料理がうまくなりたかったら、経験を積むしかない。――真野恵里菜さんのおうちごはん

きのう何作った?

2022.02.24

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ハロー!プロジェクトを卒業後、女優として活躍し、2018年からはパートナーであるサッカー選手・柴崎岳さんと一緒にスペインで暮らしている真野恵里菜さん。現在はレシピのWEB連載にも挑戦されていますが、以前はほとんど料理をしなかったそう。そんな真野さんに、料理を習得していった方法やスペインの食材事情、インターネットで料理について発信するときに意識していることなどを伺いました。

お話を伺った人:真野恵里菜さん

1991年4月11日生まれ。神奈川県出身。元ハロー!プロジェクトメンバーで、卒業後は数々の映画やドラマで女優として活躍。2018年プロサッカー選手の柴崎岳選手と結婚を機に、スペインに生活拠点を移す。
Instagram:@erinamano_official

5年前から始めた料理。初めてのものは時間のあるときに

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ーー真野さんがアップしている食卓の写真は、品数の多さが印象的です。料理はもともとお好きなんですか?

いえ、一人暮らし中は、料理らしい料理は全然してこなかったんです。夫と出会って、初めて、やってみようと思えたんですよ。調味料や調理器具を買い揃えて料理を始めたのも、5年前ぐらいですね。「食を大事にする方と、人生を共にする」なんて想像もまったくしていなかったので、自分でも今の状況に驚いています(笑)。

ーーここまで、どんな風に料理の力を身につけてきたんですか?

いやあ、これは毎日やるしかないなって思いましたね。最初は何を合わせたらどんな味になるのかがまったくわからなかったので、常にレシピサイトをチェックしていました。「〇〇と〇〇の副菜」とか「鶏肉 メイン料理」とかって調べて。初めの1年ぐらいは、クックパッドのヘビーユーザーでした。

私はどちらかと言うと大雑把で、細かく分量を測るのは苦手。そのうち、感覚でざっくり入れるようになったんですが、「あ、これでも意外とできるんだな」と気づいちゃいました(笑)。

ーーだんだんとアレンジを始めていったんですね。料理のコツを掴むためにいい方法ってあるんでしょうか?

一気に料理を作ろうと思うと、何からすればいいかわからなくてパニックになるんです。だから、初めて挑戦する料理は、午前中から家で一人のときに、1品ずつ順番に作っています。それなら時間をいくらかけてもいいから。

そうするうちに、料理の手順や段取りが少しずつ把握できて、「これを茹でてる間にこっちを切ろう」と同時進行ができるようになって……1時間で3〜4品ぐらい、副菜を作れるようになってきました。

ーー余裕があるときに1品ずつ作ってみる、たしかに焦らずに取り組めそうですね。

料理って、まだまだ女性に求められがち。女性だから料理がうまいとか、センスがあるなんてことはなくって、ほんとにやるしかないんだなぁ、って思いますね。何事もそうですけど、性別を問わず、経験を積むしかない!

毎日料理して食べて、感想をもって、食べてくれる人がいるならその人にも感想を求めて。そうやってお互いの好みの味に近づけていくしかないなぁと、今も模索中です。

最初は混乱した、スペインでの食材調達

ーー真野家の食卓は和食中心ですが、スペイン生活では、食材はどんな風に調達されていますか?日本で手に入る食材とは、きっと違いますよね。

そうですね。同じ名前の野菜でも水分量が違ったり、味も少し違ったり……。

スペインに来てすぐの頃は、買い物もわからないことばかりでした。スーパーでも食材名はスペイン語だから、パッと見たときに何のお肉かわからなかったり、野菜も日本のものと比べたら規格外に大きかったり……。ほんとに恥ずかしいんですけど、最初は「これ、どう調理したらいいかわかんない!」って泣いたこともあります(笑)。

ーーたしかに、言語の壁は大きいですよね……。ということは、スーパーの食材などから、徐々に真野さんのスペイン語の世界は広がっていったんでしょうか。

そうですね!食材を表す単語は一番最初に覚えましたし、そこに関しては夫よりも私のほうが早かったです。スペイン語での会話は、全然できないんですが(笑)。

SNSで発信するのはあくまで「うちのごはん」

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ーー今では、日々インスタやブログにお料理をアップされていますよね。コメント欄ではファンの方との交流もされていますが、発信する上で、どんなことを意識されているんでしょうか?

私が料理を載せると、どうしても「アスリートのごはん」として見られちゃうんです。でも、食べる量や時間、おかずの比率などは人それぞれ。共通する部分はあっても、食事にただ一つの正解があるわけではないんですよね。

夫の分の料理の写真は載せていませんが、料理について発信するときは「アスリートの食事ってこうなんですよ」ではなく、「我が家はこういうスタイルの食事だよ」という見せ方にしたいとは考えてます。

ーーアスリートといえど、人それぞれ、と。

でも、私も料理ができないときは、それこそ「#アスリート飯」で検索して、参考にしていたので(笑)。余裕が出てきた今は「自分の食卓を見せることで、今度は誰かが料理をするきっかけや、ちょっとしたヒントになったらいいな」とも思います。

私、スペインにいるときは、ほぼ専業主婦のような生活なんです。基本的に家の中で仕事をする主婦業は、外から評価されにくいし、孤独を感じやすいですよね。SNSで日々のことを発信する中で、同じ境遇の人と出会ったり、それぞれの家庭でのやり方を教えてもらったりすることは、すごく励みになっています。

ーー主婦の仕事が外から評価されにくいというのは、たしかにそうですね。アイドルや俳優として活動されてきた真野さんだからこそ、感じるギャップもありそうです。

人前に出る仕事のときは、自分が頑張っている姿を見てもらう場がたくさんあって、見てくださった方が評価してくれて、また頑張れるっていうサイクルができていたんです。

でも、主婦業って、本当に一人で動くことが多くて。夫は「大丈夫だよー、おいしいよー」っていつも優しく背中を押してくれるんですけど(笑)、「果たして自分は成長できているのか?」って思うときもあって。

ーー日常の家事を自分で肯定するのは、すごく難しいことですよね……。

世間からの見られ方が気になって、SNSから離れる時期もありますし。そんな中でも家事のモチベーションを保つためには、自己満足も大切だと思うんです。自分で「今日は掃除機かけた、えらい!」みたいに、一つ一つ達成感を得ていくこと。

ごはんも、毎日作っているとそれが自分の中でも当たり前になって、特別感がなくなるんですよ。でも、夜ごはんまで作り終えて寝るときに、「今日は朝はこれ、昼はこれ、夜はこれを作った。今日もちゃんと作れたなあ、えらいな、自分」って褒める。

ーー自分の頑張りを尊重するんですね。

自信過剰になるつもりはないけど、自分で「今日もやりきったな」って感じることで、「明日はこういうことをやってみよう、頑張ろう」って気持ちになれるんです。

ーー真野さんの、料理の進化と頑張りは、投稿を古いものから順に見ても伝わってきます。

アイドル時代もですけど、私は歌もダンスもできないところから始めているので、完璧な人を見ると、「自分には才能がないなあ」とか思っちゃうんですよね。でも、そのすごいところにたどり着くまでの過程を見ることができれば、「この人も努力してるんだな」「自分も頑張ろう」って思える。

だからこそ、自分の料理についても、できなかった頃の写真をちゃんと残しています。本当は、恥ずかしくて消したくなるぐらいのクオリティなんです(笑)。でも、それも「この人も初めからできたわけじゃないんだな」って、誰かの励みになるかもしれないですよね。

6年前の投稿

料理と共通する、ハロプロの教え

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ーー調理家電などは、活用されてますか?

あぁー、まだ使ってないですね。これは多分ハロプロの考え方だと思うんですが……まずは自分でやれるところまで、自力でやってみることにしているんですよ。

ーーハロプロの考え方!気になります。

歌やダンス、お芝居でもそうなんですけど、「まずは自分でアイデアを出してやれるだけやってみて、これ以上出なくなってから、減らしていく作業が大事」って言われてきたんです。それが身についているので、生活する上でも、まずは自分の枠を広げて、それから取捨選択していいところを残す、っていうのを10年近くやってきたんです。

料理も、最初から便利な家電に頼りすぎちゃうと、自分のスキルは成長しないのかなと思って。「とりあえずやれるだけやってみて、他にいい方法が見つかったら、そっちを取り入れればいいよね」と思ってやっています。調理道具も必要最低限で、あるものでどうにでもなるんだなぁと(笑)。

ーー食卓にもハロプロイズムがあったとは……!

レシピ連載で分量を「好きなだけ」にする理由

ーー2020年11月からは、CLASSY.ONLINEでレシピを紹介する連載を担当されています。こちらはどういう経緯で始まったんですか?

正直に言うと、料理の連載は一番避けたかったんですよ(笑)。というのも、料理の好みは人それぞれだし、レシピを披露しているのはその道のプロの方が多いので、自分のレシピは説得力がないだろうと思って。

でも、媒体の方に「料理を毎日しているなら、ちょっと頑張って発信してみたら?」と言っていただけたんです。最初はもう、頭が痛くなるほどいろいろ考えて、「これ作ってみたんだけどおいしい?大丈夫?」と、夫にしつこいぐらい味を確認してもらいながらやっていました。

ーー真野さんも「アスリートフードマイスター」の資格をお持ちですが、不安もある中でスタートしたんですね。1年と少し連載を続けた今は、いかがですか?

ついに、「これ作ってみました、おいしかったです」って声をいただくようになったんです!我が家の味が誰かの家に並んでるんだと思うと、すごく嬉しいです。

ーーおぉー!発信した内容に反響があると、嬉しいですよね。

2021年12月に公開された「納豆パスタ」のレシピについては、「納豆パスタ作りました、お父さんも喜んでくれました」ってコメントが来て。家族のコミュニケーションの一部になれたことが、すごく嬉しかったんですよね。

レシピ記事はこちら(CLASSY.ONLINE)

その納豆パスタのレシピは、今までで一番反響があったんです。アスリートの妻ということで「高タンパク・低脂質」な料理を期待されているのではと思い、そこを頑張ろうとしていたんですけど……「さまざまな方が読んでいるから、簡単に作れてお腹が満たされるようなレシピも大事だなぁ」って、気づくことができました。

ーー真野さんのレシピは、分量が「好きなだけ」にもなってるところもすごくいいなぁと思います。分量通りにするのが苦手でも、最初から「好きなだけ」って言ってもらえると、「えーい、好きなだけだぁ!」ってなれて(笑)。

そうなんです、好きなだけでいいんですよ!伝わっていて嬉しいです。

それこそスペインだと、手に入る野菜も日本のものとはサイズが全然違っていて、同じ「1個」でも基準になっているグラム数が変わってくる。それもあって、食材の分量は「好きなだけ」で、味付けが落ち着けばいいと思ってます。

最初の頃は調味料も「好きなだけ」「あとは味見をして好みに仕上げてください」と書いてたんですが、さすがにこれはひどいなと読み返して思って(笑)。自分でも連載をきっかけに計るようになって、今は「大さじ1弱」とかも書いてます。

ーーあははは(笑)。数字があると、それはそれで参考になりますもんね。

私自身、まずはいろんな方の料理を見て、基礎を身につけました。そこから材料や手順を増やしたり、減らしたり、新たに調味料を足したりして我が家の好みの味に辿り着いたんです。私のレシピも、教科書ではなく、一つのベースに過ぎないものだから、ヒントとして使ってもらえたらいいなと思いながら書いてます。

ーー連載を読んでいると、真野さんがご自身で考えたありのままのレシピを正直に書いているんだろうな、最高だなってすごく思います。

あはは(笑)。毎回のレシピ作りは、本気でやってます。海外で誰の手助けもなく、写真も計量も文章も自分でやっていて……。そこは今後も貫きたいところですね。これも、下手でもいいからとにかく全力でやって上達を目指す、ハロプロ魂かもしれません。

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小沢あや

ピース株式会社 代表取締役。音楽レーベルで営業とPRを経験後、IT企業を経て、2018年に独立。エッセイのほか、女性アイドルやミュージシャン、経営者のインタビューを多数執筆。Engadget日本版にて「ワーママのガジェット育児日記」、「フリーランスな私たち」連載中。豊島区公認の池袋愛好家としても活動している。

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取材・編集 小沢あや(ピース株式会社)
原稿構成:佐々木優樹

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