料理は誰にも気兼ねなく自分のペースでーーおかずクラブ・オカリナさんのおうちごはん

きのう何作った?

PEOPLE
2022.05.04

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YouTubeチャンネル「ときどきオカリナ」で手作りごはんを公開している「おかずクラブ」のオカリナさん。「23歳まで本当に料理ができなかった」というオカリナさんに、毎日の献立へのこだわりや、YouTubeやTwitterで食卓の様子を発信するようになってから変わったという食の価値観について伺いました。

お話を伺った人:オカリナさん

1984年宮崎生まれ。お笑いコンビ「おかずクラブ」一員。芸人の前には看護師として働いた経験を持ち、元看護師芸人としても話題に。

自炊は、人に合わせず自分のための料理を楽しむチャンス

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ーー「ときどきオカリナ」では、毎回たくさんの品数が出てきますよね。オカリナさんは、いつも献立をどのように組み立てているのでしょうか?

まずは主食を肉か魚のどちらかにして、副菜と汁物をプラスして作ることが多いですね。「ときどきオカリナ」に出てくるおかずは、冷蔵庫の残り物をうまく組み合わせています。実は私、23歳まで本当に料理ができなくて…カレー作りに失敗したこともあるくらいだったんです。

ーー意外です。オカリナさんは学生時代に寮生活をされていましたが、寮でのごはん作りは当番制だったそうですね。

寮では料理上手な子が作ってくれていたので、私は完全に食べる担当でした。だけど、その子に頼りすぎてしまい最終的に怒られたことも(笑)。病院で働きだしてからもしばらく寮生活をしていたんですけど、寮を出て一人暮らしを始めた23歳の時から、本格的に自炊を始めました。

ーー料理を始めた頃は、どんなものを作っていましたか?

最初は、炒飯とカレーばかりでしたね。安い野菜をたくさん買ってきて、鶏肉とめんつゆで煮たものとかを、よく作っていました。あとは、健康を意識して買った「食養生」の本に書いてあるレシピを真似してみて、料理のレパートリーを増やしていきました。

ーーちなみに、料理をする時は、分量や工程をレシピ通りしっかり守って作るタイプですか?

守った方がおいしいとは思うんですけど、守らないタイプです(笑)。昔から、誰かに食べてもらう料理よりも自分で食べる料理がメインだったので、全然味が付いていない変なおかずを作ったりもします。「おいしくないな〜」って思いながら最後まで食べるんですけど、まあ一人なので、誰に迷惑がかかるわけでもないからいいんです。

野菜はすぐに茹でて保存し、傷むのを防ぐ

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ーー九州は全体的に食の味付けが甘いと言われていますが、宮崎県出身のオカリナさんが料理を作る際の味付けも甘めですか? 

宮崎にいる頃は意識していなかったんですけど、県外に出てみると「宮崎のお醤油っておいしい」と思いました。九州のお醤油は、甘めなんです。ちなみに昔、体調が悪かった時に森三中の大島さんに相談したら「地元のものを食べた方がいいよ」ってアドバイスをもらって、それからお醤油も宮崎の「初茜」を使ったり、お味噌も地元から取り寄せています。小さい頃から食べて育った味なので、九州のごはんが一番好きなんですよね。

ーー同じ料理を作るにも、調味料を変えるだけで、味の印象がガラリと変化しますよね。

そうですね。私がよく読んでいる食養生の本に「調味料はできるだけいいものを使った方がいい」と書いてあったので、ちょっと奮発していいものを買っています。結構素直に取り入れるタイプで、「梅干しが体にいい」って聞いてから、親にお願いして送ってもらっています。

ーーオカリナさんは、ご家族とのコミュニケーションを密にとっているんですね。

親からはよく野菜なども送ってもらっています。一回も「好き」って言った事がないのに魚肉ソーセージが大量に届いたこともありました。よかれと思ってなのか「ポテトチップスの九州しょうゆ」とかも送ってきてくれるんですけど、私の一番好きな味は「コンソメパンチ」なんですよね(笑)。

ーー親御さんの愛なんでしょうね。魚肉ソーセージ、消費するのが難しそうですが、どうアレンジしましたか?

魚肉ソーセージは、卵で炒めたり、マヨネーズをつけて食べたりしてました。そうめんを送って来てくれた時は、地味に困りましたね。最近までザルとボウルを持ってなかったので、そうめんは全部味噌汁に入れて「にゅうめん」として食べてました。

ーーえっ、あんなに頻繁に自炊をしているオカリナさんですが、ザルとボウルを持っていなかったんですね。調理器具も、最小限なのでしょうか。

もともとは持っていたんですけど、ミニマリストに憧れてた時に「これ要らないな」と思って処分してしまったんです。「いつか柳宗理のキッチン用品を買おう」と考えていたんですけど、そのままザルとボウルがないまま5年ほど経ってしまって。

ーーどうやって5年間乗り切ったんでしょうか。

パスタとか茹でたものは全部お箸で移し替えていたんですけど、もう面倒くさくて、あまり茹でる系の料理は作っていませんでした。「家にザルとボウルがない」って言っていたら、最近いとうあさこさんが両方プレゼントしてくれたんです。料理がめちゃくちゃ楽になりましたね。

ーーそれじゃあ、今は茹で料理を作る機会が増えましたか?

そうですね。野菜を茹でて、鰹節と醤油をかけて食べています。野菜って早く食べないと傷んでしまうけど、大体の野菜は茹でるだけでおいしく食べられるので、お味噌汁やお鍋をいっぱい作るようにしていますね。

私「一人鍋」って概念があまりなくて。だって、一人分では我慢できないんですよ。「鍋するぞ!」って時は、いつも大量に作って、何日分かを冷蔵庫にストックしていて食べています。

冷凍野菜を知ってから、ストレスフリーに

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ーーオカリナさんの「推しスーパー」はありますか?

ピーコックストアです。遅い時間まで営業しているのでいつも本当に助かっています。私はスーパーが好きで、気づくと腕が引きちぎられそうなくらい大量の食材を買ってしまうんです。

母も同じように大量に食品を買ってしまう人で、小さい頃は「なんでうちの親はこんなに買うんだろう?」って思ってたんですけど、大人になったら自分も同じような買い方をするようになっていました(笑)。もちろん、ちゃんと全部食べるんですけどね。

ーーまとめ買い派なんですね。オカリナ家の冷蔵庫に欠かせないスタメン食材は何ですか?

ブロッコリーですね。今までお鍋で茹でていたんですけど、いつも放置しすぎてグズグズに煮崩れちゃって(笑)。ちょうどいい感じに茹でられないのがストレスだったんです。けど、冷凍ブロッコリーの存在を知ってから「なんて便利なんだ!」って感動して、よく使っています。

ーー冷凍野菜ってストックしておくと、本当に便利ですよね。

きのこや厚揚げもよく冷凍して保存しています。厚揚げはお味噌汁に入れると、油を吸ってくれるからおいしくて、冷凍ストックできると知ってから、賞味期限切れの食材を食べていた頃の私とは変わりました(笑)。

ーーリピートしてよく作るメニューはありますか?

とあるごはん屋さんで食べていた「大葉入りのゴーヤチャンプルー」がおいしくて、「どうにか家でも作れないかな?」とネットでレシピを調べました。いつもなんとなくの目分量で調理することが多いんですけど、これだけはちゃんとレシピの分量を守って作っています。

あとはこの間、家にいる時に「どうしてもポンデリングが食べたい!」って思って。インスタに流れてきた「ポンデリングの作り方」の動画を真似して作ってみたんですよ。でも大失敗してしまって、全然おいしくなかった(笑)。改めて「お菓子作りって難しいな」と痛感しましたね。

食を発信するようになって感じた、ファンとの絆

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ーーYouTubeで食の発信をし始めて、食について価値観など変わったことはありますか?

私の食事風景を眺めるだけでも、元気になってくれる人がいるんだなって思いました。コメントの中に「癒されに来ました」や「つらいことがあったんですけど、観て元気になりました」って反響が多かったんですよ。私がただ食事しているだけなのに。すごく驚きました。

ーー「ときどきオカリナ」では、いつも一人で静かに食事をしていますよね。普段からそうなのでしょうか?

私は友達とごはんを食べるのが嫌いなわけじゃないんですけど、自分のペースで気負わず食べる料理が好きなんです。YouTubeはしゃべりながら食べているので、そうでもないんですけど、普段は食べるのが早い方。なので、友達に「ちょっと箸置いて!」って、怒られたこともあります。

ーー配信していない時は、どんな風に食事を楽しんでいるのでしょうか?

知り合いが出ていないバラエティ番組を観ています。やっぱり、友達とか先輩とかが出演していると、食事よりテレビに集中してしまうので。私、『激レアさんを連れてきた。』と『科捜研の女』が好きなんですよ。

ーー吉本の先輩が出ていないバラエティ、だいぶ限られそうですものね(笑)。そうそう、オカリナさんの食卓、シンプルな白いお皿を上手く活用していて、素敵だなと思いました。お皿へのこだわりはありますか?

いつも使っている、白い平べったいお皿は、私が一人暮らしを始めた時に小中学校の同級生がくれたものなんです。既に2枚割ってしまったんですけど、残った1枚を大切にしています。あとは、道端で「ご自由に持ち帰りください」と書かれたダンボールに遭遇して。そこで持ち帰ったIKEAのお皿も愛用していたりします。

ーーオカリナさんは多忙な日々の中で、「ちょっと今日はがんばれないな〜」という日には、どういう風に食事を調節されていますか?

私、「今日はラーメンの気分だ!」って時以外、ほぼ外食しないんです。やっぱり自分が作ったごはんって、自分の好みの味で、好きな具材を入れることができるので大好きなんですよ。疲れている時は無理に食べないで、プロテインだけにするとか、何も食べない日を作りますね。ゆっくりお風呂に入って、体を温めてから寝る、というルーティーンを作っています。

ーーちゃんと浴槽に浸かるんですね。

はい。芸人になる前、看護師として働いていた時に、体調が悪くても休めず、点滴を打って働いたことがあるんですよ。もちろんレアケースだとは思うんですけど、「大人になったら、なかなか休めないんだな…」と感じて。できるだけ、日頃から体調に気をつけるようになりました。

ーー看護師として働いていた経験が、今の自分の体との向き合い方にも繋がっているんですね。

はい。23歳の頃、床で寝てたらぎっくり腰になってしまって。それまでは、ぎっくり腰で入院する患者さんのことを「入院するほどのことではないでしょ〜」って、申し訳ないけれど、ちょっと思っていたんですよ。でも自分がなってみたら本当につらくて…「心身の健康が大事だ!」と、心を入れ替えるきっかけになりました。

芸人になってからは、体調を崩したことがほぼないんです。もちろん「毎日元気!」とはいかないこともあるんですけど、ちゃんと毎日ごはんを食べているおかげなのか、健康的な生活ができていますね。

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取材・編集:小沢あや(ピース株式会社)
構成・撮影:吉野舞

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