レシピ通りじゃなくても、旬の野菜を楽しむーー水田わさびさんの食卓

きのう何作った?

2020.12.11

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著名人の方々に、おうちごはんをテーマにお話を聞くインタビュー連載「きのう何作った?」。今回のゲストは、『ドラえもん』など、多くの有名キャラクターの声を担当する水田わさびさん。SNSなどをやっておらず、プライベートが謎につつまれた水田さんの食生活とは?

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お話を伺った人:水田わさびさん

声優・舞台女優。2005年より2代目『ドラえもん』の声を担当。パートナーと、2人の娘さんと4人暮らし。

 

実家から送られてくる旬の伊賀野菜が食卓の主役

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ーー大のお料理好きという水田さん。普段の献立はどうやって決めているんですか?

何も決めずに、伊賀の実家から届く野菜を見て作ることが多いです。今は季節柄、里芋と小松菜ばっかりですね。とにかく大量に、鬼のような量の食材が届くんですよ(笑)。

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毎日食べるお米も、実家の父が作っているもの。ネギも、じゃがいもも、さつまいももかぼちゃも。夏は、毎日きゅうりを食べていましたね。

ーー旬の食材から献立を組み立てられるって、水田さん本当にお料理上手なんですね。

いやいや、その代わり、同じメニューばかり作っています。お弁当の中身もいつも一緒。周囲から「わさちゃん、またコロッケ作ってるの?」って言われるくらいです(笑)。普段から、あんまり意識して献立に変化をつけることはないですね。

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私、三重の伊賀の山村で育ったんです。家も20軒くらいしかないし、信号機もお店も自販機もなんにもない村。スーパーもないから、買い物にも行けず、自給自足で家で採れた旬のものを食べる生活で。小さい頃からずっとそうだったから、毎日同じ野菜が続いてもまったく苦にならないんですよ。

ーー究極の地産地消スタイルですね。

お店がないから「今日はこの料理を作るから、食材はこれを買って……」って考えることもなくって、「あるものを食べる」が根底にあるんです。夏以外にトマトやきゅうりなどが食卓に出てくることは一切なくて、冬はもっぱら根菜類。

ーー自然に任せて、採れたものが食卓に出てくるんですね。

パスタとかグラタンとか、おしゃれな料理が出てくる生活を送ったことがない……って、こんなこと言うと母に悪いんですけど(笑)。本当に、それが当たり前だったから、同じメニューが続いても気にならないんです。

レシピ通りの材料じゃなくても、アレンジ次第でおいしい料理が

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ーー限られた食材で料理をする上で、コツはありますか?

多少レシピと違っても、かっこつけないことですね。調味料もそうです。我が家では、どんなお料理をするときも、オリーブオイルじゃなくて全部サラダ油。白ワインも使わないし、料理酒やいただいた日本酒で代用するとか、結構アレンジしています。

ーー風味や香りがかなり変わりますが、おいしくできるものですか?

むしろ、たまにオリーブオイルやごま油を使うと、子どもと夫に「あれ!?味が違う!?」って言われちゃうくらいなんです。私、西日本の育ちだから、手料理の味がとにかく薄いんですよ。慣れない調味料を使うと「いつもより味が濃い」って言われちゃって。

ーーなるほど。シンプルな材料が水田家の味覚にマッチしているんですね。

つくりおきおかずも、季節によってレンコンをごぼうに変更するとか、キャベツをピーマンにするとか、旬のものを使ってます。冬場はとにかく白菜ばっかり。せっかく旬のお野菜があるんだから、冬にキャベツを買う気にもあんまりなれなくって。我が家の定番は、ロール白菜です(笑)。

ーーロール白菜。確かに、味はあんまり変わらないかもしれないですね。

そうそう!白菜の硬い部分をみじん切りにして入れ込めば、食感が玉ねぎっぽくなるでしょう?カサ増しすればひき肉の量も少なくなるし、たまねぎもいらないし、あるものでなんとでもなっちゃうんです。

料理はとにかくスピード重視で

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ーー水田さん流の、調理のこだわりはありますか?

私は、こだわりよりスピード命。とにかく、料理は早く作って早く食べたいんです。上京した当時、スーパーのお惣菜コーナーで3年くらいアルバイトをしていて、大量の揚げ物の衣をつけていたから、とっても鍛えられましたね。

ーーどのくらいのペースで作るんですか?

仕事が17時くらいに終わって、スーパーに寄って、帰って洗濯して、料理して、ってルーティーンなんですけど、19時にはごはんを食べているかな?

ーー早い!ハイスピードで料理を作るコツは、ありますか?

「食材は火が通りやすいよう、小さく切る」と「片付けながら料理する」かなあ。たとえば、フライパンで炒め物をしたあと、小松菜のおひたしを作るとするでしょう?湯がき汁をフライパンに注いでつけおきをしちゃえば、洗い物時間が短縮できるんです。

ーーすごい!調理以外の流れも、総合的に考えてるんですね。

パスタを茹でるときもそうですね。サラダパスタを使えば3分くらいで茹で上がるから、ザルにあげるついでに茹で汁でフライパンを洗っちゃう。油汚れも、するする綺麗にとれるんですよ。やってみてほしいです。

あっという間にできる家族の大好物料理「カリカリ」

ーー水田家ごはんといえばコレ!の定番料理はありますか?

我が家では「カリカリ」って呼んでいる、「チーズとささみを餃子の皮で巻いて揚げたやつ」ですね。追加で大葉を包んでもいいですよ。家族みんな、大好きなんです。春先は、国産のアスパラを巻いて出すことが多いです。味ぽんをつけて食べるとおいしいの。

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ーーああ、もうそれだけでビールが飲みたくなっちゃいそうな響きです。

でしょう?ついでに、長芋の短冊切りも一緒に揚げることが多いですね。ねばっとしっとりしたフライドポテトみたいな感じで、これもおいしいんです。揚げ物は、一品じゃなくてまとめて揚げて、ストック食材にしています。長芋は生でも食べられるし、揚げ時間も短くて済むのでおすすめですよ。

ーーいいですね。揚げ物って自宅でやると面倒なイメージで、「買ってくるもの」って思い込んでました。

そういう方こそ、油缶が優れものなので、ぜひ試して欲しいです。熱いままの油をそのまま入れられるし、また再利用できるので、後処理がとっても楽なんですよね。

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健康管理は生姜とほうじ茶で

ーー冷蔵庫のスタメンや定番メニューはありますか?

油揚げ、厚揚げ、セロリ、大葉、しょうがは絶対にストックしていますね。セロリはそのまま切って食べるだけだし、香りがしっかりするし、しっかり味わった気分になれる。体調のバロメーターがわかるので、ドレッシングも何もつけずに食べることが多いです。

ーー五感を研ぎ澄ませているんですね。

そうですね。生姜も、チューブではなく毎日すって、味噌汁に入れています。仕事柄、喉を守りたいし、冷え性なので夏も含めて365日摂取しています。

ーー喉を守るために積極的に摂取する食材、しょうが以外にもありますか?

真夏も、魔法瓶に熱いほうじ茶を入れて持ち歩いています。お茶っぱにもこだわりがあって、実家の村で採れたもの。ジュースは年に10回飲むかな?くらいですね。お酒がダメなので、飲み会に行くときも、ずっとあったかいお茶か、白湯をお願いします。

自分で作ったおにぎりを持って現場入り

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ーー下積み時代の思い出の「節約ごはん」はありますか?

そういえば、昔からコンビニのおにぎりやパンは買わないかなあ。「いつもおにぎりばっかり食べてるよね」って、よく言われます。いつも必ず、自分でにぎったおにぎりとお茶を持ち歩くんです。お金がかからないし(笑)。デビューしてから20年間、ずっと続いていますね。

でも、娘に「お母さん!今日食べたシーチキンおにぎりおいしかった!」って、コンビニごはんを大絶賛されたとき「私のおにぎりは一体なんだったんだ」って思ったこともあるんですけど(笑)。伊賀のこしひかりは、甘みが強くて本当においしいんですよ。流通量が少ないのでなかなか買えないですけど、見かけたらぜひ。

無理は禁物。頑張りすぎないことが大事

ーー料理が暮らしの中で欠かせない習慣になっているんですね。

周りの方々からも「たまにはサボればいいんだよ」って言われるんだけど、とにかく実家から送られてくる野菜を全部使い切りたいんですよ。田舎では、お店もないし、配達サービスもエリア外なので、それがずっとあたりまえで。野菜を見ると「料理しなきゃ!」って考えちゃう。田舎の人あるあるなのかなあ?

ーー水田さんは共働き育児を実践中ですよね。とにかく家事を効率化するために工夫していることはありますか?

うーん、効率化とか工夫とかを考えると疲れちゃうから、全然ですね。背伸びはあんまりしないようにしています。でも、盛り付ける器は、綺麗にしていますね。

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このランチョンマットは三石琴乃さんから結婚祝いでいただいたものを、ずっと大切に使っています。

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逆に、忙しいときは、子ども用の食器を使います。ワンプレートで済むし、レンジもOKだし、割れないプラスチックで便利。かれこれ10年以上使っているかな?

ーーワンプレートなら洗いものも減るし、良さそうですね!料理が得意で毎日自炊派の水田さんでも、抜くところは抜いているんですね。

そりゃあそうですよ!昔はお味噌汁の具を子どものお弁当に入れちゃったことあります(笑)。とにかくね、あんまり張り切って作らない方がいいです。最初にひどいごはんを出しちゃえば、後から株が上がる一方ですから(笑)。新婚とか、育児序盤で頑張りすぎないことが一番かな。ありのままを見せちゃえば、伸び代だらけですよ!

小沢あや

ピース株式会社 代表取締役。音楽レーベルで営業とPRを経験後、IT企業を経て、2018年に独立。エッセイのほか、女性アイドルやミュージシャン、経営者のインタビューを多数執筆。Engadget日本版にて「ワーママのガジェット育児日記」、「フリーランスな私たち」連載中。豊島区公認の池袋愛好家としても活動している。

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取材・文:小沢あや
撮影:佐野円香