
「出汁をひく時間が、いちばん贅沢」OWV・中川勝就さんと作る、なんちゃって土瓶蒸し
OWVのメンバー・中川勝就さんが今回作るのは、「なんちゃって土瓶蒸し」。祖母との思い出が詰まった料理をきっかけに、出汁や調味料にこだわる生活や、忙しい日々のなかで料理が果たす役割についてお話を伺いました。
なんちゃって土瓶蒸し

材料(作りやすい量)

作り方
- 1. 鍋に昆布と水350mLを入れ、約70度で出汁を煮出す。一度火を落とし、かつお節を入れて2〜3分出汁を取ったら、キッチンペーパーを敷いたザルで濾す。
- 2. 鶏肉は小さめに切り、しいたけは軸を切り落として十字に切れ目を入れる。むきえびは背中のワタがあれば取っておく。
- 3. 1を鍋に戻し、2の具材を入れてふたをし、中火で火が通るまで煮る。かまぼこは最後に加える。
- 4. 3に醤油をひと回しと、塩をひとつまみ入れ、味見をして調整する。
- 5. 4を土瓶に入れ、三つ葉とすだちを添えて完成。
食べるときはすだちを搾って、まずは出汁だけを注いで味わってから具をいただく。
中川流「なんちゃって土瓶蒸し」

ーーお料理をしながらのインタビュー、よろしくお願いします。今回作る「なんちゃって土瓶蒸し」は、おばあさまとの思い出がある料理だそうですね。
はい。おばあちゃんが料理上手で、先日もまつたけの土瓶蒸しを作ってくれたんです。僕は関西出身で、とにかく出汁が大好き。出汁って、すごく繊細なものだと思うんですよ。昆布やかつお節を入れるタイミングとかちょっとした差で味が変わる。うまくできると、「やった!」って達成感があるんです。
ーー今回のお料理も、出汁が重要なメニューですよね。どんなところに惹かれますか?
海鮮やきのこのうまみが全部出るところですね。香りが立って、飲んだときに深みがある。すだちを搾るだけで味が変わるし、きのこの種類次第で食感もガラッと変わる。一つの料理で、いろんな楽しみ方ができるのが好きです。
ーー「なんちゃって」と言っていますが、かなり自由な料理ですね。今回も、土瓶のまま蒸すわけではなくお手軽です。
そうなんです。僕は普段の料理も目分量ですし、食材も代用しまくってます。土瓶蒸しの具も、本来はまつたけや鱧を入れることが多いと思うんですけど、今日は手軽なしいたけと鶏肉で作ります。

ーー具材も自由なんですね。
香りが強過ぎない食材であれば、だいたい成り立ちますよ。きのこは、食感だけで言えばエリンギのほうがまつたけっぽいですね。でも、香りを重視するなら、やっぱりしいたけが一番です。さらに鶏肉を入れるとたんぱく質も取れるし、作りやすいですよ。お子さんがいる家庭なら、カニカマを入れてもいいと思います。
ーー今、中川さんが軽やかな手つきで包丁を扱っています。そして、中川さん的に最も大事なのが、三つ葉とすだちだそうですね。
はい。すだちや三つ葉も、できれば入れてほしい。全部がメインというか、「高級なお店に来た感じ」がして、満足度が上がります。
ーー普段の料理でも、薬味や香り付け用の食材を大切にしているんでしょうか。
はい。料理は香りが一番大事だと思っていて。三つ葉も最後に入れるだけで爽やかになる。味に飽きたらすだちを足して、一口一口、食べ進めるのが楽しいです。
出汁へのこだわりと、日々の料理習慣

出汁について力説している中川さん
ーー中川さんは日々、出汁をひくこと自体も、楽しんでいるそうですね。
はい。手軽なだしパックも十分おいしいですけど、自分でひくと達成感が違いますね。最初に昆布を水で戻しておくと、段取りがよくなります。昆布は低温で、ゆっくり出汁をとるのがおすすめです。

ーー普段はどれくらい自炊していますか?
仕事量によりますけど、週に2〜3回くらいです。本当は毎日作りたいですね。料理は昔から好きで、実家ぐらしの頃から妹や弟に食べさせたり、あんかけチャーハンにハマって、毎週のように作ったりしていました。
ーー今の中川さんの定番メニューは?
結構色々作っています。季節の食材を使うことが多いですね。夏なら夏野菜。ピーマンが大好きなので、そぼろをちょっと辛く味付けしたものを合わせています。肉詰めではないんですけど、基本は同じです。
ーー「今日はこれを作るぞ」とどうやって決めるんでしょうか。
インスピレーションは、やっぱりSNSですね。料理をアップしている人を見て真似したり、おばあちゃんにレシピを聞いたり。そのままではなく、自分流にアレンジしながら作っています。

ーー冷蔵庫の定番食材や調味料は?
ツアーやお仕事で家を空けることが多いので、食材は基本的にその日に買います。でも、調味料のストックは多めですね。甜麺醤、豆板醤、コチュジャン…作りたい料理に必要だと、なんでもバンバン買っちゃうんですよ。
醤油も3種類あって、出汁醤油、九州醤油、濃口。お刺身なども、お魚との相性に合わせて使い分けています。
ーーお仕事で出張も多いと思います。冷蔵庫の食材管理はどうしていますか?
冷凍したりストックするより、使い切る派。そのときに食べたいものを作りたいし、スーパーに行くのが好きです。
年間通して買える野菜も「ピーマン、めっちゃデカくなってるやん!」とか、旬の変化を見るのが楽しいんですよね。
ーーお忙しい日々のなかで、料理はどういう存在ですか?
僕、実は料理が面倒だと思ったことが、あんまりないんです。忙しいからこそ、おうちごはんがごほうび。もちろん、出前やコンビニもおいしいけど、「今、自分が本当に食べたいもの」は、自分で作るほうが早いこともあります。
ーー勝負の前日のごはんは?
ミュージックビデオの撮影日が近づいてくると、やっぱり鍋が多くなりますね。野菜も食べられるし、汁をがぶがぶ飲まなければ、塩分量も問題ない。普段から、ケータリングもあんまり食べないですね。仕事中は我慢して、帰ってから好きなものを食べます。でも、ライブ前にまったく食べないのもバテてしまうし大変なので、自宅からおにぎりを持っていくことはあります。
ーー日々のごはんで体調をケアしているんですね。
そうですね。むくみを気にしなくて良いタイミングのごはんだと、お米が大好きなので基本和食です。パスタも作りますけど、やっぱり和食の繊細な味が好きなんですよね。
ーーがんばれない日のおうちごはんは?
結局、鍋ですね。あとは、そうめん。子どもの頃は、実家で「今日そうめんやで〜」って言われると、「そうめんか…」って思ってたんですけど、アレンジがいっぱいあることに気がついてからは楽しめるようになりました。肉を炒めてラー油をかけて、めんつゆに落として食べるとか。ヘルシーだし、幅がある。簡単でおいしいです。
冬は鍋のアレンジも楽しんでいて、きのこ鍋が特に好きです。最近は舞茸に夢中ですね。タラなどの白身魚を入れて、魚の出汁を取りながら、最後は雑炊でしめるのがいつものパターンです。
実家住まいのメンバーを泊めて食事を振る舞うことも

ーーメンバーに料理を振る舞うこともありますか?
遅い時間に仕事が入った日には、実家住まいの(浦野)秀太がよく泊まりに来るんです。「終電に間に合わないから」って。大体一緒にウチに帰るんですけど、僕だけ先に帰るときは、秀太に夕飯を作ってあげることがあります。
ーー浦野さんには、どんなメニューを?
基本的には、僕が食べたいものを作って、そのまま秀太に食べさせていますね。あさりの酒蒸しとか、ピーマンが大好きなので夏は肉そぼろと生ピーマン。あとは炊き込みごはん。
秀太が一向に実家を出る気配がないので、僕が料理を与え続けています。翌日も居座るので「もう朝やで!」と言って、強制的に帰します(笑)。
ーー…いっそ、浦野さんと一緒に暮らすのはどうですか?
ルームシェアは絶対に嫌です!家事を全部僕がやることになるに決まっているので。あと、秀太は多分実家を出ないです(笑)。
器にもこだわり 作家さんの器を日常使いした食卓

ーー中川さんの、キッチンのこだわりアイテムは何ですか?
食器ですね。昔、おばあちゃんが食器を扱うお店をやっていたので、もらうことも多くて。今は陶芸家・荒木義隆さんの塩釜で焼いた食器を、大切に使っています。
ーー作家さんの器を、普段使いされているんですね。
はい。おばあちゃんの家でも、いつもそうだったので、自分の中でもそれが「おうちごはん」のあり方なんですよね。洗い物は嫌いだし、手間は増えるんですけど、それでもテンション重視なんです。
あとは、先がめっちゃ細い箸も好きです。口当たりがいいし、グッズで出したいなってずっと思ってます。「折れるんちゃうか?」ってくらい細いやつを。
今日も、わざわざ土瓶に盛り付けることで気分が上がると思って提案しました。今日はマネージャーが大きめの土瓶も用意してくれたんですけど…一人暮らしだとこれはデカ過ぎますよね(笑)。
ーー(笑)。さて、ちょうど具材が煮えたところです。ここから土瓶が登場ですね。
具材は土瓶いっぱいに詰め込むのが好きです。開けたときにやっぱりうれしいので、バランスよく入れていきます。出汁を入れて、三つ葉をのせて、すだちを添えたら完成です。

「なんちゃって土瓶蒸し」実食!

ーー完成形を見ると、やっぱり視覚から楽しめる料理ですね。
そうですね。土瓶の中に具がぎゅっと詰まっていて、パカッとふたを開けたときに「わ!こんなに入ってるんや!」って嬉しくなる。わくわくボックスみたいな感じがします。
ーー土瓶蒸しを食べるときの中川流儀はありますか?
まず、すだちを全部搾ります。たっぷり。すだちは皮を下にして搾ると、香りがよく出るんですよ。

そこから箸でそっと混ぜて、最初は出汁を飲みます。

「出汁、うま〜!!!」ってなります(笑)。かつおとすだちの香りが合わさって、天才的においしいです。
ーー日本酒を飲んでいるような表情ですね。
ほんまや!おちょこを持っているみたいになっちゃいましたね。僕はお酒をまったく飲まないんですけど。さて、具も食べてみます。


おいしい!鶏肉もやわらかくできました。お子さんでも楽しんでもらえる味になったと思います。
自分自身の「おいしい」を大切に日々の料理を楽しむ

ーー中川さんのように料理を楽しみながら習慣化するコツは?
自分が「おいしい」と感じられたら、作り続けられると思います。最初は面倒くさいなと思っても、ベッドやソファでごろごろする時間を「動画を観ながら料理する時間」に変えてみる。
まずはキッチンに立ってみたら、意外と難しいことはないですよ。 面倒くさいのは、洗い物だけです(笑)。
ーー献立に悩む方も多いですが、中川さんは食べたいものはどうやって決めていますか?
体調や季節、あとは気分で決めます。寒い日はグラタン、米が食べたかったら炊き込みごはん。「旬のものを食べたいな」と思うことが、新しい料理に挑戦するきっかけになることも多いです。炊き込みごはんは、コーンと大葉を入れたり、ホタテを混ぜたり、たこめしにしたり。
ーー日々の食事を、季節とともに楽しんでいるんですね。
そうですね。撮影前には身体を絞ることもあるけど、ライブ前も、きちんと食べないとしんどくなってしまう。食べたほうがパフォーマンスもよくなるし、食べることをよろこびとして原動力にしています。食べて、運動して、食べて、仕事して、また食べる。食べることが、僕の生きがいです。

