オンライン会議の隙間に、簡単丼を作って息子と食べる――家事と仕事が混ざり合っていた自粛期間

となりのおうちの「1週間ごはん」 #4

2020.07.10

普通の家庭のリアルな1週間のごはんを紹介するシリーズ、「となりのおうちの『1週間ごはん』」。今回からは番外編として「外出自粛期間中の平日ランチ」をテーマに全3回でお届けします。家族が朝から晩まで家にいるという異例の事態。いつもはご自宅にうかがうこの連載も、今回は国内外の3名にオンライン取材をおこないました。

初回に登場いただくのは、九州・福岡で中1の息子さんと暮らす経営者・佐々木久美子さん。オンライン会議の合間にぱぱっと作って、打ち合わせの音声をつなぎながら食べる。スーパーに行く頻度を減らし、なるべく生産者から直接素材を仕入れる。制限のなかでも豊かな食事をするヒントが、佐々木さん宅の平日ランチから見えてきます。

佐々木久美子さん

佐々木久美子さん

1972年、福岡県生まれ。株式会社グルーヴノーツ代表取締役会長。小学5年でプログラミングに出会い、プログラマへの道を歩み始める。会社員としてプログラマやプロジェクトマネージャーなどを経験し、2004年にベンチャー企業の取締役に。2011年に会社を設立。自身の経験をもとに2016年からIT学童保育「TECH PARK」の運用を開始。27歳の娘と中学1年生の息子がいる。現在息子とふたり暮らし。趣味は釣り、ゲーム。


野菜(イメージ)
撮影:村上未知

ベランダで桃を育てる

佐々木家の1週間ごはん

——今回は外出自粛期間中の、平日ランチの写真を用意してもらいました。さっそく月曜日から聞いていきましょう。


月曜日

フランスパンで作ったフレンチトースト、手作りジャム、ホイップクリーム、メイプルシロップ


スーパーで買える、息子が好きなフランスパンがあるんですよ。よく買うんですけどなかなか1本は食べきれなくて、置いておくと凶器になりそうなくらい固くなってしまう(笑)。それを卵液に漬けてフレンチトーストにして復活させるんです。いちごジャムは手作りです。

——手作りジャム、よいですね。

私はいつも福岡の農家さんからお米を仕入れていて、その農家さんがあまおうも栽培してるんです。その農家さんから、今年はいちご狩りシーズンにお客さんを呼べないので、いちごが余ってしまったと連絡があって。毎年この時期にはいちごを箱で買ってるんですけど、今年は多めに4キロ買いました。で、2キロをいちごジャムにしたんです。

——2キロ!

いやー、煮詰めたらかさが減るので、けっきょく中型の鍋1杯分くらいにおさまりますよ。それでもふたり暮らしには多いですけどね(笑)。


火曜日

スパムおにぎり、セロリときゅうりとみょうがの漬物、玉ねぎの味噌汁(ベランダの島らっきょうの葉をネギ代わりに)


——スパムおにぎり、たくさん作りましたね。

だいたい、夕食のためにごはんを4合炊くんですよ。

——4合!

で、残りをおにぎりにしたらこれくらいになりました。このくらいおにぎりをつくっておけば、お昼だけじゃなくて小腹が空いたときにつまむこともできます。

——中1の息子さんが食べざかりなんですね。

本当によく食べますね。それでも息子は休校期間、いつもより運動不足だったみたいで、食べる量が少し減っていました。

スパムおにぎりは、スパムと薄焼き卵を焼いて、ラップの上に海苔を敷いて、スパム、薄焼き卵、ごはんをのせて包むだけです。すごく簡単にできます。おにぎりと言いつつ握ってない(笑)。

——「ベランダの島らっきょうをネギ代わりに」も気になります。

ベランダで、食べられる植物を何種類か育ててるんです。島らっきょうの他には、桃やフィンガーレモンもあります。夏はトマトや大葉なんかも育ててますね。

——桃がベランダで育てられるとは…!

鉢植えの桃があるんですよ。けっこうちゃんと実がなるので、小さい段階で発育が悪いのは摘果して、育てる実には袋をかけます。かわいい花も咲くし、おすすめですよ。

ベランダの桃

XO醤が味の決め手になる、激ウマ目玉焼き丼


水曜日

前日の晩ごはんのキーマカレーの残り、前々日に作った豚足煮込みの残り、家で焼いたパン、ごはん


残り物のランチですね。ランチは前日の残りとか、ダメになりそうな野菜を活用することが多いです。

——パンとごはん、両方あるんですね。

この日は、息子が両方食べたいって言ったので用意しました。パンはホームベーカリーで生地を作って、手で成形して焼きました。手でこねなくていいだけで、かなり楽なんですよね。
豚足煮込みは完全にお酒のあてとして作ったんですけど、大量にできたので昼にも活用しました。

——豚足、すごい照りですね!本格的。

上海出身の友達の家に遊びに行ったときに豚足の煮込みが出てきて、すごくおいしかったから作り方を聞いたんです。最初に油に氷砂糖を溶かすのがコツなんですって。味付けはにんにく、しょうが、しょうゆ、紹興酒。八角は使わないんだとか。あとポイントは、皮付きの豚を煮ること。皮付きの豚は近所の店で手に入らなかったので、ネットの沖縄の食材ショップで買いました。1袋2キロ入ってたので、それ全部煮たんです。

——また2キロ(笑)。

火を入れ直したりしながら、1週間かけて少しずつ食べました(笑)。


木曜日

半熟卵と海苔と鰹節と青梗菜をごはんの上に載せてXO醤をかけた丼、前々日に作った豚足煮込みの残り、家で焼いたパン、ごはん


——これめちゃくちゃおいしそうですね……!

この日は、昼の空き時間が会議の合間の30分しかなくて、ちゃちゃっと作ったんですよね。目玉焼き焼いて、青梗菜茹でて、あとは海苔と鰹節と一緒にごはんにのっけるだけ。味のポイントは、友人の台湾土産でもらった特級XO醤。これかけたらなんでもおいしくなります。あとは、目玉焼きを両面たっぷりめのオリーブオイルで焼くのがコツです。

——オンライン会議が詰まっていたんですね。

そうなんですよ。スケジュールのあいているところに、どんどんオンライン会議が入ってしまうので。30分あれば作れるので、社内の会議であれば食べながら参加します(笑)。ダイニングにいて、目の前で息子も一緒に食べているという状況でした。これまでもたまにそういうことはあったんですけど、休校期間は日常的にやってましたね。

生産者の顔が見える食材を選ぶように


金曜日

ホームベーカリーで焼いたパンを使って作ったサンド、パンの耳にピーナッツバターと自家製ジャムをつけたもの(デザート)


サンドは、スクランブルエッグ、フルーツトマト、ハム、レタス、マヨネーズを挟んで、テキサススパイスで味付けしただけです。

——テキサススパイスってなんですか?

塩や胡椒、にんにく、醤油、唐辛子などいろんなスパイスが混ざってる調味料です。これ、めちゃくちゃおいしいんですよ! 最初はお魚をあげたお礼に友達から「すごくおいしいから食べてみて」ってもらったんですけど、よくあるスパイス調味料だろうなと思って使ってなかったんです。しばらくして、キャンプに行くときに持っていってお肉にかけたら、「なにこれ!」というくらいおいしくて、それから常備してます。

——へええ!気になります。

味のバランスがいいんですよね。揚げた手羽先にかけてもいいし、オイルとテキサススパイスとレモン汁でサラダのドレッシングにもなるし、カルパッチョにかけてもおいしい。万能なんです。

——「お魚をあげたお礼に」とありましたが、佐々木さんは釣りをするとうかがいました。

はい、よく釣りしてます。3月下旬くらいには、全長70センチくらいのヒラメを釣りましたね。そのくらいのサイズになると、45センチくらいの長さの冊が4本とれるんですよ。

佐々木さんとヒラメ

——絶対食べきれない(笑)

そうそう(笑)。だから、1本は両親のところに持っていって、1本は食べて、残りは水分を抜いて真空パックに入れて冷凍しました。少し前に、釣り用の冷凍庫を買ったんです。それが、外出自粛生活で役に立ちましたね。買い物の回数を少なくして、一度にたくさん買って、冷凍庫・冷蔵庫にあるもので料理をするという生活になったので。

——たしかに、買い物の回数少なくなりましたよね。

思い返すと、昔もこんな生活をしていたんですよね。でも2011年に起業してから、出張や会食が増えて、家で計画的にごはんを作れなくなりました。食材を買っておいても使い切れないことが多くなって、必要なものだけスーパーで買って作るような生活にシフトしてたんです。でも、また食材をストックするようになりました。

——ほかに、この自粛生活で変わったことはありましたか?

以前よりも、生産者さんから直接食材を買うようになりました。もともとお米などは農家さんから買っていたけど、豚肉、あとパンケーキミックスなども知り合いの社長さんが製造している商品を買っています。スーパーのラインナップからなんとなく買うことが減り、なるべく知っている人が生産しているものを買うようになりましたね。

——釣りもそうですよね。家にずっといる生活はどうでしたか?

私はけっこう家にいるのが好きなので、ストレスはあまりかかりませんでした。でも毎食献立を考えるのは、さすがに疲れた(笑)。2週間おきくらいに、UberEatsなどで宅配を頼むようにしてました。宅配を頼むと、食器洗いしなくていいのもいいですよね。制限があるとはいえ、自分の食べたいものを食べていれば毎日楽しく暮らせるんだな、と思いました。

息子もオンラインで友達とやり取りしながら楽しくやっていて、通学って本当に必要なのかな、と考えたりもしました。担任との相性で学校生活の質が変わるとか、けっこう理不尽ですよね。あとずっと家にいるから、住環境をもっと整えたくなりました。セカンドハウスを持つことも選択肢に入ってきましたね。自粛生活は、当たり前のことについて見直す機会になりました。

崎谷実穂

札幌生まれ。2012年、ライターとして独立。現在はビジネス、教育関連の記事や書籍のライティングを中心に活動。著書に『ネットの高校、はじめました。新設校「N高」の教育革命』、『Twitter カンバセーション・マーケティング』、共著に『混ぜる教育』。構成協力に『発達障害を生きる』(NHKスペシャル取材班編)など。食に興味があり、ホームパーティ料理を習う連載を担当していたことも。料理をするのも外食するのも好き。
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