おでんから鉄板焼きまで!紅しょうがの「気負わないおうちパーティー」 メインビジュアル

おでんから鉄板焼きまで!紅しょうがの「気負わないおうちパーティー」

きのう何作った?

PEOPLE
2025.04.28

熊元プロレスさんがさまざまな芸人に料理を振る舞う「タンクトップキッチン」企画が大人気を博している、お笑いコンビ・紅しょうがのお二人。大阪時代から現在に至るまで、お互いのおうちでちょっとした振る舞いごはんを日々楽しまれているといいます。気負わずにおうちパーティーを楽しむためのコツを伺いました。

お話を伺った人:紅しょうが 熊元プロレスさん・稲田美紀さん

1990年生まれ兵庫県神戸市出身の熊元プロレスさんと、1989年生まれ大阪府和泉市出身の稲田美紀さんによるお笑いコンビ。2023年、女芸人No.1決定戦『THE W』に5度目の決勝進出を果たし優勝。2023年に上京し、現在は東京を拠点としている。

ホームパーティーは、先輩と後輩の垣根を崩せるイベント

img_nanitsuku_066-02

ーーYouTubeの料理企画も人気を博している紅しょうがのお二人ですが、料理をお友達に振る舞うのはもともとお好きだったんですか?

“熊元”

私はとにかくパーティーが好きなんですよ。もともと一人っ子なので、たまに家族とか友達とキャンプに行ってごはん食べたり、家で手巻き寿司パーティーしたりしたのが楽しかった記憶があるからなのかな?と思います。

ーー「料理=イベント」という感覚が強いのでしょうか?

“熊元”

そうですね。食べる時は人がおってワイワイできるほうがいいっていうか。あと、「流しそうめん器」みたいな機械がめっちゃ好きっていうのもあります。

“稲田”

前にクレープメーカーも買ってたよな?YouTubeの動画にもなってますけど、私の誕生日に鉄板焼きをしてくれた時は、わざわざペッパーミルとかも買ってくれたし。

“熊元”

せっかくならお店の人が使ってる道具を使いたいなと思って、新宿の「テンポス」っていう業務用の機器の専門店で買ってきたんですよ。ほかにもあの…カチャカチャいわすやつとか。

“稲田”

鉄板焼きのシェフしか使わん、デカいヘラみたいなやつな(笑)。あんな狭いホットプレートの上でカチャカチャいわしてるの初めて見たけど。

ーーでも、おうちで友達が鉄板焼きのコースを振る舞ってくれるなんて最高ですよね。

“稲田”

うん、うれしかったですけどね。

“熊元”

味は正直、全然極められてはないんですけど、どうせなら見た目から楽しんでほしいなって。だから流しそうめんとかする時も光らせるようにしたり、味じゃなくて見た目にひと手間を加えてますね。

img_nanitsuku_066-03

ーー関西ご出身だとやっぱり、おうちでたこ焼きやお好み焼きパーティーをすることも多いですか?

“稲田”

そうですね。たこ焼きとかねぎ焼きは、外で食べるより実家でやったほうがおいしかったなあと思う時があるんですよ。おとんがつくるねぎ焼きがめっちゃおいしかった記憶があって。

“熊元”

ああ、そうやな。家のお好み焼きがおいしかったイメージは強いかも。

でも私はたこ焼きパーティーはあんまりしたことなくて。たこ焼きって、(関西には)つくるのうまい人がいっぱいいるんですよ。だから、ちゃんとおいしくしないといけない感じがして、ハードル高くて。でも、稲田さんはたこ焼き器持ってるよな?

“稲田”

うん、持ってる。大阪に住んでた時は三つくらい家にあったな。

ーー稲田さんも、料理を振る舞うのはお好きですよね。

“稲田”

家に友達を呼んだりするのは好きですね。大阪にいた時は、先輩芸人の茜チーフさんと「プデチゲ食べよう」って話になって、家に芸人をたくさん呼んだり。ゆにばーすのはらちゃんとか、熊元さんもよく呼びますし。

でも、東京に来てからは家にちょっとだけ騒音のクレームが入っちゃったことがあって、あんまり人を呼べてないんです。1回だけめっちゃ小声でパーティーしたんですけどね(笑)。申し訳なかったですね、先輩を呼んでおいて小声でしゃべらすの。

ーー(笑)。でもたしかに芸人さんは、そういったホームパーティーを主催される方が多いイメージがあります。

“熊元”

芸人は先輩・後輩でごはんとか行くと、基本的に後輩が注文するんですよ。でもホームパーティーだと、家主がもてなす精神になるじゃないですか。 

後輩を働かせるのも申し訳ないし「ホームパーティーであれば後輩を集めて自分で動ける!」っていうのもありますね。昔は先輩が家に呼んでくれていろいろ動いてくれてるのを見て、うれしい気持ちにもなったし。

ーーなるほど。先輩・後輩の役割がしっかりしている芸人の世界だからこそ、なんですね。

“熊元”

そんな気がしますね。洗い物とかも正直、自分でやりたいじゃないですか。周りに気を遣わせるのも嫌だし。

つくる側は、「ありがとう」が聞けるのが一番うれしい

img_nanitsuku_066-04

ーーこれまでお友達や芸人さんに振る舞った料理や、自分が振る舞ってもらった料理の中で、印象に残っているメニューはありますか? 

“稲田”

私は「熊元さんが家に来る時は鯛めしをつくる」って決めてるんです。自分が振る舞えるごはんの中では一番テンション上がるし、そのわりにラクなので。でも前につくった時は、「こっちが探さなあかんくらい、味がない」って言われて(笑)。

“熊元”

味、なかったな~。

“稲田”

だから、つくる時は自分が思ってるよりも味を濃くするっていうのをモットーにしてるんですけどね。

“熊元”

私もどっちかと言うといつも薄味になりがちなので、気持ちはめっちゃわかるんですけどね。

“稲田”

「適量」って書いてある調味料を入れる時、つい「入れすぎやろ」って気持ちになっちゃうよな。でも、多く見えても意外とちょうどいいっていう。

img_nanitsuku_066-05

ーー熊元さんが特に印象に残っているメニューは?

“熊元”

大阪にいた時は後輩二人とルームシェアをしていたので、たくさん人を呼んで、徹夜でおでんパーティーとかしてました。

“稲田”

徹夜でおでんをするんや(笑)。気合入ってるな。

“熊元”

おでんって、結構な量つくらないとお腹いっぱいにならないじゃないですか。だからでかい鍋を二つ用意して、団子とかも自分でつくっていろいろ用意したんです。その時は労力通りの言葉を贈ってもらえたのでほんまによかったです(笑)。

“稲田”

「労力通りの言葉」、たしかにあるよな、ちゃんとやった分だけ褒めてもらえるとうれしい。

“熊元”

そうそう。完食してもらえたし。あとはYouTubeの企画でつくった、ポルトガルのフランセジーニャっていう料理。切ったパンにステーキと卵とチーズとハムを挟んで、その上からチーズをかけてトマトソースを垂らして…っていうすごいボリュームの料理なんですけど、かなり本場の味に忠実にできたかなって。

“稲田”

あれ、めちゃめちゃおいしかった!

“熊元”

今までは、料理が想像通りになることってほぼなかったんです。でもあれはほんまに見た目から本場のフランセジーニャそのもので、すごいテンション上がりましたね。

“稲田”

とんでもないカロリーやったよな。でも、あの味が食べられたのはほんまにうれしかった!ポルトガル行かないと無理やと思ってたから、まさか日本で食べられるとは。

ーーお二人のやりとりをお聞きしていても思うのですが、稲田さんはいつも振る舞われた料理に対するリアクションが抜群ですよね。つくる側もテンションが上がりそうです。

“稲田”

いや、熊元さんが格好つけるのがおもろいだけなんですよ。熊元さんって、料理中に玉ねぎをわざわざ1回投げてみたり、絶対にいらんことするから(笑)。それで笑ってるだけなんですけどね。

“熊元”

でもリアクションって大事ですよね。もし「いや、家でそこまでせんでも」みたいなこと言われたらこっちもテンション下がるんで、やっぱうれしいですよ。あんな反応してくれたら。

“稲田”

そうなんかな(笑)。ふつうに「ありがとう」とか「おいしいわ」って言ってるだけなんですけどね。

“熊元”

こっちは勝手にやりたいことをやってるわけやし、「ありがとう」を聞くためにやってるようなもんやから。それが一番うれしいですよね。

自炊のやる気を出すには、キッチンの動線も大切

img_nanitsuku_066-06

ーーライブやイベントなどで地方に行かれることも多いと思いますが、それでも冷蔵庫の中に常備しておきたい食材はありますか?

“稲田”

私は冷凍室にできるだけ食材をストックするようにしてます。鮭とか鶏肉を安い時に買って冷凍したり、地方でその土地の名産品を買って入れておいたり。タコスが好きなので、タコスミートをつくって冷凍しておくこともありますね。

ーー出張が多い中でも自炊されているんですね。

“稲田”

「飲み会が多い分、健康に気をつけなきゃ」とは思うんですよね。最近は、飲み会で食べた料理を家で再現するのにハマってて。この前はよだれ鶏をつくって、「うまいな~」とか一人で言ってました(笑)。基本は、冷凍の材料でつくれるものばかりですけどね。

ーーメニューは、その日に飲むお酒に合わせて考えることが多いですか?

“稲田”

お酒は1缶好きなものを飲んだらそれ以降は全部ハイボールって決めてるんです。だからお酒に合わせるというよりは、その日食べたいものを食べるようにしてますかね。

img_nanitsuku_066-07

ーー熊元さんはいかがですか?

“熊元”

私は人に振る舞うのは好きやけど、自分のためにはあんまり料理しないんです。…あ、でもチーズは常備してるわ。パーティーの時も使えるし。私、普段はUberEatsばっかり頼んじゃうんですけど、Uberで頼んだ料理にもしょっちゅう追いチーズしてますね。

“稲田”

振る舞うのはあんなに好きなんやし、もっと自分でもつくったらいいのに。

“熊元”

前はしてたんですけどね。…なんか、冷蔵庫の扉の向きが悪くて、自炊の回数が減っちゃったんですよ。壁に対して反対側に開くドアの冷蔵庫を買ってもうて、開けるたびに引っかかるし、中のものが取りづらいなあと思って。

ーーキッチンの動線って、たしかに想像以上に大事ですよね。

“熊元”

ですよね。でも近いうちに引っ越す予定なんです。新しい物件はちゃんと冷蔵庫が開けやすいように計算したので、これからもっと自炊したいって感じですね。

あと私は今までずっと、寝転びながらごはんを食べちゃってて。家にダイニングテーブルがないから、ついついマットレスの上で食事しちゃってたんですよ。そのせいでマットレスがめちゃめちゃ汚くなっちゃって。

“稲田”

汚かったよな。ダイニングテーブルが来たら、わりと生活変わりそうやな。

“熊元”

だから、テーブルが来たらあれ置きたいなって思ってて。なんやったっけ、ほら…ランチマッチョン。

“稲田”

ランチョンマットな(笑)。「ランチマッチョンください」じゃお店行っても探せへんよ。

“熊元”

それや!ランチョンマット。心機一転、ランチョンマットとかも買いたいんですよ。

“稲田”

おぼんとかもラクなんちゃう?ランチョンマットって結局、出しっぱなしにしちゃうとすぐ汚くなっちゃう。おぼんはすぐ洗えるし、見栄えもいいから。

“熊元”

なるほどな。そう言われるとおぼんもありやな。

「さあ、食べるで~!」と口にしてテンションを上げる

img_nanitsuku_066-08

ーーお二人とも食への向き合い方がすごくポジティブですね。特に熊元さんはレシピや手順を厳密に守るのではなく、ご自身が楽しんで料理をしている印象が強いです。

“熊元”

そうですね。レシピは一応見るんですけど、調味料の量を厳密にはかったりすることは基本ないです。味見しながら味を整えていったり、家に来てくれた人の好みに合わせたりするほうがラクなんで。たとえば「レインボーのジャンボ(たかお)が来たら味を濃くしよう」とか。

あと、ほんまに料理上手な人って、ラフに楽しそうにつくってるイメージがある。

“稲田”

たしかにそうやな。

ーー料理の見た目に関しても、お二人ともシンプルだけれど食欲のそそるごはんをつくられているイメージがあります。

“熊元”

見た目もきれいにしたいとは思うんですけど、YouTubeで料理人の方の動画とか見てても、豪快につくってすぐに食べてる人のほうがおいしそうやなと思うんですよね。親は料理上手だったんですけど、実家のごはんもそんなにきれいな見た目で出てきた記憶ってないしな。

“稲田”

ああ、でもわかる。たまに、テーブルの上に前菜からデザートまで料理が全部そろってる写真とか見ると、ちょっとびっくりするんです。あったかいものなんて特に、できるだけ早く食べたいじゃないですか。

あれはあれで素敵やし、見てるとテンション上がるんですけど、自分が食べるとか人に振る舞うってなったら、できるだけあったかいうちがいいよなって。

“熊元”

ガッと勢いよく食べたくなるような見た目が好きっていうのはありますね。そのほうがおいしそうに見えるし、実際おいしいし。

ーーお二人は、好きな時に好きなものを食べている印象があります。

“熊元”

そうですね。健康のためにダイエットとかするのって、もちろんえらいことではあると思うんですよ。けど、罪悪感を持ちながら食べるのは一番よくないですからね。

“稲田”

私はもともと、毎回「この食事が最後や」と思って食べるって決めてるんです。一食一食にあんまり手を抜きたくないというか、「もしもこれで死んでもうたら、このごはんが最後になるやん」みたいな。だから、体には気をつけたいですけど、できるだけ楽しんで食べたいなとは思いますね。

“熊元”

なんか、「夜ごはんは20時までに食べたほうがいい」みたいな話もあるやん?私はもう、20時も24時も変わらないと思ってるから。

“稲田”

いや、熊元さん!20時と24時は、まじで全然違うから(笑)!

“熊元”

いや!4時間くらいで変わるわけない!

“稲田”

変わるねん!寝る直前に食べんほうがええねん!

“熊元”

でも、「こんな時間に食べてもうたわ」って思いながら食べるくらいやったら、食べないほうがいいよな。

“稲田”

熊元さんにはない感情やな。

“熊元”

うん、食べる時は食べる。いっそ口にも出したほうがいいんじゃないですかね。「さあ、食べるで~!」って。ストレスが一番よくないんですから、どうせなら楽しく食べたほうが。

“稲田”

「さあ、食べるで~!」か。めっちゃいいな(笑)。

img_nanitsuku_066-09

この記事をシェアする

取材・編集:ピース株式会社
構成:生湯葉シホ
撮影:武石早代