栄養バランスは、最終的に調整できればOK――紺野あさ美さんのおうちごはん

きのう何作った?

PEOPLE
2021.06.08

img_nanitsuku_020-01.jpg

モーニング娘。OGで、卒業後はアナウンサーとして活動し、退社後は家族とともに北海道に移住した紺野あさ美さん。アスリートのパートナーや、お子さんの生活を食の面からもサポートしている紺野さんに、日々の料理の工夫や、自分へのご褒美ごはんについて伺いました。

img_nanitsuku_020-guest.jpg

お話を伺った人:紺野あさ美さん

2001年モーニング娘。のメンバーとしてデビュー。卒業後は、テレビ東京アナウンサーとして冠番組『紺野、今から踊るってよ』も担当した。パートナーは北海道日本ハムファイターズ杉浦稔大選手。現在、第3子妊娠中。

何もしたくない日には、鍋が最強

ーー紺野さんは、ブログやSNSにもよく料理の写真を投稿されています。今日はぜひ「載せない日のごはん」「がんばらない日のごはん」についてもお聞きしたいのですが……そういう日、ありますか?

ありますよ!ブログとかに載せるのは、載せられるレベルだと思える料理になった日で、かつ元気がある日だけ(笑)。

img_nanitsuku_020-02.jpg

主人(北海道日本ハムファイターズの杉浦稔大選手)がいる日は、彼の体のことを考えて品数も増えるんですけど、遠征やキャンプでいないことも多いんです。自分と子どもたちだけの日は「うどんにお野菜もお肉も入れちゃえー!」って一品にまとめることもありますね。

ごはん作り、がんばれない日もありますよねー、やっぱり。

ーー「今日はもう何もしたくない!」って日のごはんは、どうしてます?

img_nanitsuku_020-03.jpg

納豆、とろろ、ねぎ、オクラなどの混ぜ蕎麦とか、つるりと食べられるものを作ることもあります。ただ、今は第3子妊娠中でつわりがひどくて「もう動けない!」っていう日もたくさんあるんです。そんなときは無理せず、鍋に頼ってます。

鍋ってほんと最強だと思うんですよ!野菜やきのこ、お肉、お魚、なんでも入れられるので。鍋って決めたら材料を切っておいて、あとは煮て食べるだけ!っていう状態にしておきますね。

ーーお鍋食分の材料を、事前に冷凍しておくって人もいますよね。紺野さん宅の冷凍庫ストックは?

うちの冷凍庫スタメンは、きのこと小松菜、あとは子どもたち用にバナナ!「バナナは皮をむいてそのまま袋に入れて、袋の上からつぶせばいいんだ」って、あるとき気づいたんです。それまでは、毎回わざわざカットしていて、効率悪かったんです(笑)。今は袋に入れたら手でギュギュってつぶして、薄くシート状にして冷凍しています。

img_nanitsuku_020-04.jpg

小松菜も、茹でなくていいんですよ。よく洗って、ザルに水が切れるまで置いておいて、3〜4センチ幅に切って冷凍。きのこは、しいたけとかエリンギとか、大量にまとめて買ってきて切って、いろんなきのこをミックスして冷凍保存していますね。

戦いたくない朝の、小松菜バナナスムージー

ーー小さなお子さんがいると、どうしても難しくなる料理ってありますよね。長時間火をつかう、煮込み系とか。

煮込み系は、計画的に作らないと難しいですよね。わたしは鶏ハムをよく作るので、最近は低温調理器がめちゃくちゃ気になってます。今は一応、保温性の高い鍋で作ってはいるんですけど。あとは、ミキサーとハンドブレンダーには大変お世話になってますね。

ーーどんな風に活用しているんですか? 

子どもたちはまだ野菜のおいしさを感じるのが難しいみたいで、残しがちなんですけど、粉砕しちゃえば食べてくれるんですよ。

特に最近は、だんだん好みが出てきたのか、にんじんの形がわかると残すようになってきたんです。みじん切りにしてチャーハンやハンバーグに入れたり、かぼちゃと合わせてポタージュにしたりすると、食べてくれるんですよね。玉ねぎも残しがちなんですけど、それもポタージュにすると飲んでくれたりして。ミキサー、大活躍です。

ーー子どもって、今日食べた物でも明日には急に嫌いになってたりしませんか(笑)?

あります、あります!子どもに「何食べたい?」って聞いて「お肉!」って言われたから用意したのに、「お肉イヤーッ!」ってなるとか(笑)。不条理を感じること、ありますよね……(笑)。

ーーしっかり準備して作ったものを拒否されちゃうと、親もメンタルがガクッと来てしまうことがあると思うんですが、紺野さんなりの対処方法はありますか?

子どもと戦いたくない朝のテッパンメニューとして、小松菜バナナスムージーを作ってます!

ーー先ほどの冷凍スタメンにも出てきた材料ですね。

子どもたちが、バナナと牛乳が好きなんです。忙しい朝は、「あともう一口食べよう」とかって説得している余裕がないので、確実に飲んでくれるこのスムージーを用意してますね。

パンも好きで食べてくれるんですけど、それだけだと栄養バランスが偏るから、冷凍しておいた小松菜とバナナ、粉末の青汁を牛乳に入れて。

ーー青汁を入れても飲んでくれるんですね! すごい。

青汁、入れちゃいます。2人あわせて1人分の粉末なので、量はそこまで入ってないんですけど、カフェインがないタイプのものを選んで。全部混ぜちゃえば、バナナの甘みがあるからか、ゴクゴク飲んでくれるんです。

ーー戦わずにすんで野菜の栄養も摂れるのは、ありがたいですよね。

ですね。あるときはきな粉を入れたりもして。小松菜バナナスムージーは週に2〜3回ぐらい、毎週登場してます。

旬の食材をなるべく取り入れる

img_nanitsuku_020-05.jpg

ーー紺野さんのブログでは、お子さんのお手伝いしたい気持ちに応えて、白玉団子やハンバーグなどを一緒に作る様子も書かれていました。

「楽しそうにしているから、やらせてあげたい!」という気持ちもありますし、自分でお手伝いしたら、苦手なものも食べてくれるかなーとも思って。最近は、よく玉ねぎの皮むきをしてもらっています。2人とも、結構真剣にやってくれるんですよ。むいた後は、テーブルの上が粉々の皮だらけで、逆に仕事は増えるんですけど(笑)。

ーー一緒に作ると、玉ねぎも食べてもらえます?

煮込んで柔らかくして、スープやカレーで出して「これ、今日〇〇ちゃんのむいてくれた玉ねぎ入ってるんだよー」って話すと、3歳の長女には効果がある気がします。「これ、〇〇ちゃんのむいた玉ねぎだよおー」って、嬉しそうにしていて。下の子(2歳)は、年齢的にもまだよくわからないかなあ。

img_nanitsuku_020-06.jpg

ーーひな祭りのときは、白玉団子をお子さんとこねていましたよね。四季に合わせたごはん作りも、結構意識されてるんでしょうか。

そうですね、イベントごとは少し特別な日にしたいなって思いますね。

img_nanitsuku_020-07.jpg
こどもの日は、こいのぼりプレートを

あとは、季節の旬の食材は、おいしいし栄養価も高いので、なるべく子どもにも味わわせてあげたいなって。アスパラガスとか、食べてもらうのが難しいときもありますけど(笑)。

ーー北海道と聞くと、近所のスーパーで売っている食材も品質が高そう、というイメージです。

スーパーに「〇〇町のトマトです」みたいに、近隣で採れた野菜が売っていることはありますね。しかも、そっちのほうが安かったりして(笑)。東京のときはどうだったかな。ちょっと覚えてないので、比較できないんですけど。

ネットスーパーを使うことも多いんですが、子どもと一緒にスーパーへ行くこともあるので、そのときは「あ、新玉ねぎの季節になったねー」「いちごが出てきたねー」って、話しながら買ったりもします。

ーー品揃えから旬を感じられるの、いいですね。北海道のご当地スーパーってありますか?コンビニは、「セイコーマート」が有名ですよね。

ご当地スーパー……。「ダイイチ」って、東京にあります?

ーーあ、ないですね。(検索して)北海道だけみたいです。

ダイイチは、主人が帯広の高校生だったときに、お正月に短期バイトしたことがあるんです。

ーーへえー!

それで、「ダイイチはモノがいいよ!」ってずっと言っていて。わたしも行くようになりました。全体的に、お肉も野菜も安くておいしいと思います。

ーーこの連載では、いろんなエリアのご当地調味料もお聞きしてるんですが、北海道ならではの食材や調味料、食べ方ってありますか?

北海道の人は、わりと甘めの味付けが好きかも。甘いお醤油も売ってるし、全員がするわけじゃないと思うけど、納豆に砂糖をかけたりとか。わたしもたまにします。

ーー納豆に砂糖、意外な組み合わせでした。

主人はじゃがバタにも砂糖をかけるんですよ。一般的には塩とか醤油……ですよね?

ーーはい、そのイメージでした。

うちは、白い砂糖よりも三温糖とか、茶色系の砂糖を使うようにしてるんですけど。じゃがバタのときはグラニュー糖がいいらしくて、コーヒー用のスティックシュガーをかけて食べてます。北海道はお赤飯も甘納豆が入っているし、道産子はなんでも甘くする習慣があるのかもしれないですね。

経験と覚悟があるから、「ごはん作りも仕事」と思って取り組める

img_nanitsuku_020-08.jpg

ーーモーニング娘。やアナウンサー時代って、とにかく忙しかったと思うんですが、当時から料理はされていたんですか?

そうですね。もともと食いしん坊でしたし(笑)、高校生ぐらいから始めた一人暮らしの期間も長かったので、自炊はちょこちょこしていました。品数は、今とは全然違いましたけど。

ーー10代というと、モーニング娘。の現役時代からですかね。

はい。モーニング時代って、食事はお弁当がほとんどだったんですけど、どうしてもそれだけだと野菜が少なくなってしまって。健康を意識して、自分でカボチャを煮たりとか、キャベツを千切りしてささみをのっけたりとか。その程度ではありましたけど、サラダとか煮物とかを自炊して持って行くのはやっていましたね。

だから料理はずっと、わりと好きで。よりきちんとバランスを考えるようになったのは、主人と付き合ってからですかね。

img_nanitsuku_020-09.jpg

ーーアスリートのパートナーとして食事面を支えていることが、プレッシャーになるときもありましたか?

そうですねえ……。なんかもう、仕事だと思って割り切ってます(笑)。

ーー仕事だと思えばできちゃう、という?

やっぱり、主人が帰ってくるってなると、買い物や作るものにも悩むんですよ(笑)。「子どものお世話もあるし、無理だあー」って言いたくなるときもあるし。でも、「これが使命だ」「これが仕事だ」という感覚でやるようにしています。

実際、主人がスポーツ以外のお仕事だったら、多分こんなには作らないんじゃないかなあと思いますよ。職業や状況によって違うと思いますけど、前提として、できるだけ家事を分担したほうがいいっていうのは、声を大にして言いたいですから。

ーーそう思いつつも、どうして「これが仕事」と考えてがんばれているんでしょう。愛だとは思うんですが……って、答え言っちゃいましたかね?

あはは、そうですね、愛(笑)。でも……覚悟かな。アスリートの彼と結婚するってなったとき、食事管理は大変だろうなあ……とは思ってたんです。でも、もともと料理好きだったし、大変でもがんばる!と決めて結婚したので。やっぱり、体が資本ですしね。

あとは、「ガッタス」での経験も活きているといえば活きているのかも。

ーー紺野さんも在籍していたハロー!プロジェクトのフットサルチーム、「Gatas Brilhantes H.P.」ですね。

ガッタスのときは、コンサートのリハーサルに行く前に練習してたんですよ。負けず嫌いの子も多くて、ケガもしながら、ガチでやってましたね。

主人はプロなので、レベルは違うと思うんですけど……わたしも多少なりともスポーツを一生懸命やっていました。その経験があるから、日々のごはん作りも「主人の体に対していいことができている!」「野球の結果にも、何かしらつながるかもしれない!」って、心から思えるんです。

ーーガッタスでの経験が、こんなところにもつながっているとは……。紺野さんは、食事や栄養に関する資格も取得されていますよね

主人とお付き合いする前から野菜が好きで、野菜のことをもっと知りたいと思って、「ベジタブル&フルーツマイスター(野菜ソムリエ)」の資格は取っていたんですよ。自分の体調を整えたいっていうのもありましたし、10代からアイドルとして活動していたからか、食べたもので肌の調子が変わる、体が作られていくって意識することも多かったので。

ーーなるほど、実感があったんですね。

「アスリートフードマイスター」は、結婚してから取りました。同じ食材でも食べ合わせや調理法をちょっと工夫するだけで、より栄養素が効率よく摂れたり、体の調子が整ったりするんです。知識をもとに家族が元気に過ごすサポートができている、自分や家族の体をいたわれているんだって思えると、自分の肯定感アップにもつながると思うんですよね。

食事は、最終的にバランスがとれればOK

img_nanitsuku_020-10.jpg

ーー1日24時間しかない中で、料理に割ける時間は限られてくると思います。うまくやりくりするコツはありますか

家族が増えるごとに、料理の工程は意識するようになった気がします。赤ちゃんや小さい子どもの食べ物は、ほとんど味付けしなかったりごく薄かったりするんですが、さすがにそれぞれのために一つずつ、ゼロから料理を作るのは難しいので。

一つの食材の調理中に、このタイミングで取り分けて、こっちはつぶして離乳食に、こっちは幼児食に、こっちを味付けして大人用に……って。せっかくなら家族みんながその食材を食べられるようにしようと、調理の仕方は考えるようになりました。でもカレーは、どうしても鍋が二つになるか、大人が甘いのを食べるかになっちゃうんですよね(笑)。

ーーいかに洗いものを増やさず、楽においしいものを作れるかは、重要ですよね。

鶏ハムを作ったときに出たお出汁はそのままスープに使おうとか、1個鍋を使ったらなるべく有効活用しようって考えます(笑)。とくに誕生日や季節のイベントで、作るものがいっぱいあるときは、工程を結構考えますね。

あとは、隙間時間でちょこちょこ作り置きをしています。お肉・お魚を使う温かいものはできるだけレンジを使わず、食べる直前に仕上げるようにしているので、副菜は冷たくてもおいしいものを作っておくことが多いです。

ーー食べ方に合わせて、準備も工夫されているんですね。作り置きは、例えばどんなものを?

うちはカボチャの消費量が多いので(笑)、カボチャをいっぱい煮ておいてます。最初はそのまま食べて、次はクリームチーズやクルミと和えてカボチャサラダに。それとは別に、きのこと合わせてチーズをのせてグラタン風に……とか。一つのものをたくさん作って、いろいろな味変でしばらくもたせてます(笑)。

ーー食事作りの努力と工夫が、すごくよくわかりました。日々がんばる紺野さんの、「ご褒美ごはん」もぜひ教えてください。

わたし、ラーメン・つけ麺が大好きで!妊婦検診とか歯医者さんとか、自分だけで出かける用事の後に、ランチだけダッシュで食べて帰ることがあるんです。つけ麺屋さんに行って、「つけ麺おいしい!」「野菜、ねぎしかとってないけどおいしい!」って(笑)。

ーー栄養を気にしすぎないという点でも、ご褒美なんですね。

栄養を考えないごはんの日も、あっていいんです!夜ごはん、次の日の朝ごはんで調整するとか……最終的にバランスがとれたらいいのかなって。他の食事で補おう、調整しようというマインドでやってます。我慢ばっかりでも、よくないですもんね!

この記事をシェアする

文:佐藤はるか
編集:小沢あや

アイスム座談会