パスタ、鍋、親子丼、カレー。育休をとって、料理を覚えた――負担の偏らない家事分担の秘訣

となりのおうちの「1週間ごはん」 #3

2020.05.13

普通の家庭のリアルな1週間のごはんを紹介するシリーズ、「となりのおうちの『1週間ごはん』」。今回は、7歳の娘と1歳の息子を育てる、岩田夫妻の登場です。平日の送り迎えは半々、ワンオペデ―もそれぞれ同じだけ設けるという岩田夫妻。夫の翔平さんは、結婚前にやったことのなかった料理を、育休をとって覚えたのだとか。いったいどうしたら、このような平等な家事・育児の分担が実現するのでしょうか。(取材は3月上旬におこないました)

岩田愛さん

静岡県生まれ。2006年に新卒で人材系企業に入社。営業の第一線で活躍した後、2013年に広報へ異動。2019年4月にメディアプラットフォームのベンチャーへ、1人目の広報担当として転職。バリバリ働きながら2児を育てるワーキングマザー。

岩田翔平さん

島根県生まれ。2007年に人材系企業(愛さんと同じ会社)に入社。営業、転職サービスのプロダクトマネージャーを経て、2018年3月にメガベンチャーへ転職。人事関連のマネジメントを担当。2018年7月から9月まで、2ヶ月の育休を取得。

家に帰って10分くらいで作れる料理を

岩田家の1週間ごはん

——今回は、用意してもらった献立メモがおもしろいので、それをそのまま紹介していくことにします。献立メモには、ワンオペデー(一人で子どもをみる日)か、ツーオペデー(夫婦二人で子どもをみる日)かも記載されています。まずは月曜日。


月曜日

ツーオペデー
大皿に盛りつけて、各々とるのが岩田家スタイル。週末につくっておいた蒸し鶏と水菜。蒸し鶏を作る時にむいておいた皮を焼いて2品目。あとダメになりかけていた白菜の漬物を卵炒めにしたやつ。子どもたちは納豆しらすご飯。


愛 この週は、いつもよりツーオペデーが多かったんですよね。月曜は私がお迎えに行って、岩ちゃん(翔平さんのこと)が19時半くらいに帰ってきました。一皿目は、週末に作った蒸し鶏を切って、水菜サラダの上にのせて、ごまドレッシングをかけたもの。

――蒸し鶏はよく作るんですか?

愛 はい。簡単なんですよ。小さめの鍋にお湯を沸かして、塩と酒をちょっと足して、その中に鶏むね肉をまるごと入れて、10秒くらいしたら火を止めて、蓋を閉めて1時間そのまま放置。それでしっかり中まで火が入ります。

翔平 これおいしいよね。

愛 その鶏の皮をはいで、グリルで焼くのに最近ハマってます。あとは、白菜の漬物がダメになりそうだったから(笑)、それを卵と炒めました。


火曜日

ツーオペデー
ひな祭りらしいことでもやるか、と夫に刺身盛り合わせ、はまぐりを買って帰ってもらう。甘酢をご飯に混ぜて刺し身をのせ、はまぐりを火にかけて、2品が一瞬で完成した。盛りつけは娘。


愛 この日はひな祭りだったので、ちらし寿司とはまぐりのお吸い物を作ろうと思って。でも夫に、「刺盛りとちらし寿司のもとを買ってきて」と頼んだら、ちらし寿司のもとを忘れて刺し身だけ買ってきたという。

翔平 えっ、刺し身だけじゃできなかったの?そうだったんだ(笑)。

愛 そうだよ(笑)。それで、桜でんぶとごまと甘酢を混ぜてごはん部分を作り、刺し身をのせてばらちらしみたいにしました。左の刺し身ありが大人の。右の二皿が子ども用です。娘はあんまり刺し身が好きじゃないので刺し身なし。

娘 刺し身もちょっとだけ食べたよ!!

愛 そうだったね(笑)。あとは、学童の弁当用に作っておいたほうれん草の胡麻和えと、にんじんのひき肉炒めを添えてます。


水曜日

妻のワンオペデ―
妻のワンオペデーは、だいだいストックしてあるインスタントラーメンを食べる。大好き。具をちゃんと入れるのがプチこだわり。子どもたちは作りだめしてあったハンバーグ。帰宅後、10分でご飯。


愛 この日のインスタントラーメンはうまかっちゃんでした。

翔平 チャーシューにゆで卵って、けっこう作り込んでるね。

愛 岩ちゃんは素ラーメン派だもんね。

親と子は、別々に好きなものを食べる

——お子さんとぜんぜん違うもの食べてるのがおもしろいですね。

愛 娘が生まれて7年間、わりと別々のものを食べ続けてます。これは賛否あると思うのですが、私は基本子どもに合わせないようにしてるんです。一緒に食べられるものを一生懸命作ってた時期もあったんですけど、結局好きなものしか食べないから、好きなものを与えようと思って。子どもは納豆ご飯、親子丼、チャーハン、オムライス、ハンバーグ、ミートソースあたりをいつも食べてます。

——それらは毎日作るごはんとは別で、すぐ出せるように用意してあるんですね。

愛 そうです。「今日はどうする?」って聞いて、食べたいって言ったものを出す。給食は残さず食べてるっぽいから、家では自由にしようかなと。偏食に一時期悩んでいたのですが、保育園の先生が「大人がおいしそうに食べているのを見ていれば、いずれ食べますよ」と言ってくれて。だから大人は大人で、食べたいものを食べるようにしてます。

——娘さん、給食は残さず食べてるのえらいですね!ハンバーグは作り置きしてたんですか?

娘 これ、ばあばのハンバーグだよ。

愛 ハンバーグは、私の親が送ってくれたやつです。わりと近くに住んでいて、けっこう行き来があるんですよ。チャーシューも実家から送られてきたものです。娘がハンバーグ3個食べて、しかも翌日の朝ごはんにも食べるからとっとけって言われて、私にはまわってこなかった(笑)。

娘 「とっとけ」じゃないよ!「とっておいて」って言ったの!!


「とっておいて!」と言ったとのこと(笑)。とってもかわいい娘ちゃんです。


木曜日

夫のワンオペデ―
週に1回は外食OKと伝えてあり、娘が楽しみにしている。だいたい中華(バーミヤン)に行く。大人は餃子、子どもたちは枝豆、ラーメン、炒飯。


翔平 バーミヤンはよく行きます。たいてい、僕は餃子だけ。子どもは餃子と枝豆、チャーハン、ラーメンを食べてます。枝豆は、なんか栄養がありそうだから毎回頼むようにしてます(笑)。

——おつまみ要員じゃないんですね(笑)。週1は外食OKというルールがある、と。

娘 岩ちゃんのお迎えのときは、ごはん食べに行くの!!

翔平 「食べて帰ろうよ〜」ってたかられるので(笑)。あとたこ焼きを買って帰ることも多いです。


金曜日

ツーオペデー
疲れているので、惣菜一式を買ってきてそのまま食べる。味噌汁だけつくった。


——平日お疲れさまでした(笑)。容器のまま食卓へ。

愛 お皿を洗うのがめんどくさいので(笑)。いつも大皿に盛り付けてるのも、洗い物を少なくするためです。保育園の運営会社がお惣菜を売っていて、この日はそれを買ってみたんです。保育園の迎えに行ったついでに受け取れるので、すごくいいですね。

翔平 しかもおいしかったよね。

愛 おいしかった。栄養バランスもいいし。ちょっと高いなと思ってたんだけど、もっと早くから頼めばよかった。

月1で肉を大量に購入。いつでも使えるよう冷凍しておく


土曜日

ツーオペデー
死にそうになっていた春菊を水にさらしてサラダに。小松菜とマッシュルームの塩炒め。冷凍でストックしている手羽を焼いたもの。どれも定番メニュー。こういうとき、子どもたちは納豆ご飯 or ミートソースパスタ。


——春菊が死にそうになることありますよね(笑)。先っぽがしなしなになるというか。

愛 そうなんですよ。だいたい週末に買いだめするので、先週買った春菊が死にかけてました。

翔平 この日の小松菜とマッシュルームの塩炒め、おいしかったね。

——なんかこう、メニューが飲み屋っぽいですよね。

愛 最近ほとんど飲んでないんですけど、もともとふたりとも酒飲みなので(笑)。つまみっぽいものが好きなんですよね。お酒は飲まなくなっても、つまみっぽいものを食べている。干物もよく出てきます。

翔平 僕の親戚が干物屋さんをやっていて、そこの干物が冷凍でストックしてあるんです。で、おかずが足りないなというときに、3種類くらい焼いて二人でちょこちょこつまむこともあります。


日曜日

土日の夕飯は、だいたいお鍋。余っている野菜をどんどん入れた適当鍋。娘はセブンのハンバーグ、息子は鍋の具とご飯を混ぜたもの。


愛 鍋に入ってる手羽元も、冷凍してあったやつです。肉は月1でオーケーストアで大量に買って、下処理をして冷凍しておく。肉はオーケーストアでしか買わないって決めてて……安いから……(小声)。

——もっと大きな声で言っていいんですよ!(笑)オーケーストアはそんなに安いんですか。

愛 めちゃくちゃ安いです。

翔平 一緒に暮らし始めたとき、びっくりしました。月1で肉を大量に買ってきて、家が仕込み工場みたいになるから。

愛 手羽先、手羽元は普通に冷凍して、手羽中だけ塩とにんにくで味付けして冷凍します。あと、豚ひき肉を玉ねぎと炒めて冷凍しておく。ジップロックに薄く広げて冷凍して、使う分だけパキッと折って取り出すんです。

翔平 これめちゃくちゃ便利だよね。

愛 炒めものやスープに入れたり、子どものレトルトミートソースに足したりして使います。献立を考えて冷凍しておくというよりは、ある程度解凍して自由に使えるくらいの下処理をしておく、って感じです。作る時は、その日のうちに食べないとヤバそうな野菜を発見して、それと冷凍しておいた肉を組み合わせる。出たとこ勝負です。

——岩田家の家事・育児の分担はどうしていますか?

翔平 送り迎えは半々で、家でごはんをつくったり、食べさせたりするのも平日は半々です。

——翔平さんは、結婚する前から料理してたんですか?

翔平 ほとんどしてなかったですね。ひとり暮らしのときは、だいたい外食か買ってきたものを食べるか。でも、愛ちゃんの料理はおいしいから、付き合うようになってから家で食べることが多くなりました。料理を覚えたのは、育休の期間ですね。

愛 育休のあいだ、私はほぼ寝たきりだったから(笑)。

翔平 ほんと簡単なものだけなんですけど、パスタと鍋、親子丼くらいはつくれるようになりました。

娘 カレーもできるじゃん! 

翔平 そうだね(笑)。カレーはわりと得意です。野菜は全部さいの目切りにして、バーミキュラのライスポットでことこと煮る。この前、娘の友だちが泊まりに来た時に作ったら、すごく喜んでもらえたんです。

愛 カレー好評だったね。

翔平 今日の昼も、愛ちゃんが外出してたので、育休の時に習ったパスタを作りました。土日のごはんは愛ちゃんに基本任せてるんですけど、いざというときには、作れるようにしておきたいと思ってます。

育休で料理を覚えた。家事はバランスよく分担したい 

——料理したことがないと、子どもが生まれても「俺のワンオペのときは買ってくるよ」とか「できる人がやったほうがいいよ」とか、やらない人もいると思うんですけど、翔平さんはなぜ料理を覚えようと思ったんですか?

翔平 「やらない」を貫くスタイルもあるのか……そっちが思いつきませんでした(笑)。やっぱり、育休を2ヶ月とったのが大きいですね。その間ずっと買ってきたり外食したりするわけにはいかないですから。台所で愛ちゃんが横についてくれて、逐一作り方を聞いて習ったんです。戦略かどうかわかりませんが、作ったら「めっちゃおいしい!」って褒めてくれるんですよ。それでやる気になってやり続けました(笑)。

愛 「盛り付けが上手だね」とか(笑)。

——褒めて伸ばす……!愛さん、上司っぽさありますね(笑)。

愛 あと、岩ちゃんは実家のお父さんがごはん作るんだよね。

翔平 そうそう、母の仕事が忙しくて、父のほうが帰りが早かったんです。それで、父が料理を作ってました。でも、すごい適当だったんですよ。育ち盛りの三兄弟に対して、自分がダイエットしているからという理由で湯豆腐だけの夕食を出す、とか。あの夕食は我が家で今も伝説として語り継がれてますね(笑)。

——湯豆腐! 今はおいしさがわかるけど、子どもの頃のがっかりメニューランキング上位(笑)。

翔平 息子たちは、それぞれ冷凍チャーハンをチンして追加してました(笑)。でも、それくらいでも子どもはちゃんと育つんだなって、身を持って知れたのはよかったかもしれないです。

——家事・育児が半々というのも、すばらしいですね。

愛 一緒に暮らし始めるとき、私が事前に家事の項目をリストアップしたエクセル表を送ったんですよ。これだけやることがあるよって。こんな感じです。

——「ごみを集める」「ごみ袋替える」「ごみを捨てる」……名も無き家事が明文化されている!え、これを結婚前に送ったんですか。ちょっと重くないですか……?

愛 どうなんだろう。岩ちゃんからは「めっちゃわかりやすい!いいね!」って返事が来ました(笑)。

——いい人オーラがすごい!!翔平さんの方は、この表が送られてきてハードルの高さを感じたりはしなかったんですか?

翔平 もともと家事はバランスよく分担したいと思ってたんです。夫婦で家事の負担が偏るのって、気持ち悪いじゃないですか。この表で、一緒に暮らした場合どういう家事が発生するのかイメージできたので、すごく助かりました。

——生活をともにする覚悟ができていたんですね。愛さんへの愛ゆえに……!

翔平 あはは、そういうことですね!

崎谷実穂

札幌生まれ。2012年、ライターとして独立。現在はビジネス、教育関連の記事や書籍のライティングを中心に活動。著書に『ネットの高校、はじめました。新設校「N高」の教育革命』、『Twitter カンバセーション・マーケティング』、共著に『混ぜる教育』。構成協力に『発達障害を生きる』(NHKスペシャル取材班編)など。食に興味があり、ホームパーティ料理を習う連載を担当していたことも。料理をするのも外食するのも好き。
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撮影:村上未知