仕事も料理も、丁寧に取り組んだ分だけいい味が出るーー近藤春菜さんの食卓

きのう何作った?

PEOPLE
2021.10.04

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著名人の方々に、おうちごはんをテーマにお話を聞くインタビュー連載「きのう何作った?」。今回のゲストは、お笑いコンビ「ハリセンボン」の近藤春菜さんです。

お友達との外食が大好きという春菜さん。なかなか思うように外食が楽しめない状況が続く中、気合いを入れたおうちごはんを作ってみたり、お取り寄せをしてみたりしているそうです。

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お話を伺った人:近藤春菜さん

1983年2月23日生まれ。東京都出身。東京NSC同期生の箕輪はるかさんとお笑いコンビ「ハリセンボン」を2003年に結成し、数々のバラエティ番組などに出演。2016年から就任した朝の情報番組『スッキリ』のサブMCを卒業したばかり。

ブログ発信が手料理への挑戦を後押し

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ーーブログにはおいしそうな料理の写真をたくさんアップされていますよね。でも、実は料理があんまり好きではないのだとか。

料理、好きでも嫌いでもない……という感じですね。外出を控えるようになって、自炊をする時間が増えたんですよ。毎日ブログにアップしているような料理を作っているわけではなくて。気分が乗っている時と、乗っていない時の差は激しいと思います。

ーー自炊に目覚めたのは、つい最近のことだったんですね。

そうですね。昨年の春頃は、本当にスーパーか薬局かぐらいしか外出しなかったです。お仕事も、家からのリモート出演になって。

そうすると、ごはんを自分で作るしかない状況になったんですよね。これまで私の一番のストレス発散方法は、食べること。「おいしいものを食べたいなら、自分でおいしいものを作らなきゃいけないな!」と。

ーー春菜さんのおうちごはん、本当に盛り付けまでおいしそうです。薬味もたっぷりで。

それはね、ブログに載せるからです(笑)。一人だし、普段なら薬味はのせないと思います。みょうがを買うようになったのも、SNSに掲載するようになってからですね。それまではお蕎麦を食べる時も、買ってすぐのせられる刻み海苔があればいいかな、ぐらいにしか考えていなかったんです。

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ブログに手料理を載せるって、ちょっとした一大事じゃないですか。わざわざ載せるって、人に「見て!」ということでしょう?そうなると、やっぱり彩りを気にしないといけないなと思って、薬味をのせるようになったんです。

ーー薬味ってはしょりがちですけど、のせるだけで映えますし、おいしいですよね。

そうそう。ただお肉を焼いてポン酢につけるだけでも、薬味をちょっと入れた方がおいしいし、気持ちも上がる。何より、自分も肯定してあげられるんですよね。「ちゃんとやってんじゃん!人とも暮らせそうじゃない?」みたいな(笑)。

友人の手料理レベルが高すぎて、料理好きを公言できずにいた過去

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ーー春菜さんこんなにお料理上手なのに、なぜ今まで料理好きをアピールしていなかったんですか?

いや、自分で料理がうまいと思ったことがないんですよ!ほんとに!

私はもともと外食が大好き。お店においしいものを食べに行くのが原動力だから、自分で作る必要もなかったんです。友達と外食、という行為も含めて楽しみだったので。

友達の家のホームパーティーに行って、ごはんをいただくこともありました。私の友達、みんなめちゃくちゃ料理上手なんです。醤油麹とか自家製の味噌を作るとか、とことんこだわっている人が周りに多すぎて。うかつに、「私、料理上手です」と言える状況じゃないんです(笑)。

ーーお友達の料理レベルが高かったことで、遠慮する部分があったんですね。

そうそう、「料理好きというのは、こういう人たちのことをいうんだよな〜」と思っていました。「私なんて、ただ具材を炒めるだけ。自分が食べるためだけに料理をしているんだ」って。

私は独り身なので「キムチ鍋を食べたい」と思ったら、そのまま鍋で具材をぐつぐつ煮て、器によそって、テーブルで食べるという感じですけど、周りの友達は鍋の具材をちゃんとざるに入れて、お店みたいにして出すんです。そういうことを苦にならずにできる人たちなんですよ。

ーー確かにおもてなし上手な人はいらっしゃいますよね。でも、春菜さんも、小鉢をいっぱい並べたりされていて、日々の食事を楽しまれているなぁと思います。

ありがとうございます(笑)。私、一人暮らしを始めたのが28歳からで。大学生や新社会人で始めるよりは、割とお金があったんです。だから、最初から食器も道具もいろいろ揃えられたんですよ。

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実家時代から「一人暮らしをしたらホームパーティーを開いて、家に友達を呼びたい!」っていう夢があって。お皿も買い揃えて。一人暮らしだから一枚でいいのに、ペアで買ったり。鍋も器も「え、何人来る予定?」っていうぐらい(笑)。

結局、数えるほどしかホームパーティーはやらなかったんですけどね。おうち時間が増えたことを機に、家で眠っていたお皿たちをいろいろ出したんです。

ーーちなみにそのホームパーティーでは、どんな料理を振る舞ったんですか?

私はホームパーティーに行く側がメインで、作ってもらうことの方が多いんですけど......自分の家でホームパーティーをするとなると、たこ焼きとか手巻き寿司とか。本当に簡単でみんなで作れるメニューばかりです。

ーー作業工程も含めて、楽しそうですね。器のことも、ちょっと伺いたいです。好きな作家さんなどいらっしゃいますか?

作家さんは全然分からないんです。でも、お店に入って、「このお皿に盛り付けたらおしゃれかな?」と考えて買いますね。器が好きな友達からプレゼントでもらうこともあります。和でも洋でも、万能に使える器が好きです。

一方で、他の人は使わないかもしれないけど、中華のチャーハンを乗せるお皿とか、カレー皿とか、天下一品のどんぶりとか、特定の料理に特化した食器も好きで。

ーーカレー皿、特別感が出ますよね。「カレー、食べるぞ〜!」みたいな。

そうそう。家族で住んでいたら「そんなのにお金使わないでよ」と言われそうですが、一人暮らしの特権なので遊んでいます。

プラス思考で食を楽しむ

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ーー体が資本のお仕事だと思います。普段から、どうやって食事の調整をされていますか?

自分だけだと、出前めっちゃ頼むし、焼肉弁当とかに偏るんですよね〜。

でも友達は、私の日々の体調の変化に気づく。普段の私をよく見てくれて、親しいからこそ伝えてくれる友達が何人かいるんです。

で、その友達が「ファスティング始めるよ」とか、「こういう食材が体にいいよ」「ここのサラダランチがおいしいよ」とか言っているのを聞くと、私もやってみようかなと。仲間と一緒に始められると、人の目もあるし、励まし合えるんです。

ーー確かに、健康に気を使っている友達と一緒に行動したり、ランチに行ったりすると、サラダランチのおいしさに目覚めたりしますよね。

そうそう。イメージだけで「サラダだけでは満腹にならない!」と思い込んでいたけど、意外とお腹いっぱいになるんですよね。「ヘルシーなものを選んだ日は、体がだるくならないな〜」とか、新たな発見もありました。

ーー逆に「今日は食べてるぞ〜!」みたいなときは、どんなものを食べるんですか?

カップ麺!あとは、深夜にごはんを食べますね。冷凍の焼きおにぎりも常備しているので、それ三つぐらい温めて、一気にいってやったりとか(笑)。

ーー「食べちゃった」じゃなくて「いってやったり」。いいですね。春菜さんは食べることを本当に楽しんでいらっしゃいますよね。

そうですね。それも人に言われたからなんですよ。「罪悪感を持って食べたものは、結果、身になっちゃう」って。

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サンドウィッチマンの伊達(みきお)さんみたいに、「0キロカロリー!」と思っていた方が楽しく食べられるし、森三中の大島(美幸)さんも「食べても大丈夫と思っていたら、食べているのに痩せてた!」と話していて。結局、自分の気持ちがめちゃくちゃ大事なんですよ。「あ〜、食べちゃった」と罪悪感を持つのではなく、気にしない方が身にならないと思っています。

孤食の寂しさを埋めるポイントは「我に返らないこと」

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ーー情報番組『スッキリ』を卒業されて、朝のスケジュールには少し余裕が出てきたのでは?

『スッキリ』が始まる前は、毎晩のようにお酒を飲んでいたんです。翌日のお仕事が午後からだったら、朝まで飲むこともしばしばあって、パリピみたいな感じでした(笑)。

でも『スッキリ』が始まると、友達も気を遣ってくれて「早く帰りな〜」と言ってくれて。生活がガラッと変わって、平日は飲まなくなったし、週末も嗜む程度になったんですね。

で、「卒業して、また飲み歩けるようになるのかな」と思ったら、外出自粛もあって、全然で。お酒は大好きですし、飲むことも飲み会の場も大好きなんですけど、「お酒を嗜む」ということを覚えましたね(笑)。

ーー量より質を重視するようになった、と。

もともと人と飲むのが好きだったんですよね。なので、一人ならそんな飲まなくていいかと思って。

一人で家で飲んでいても、人と喋りたくなっちゃうんですよ。酔っ払って電話したりする超めんどくさいタイプなので、酔わない程度にしようと自制しています(笑)。

ーー誰かと話すのが大好きという春菜さんですが、どうやってひとりごはんの時を楽しまれているんですか?

寂しがりなので、誰かと一緒に食事しているような気になれるコンテンツを見ています。(渡辺)直美ちゃんのYouTubeとか、ドラマの『孤独のグルメ』とか。

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あと……お皿に二人分よそって、「誰かが帰ってくる♡」という妄想をしていました(笑)。「今日遅いって言っていたよなぁ......じゃあ、先食べちゃうわ」みたいなことを考えて(笑)。“匂わせ”投稿に見せかけて、全部一人で食べていましたけどね。

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ーー寂しさを埋める術が、おもしろいですね!

寂しさを埋める術も、我に返ったらより寂しくなります。ポイントは、我に返らないことです(笑)。

料理も仕事も、ひと工夫や丁寧さでいい味が出る

ーー最近は、お取り寄せにもはまっていらっしゃるそうで。

はい。飲食店の方も大変だろうなと思いましたし、お店の味を楽しみたくて、いろいろなお店のお取り寄せをしてみました。

食べログモールというサイトをよく見るのですが、予約困難店がお取り寄せを販売していたりするんです。特に感動したのは「焼肉 ヒロミヤ」さん。普通に食べにいこうとすると数年待ちのお店で、お取り寄せをしてみたら、めちゃくちゃおいしくて。

ーー(調べながら)おいしそう......!

分かりやすく、食べ方も書かれているので、その通りにして食べました。昔、誕生日プレゼントとしてもらった網のガスコンロをキッチンに置いて、お肉を焼いて。お店の味が再現できている気がして、外食気分を楽しめました。

ーー他には、どんなお取り寄せを?

六本木にある「蔵六雄山」さんというお寿司屋さんです。もともと自分のご褒美として、通っていたお店の一つなのですが、テイクアウトを始められたということで。彩りもキレイで、味も繊細でおいしくて、感動しましたね。

ーーなかなか思うように飲食店での食事が楽しめないとなると、自分の「好き」を再認識しますよね。

そうですね。また、お店の方のこだわりをより感じるようになりました。お取り寄せして、自分で少し調理する必要があると、「あっ、こんなに丁寧に、いろいろ工夫してくれていたんだ」と分かって。「だからあんなにおいしいんだなぁ」と思います。

ーー最後に、食を通じて、気づいた価値観や学びを教えてください。

丁寧に取り組んだ分だけ、いい味が出ることかな。仕事もそうですけど、ひと工夫したことや、丁寧に取り組んだことは、ちゃんと人に伝わる。

MCのお仕事で、ゲストの方のお話を聞く時に、ただ単に質問するのではなくて、こちらが心を開いて聞いたり、相手が答えやすいような質問を投げかけたりするだけで、だいぶ変わると思うんですよね。 

きっとゲストの方も心開いてくださって、普段ならしないような話をしてくれるかもしれない。そういう丁寧さは、食でもお仕事でも大事だなと思います。

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取材・編集:小沢あや(ピース)
撮影:飯本貴子
原稿協力:五月女菜穂

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