って思っちゃうんですけど、料理ってそれぞれのやり方がありますからね。こっちからは「めんどかったら、やらんでええんちゃう?」って、やんわり声をかけます。「今週俺も忙しいし、1週間ごはんサボってもええんちゃう?」「出前とったらええんちゃう?」って。

ーー「やらなくていいよ」じゃなくて「ええんちゃう?」と、やんわりした呼びかけなのも含めて、優しいですね。普段、仕事で帰宅も遅くなると思いますが、「晩御飯うちで食べる」の連絡とかはどうしてますか?

濱家:結構、先輩後輩から晩御飯誘ってもらうことが多いんですよ。出来るだけ気をつけてはいるけれど、奥さんへの「今日はご飯、外で食べるわ〜」の連絡がギリギリになってしまうこともあって。でも、もし奥さんがご飯を作り終えていたら、その日は帰るようにします。

ーー濱家さん自身が料理をするからこそ、作る大変さもわかるんですよね、きっと。

濱家:そうですね。なんぼ仕事とか付き合いとか言われても、せっかく作った手料理にラップかけて冷蔵庫に入れるの、寂しいんですよ。まだ子どもも小さいんですけど、幼児食も、奥さんがたくさん作り置きして、いつでも解凍して使えるようにしてくれてる。毎日、大変やなと感じています。ありがたいですね。

料理の目覚めは、カレイの5枚おろしから

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「人のために作る料理は楽しい」とアツく語る濱家さん

ーー濱家さんは、若い頃から料理が好きだったんですか?

 濱家:18歳くらいの頃、居酒屋でアルバイト始めてから料理するようになったんかな。バイト先の居酒屋、カレイの唐揚げが人気メニューやったんですよ。毎日、30匹くらいのカレイを5枚におろしてて。やっていくうちに、どんどん上手くおろせるようになるのが、ホンマに面白くて。

ーーなるほど。自宅で料理するより、上達スピードが速そうですね。

 濱家:でも、めっちゃ料理うまいかっていうと、そうでもないかな。本当に、普通の家庭料理を作るくらいなんですよ。逆に、相方は料理がまったくできなくて。「素麺って、しょうゆ味したほうがうまいんちゃう?」って言いながら、鍋に醤油ドバドバ入れて素麺茹でたことがあるくらいのレベル。黒煙が上がって、ホンマにヤバかったですわ。

取材中、横にいた相方の山内さん:素麺じゃなくて、パスタね。

 ーーそれは大変……!かまいたちがコンビで出演中のお料理番組でも、濱家さんがなんでもサクサク作ってますよね。

濱家:僕、基本的に世話焼きなんですよね。みんなで焼肉とかBBQとか行っても、他の人に網を触ってほしくないんですよ。仕切りたがりなんかな? ほんま、おしゃべりに夢中になっている間に肉を焦がしてしまって食べられなくなるのとか、無理なんすよ。ピーマンとか玉ねぎとか、ちゃんと全部おいしく食べたいし。面倒くさい人間かもしれないですね(笑)。

かまいたちマネージャー樺澤さん:会食のときも、濱家が全部やってくれるんです。私、マネージャーなのに全部まかせっきり(笑)。

ーー上下関係が厳しい芸人さんの世界では、レアかもしれないですね。

濱家:後輩はみんな「僕やります!」って言うんだけど、全部僕がやりたいだけなので。「うまいっす!」って、みんなが満足して帰ってくればOKなんです。

食材の仕入れからこだわるホームパーティー

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おもてなし好きの濱家さんは、取材現場でも終始和やか

ーーかまいたちさんは、結成して早い段階で賞レースもとっていて……貧乏な下積み時代は、あまり長くなかったですよね?

 濱家:正直、そうですね。昔から、自分のために節約としての自炊することはあんまりなかったんです。若い頃から、外食ばっかり。でも、おいしいものを食べたときには「家で再現して、後輩に食べさせよう!」と、いつも考えていました。

ーーおもてなしが本当に大好きなんですね。

濱家:後輩に出すときは、とにかく豪華な飯にして、お腹いっぱい食べてもらおうって思ってます。鍋も食材をお取り寄せするし。魚も馴染みのお寿司屋さんに「●日にホームパーティーをやるので、新鮮なお魚を多めに仕入れておいてもらえますか?」って、根回しして注文しておくんです。

ーーすごい、食材の仕入れから超入念な準備……。

濱家:後輩のみんながどう思ってたかどうかは知らないんですけど(笑)、客人には自分が出来る目一杯のおもてなしをしたいんですよ。みんなとしゃべるより、後輩が楽しそうにしているのを、キッチンから眺めて酒を飲むのが好きなんです。


濱家:宅飲みが好きなので、大阪時代はカウンターキッチンの家に住んでいました。「これどうや? うまいやろ〜!」って言いながら、どんどん料理を出すのが好きで。

ーー女将さんみたいですね。

濱家:料理は好きだけど、自分ひとりで作って食べるだけだとつまらないんですよ。うまいもん、おもろいことは全部人と共有したい。僕、昔からひとり旅とか無理なんです。ご飯も、誰かとしゃべりながら味わうのが好き。

スーパー巡回で培われた、不思議な金銭感覚

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ロケ先でおいしそうな食材を見つけると、後輩の家に送ることもあるそう

ーーいまや売れっ子のかまいたちですが、濱家さんは節約を意識することはありますか?

濱家:僕、金銭感覚おかしくて。豪快にお金を使うけど、変なとこケチなんですよ。競馬で30万スって「やってもうた〜!」って思うこともたくさんあるんだけど、スーパーでは「最近ナス高いなあ」って慎重になっちゃう。

ーー豪快なのに、食材にはシビア、と。

濱家:最近はスタイリストさんからお高めの服も買うようになったんですけどね。UNIQLOで1980円のズボンを買うときには「うーん、これ、履くかなあ?やめとこうかな?」って思う。ほんま、金銭感覚おかしいんですわ。

ーー贅沢費と生活費は、あくまで別財布の感覚なんですね。

濱家:僕、実家がずっと貧乏やったんです。大阪時代も、買い物するときは、スーパーを使い分けていましたね。当時住んでいた家の近くには、ライフと、ちょっと高級なスーパーと、玉出があったんですよ。「お肉と魚はちょっといい店で買って、野菜は新鮮なのが安く買えるから玉出まで行こう」って感じで。はしごしてました。

ーー玉出! 関西の激安スーパーですよね。すごい熱意です。

濱家:とにかく、スーパーが好きなんですよ。1時間以上うろうろできちゃう。何作るか決めずに行くことも多いですね。まず、入り口で野菜見て、魚とお肉コーナー歩いて。ちょっとお高いスーパーやったら、お酒コーナーもじっくりチェックします。1周目はやっぱり気が大きくなっていろいろカゴに入れちゃうけど、2周目で「いや、買いすぎか。コレはいらんか」って冷静になって、戻すこともありますね。

日々の献立のヒントは、Instagramから

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「インスタめっちゃ見てますわ〜」と笑顔

ーー日々の献立は、どうやって決めることが多いですか?

濱家:インスタで、1分くらいの料理動画みて「これええな!」って、真似して作ることが多いです。僕は、創作料理より、レシピベース。「しにゃ」さんのインスタがめっちゃおいしそうで、いつも見てます。盛り付けも立体的やし、すごく綺麗なんです。


ーー本当ですね。山みたいな盛り付け。おいしそうです。

濱家:料理上手な一般の方のアカウントも、結構チェックしてるんです。直接フォローすると「わっ、かまいたちからフォローされた!」って、気を遣わせちゃうかもしれないので、ブックマーク機能でこっそり保存して見てます(笑)。

ーー濱家さん自身も、インスタにお弁当写真をよくアップしていますよね。毎朝のお弁当作りに悩む人も多いですが、コツはありますか?

濱家:インスタ映えするようなお弁当って、隙間なくギチギチに詰め込むのがいいんですよね。僕は、カニカマとハムのバラみたいなやつで埋めることが多いです。便利なので、いつもストックしています。


ーー映えも意識していらっしゃるんですね。

濱家:お弁当作りにハマってたときは、ロケ先とかで曲げわっぱのお弁当箱や、包む布を買って集めていました。ホンマに自己満足でしかないんですけど、奥さんがよろこんでくれるのが、いつもうれしいんです。

料理もお笑いも、相手の反応がうれしい

ーーYouTubeチャンネル「かまいたちチャンネル」では低温調理器を使いこなしていましたね。濱家さんが、今狙っている調理家電はありますか?

濱家:興味あるのは、フードドライヤーです。TVで見て、「ええな〜!」って思って。ロバートの馬場さんに聞いてみたら「めっちゃいいよ! 貝柱とかも炙るだけで、全然ちがう!」って言われて。料理上手の馬場さんが言うなら説得力があるし、欲しくなっちゃいました。

ーーホットクックとかベタなのが出てくると思ってたら、またニッチな!

 濱家:無くてもなんとかなるアイテムこそ、欲しくなっちゃうんですよね。

ーー濱家さんは、今後料理のお仕事をもっとしていきたいのだとか。

濱家:大好きなので、やっぱりしたいです。でも、「料理対決!」とか「この食材で料理を!」とかは出来ないから、困っちゃうんですね。今は、将来のためにも料理の技術を上げていきたいなと。

ーー向上心がすごいです。

濱家:料理とお笑いって、一緒やと思うんですよ。人の笑顔を考えながら、ちょっとずつ反応を見て、ネタをアレンジしながら作り上げていく。やっぱり、どっちも楽しいですね。

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小沢あや

フリーランスのコンテンツプランナー / 編集者。音楽レーベルで営業とPRを経験後、IT企業を経て、2018年に独立。エッセイのほか、女性アイドルやミュージシャン、経営者のインタビューを多数執筆。Engadget日本版にて「ワーママのガジェット育児日記」、「フリーランスな私たち」連載中。豊島区公認の池袋愛好家としても活動している。

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取材・文:小沢あや
撮影:佐野円香