料理は自分を励ます時間――ぼる塾・あんりさんのおうちごはん

きのう何作った?

2021.08.19

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テレビ朝日『ぼる塾の煩悩ごはん』で、ゲストにカロリーたっぷりの「徳を積んだ」料理を振る舞っている、ぼる塾のあんりさん。自分は「料理上手」ではなく「ごはん好き」だと話すあんりさんに、おうちごはんについて伺いました。

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お話を伺った人:あんりさん

1994年生まれ。ネクストブレイク芸人として話題のお笑いカルテット「ぼる塾」のメンバー。公式YouTube『ぼる塾チャンネル』を日々更新中。

やんちゃしすぎたら、自炊でセーブ

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ーー冠番組『ぼる塾の煩悩ごはん』では、ハイカロリーにして「徳を積む」料理をされていますね。実際、おうちでもカロリー重視のごはんなんでしょうか。

番組でやっているような料理も作ります。けど、工程が多いんですよね。だから、忙しい日々の中で徳を積むっていうのはなかなか難しくて(笑)。簡単なものが多いです。そうすると、カロリーのっける手間がない分、ちょっとヘルシーにもなるんで。

鶏もも肉を焼いて、大根おろしをのせて、みりんと醤油、お砂糖とお酢を混ぜたものをかけて、みぞれ煮風とか。味付けは薄めでも、大根おろしに染み込んで、ちょうどいい感じになるんです。

ーーお酢、好きなんですか?以前「皿うどんにも、お酢をたくさんかける」ってお話もされていましたね。

ああ、そうですね。黒酢とか美酢(ミチョ)を飲むこともあります。体に良さそうなものを摂れるときには摂っとかないと、体がかわいそうかなと(笑)。

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「最近の食事、ちょっとやんちゃしすぎてるな〜」と思ったら、ヘルシーな鶏胸肉を使った料理をすることもあります。それも、おいしく食べないと続かないんで、レシピを調べてカレー粉でタンドリーチキンにしたりして。徹底してやるわけではないので、自己満足にはなっちゃいますけど、自分なりの健康法です。

ーー「やんちゃな食事」……どんな感じなんでしょう?

うーん……。私、仕事で失敗しちゃったなってときに、次に成功するまで引きずっちゃうことがあるんですよね。そういうときに、「もう十分落ち込んだし、食っちゃおう!」って、気持ちを切り替えるような。ヤケ食いっぽいところもちょっとあります(笑)。

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でも、なんでもいいわけじゃなくて、おいしいものを食べたいんです。自分の意思で「今日はやんちゃしよう!」って決めて、コンビニの好きなものを買い集めることも多いですね。

やんちゃして、「あ、食いすぎたなー」ってときもあるんですけど、食べすぎで本当に落ち込んだことは、実はないんです。「あちゃー!」ぐらいはあるけど、たくさん食べることを悪いとは思わない。基本、ポジティブに捉えてますね。

あんりさん家の「はしゃいでる日のごはん」だそうです

3時のおやつは白米

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ーー食べることが好きなのは、子どもの頃からなんでしょうか。

そうですね。ほんとにごはんが好きで、幼稚園とか小学校の頃、おやつがごはんで。

ーーおやつにお米を食べていたということですか??

はい。学校から帰ってきてのおやつもごはんでした。炊いた米は実家にずっとあったんで、自分でよそって、納豆や「ごはんですよ!」みたいなごはんがすすむおかずをもらって食べてました。

ーーそんなにお米が好きだったんですね。初めて火を使った料理って、覚えてます?

一番最初は、目玉焼きだったかなあ?うちは祖母の料理を食べることが多くて、目玉焼きは必ず固めだったんですよ。祖母は料理上手だし、それもおいしかったんですけど、テレビで見た半熟の、トロッと黄身が溢れ出す目玉焼きが夢で。

小学校の料理クラブの先生に、何分で半熟の目玉焼きができるのかを聞いて、ストップウォッチを用意して自分で作りました(笑)。

ーーきっちり測って、レシピ通りに作るんですね。

祖母は昔の人だから、「もっと火を通した方がいい」って言うんですけど。「おばあちゃん、私がやるから」「黙ってて」って、止めながら(笑)。作った目玉焼きをごはんの上にのせて、醤油とマヨネーズをかけて食べたのがめちゃくちゃおいしかったです。

ーー好きなものを作るというより、食べてみたいものを作るというスタンスだったんですか?

そうですね、食べたことがないものに、小さい頃は興味があったみたいで。母も祖母も料理上手だけど、揚げ物とかは食卓に出なかったんで、「食べてみたいなあ」と思って。小学生の頃、自分で揚げ出し豆腐を作ってみたこともあります。失敗しちゃったけど。

ーーなかなか渋い料理のセレクトですね。実家の思い出の料理はありますか?

父が唯一作ってくれた料理、「にんにく肉肉」ですかね。

ーーにんにく肉肉!「みんなのうた」にありそうなテンポ感と料理名ですね。声に出したくなっちゃいます。にんにくにくにく。

たしかに(笑)。生姜焼きのにんにくバージョンみたいな感じで、豚バラとか豚こま肉を、醤油とにんにくで炒めた料理なんですけど、これでごはんをかきこむんです。兄たちも今、それぞれの子どもに振る舞ってますし、私もよく作るんで、これはうちならではのメニューかもしれません。

日々の食卓のメインは定番家庭料理

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ーーあんりさんのインスタを拝見していると、作るのは家庭料理が中心なのかなと感じました。

そうですね。難しいものは作らないです。それから、私の料理は味見のできるものが基本で。分量を測るのはめんどくさいし、洗い物も減らしたいから、目分量でできるような大雑把な料理が好きなんです。そこに欠かせないのが味見。煮物とか、途中で味見できるようなものを作ることが多いです。

ーー今日はちゃちゃっと作るぞ!というときに、よく作る料理は?

「そぼろ」はよく作っていますね。ひき肉って火が通るの早いし、味が染み込むのを待たなくていい。そぼろと甘い炒り卵を作って、ごはんにのっければ、おかずいらずですし。

ーーアレンジがきいて、作り置きにも便利ですよね。

そうですね。実家暮らしだった頃は、みんなでペロリと食べちゃってましたけど。今は同期とルームシェアしてるんで、余った分を翌朝食べてもらうこともあります。オムレツにくるんだりして。

ーー冷蔵庫のスタメン食材って、何かありますか?

納豆好きなんで、常に入れてるかな。あとは、冷凍の焼きおにぎりを絶対に切らさないようにしてて。食べる用のパックがついてるから、熱々でそのまんま食えるんですよね。

ーー料理もしつつ、冷凍食品もうまく使うところにリアルさを感じます。

冷凍食品、めちゃめちゃ頼ってますね。今はコンビニでも冷凍のお野菜が売ってて、ブロッコリーとかミックスベジタブルはよく買います。その2つをバターで炒めてそのまま食べたり。ブロッコリー、切り分けて茹でるのが面倒だから便利ですね。

ーーあんりさんは、自分がしんどくないバランスで、料理を続けてらっしゃるのかなと思いました。

そうかもしれないです。工程の多い料理はあまり好きじゃないからしないけど、煮物とかは味を染み込ませるために時間をかけたいなと思うんで、夜食べたかったら朝から作って置いときますし。工程は少なくしても、時間はかけますね。

人に料理を振る舞うのが好き

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ーールームシェア相手のたかぴんア・ラ・モード☆さんのツイートでも、時々あんりさんの料理を見かけます。人にごはんを振る舞うのがお好きなんですね。

そうですね。以前、自分の作ったキンパや鶏の南蛮漬けを、劇場の楽屋で配ったこともありました。自分一人のためだと、作るメニューも決まったものになりがちで、揚げ物とかはやらないんですよ。だからこそ、後輩を呼んで唐揚げをたくさん作って振る舞う会をやったりとか。

ーー唐揚げパーティー、いいですね。

唐揚げは、普段からよく出しますね。結構、評判がよくて。味付けは目分量なんですけど、醤油とにんにく、そこに生姜を少し多めに入れて、すりおろし玉ねぎと料理酒を入れて揉み込んで、前日から置いておきます。2〜3時間の漬け込みじゃ信用できないんです、私。

ーー唐揚げと本気で向き合うためには時間が必要だ、と。

やっぱ、漬け込めば漬け込むほどうまいんでね。前日の夜に準備して、翌日の夜ぐらいに揚げる。唐揚げには、本当に真剣に向き合ってますね。

ーー揚げ物以外にも、これはやらないと決めている料理ってあります?

あ、でも、料理は……。「工程が多いから、今は時間的に厳しいし、やらない」って決めているものはあっても、それを一生やりたくないと思っているわけじゃないんです。

私は結婚への憧れがすごくあるんですけど、例えば旦那さまができて、子どもができて、もしリクエストされたら作りたいなと思うんですよね。

「どちらが料理をすべき」みたいな考えはないんですけど、ただ自分の思い描く像として、家族の中でごはんを作る自分の姿があるというか。そもそも人に振る舞うのが好きだし、自分のためだけだとごはんに関してそこまで頑張れないので。振る舞う相手や一緒に食べる人がいてこそ、やりがいを感じられるところはあります。

ぼる塾の他の三人に対してもお節介してしまう部分はあるんで、料理に限らず「やってあげたい」って願望が強いんだと思います。

ーー何かを自分のためにするのも、人のためにするのも、強制されるわけでなければどちらも素敵なことだなと感じます。

どっちも共存してると思いますしね。

食べたいと思ったらそれがいい。買えなければ自分で作る

ーーぼる塾さん、今すごく多忙だと思うんですけど。そういうときって、「この後面白い予定が入るかも」と思って、自炊や作り置きができなくなったりしません?

ああー。たしかに最近は何が入るかわからないから、作り置きはしてないですね。明日の自分が帰ってきたとき、どんなコンディションかわからないっていうのもあって。早く帰ったとしても、ほんとに疲れてて何もしたくない、レンジで温めるのもしたくないって日もあるじゃないですか。

そうなるともったいないんで、最近はその日の夜にする料理が多いですね。ほんとに焼いて味つけるだけ、みたいなのとか。

ーーそのときそのときの衝動や欲求を大切にしているんですかね。

はい。帰りのタクシーで、レシピサイトを使って「簡単 料理 おいしい」、食べたい食材があれば「とうもろこし 簡単」とかって調べて(笑)、「あ、これなら作れそう」って。すぐできそうなものを選んでます。

ーー下積み時代のごはんは、どんなものを? 

パスタをよく作ってましたね。業務スーパーとかに行ったら、安くてめちゃくちゃ量あるのが売ってるんで、それを買って。

バイト先のまかないで出たのかな?オリーブオイルで麺をほぐしながら、塩昆布とツナと、ちょっと醤油をたらして混ぜて食べるパスタがすごくおいしかったんですよ。それを作ったり、ツナと梅、梅としらすなど安く済む組み合わせで和えたり。当時、ツナはよく食べてました。ツナマヨごはんにもして。

ーー節約ごはんといえど、しっかり自炊しているのがすごいです。

うまいものが食べたいんですよね、結局。キンパも当時から自分流のを作ってました。魚肉ソーセージとたくあん、お惣菜のきんぴらを使って。

ーー魚肉ソーセージを使ってですか!今、完成形があんまり想像できず……

まず海苔をしいて、ごま油とお塩で味付けしたごはんをのせて、4等分ぐらいに細くした魚肉ソーセージと、丸ごと1本のたくあんを細長く切ったのを入れて、きんぴらごぼうを並べて。海苔にもごま油を塗って、アルミホイルでぐるっと包んだのを、ちょっと冷やして食べてました。

ほんとは入れるなら普通のハムだと思うんですけど、薄切りじゃないハムって高くて買えなかったんで、魚肉ソーセージでやってみたんです。具材も細くするから、1回買えばたくさん作れるんで、よく作ってました。

ーー牛肉とか、お肉系を入れるところをそうやって代用して。クリエイティブですね。

テレビでもキンパをよく見かけた頃で、自分もハマってて、食べたかったんですよ。でも、なかなか買いには行けなかったんで、あるもので工夫して。そのとき食べたいものを、どうにか自分で作れないかって試してました。

なんか口がちょっとワガママみたいで、「これを食べたい」と思ったら、どうしてもそれを食べたいんですよ。何も思ってないときはなんでもいいんですけど。

例えばおいしそうなハンバーグをテレビで見かけて、「あ、これ食べたい」と思ったら、そのお店のでなくてもいいからハンバーグを食べたくて。他の選択肢がなくなっちゃうんですよね。ある意味、融通がきかないというか(笑)。

ーーそうなんですか!だからこそ、自分で作ってみようという発想も生まれるんですかね。

料理は自分への励まし。いつか自信も手に入れたい

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ーー忙しい中でも無理のない範囲で自炊を続けているということは、料理することそのものにも、あんりさんにとって何かよい効力があるんですかね?

私は仕事で失敗すると、次に成功するまではなかなか自分のことを許せなくて、つい悪いほうに考えがちなんですけど。例えばきんぴらを作るときに、にんじんやごぼうを千切りするじゃないですか。そういう細かい作業のときって、ほんとに目の前のにんじんとごぼうのことしか考えてない。没頭できるんですよ。

だから反省してるときほど、千切りやみじん切りみたいなめんどくさい作業をやりたくなるというか。その作業自体も楽しいし、その先にはおいしい料理が待っているのも嬉しい。料理は、「今回は失敗したけど、大丈夫だよ」って、自分を励ますような行為なんですよね。

ーー過去のインタビューでは、「料理教室に通いたい」という話もされていました。「日常的に料理はしているけれど、あらためて型を学びたい」という感じですか?

はい。今やらせてもらっている『ぼる塾の煩悩ごはん』でも、私が料理を振る舞ってはいますが、料理のテクニックを教える番組ではないじゃないですか。普段の料理も含めて、そんなに料理中の効率はよくないんです。「料理上手」ではなく「ごはん好き」として、自分が食べられるものを作ってる。

食材の切り方とか煮込む順番も、「にんじんは固いから先に入れよう」って、なんとなくの感覚でやってるところがあるんで(笑)、ほんとはもっとおいしいものを作れるんじゃないかな、と思ってるんです。

ーーよりよくなる可能性を感じているんですね。

自分で食べるには十分ですけど、好きな人に振る舞いたいってなったときには、やっぱり自分ができる一番いいものを出したいっていう気持ちがあって。今はまだ、一番を出せている自信がないんです。

だからこそ、学ぶことで自信をつけたいですね。お仕事で料理をするときも、私が料理の先生って構図ではなく、「楽しんで好きなものを作ってますよー」っていう構図を希望して、お願いしてるんですよ。

ーーなるほど!その結果が、『ぼる塾の煩悩ごはん』の「徳を積む」料理につながっているんでしょうか。

そうですね。だから、あの料理はほんとに楽しいです。切り方とかの説明ではなく、いかにカロリーを足して、徳を積むかを説明しながら作って、結果的においしいものができあがるので。

「結果、おいしい」な今も満足はしてるんですけど、今後はいつか料理教室とかで勉強して、「料理に自信あるよ」って言ってみたいです。

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小沢あや

ピース株式会社 代表取締役。音楽レーベルで営業とPRを経験後、IT企業を経て、2018年に独立。エッセイのほか、女性アイドルやミュージシャン、経営者のインタビューを多数執筆。Engadget日本版にて「ワーママのガジェット育児日記」、「フリーランスな私たち」連載中。豊島区公認の池袋愛好家としても活動している。

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取材・編集:小沢あや
撮影:曽我美芽
原稿構成:佐々木優樹

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