ロックダウン中のロサンゼルスで食べる「おうちごはん」――タコスにカレー、たらこパスタ、ほどよく和テイストメニューが並ぶランチ

となりのおうちの「1週間ごはん」 #6

2020.08.14

普通の家庭のリアルな1週間のごはんを紹介するシリーズ、「となりのおうちの『1週間ごはん』」。「外出自粛期間中の平日ランチ」をテーマにした全3回の番外編、第3回です。

今回オンラインで取材をしたのは、アメリカ・ロサンゼルス在住の三橋ゆか里さん。三橋さんは夫のニックさん、そして2歳と0歳の息子さんたちと、ハリウッドの近くで暮らしています。ロックダウンで飲食店の営業がストップし、自宅勤務が続く中、三橋さん一家はどんなランチを食べていたのでしょうか。

三橋ゆか里さん

三橋ゆか里さん

IT記者・翻訳者。小学6年から高校卒業までアメリカに住み、大学進学のタイミングで帰国。2015年からロサンゼルス在住。Newsweek Japan、The Bridge、Numeroなどで執筆。雑誌『Mac Fan』などでコラム連載。三省堂『ICTことば辞典』共著。映画『ソーシャル・ネットワーク』の字幕・吹き替え監修。2児の母。海外での育児に関するポッドキャスト「HEARMAMA(ヒヨママ)」(http://yukari.is/category/podcast/)を配信中。


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撮影:村上未知

トイレトレーニングに挑戦した、バタバタな1週間

三橋家の平日の昼ごはん

——今回はロサンゼルスから、ロックダウン中のとある1週間のランチを送ってもらいました。三橋さんは2014年にアメリカ人のニックさんと結婚し、2015年からロサンゼルスに住んでいます。ロサンゼルスのロックダウンが始まったのはいつ頃でしたか?

3月20日です。5月末から条件付きで飲食店の営業が再開していたんですけど、7月に入ってまた店内飲食サービスは停止してしまいました。

いつ収束するか見えないのは不安です。でもせっかくなので、このずっと家にいる期間を利用して、長男のトイレトレーニングをしたりしていました。

私達が今回やったトイレトレーニングは短期集中型で、最初の数日間の起きている時間はおむつを外して自由におしっこさせるというものだったんです。最初は家のあちこちでしちゃうので大変だけれど、少しずつおしっこするときの感覚がわかるようになってきて。出る前に「おしっこ」と言えるようになるまでのバトルです(笑)。

——おお……何も履かせないスタイル。けっこうドキドキしますね。

そうなんですよ。おむつをはずしているときは、基本見守っていないといけないので、他のことができない。親がどちらも家にいる期間じゃないとむずかしいですね。だからこれは、かなりバタバタしていた1週間のランチです。


月曜日

タコスとスイートポテト


タコスはまず、買ってきたトルティーヤをフライパンでちょっと温めます。で、トッピングはその時あるものを何でも入れます。具の自由度が高いのがタコスのいいところ。この日は、豚肉を炒めたもの、レタスなどの野菜、チーズ、豆を入れました。

——タコス! いきなりカリフォルニアっぽい。私のイメージですけど(笑)。

日本はそんなに家でタコスを食べないですよね。こっちではトルティーヤを常備している家庭が多いんじゃないかな。あとタコスに似た、トルティーヤにチーズなどの好きな具を挟んで焼く「ケサディア」っていうメキシコ料理があって、子どもに大人気なんですよ。だからランチに作るおうちは多いと思う。ロックダウンが始まった頃は、トルティーヤがスーパーから消えてました。

——日本でも休校が始まった頃は、シリアル類とかインスタントの袋麺とか、子どもが朝食・昼食に食べるような食品が一気に品薄になりました。

こっちは、インスタントラーメンは売り切れてなかったです。私も保存食としてインスタントラーメンをみんな買ったりするのかなと思ってたけど、アメリカの人はカップ麺ってそんなに食べないみたいですね。

人気レストランのテイクアウト、幼児のいる家庭にはありがたい

——ふむ、食文化の違い、興味深いです。そしてスイートポテト。タコスとの組み合わせってよくあるんですか?

いやいや、これはただ前日のテイクアウトの残りを添えただけです(笑)。ランチってけっこう、残り物を処理する機会になりますよね。冷蔵庫のダメになりそうな食材を全部使っちゃおう、とか。この週はパパも家にいるから毎日作って食べてますけど、子どもと私だけだとキッチンで残り物を立ったまま食べる、みたいな日もあります。

——ワンオペの日はランチの時間もあまりとれないですよね。テイクアウトはよく利用するんですか?

ロックダウンに入ってから、テイクアウトを週1回は利用するようになりました。小さい子どもがいると、なかなかいいレストランって行けないじゃないですか。でも、このロックダウンの影響でミシュラン2つ星のレストランとかも、テイクアウトでの提供を始めたんです。

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——それはよいですね。今まで行けなかったようなお店の料理がおうちで楽しめる。

車で行ってドライブスルーみたいに店内に入らずピックアップできるから、手軽なんです。毎日「次のごはん何にしよう」って考えるのはやっぱりしんどいので、週に1回のご褒美みたいな気持ちですね。


火曜日

カレーライス


——日本のカレーっぽいですね。

そう、これ日本のカレールウを使ってるんです。お米は玄米。あと、長男が食べなかった残りのマンゴー。あ、おかえり。レモン取ってきたの?

(息子さんが画面に登場)

——こんにちは! かわいい〜。

パパとの散歩から帰ってきました。うちの周りは、レモンやオレンジの木がそこら中に生えてて、植えてるおうちが「ご自由にどうぞ」ってかごに入れて道に置いてたりするんです。それを持ってきて遊んでる(笑)。

——すごい、カリフォルニア感ある。


水曜日

まぜそば


——まぜそばってなんですか?

これは台湾の「KiKi麺」という商品ですね。タレと麺がついてて、混ぜるだけでできるセットになっています。台湾好きの子がインスタで「これおいしいよ」って書いていて気になってたんですよ。日本では通販できるみたいだったから、母親に買ってもらって、こっちに来るときに持ってきてもらったんです。食べたことない感じの味だったけどおいしかった。

——具は煮玉子と鶏ハムですか?

そうそう。鶏は最初に、くるくる巻いて電子レンジで加熱して形を作って、それを煮汁で煮るという時短チャーシューです。

育ってきた環境は違うけど、おいしいと思うものは一緒


木曜日

つくねとチョレギサラダ


——つくねは和風の味付けなんですか?

そうです。ニックも日本食が好きなんですよ。彼はアメリカで生まれ育って、20代後半に初めてお鮨を食べたくらい日本食とは縁遠かったんです。でも、不思議と食の好みが合っていて。国際結婚だと、食文化が違うから夫婦で別々のものを食べる、というカップルもいるんですよ。それぞれ自分の食事を作って食べる、とか。

——ひえー、そういう場合もあるんですね。

うちはそうではなくて、同じものを食べて「おいしいね」って共感できるから、よかったなと思います。こういうのも好きなんだ、と思ったのは「洋食」。ハンバーグやオムライスなどの洋食って、日本独特の料理なんですよね。で、数年前に日本に行ったとき、お昼時にニックは銀座の「レストランあづま」に一人で入ってみたんだそうです。ちょっと冒険する気持ちで。

——あづまは老舗の洋食屋さんですね。一人で行くなんて勇気あるなあ。

それで、ナポリタンとハンバーグとエビフライ、みたいな日替わりランチセットを頼んで食べたんですって。そうしたら、全部おいしくて感動したらしく、その日本滞在中に何度か行ってました(笑)。

——洋食、日本にしかない謎のおいしい料理ですね(笑)。おうちで作る、定番の和食ってありますか?

しょうが焼きかなあ。しょうが焼き、ふたりとも好きなんです。でも、普通のスーパーには豚肉のスライスって売ってないんですよね。たぶん、スライスする薄さの設定に限度があるのかな。だからわざわざ日本食材のスーパーに行って買います。皮付きの鶏肉も売ってないんですよね。

——へええ、意外なものがないんですね。しょうがはあるんですか?

近所のスーパーにアジアの野菜セクションみたいなところがあって、しょうがやねぎなどは手に入るんです。この辺も中国や韓国などのアジア系の人たちが多く住んでるからだと思います。

——たしかに、中国料理や韓国料理にもしょうがは使いますもんね。では、金曜日のランチいきましょう。


金曜日

たらこパスタ


たらこは、母がこちらに来た時に持ってきてくれたもの。水曜日のまぜそばと一緒ですね。一応、こっちの日本食材スーパーでも冷凍たらこは売ってるんですけど、やっぱり日本で買えるもののほうがおいしいから。

パパのミートソースが冷蔵庫に常備してある安心感

——では、はるばるやってきたたらこを使った貴重なパスタなんですね……! これら月曜から金曜までのランチは三橋さんが作っていましたが、ニックさんもお料理しますか?

彼も、夜や週末はけっこう料理してますね。趣味と息抜きを兼ねてるみたい。パスタをよく作ってるかな。長男はそこそこ偏食なんですが、パスタは必ず食べてくれる。だから、パパがミートソースやバジルペーストを作って冷凍庫にストックしてるんです。そういう予備があると、出したごはんを食べてくれなかった時とか助かりますよね。

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マッシュルームとチキンのラビオリ。市販のラビオリにきのこを足して、シンプルにガーリックバターで味付け

——たしかに。いざというときに代替できる好物を作っておいてくれるの、すごくいいですね。

ニックは凝り性だから、ミートソースもいろんなレシピを試してるみたい。で、採用したレシピをGitHub(ソフトウェア開発のプラットフォーム)で管理してます(笑)。

——エンジニア感がすごい(笑)。日本では、自粛期間中にパンやお菓子を焼く人が増えたんですけど、そちらはどうでしたか?

こっちも、小麦粉やイースト菌が品切れしてました。私も、例にもれずクッキーやスコーンをよく焼いてましたね。ロックダウン中に長男が誕生日を迎えたので、トトロのバースデーケーキを焼いたりもしました。長男はトトロが好きなんです。でも、ケーキに関しては、「トトロは食べ物じゃない」という気持ちがあるのか、ほとんど食べてくれず(笑)。まあ、そんなもんかな

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——こんなにかわいいのに! いや、かわいいから食べられないのか……? カリフォルニア感もありつつ、日本的な良さも兼ね備えたランチ、おいしそうでした。早くこの事態が収束することを願いつつ、こんなときだからこそのテイクアウトなども楽しみたいですね!!

崎谷実穂

札幌生まれ。2012年、ライターとして独立。現在はビジネス、教育関連の記事や書籍のライティングを中心に活動。著書に『ネットの高校、はじめました。新設校「N高」の教育革命』、『Twitter カンバセーション・マーケティング』、共著に『混ぜる教育』。構成協力に『発達障害を生きる』(NHKスペシャル取材班編)など。食に興味があり、ホームパーティ料理を習う連載を担当していたことも。料理をするのも外食するのも好き。
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