グルテンフリーってなに?初心者が知っておくべきポイントとは
グルテンフリーという言葉、最近よく耳にするようになりました。でも「実際どんなもの?」「健康にいいって本当?」「何から始めればいいのかわからない…」そう思う人もいるかもしれません。
グルテンフリーは主に美容や健康に関心のある人たちに注目されていますが、日々の食生活に取り入れる前に、その特徴や注意点を正しく理解することが大切です。今回は、グルテンフリーの基本やどんな効果が期待できるのか、初心者が知っておくべきポイントについて管理栄養士の下田由美さんに教えていただきました。
「グルテンフリー」って、どういう意味?
そもそもグルテンとは、穀物(小麦、大麦、ライ麦など)に含まれるたんぱく質の一種のこと。パンやパスタなどをモチモチとした食感にする成分です。
一方で、このグルテンが身体に合わない人もいます。そのため「グルテンを一定以上含まない食事」や「グルテンを含む食品を摂らない食生活」が広がりました。これを「グルテンフリー」と呼ぶようになります。
難しく考えすぎず、まずは「グルテンフリー」について知ることから始めてみましょう!
どんな人に関係あるの?
グルテンフリーの食事法は、もともとアメリカを中心に「セリアック病」の人のために広まったといわれています。セリアック病とは、グルテンを摂ると腸に炎症が起きてしまう病気です。日本ではあまり耳にしない病気かもしれませんが、世界にはグルテンが体質的に合わない人もいるのです。
そのため、「グルテンを控えたら体調がよくなった」と感じる人がいるのも事実。たとえば、パンやパスタを食べた翌日にお腹が張ったり、なんとなく身体が重く感じたりする人は、知らず知らずのうちにグルテンの影響を受けている可能性もあります。
小麦アレルギーのある人はもちろんですが、それだけではなく「なんとなくグルテンを摂ると調子が悪い」と感じる人も、一度グルテンフリーの食事を取り入れてみると、変化がみられるかもしれません。
逆に、グルテンフリーには、パンやパスタなどの食品が制限されてストレスを感じやすかったり、栄養が偏りやすくなったり、外食の選択肢が限られてしまうなどのデメリットもあります。このような点をふまえて、無理のない範囲で取り入れることがポイントです。
グルテンフリーが「合う・合わない」は人それぞれ。だからこそ、自分の身体とていねいに向き合うことが大切です。
出典:福永 真衣ほか. I.セリアック病. 日本大腸肛門病学会雑誌. 74巻2021
グルテンを含む主な食品とは?
グルテンを含む食品は、私たちの身近なところにたくさんあります。たとえば、パン、うどん、ラーメン、パスタ、クッキーなどの小麦粉を使った食品には、グルテンが含まれています。
ほかにも、揚げ物の衣や加工食品のつなぎ、ドレッシングなどに含まれていることも。買い物中に食品表示を見てみると、意外な発見があるかもしれません。
なお、醤油にも小麦が含まれていますが、醸造過程でアレルゲンがなくなるため、小麦アレルギーの場合、基本的に除去する必要はないとされています。とはいえ、小麦アレルギーやセリアック病などがある人は、念のため医師に相談することをおすすめします。
出典:「バイオテクノロジー応用食品のアレルギー誘発性に関する FAO/WHO専門家会議報告書」(国連食糧農業機関)
出典:「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2022」厚生労働省
グルテンフリーを取り入れると、毎日がちょっと楽に?
小麦アレルギーやセリアック病、グルテン過敏症など、グルテンが原因で体調を崩してしまう人にとって、食事の工夫はとても大切です。「グルテンを含む食品を食べると、お腹がゴロゴロする…」と感じている人は、身体がサインを出しているかもしれません。
グルテンを控えることで、毎日の体調が安定したり、少し楽になったと感じられたりすることもあります。朝起きたときのスッキリ感が変わったり、お腹の張りや便秘が気になりにくくなったりすることもあるでしょう。
人によっては大きな変化はみられないかもしれませんが、「なんだか調子がいいかも」と思える小さな変化が、毎日をちょっと心地よくしてくれることもあります。
最近肌の調子いいかも?そんな変化も
「最近肌の調子がいいかも」そんなふとした気づきの裏側に、食生活の見直しが関係していることもあります。
グルテンが身体に合っていない人の場合、気づかないうちに肌トラブルを引き起こしていることがあるからです。たとえば、パンやうどん、クッキーなどの小麦製品を食べたあとにニキビや肌荒れが出やすい人は、グルテンが影響している可能性もあります。
もちろん、すべての人に当てはまるわけではありませんが、「肌荒れが気になる」という方は、グルテンに注目してみるのも一つの方法です。
食べ方を見直すことで自然とダイエットに?
グルテンフリーの食生活は、ダイエットにも間接的な影響を与えることがあります。
たとえば、小麦を使った料理には、脂質や糖分が多く含まれているものもあり、食べすぎるとカロリーオーバーになりがちです。こうした食べ物を自然と避けるようになると、食生活そのものが改善されることがあります。
ただし、グルテンを控えれば体重が落ちるというわけではありません。「何を食べたらいいのかな?」と、食生活を見直すきっかけになれば、グルテンフリーがダイエットのサポートになるでしょう。
グルテンフリーは、選択肢の一つ
一方で、グルテンフリーを意識しすぎて自己流で進めてしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。
たとえば、グルテンを含まない食品ばかりに偏ってしまうと、栄養バランスが崩れる可能性があります。また、小麦製品を避けることで、かえって糖質や脂質が多い食品が多くなってしまう場合もあるかもしれません。
「健康のため」と始めたグルテンフリーが、身体に負担をかけてしまっては本末転倒ですよね。
大切なのは、バランスのよい食事を意識することです。ごはんやたんぱく質の源となる肉や魚、大豆製品、ビタミン・ミネラルを多く含む野菜などをしっかりと取り入れて、偏りのない食生活を心がけましょう。
グルテンフリーは無理なく、できるところから。「制限」ではなく「選択肢の一つ」と考えて、自分の身体に合った食べ方をみつけていけるといいですね。