おもてなし料理にぴったり!「野菜たっぷりグーラッシュ」
つばきファクトリーの八木栞さんは、料理初心者ながらも、初挑戦のメニューにもどんどん挑むがんばり屋さん。時には焦がしてしまった料理も、素直にブログで発信しています。彼女の飾らない手料理は、通称「八木メシ」としてファンの間で親しまれています。
そんな八木さんが料理家の長谷川あかりさんから、簡単だけどおいしく作れるレシピを教わる「八木メシ、進化中!」。第6回は、おもてなし料理にぴったりのハンガリー料理「野菜たっぷりグーラッシュ」を作ります。
野菜たっぷりグーラッシュ
材料(作りやすい量)
作り方
- 1. パプリカは種とヘタを取り、長さ4㎝の薄切りにする。セロリは斜め薄切りにする。にんじん、じゃがいも、大根は乱切りにしておく。即席ブールマニエの材料を合わせておく。
- 2. 鍋にオリーブオイルを加え、中火にかける。パプリカとセロリ、塩小さじ1/3を加えて、野菜から水分が出るまで炒めたら、パプリカパウダーを加えてさらに炒める。パプリカパウダーが馴染んだら、水600mL、トマトジュース、牛肉、ローリエを加える。煮立ったらアクを取り、ふたをせず弱火で1時間煮込む。
- 3. じゃがいも、にんじん、大根を加え、そのままさらに30分煮込む。塩小さじ1、おろしにんにく、カレー粉を加えて味を調えたら、即席ブールマニエを少しずつ加える。よく混ぜてしっかり加熱し、とろみがついたら火を止める。味を見て足りなければ塩で調え、完成。
ハンガリーの煮込み料理「グーラッシュ」
以前、「塩だけ唐揚げ」に挑戦した時に、八木さんが「手料理をふるまいたい」とお話していたのが印象的でした。今回はおもてなし料理にピッタリの「野菜たっぷりグーラッシュ」を紹介します。グーラッシュって、ハンガリーの伝統的な煮込み料理なんですよ。
がんばります!
煮込み時間は必要だけど、調理工程はそこまで難しくないんです。まず、スープのベースに使うパプリカとセロリを薄く切って炒めます。炒めたら、牛肉を入れて柔らかくなるまで煮て、さらに根菜を加えて全部で1時間半ほど煮込んで完成です!
根菜って先に入れるイメージですけど、この料理では後に入れるんですね。
最初にパプリカとセロリを煮込むことで香りを出すんです。じゃあパプリカから切っていきましょう。4等分に切ってヘタと種を取ったら、薄くスライスしていきます。
種とくっついているわたの部分も取りますか?
できれば取ったほうがいいかな。薄切りは「できる限り」で大丈夫です。
はい!(慎重に薄切りする八木さん)
いい感じです!
今回のレシピは切る工程が多めだから、包丁の練習になりますね。グーラッシュを何度か作ったら、上達すると思います。
みじん切りならチョッパーを使えるけど、薄切りって自分で切るしかないですもんね。家ではカット野菜を使うことも多かったんですが、がんばります!
次にセロリを切ります。セロリは筋があるので、筋を切るように斜めに切ってください。
はい!
セロリってスライスしたものをそのままサラダにしてもおいしいし、煮込み料理に入れると香りが良くなる万能な野菜なんですよ。
煮込み料理では保温性の高い鍋を使って
次は、オリーブオイル大さじ1とカットしたパプリカとセロリを鍋に入れ、塩を小さじ3分の1(2g)振って炒めましょう。今回は煮込み料理なので保温性の高い厚手の鍋を使うといいですよ。
オリーブオイル大さじ1って表面張力ぎりぎりまで入れるべきか迷うんですけど、どうなんでしょう。
粉はすり切りで、液体は表面張力ぎりぎりまで入れて大丈夫す。計量カップは表面張力で二重に見えると思うのですが、下の線ではかるのが正解です。
わかりました!
カットしたパプリカとセロリは、水分が出るまで炒めます。塩を振って炒めると野菜から水分が出やすくなり、野菜本来の甘みやうまみを引き出すことができますよ。
本当ですね。すごく水分が出てきました。
そうしたら、パプリカパウダーを大さじ1入れて、粉っぽさがなくなるまで混ぜて馴染ませます。
赤くて香りがいいですね。ドッキリでカプサイシンパウダーを混ぜてもばれなさそうです。
意外とバラエティー脳ですね。パプリカパウダーと唐辛子パウダーを入れた料理を作って、どっちが辛いか当てるのもおもしろいかも。
楽しそう!
粉がなじんだら、600mLの水と200mLのトマトジュースを入れます。
はい!
計量カップは、しゃがんでカップと目線を合わせるとはかりやすいよ。
なるほど!
両方を鍋に入れたら、牛肉を加えます。カレー用の牛肉を買えば、切らずにそのまま使えますよ。そして、香りづけのローリエを半分に折って入れます。
本格的ですね。ローリエの折り方はこんな感じでいいのでしょうか。
うん。切れ目を入れる感じで、ちぎる必要はないです。煮立ったらアクを取って、弱火でふたをせずに1時間煮込みます。
1時間の間で家事や洗い物ができるのでいいですね。
友達を呼ぶ時は、煮込んでいる間にサラダなどを作るのもいいかもね。
初めての大根の皮むきに挑戦!
根菜の準備をしましょう。にんじんとじゃがいも、大根を乱切りにします。大根の皮むきをお願いできますか?
初めて挑戦します!りんごをむく要領と同じでしょうか。
同じですよ。あ、上手、上手!
皮をむいたら乱切りしていきます。乱切りはやったことがありますか?包丁を45度に傾けて、野菜を切る。そうしたら野菜を90度回転させて、また切るんです。
ランダムな感じになればいいんですね。
上手、上手!
鍋の様子を見てみましょう。浮いてきたアクは取り除いて。でも、ざっくりでいいですよ。私はアクを取りすぎてスープがなくなったことがあるので(笑)。注意してください。
几帳面なんですね。家族でしゃぶしゃぶ屋さんに行くと、アクを取る係だったので楽しいです。
1時間煮込んだら、根菜を入れてふたをして、さらに30分間煮込みます。父の日とか母の日に作ったら、きっと感動してもらえますよ。
楽しみです!
とろみをつける即席ブールマニエ「小麦粉とオリーブオイル」
煮込み時間が残り5分くらいのところで、味付けをしていきましょう。
(ふたを開ける)わ!煮えたぎってますね。
お塩を小さじ1、カレー粉とおろしにんにくを小さじ半分ずつ入れましょう。カレー粉はカレー味にしたいわけじゃなくて、スパイス感をつけるために入れます。にんにくは風味付けですね。全部入れたら、小麦粉とオリーブオイルを大さじ1ずつ混ぜた「即席ブールマニエ」を入れて加熱していきます。シチューみたいなとろみがつくんですよ。
とろみって片栗粉のイメージがあるんですけど、小麦粉なんですね。
片栗粉は中華料理のあん作りで使われますね。片栗粉も小麦粉も同じでんぷんだけど、片栗粉のとろみはすぐにダレてきちゃうんです。小麦粉の方が安定するので、カレーやシチューなんかの洋食で使われることが多いかな。今回はとろみの調節をしたいから、さらさらしていて失敗しにくいオリーブオイルを使います。
勉強になります!
粉っぽさがなくなるまで混ぜたら、鍋に回し入れましょう。ここからは時間勝負。すぐにヘラで混ぜてください。
え!!
がんばって!混ぜながら煮ると、とろみが出てきます。
具がゴロゴロしていておいしそうですね。
食べ応えがあるけど、乳製品が入ってないから、軽くていいかも。後からとろみを足したいときは、小麦粉とオリーブオイルを1対1になるように混ぜて足してください。いい感じのツヤが出てくるはずです。
本当だ!
塩加減を八木さんに決めていただきたいので、ここで味見してみましょうか。
責任重大ですね。味見をしないとだめなんですか。
料理上手になるポイントは、味見をして調節できるようになること。徐々に感覚がつかめるようになりますよ。
(一口食べる)おいしい。でも、初めて食べる味で完成形がわからないですね。これで合ってるのかな。
パプリカパウダーが異国感を感じさせるのかもね。「おいしい」と思ったら、それが自分の完成形です。(一口食べる)うん、これで大丈夫ですね!めちゃくちゃおいしいです!
野菜の甘みとキレのあるスープ
いただきます。まずは、スープから。ん~、おいしい!調味料は塩だけでしたっけ。ピリッとしていて、塩だけとは思えないです。
パプリカパウダーがピリッとさせるスパイスだから、それが効いてるのかも。
やさしいだけじゃなくてキレがあって、どんどん食べたくなる味ですね。にんじんがめちゃくちゃ甘いです!それに大根もやさしい甘さと風味がある。じゃがいもはすごくほくほくしてますね。ひとつひとつ違う野菜の味が楽しめて嬉しいし、どこか家庭的な味がします。野菜嫌いの人でも食べられそう。
このレシピはおもてなしっぽい華やかさがあるけど、おうちごはんの素朴さも残っているので、誰にふるまっても喜んでもらえると思います。
お肉も柔らかいですね。たくさん火を通すと固くなるイメージがあったんですけど、うまみがぎゅっと詰まっている感じがします。
カレー用の牛肉はじっくりと時間をかけて煮るとほろほろとやわらかくなるんです。
メンバーや友達を呼んで食べたいですね。
「八木メシおいしいぞ」って噂が立つと嬉しいですね。
作った料理を撮影して「写真選手権」をやっても楽しそう。来てくれたメンバーとどっちが良い写真が撮れるか対決です。
八木さんの撮影した写真を当てるのもおもしろそうですね。楽しみにしています!