冷凍食品の「大きな愛」を受け取って、今夜は少し休みませんか?

特別企画

FOOD
2026.06.24

筆者が子どもの頃(数十年前)、冷凍食品は味や品質面で手作りの料理とは違うものというイメージがありました。しかし、今の冷凍食品はどれも「これが冷凍食品なの!?」と驚くほどおいしく、手料理に引けを取らないものばかり。なぜ、今の冷凍食品はこんなにもおいしいのでしょうか?また、消費者の「冷凍食品を使うこと」に対する意識は変わってきているのでしょうか?日本冷凍食品協会のみなさまにお話を伺いました。

日本冷凍食品協会のみなさま

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いまや冷凍食品は食卓の主役

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筆者は冷凍食品に対して、「お弁当のおかずや、夕飯であと一品何かほしいときに使うもの」というイメージがありました。

しかし、令和8年の「冷凍食品の利用状況実態調査」によると、冷凍食品の購入目的は男女とも「自宅で食べる夕食」「自宅で食べる昼食」「お弁当用」の順。

また、利用頻度が増えた冷凍食品は、「餃子」「冷凍野菜」「パスタ・スパゲティ」「ピラフ・炒飯」などが上位にランクイン。今や、冷凍食品は食卓の主役になりつつあるのです。

また、冷凍野菜も人気があるそう。たしかに里芋などは土がついた状態で売られていることが多いので、泥を洗い落として皮をむく必要があったり、ぬめりがあって滑りやすかったりと手間がかかります。皮をむくと食べられる部分が意外と少なくなることもありますよね。その点、すでに皮がむかれている冷凍の里芋は便利です。

Nさん

高齢者のお客様からはかぼちゃも人気です。かぼちゃって、包丁で切るのに力が必要ですよね。だからあらかじめ切ってある冷凍かぼちゃがとても便利なんです。

自炊ができない・したくないときに頼れるものは、スーパーのお惣菜やレトルトなど、冷凍食品以外にもいろいろあります。その中で冷凍食品の魅力のひとつは、必要なときに必要な分だけ使いやすく、比較的長期間保存できること。

生鮮品を使い切れずに傷ませてしまった経験がある方もいるかもしれませんが、冷凍食品はストックしておきやすく、忙しい日の食事づくりにも役立ちます。

Nさん

冷凍食品は、比較的長期間保存できるものが多いのが特長です。また、使いたいときに使いたい分だけ利用できる商品も多く、日々の食事づくりに取り入れやすいと思います。

他にも冷凍食品のメリットとして、「食品ロス削減に貢献できること」が挙げられます。

Oさん

家庭で野菜を調理する場合、皮をむいたりヘタを取ったりすると、その分は生ごみになります。一方で、冷凍食品の工場では、加工の過程で出る野菜の残さを飼料や肥料などとして活用する取り組みも行われています。

便利で日持ちがする上に、食品ロス削減にも貢献できる冷凍食品。これはもう、使わない理由はありません。

手抜きじゃなくて「手間抜き」

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これだけ冷凍食品が浸透した現代においても、まだ「冷凍食品を使うのは手抜きをしているみたいで罪悪感がある…」という人もいます。しかし、冷凍食品を使って調理を時短すれば、浮いた時間を他のことに使うことができます。浮いた時間を有効に使えるのならば、それは合理的で賢い選択といえるのではないでしょうか。

令和8年の「冷凍食品の利用状況実態調査」によると、冷凍食品を使うことで短縮される時間の平均は、1か月あたり女性12.1時間、 男性10.0時間。この時間をどう使うかという質問に対しては、「自分のための時間」や「睡眠・休息・ リラックスする時間」「家族や身近な人と過ごす時間」との回答が上位になりました。

Nさん

以前は冷凍食品に少し罪悪感を感じるという声もありましたが、最近では忙しい日や時間がないときの心強い味方として、上手に取り入れる人が増えているように感じます。

Oさん

冷凍食品は、利用する人にとって手抜きじゃなく『手間抜き』です。皆さんがご家庭で料理にかける『手間』を、食品工場を始めとした、冷凍食品に携わる人たちが代わりに担っているんです。

実際に、利用者の意識の変化を裏付けるデータもあります。冷凍食品をおかずや主食(麺・炒飯など)として食卓に出すことについて答えてもらったアンケートです。

結果は、男女ともに8割近くが冷凍食品の使用について「合理的だと思う」と賛同。 一方、「手抜きだと思う」「罪悪感がある」という回答は3割前後にとどまっています。意外なことに、冷凍食品に手抜きや罪悪感を感じる人は、年齢が高くなるほどに少なくなる傾向があることがわかりました。

Fさん

どうしても冷凍食品だけだと抵抗があるとか、少し時間と心に余裕があるといったときには、冷凍食品にひと手間加えるのもおすすめです。冷凍唐揚げを酢豚に使うとか、冷凍チャーハンの上に目玉焼きをのせるとか、ラーメンに中華丼の具を足すとか。他にも冷凍食品協会では、冷凍食品を使った簡単なアレンジレシピをたくさん紹介しています。こちらの『冷食オンライン』というサイトをぜひ参考にしてみてください!

意外と知らない冷凍食品のこと

そもそも、「冷凍食品」の定義とはどういったものなのでしょうか。冷凍食品協会によると、以下の4つの条件を満たすように作られているものを「冷凍食品」と呼ぶそうです。

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①前処理している

新鮮な原料を選び、洗浄したうえで、たとえば魚ならば頭、内蔵、骨などの食べられない部分を取り除いたり、三枚おろしや切り身にしてパン粉をつけるなど、あらかじめ前処理をしています。

②急速凍結している

食品の組織が損なわれて品質が変化しないように、非常に低い温度で急速凍結しています。

Iさん

食品の凍結には、「緩慢凍結」と「急速凍結」があります。ゆっくり凍らせる緩慢凍結では、大きな氷の結晶ができやすく、食品の組織が壊れて品質が変化してしまうことがあります。そのため、解凍したときにドリップ(水分)が出てしまい、食感が損なわれたり、おいしさが失われたりすることもあるのです。一方、冷凍食品は非常に低い温度で急速凍結されています。氷の結晶が小さいため食品の組織が壊れにくく、解凍した後もおいしさや食感を保ちやすいんです。

③適切に包装している

汚れたり型くずれしたりするのを防ぐために、適切な包装をしています。包装には取扱方法、調理方法、使用上の注意や法律で決められている項目など、さまざまな情報が表示されています。

Nさん

冷凍食品は商品ごとに、おいしく食べられる加熱時間や調理方法が異なります。同じから揚げでもメーカーや商品によって違うため、『前に食べた商品と同じで大丈夫』と思わず、パッケージの表示を確認するのが大事です。

また、自然解凍で食べられる商品と、加熱が必要な商品がありますので、調理前に表示を確認してみてください。

④-18℃以下で保管している

食品の温度(品温)を、生産・貯蔵・輸送・配送・販売の各段階を通じて、一貫して常に-18℃以下に保つように管理されています。

Iさん

-18℃以下を保つことには、栄養価を保つメリットもあります。たとえば、生のほうれん草は12月に収穫されるものがもっともビタミン値が高く、夏場のものはビタミン値が低い傾向にあります。しかし冷凍食品のほうれん草は、ビタミン値が高い時期のものを急速冷凍して栄養を閉じ込めているため、一年を通じてビタミン量が安定しているのです。急速冷凍して-18℃以下で保存すれば、栄養価はほぼ下がりません。

ふだん何気なく使っている冷凍食品にも、このような定義があるんですね。また日本冷凍食品協会が定める認定制度に適合した「認定工場」で製造された冷凍食品には、認定マークが表示されています。売り場で見かけたら、チェックしてみるのもいいかもしれません。

まるで料理研究家!各メーカーによる商品開発と継続的な改良開発とリニューアル

このようにこだわって作られた最近の冷凍食品は、どれもおいしいものばかり。そのおいしさを追求するために、各メーカーの開発担当者はさまざまな工夫をしているといいます。素材や調味料の配合にこだわるのはもちろん、たとえばから揚げなら揚げ温度を何℃にするか、何分揚げるか、余熱で何分置くか…。まるで料理研究家や名店のシェフのように、日々調理方法や製造工程に工夫を凝らしているのだそう。

まずはプロの作ったレシピを、風味や食感についても再現してみて、試食。いまいちだったら改善点を見つけ、味が決まるまで何度もトライ&エラーを繰り返します。そしてレシピが決まったら、家庭用のフライパンからだんだん試作の規模を大きくしていき、最終的に工場のラインに落とし込みます。

Nさん

冷凍食品メーカーでは、専門店や料理人の技術を研究しながら商品開発を行っています。調理方法や風味、食感を再現するために試作を重ねたり、機械そのものを改良してプロの技術を工場で再現できるよう工夫しています。

既存商品の別の味を開発する際は、既存の製造設備やラインを活用できることがあります。一方で、まったく新しい商品を開発する場合には、新たな設備の導入や製造体制の整備が必要になることもあり、商品化までに多くの年月を要するプロジェクトとなることがあります

また、各メーカーが新商品開発と同じくらい力を入れているのが、既存商品のリニューアルです。よく「おいしくなって新登場!」というCMを見ますが、ロングセラー商品はたいてい永久改良を行っているそうです。

Fさん

あるメーカーでは、人気商品の餃子を何度もリニューアルしています。最近のリニューアルでは、お客様からの『ギョーザがフライパンに張り付いてしまった』というお声をもとに研究と開発を重ね、それにより、ギョーザがフライパンに張り付きにくくなったんですね

絶え間なく進化しつづける冷凍食品業界。ここ数年は、「ワンプレート」がトレンドになっているそうです。ごはんとおかずが同じプレートに入った商品で、温めも一度で済むし、何より献立を考える手間も省くことができます。さらに、プレートごと食卓に出せるので、調理や洗い物の手間からも解放されるのです。

そんな冷凍食品業界の中で、画期的だと感じた商品について伺いました。

Oさん

たとえば、あるメーカーの冷やし中華では、麺と具材に加えて氷の粒が入っているんですね。冷やし中華は、麺をゆでて冷水でしめたり、具材を準備したりと、意外に手間がかかります。その点、この商品は電子レンジで温めるだけ。氷は電子レンジのマイクロ波の影響を受けにくいため、麺には熱が通るけれど、氷は溶けにくいんです。レンジでチンして氷と一緒に混ぜると、キンキンに冷えた冷やし中華が食べられる。これは画期的でしたね。

調理の時間や手間を減らし、私たちを助けてくれる冷凍食品。それらは、開発担当者が情熱を込めて開発し、工場の方が手間ひまかけて調理してくれたものです。その大きな愛を受け取って、今夜は冷凍食品に頼ってみませんか?

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取材・文:吉玉サキ
イラスト:アベナオミ