スープカレーを愛して30年!バイオリニスト・NAOTOが語る、スープカレーへの愛

特別企画

PEOPLE
2025.08.18

今年デビュー20周年を迎えるバイオリニストのNAOTOさん。30年前からスープカレーを愛して食べつづけ、スープカレー好きとしてテレビ番組に出演したり、書籍を出版したりもしています。演奏活動のかたわら、日本スープカレー協会の広報宣伝担当理事としての活動も!20周年記念ライブでは、札幌の名店「スープカリー イエロー」とコラボしたオリジナルパッケージのレトルトスープカレーをお土産に用意しているそう。

今回はそんなNAOTOさんに、スープカレー好きとして有名になった経緯や思い出深いエピソード、音楽とスープカレーの共通項などについて語っていただきました!

img_naoto_001-01
カレーのパッケージ撮影のためコック服を着用し、スタッフに「職業がわからない」と言われてバイオリンを持つNAOTOさん

img_naoto_001-02

お話を伺った人:NAOTOさん

バイオリニスト。クラシックからポップスまでジャンルにとらわれない音楽センス、ブリッジをしながらのアクロバティックな演奏など華麗なパフォーマンスで人気を博す。作曲家として、テレビ番組やCM曲の作曲、演劇ユニットTEAM NACSの主宰公演の音楽監督を担当。音楽だけに留まらず、日本スープカレー協会広報宣伝担当理事、カレーマイスターの資格取得、ラジオパーソナリティーなど、多岐にわたり活動中。メジャーデビュー20周年を記念したスペシャルライブ「NAOTO 20th Anniversary Live "SERENDIPITY"」を2025年8月に東京、9月に兵庫で開催する。

スープカレーと音楽の共通点は「ルーツを探る楽しさ」

――スープカレーとの出会いについて教えてください。

30年くらい前、一緒に音楽をやっている札幌出身の松本圭司くんに「スープカレー食べたことある?」と聞かれて。それが、スープカレーの存在を知ったきっかけでした。

そもそもスープカレーという名称は、札幌の有名店である「マジックスパイス」が使いはじめたものです。それまでも、「アジャンタ」「スリランカ狂我国」「アジアン・スパイス」「木多郎」など、札幌の多くのお店に同様のカレーはありましたが、「薬膳スープカレー」や「インド式カレー」という名称でした。そんな中、マジックスパイスのオーナーの下村さんが、インドネシアのソト・アヤムというスープを起源としたカレーを作り「スープカレー」と名付けたんです。するとそれが爆発的に人気になって、第一次スープカレーブームが起りました。僕はその翌年くらいにマジスパではじめてスープカレーを食べました。

――はじめてスープカレーを食べて、どんなところに惹かれましたか?

食べても、まったく理解できなかったところです。たとえばラーメンなら、豚骨なのか鶏ガラなのかわかるし、食べ慣れてくるとお店の系譜までわかってくる。だけど、スープカレーはルーツがまったくわからなかった。だからこそ、興味を惹かれたんです。

起源や系譜を知りたくなる気持ちは、音楽とも似ています。たとえば音楽を聴いていると、「あ、この人はツェッペリンに影響を受けているな」とか「ここはビートルズだな」とかわかるんです。もっと昔になると、ドビュッシーやラベルなどのクラシック音楽にジャジーなものが入ってきて、コードが誕生して…という系譜がある。僕は、そういった起源や系譜を理解したいんですよね。音楽もスープカレーも、「この作品を理解したい」と思うから追及する。別に追及するのが好きというわけではなくて、わからないまま聴いたり食べたりするのが嫌だから。

――スープカレーのことを、一皿の作品として捉えているんですね。NAOTOさんが「スープカレー好き」として有名になった経緯を教えてください。

ポルノグラフィティさんのツアーで全国を回っていたとき、ブログに「スープカレーめちゃくちゃおいしいよ!」と書いたんです。すると、ポルノファンのみなさんが札幌公演のときにスープカレーを食べに行くようになって。お店側も「最近、ポルノって書かれたTシャツを着たお客さんがめちゃくちゃ来るけど、どうしたんだ!?」と思ったようです。それで、スープカレー界隈から「カレー好きの変な金髪のバイオリン弾きがいる」と認識されたみたいですね。それがきっかけで、マジスパのオーナーの下村さんと仲良くなりました。

――その後、日本スープカレー協会の広報宣伝担当理事に就任されていますね。就任のきっかけは?

スープカレー屋さんが集まって協会を発足して、「会長はマジスパの下村さんにやってもらおう」という話になったんですけど、下村さんは「いやいや、俺はいいよ」と引き受けてくれなかったそうなんです。それで僕のところに「下村さんを説得してください」という連絡が来て…。下村さんに電話して「みんながんばろうとしてるからさ、ちょっと力になってあげてよ」と言ったら、「NAOTOくんが言うなら」と会長を引き受けてくれたんですよ。そんな流れで、僕にも広報宣伝担当理事の肩書きがつきました。

img_naoto_001-03
「スープカレー協会のみんなは自分のお店の運営で忙しいから、僕が代わりにこうやって外で発信したりしています」

スープカレーがつないだ縁

――スープカレーにまつわる思い出深いエピソードはありますか?

僕は長いこと劇団「TEAM NACS」の音楽監督を担当させていただいてるんですが、はじめて脚本・演出の森崎博之さんとお会いしたとき、森崎さんの第一声が「NAOTOさんってスープカレーに詳しいんだって?」でした。「どこのお店が好きか、せーので同時に言おうぜ!」と提案されて、せーので二人とも「イエロー」と言ったんですよ。そのとき森崎さんが、一音も僕の音楽を聴いていないのに「NAOTOさんとはいい仕事ができそうだぜ!」って言ったことが思い出に残っています(笑)。いまだにNACSさんとも森崎さんともイエローさんとも仲良くさせてもらっていますね。

――スープカレーがつないだ縁ですね(笑)。ところで、ご自身でスープカレーを作ることはありますか?

料理はするけど、スープカレーはほとんど作らないですね。というのも、スープカレーって、スープとカレーを両方おいしく作らなきゃいけないんですよ。どちらかがおいしくなかったらダメだし、たとえ両方おいしくても、味がマッチしなければならない。そんなリスキーなことをするくらいなら、お店に食べに行きます。高くても一皿2000円で食べられるから。

――ふだん料理をするときはどんなものを作るのでしょう?

冷蔵庫にあるもので適当に作ります。僕、高校から一人暮らしをしているんですよ。だから自炊には慣れているんです。学生の頃はよく友達がうちに泊まりに来て、みんなに手料理を振る舞っていましたね。

――それはすごい!もともと食への関心が高いほうだったのでしょうか?

食への関心もあったとは思いますが、「料理が好き」とか「おいしいものを食べたい」というよりは、生活のためにやむを得ず自炊していた感じです。今はお金に余裕があるから食べたいものを作っているけれど、学生の頃は「限られた予算の中でなんとかお腹を満たそう」というスタンスでした。

昔はお店で一番辛いスープカレーを食べていたけれど…

――今年でデビュー20周年ですが、この20年間で食の好みや食習慣に変化はありましたか?

スープカレーの辛さの番手は落ちましたね。胃腸の消化能力がやっぱり20代の頃とは違うから、昔は一番辛いのを食べていたけれど、今は真ん中あたり。100段階まで辛さを選べる店だとしたら、50番くらいを選びます。本番の前日であれば、さらに落として30番くらいかな。

――100段階あるうちの30番って、ふつうの人だと食べられないくらい辛いと聞きますが…。

たしかに、一般の人にとって30番はめちゃくちゃ辛いと思います。辛いのが好きな人でも、おいしく食べられる辛さはせいぜい5番くらいですかね。

たとえばマジスパは辛さが7段階から選べるんですが、これは入っているピッキーヌ(青唐辛子)の本数が違うんです。僕はたいてい一番辛い「虚空」を注文するんですが、これはピッキーヌが20本入っています。でも、実は裏メニューでピッキーヌの本数をさらに増やせるんですよ。昔それを食べているとき、スプーンですくったじゃがいもをスープに落としてしまって、スープがピチャンと跳ねて目に入ったんです。もう痛くて痛くて…。

img_naoto_001-04
「あれはきつかったなぁ」と思い出し笑い

――目に入るだけでそんなに痛いのなら、食べたら胃や腸がとんでもなく痛くなってしまうのでは…?

その通り。たまに平気な人もいますが、僕は、めちゃくちゃ辛いのを食べたら唐辛子の刺激でお腹が痛くなります。口がおいしさを感じるのと、胃腸がそれに慣れているかどうかはまた別の話なので。それでも食べたいから、お腹を壊したら「あんなにおいしいカレーを食べられた上にデトックスまでできてる!」と前向きに捉えるようにしています。

――ポジティブですね(笑)。ツアーで全国各地に行かれていますが、「この土地に行ったらこれを食べる」と決めているものはありますか?

もちろん!北海道はスープカレーと寿司とジンギスカン。東北は、最近は山形のジビエにハマっています。関東はなんでもあるけど、横浜に行ったらやっぱり家系ラーメン。北陸なら、新潟のぶりしゃぶと富山の寿司。東海はうなぎと天ぷらと味噌煮込みうどんで、関西はスパイスカレーとカレーラーメン。中国地方は海鮮。四国はうどんと、愛媛みかんを食べて育った鯛(みかん鯛)。九州は魚とラーメンとカレーで、沖縄はステーキと沖縄そば!

――あちこちでおいしいものを食べているんですね!

行く店も決まっていて、ほとんどのお店に友達がいます。僕からお店の人に「これ、めっちゃおいしいですね!」って話しかけて、その土地へ行くたびにそのお店に通って、いろいろ話して仲良くなる感じ。友達になったら、客としてお店で会うだけではなくて、他のおいしいお店に一緒に行ったりもします。札幌のジンギスカン屋のおやじとか、沖縄料理屋さんのママとパパとか、大阪のカレーラーメン屋さんとか、日本のあちこちに飲み仲間がいますね。

近くにお店がない人にも、スープカレーを食べてほしい

――ご自身の音楽人生を振り返ってみての感想を聞かせてください。

デビューから20周年、バイオリンを弾き始めてからは48年。本当に、周りの人たちのおかげで続けてこれたと思います。バイオリンを習わせてくれた両親に感謝。デビュー前、仕事を与えてくださったいろいろな会社に感謝。デビューしてからは、もちろんファンのみなさまに感謝。コンサートに来てくれる方がいるからこそできている仕事なので、特にファンのみなさまにはどれだけ感謝しても足りませんね。

20年間を振り返ってみると、月並みな言い方だけれど、山あり谷ありでした。やっぱりご時世的にコンサートが開催できなかった時期は辛かったですよ。でもそれは他の職業も同じというか、たとえばスープカレー屋さんも、当時は同じように辛かったと思います。バイオリニストとスープカレー屋さんってけっこう通じるところがあって、どちらもお客様からの人気ありきの仕事なんですね。カレーも曲も、こっちは「いい作品ができたぞ!」と思っているのにいまいち人気が出ない…なんてことがよくあります(笑)。

――音楽とスープカレーには共通点が多いんですね。今回、20周年記念ライブで人気店「スープカリー イエロー」とコラボされていますが、イエローとのお付き合いは長いのでしょうか?

デビュー前からの付き合いだから、もう25年くらいかな。札幌でポルノグラフィティのライブをしたときにイエローのマスターと仲良くなりました。あるとき、僕が「21時頃、ライブが終わったら7人で行くよ」と言ったら、15時の段階で僕らの分を除いたスープがなくなってしまったそうなんです。マスターは夜営業をやらないで、6時間もずーっと僕たちの来店を待っていてくれました。それから今に至るまで、ずっと親しくしています。

スープは何代か変わっているんですけど、スープを変えるたびに、「次このスープに変えようと思うんだけど意見ちょうだい」って、真空パックにして東京の僕の家に送ってくれるんです。僕もそれを食べて、率直な感想を伝えるようにしていますね。

img_naoto_001-05
「味の感想は一切うそを言わない」というNAOTOさん

――今回のコラボ商品の魅力を教えてください。

スープカレーって好き嫌いが分かれがちなんですけど、このスープカレーは多くの人に受け入れられやすい味だと思います。旨味が多く、日本人の味覚に寄り添っている味。しかもレトルトでもクオリティをちゃんと発揮できています。スープカレーをはじめて食べる人にも、自信を持っておすすめできますね。

――今後、スープカレーに関して叶えたい夢や目標はありますか?

音楽フェスでスープカレーのブースを出したいです。あと、今回のレトルトが好評であれば、他のたくさんのお店ともコラボしてみたいですね。

というのも、全国にはまだおいしいスープカレー屋さんがない地域もあるし、スープカレーを食べたことがない人もたくさんいます。僕がどんなにメディアで「スープカレーはおいしいよ、食べてみなよ!」と呼びかけても、みんながみんな簡単に北海道に行けるわけじゃないですから。だから近くにお店がない人もスープカレーを楽しめるように、レトルトはもっと出したいです。スープカレーは本当においしいので、もっとみんなに知ってもらえるよう普及していきたいですね。

img_naoto_001-06

スープカリー イエロー NAOTOコラボパッケージ(非売品)
NAOTO 20th Anniversary Live "SERENDIPITY" SS席限定お土産

2025年8⽉15⽇(⾦) 東京国際フォーラム・ホールA(SOLD OUT!)
2025年9⽉12⽇(⾦) 神⼾国際会館 こくさいホール(発売中)

オフィシャルサイト https://naoto20th.com/

この記事をシェアする

取材・文:吉玉サキ