しんどいオカマのお悩み相談 その1.他人の幸せアピールがしんどい?

2016/12/28 UPDATE

愛と安らぎを愚直に求め続けるオカマが答える、しんどくても頑張るあなたのための人生相談をはじめたわ。ただ、初っ端からいきなりごめんなさいね。正直、アタシも人生しんどい。

【お悩み】
SNSで毎日幸せアピールをしている同僚の女性に腹が立ちます。平凡な生活を送り、いつも私に仕事や恋人の愚痴をこぼしているのに、SNSになると途端に幸せをアピールするのはなぜなのでしょうか?
そして、そんな彼女に腹が立っている自分自身にも腹が立ちます。どうすれば彼女を許容できるのでしょうか?

オカマは幸せに見えますか?それとも不幸に見えますか?

はじめまして、オカマよ。
普段はBSディムという名前でSNSやブログに眼中無人の愚痴を書き込んでいるわ。
なぜかアタシに相談を持ちかける人があまりに多いから、この場を借りてまとめて引き受けることにしたの。
いいこと?はじめに言っておくけど、なんでもオカマに頼るのは終わりの始まりよ。

さて、本題よ。
SNS上で幸せアピールを繰り返す行為には、いくつかの理由が考えられるわね。
ひとつは、現実の不遇を拭うための悲しい虚栄心が働いている場合。もうひとつは、本心から幸せを感じている場合ね。
では、アナタの同僚はどちらなのかしら。アナタには愚痴を漏らしてばかりだからといって、彼女は幸せではないのかしら?

アタシのオカマ仲間の話をするわね。
そいつは「イエス」の代わりに「ブス」、「ノー」の代わりに「ブース」と返してくるほど愚痴っぽい性格のオカマなの。
非モテの怒りを発散するための八つ当たりがほとんどだけど、どうにもならないような愚痴を延々と吐いている、本当にどうしようもないオカマなのよ。
でもね、あるときアタシが酔っぱらって「もうなにが自分の幸せなのかわからない」って嘆いたとき、そいつは思わぬ言葉を投げかけてきたの。
「今日のお昼ごはん、美味しかったでしょ?待ち合わせ場所に無事あつまれたでしょ?だったらそれが幸せよ」
普段の愚痴からは想像できない、10日間飲まず食わずで砂漠を生き抜いてきたかのような幸せのハードルの低さだったのよ。「オカマでゴリ押しすれば映画がレディース料金で観られるのも幸せ」とも言っていたけど。
当たり前のように通り過ぎていく日常から、幸運、幸福をすくいとる手を持っていた。
幸せの感じ方なんて、他人が推し測れるものではないということよ。1つの不幸を吐きだして、9つの幸福を隠しているかもしれないのよ。

忘れがちだけど、SNSは公共の場なのよ

彼女はSNS上に負の感情を出すべきではないとも考えているのかもね。
あなたもアタシと同じ「ネット歴の長い匿名ブス」だと思って話をするけど、いまやネットの世界は老若男女の行き交う公共の場で、単なる現実の延長となったことに気づいているかしら?
会社であなたにこっそり愚痴を吐いても、上司には同じ愚痴を吐かないのと同じで、彼女はネット上でもきちんと言動の分別をつけているだけなのよ。もしかするとあなたは愚痴を漏らせる現実世界の相手として、彼女にそこそこ信頼されているんじゃないかしら。
現実世界でもネット上でも、コミュニティ生成の場では人々と共通の文脈で交流し、友情や絆を確かめ合い、必要とあれば陰を隠しておくのは当然のこと。むしろ陰気な話を繰り返す人間は疎ましく思われるでしょう?

それに比べてアタシたちのいる一部の匿名ネット界隈ときたら、小心者は愚痴と自虐しか自分を語る方法がないのよね。
アタシもSNSでは「前方からものすごいブスが歩いてくると思ったら鏡に写ったアタシだった」みたいな話しかしていないからよくわかる。とてもじゃないけど顔と本名をさらして言えるような内容じゃないわ。
アタシたちは、むきだしの粘膜みたいな感情がぶつかりあう世界に長く浸かりすぎたのよ。

SNSで愚痴を話すのは楽だけど、だんだん人は離れていく。けれども幸せアピールも妬まれるし、必死になってまでやるのは見苦しい。フラットな感情しか吐くことができないもどかしさが、あなたのいらだちの原因ではないかしら。

染みついた不幸気質はそう簡単には拭えないわよ

他人と比べて幸せになりたいんじゃない。自分自身の幸せを見つけたいだけなのに、答えが見つからずに苦しんでいるあなた。
不幸とWi-Fiしか受信できていない今の状態をいきなり改善するのは絶対に無理よ。染みついた不幸気質はそう簡単に拭えるものではないわ。
ブスなオカマがブスを自覚しないとブスから抜け出せないように、まずは不幸があたりまえで幸せが異常になっている現状を自覚してみるといいんじゃないかしら。
そこから少しずつ、不安と不満、不幸の芽を摘んでいきましょう。きっと希望が見えてくるはずよ。
ちなみに前述のオカマに今回の相談内容を話してみたところ、「ああ、仏門に入ればいいんじゃない?アタシも入ってたころがあったし」という、知りたくもない答えが返ってきたわ。
日常の小さな幸せを見つけたければ、仏門に足を踏み入れるのも手かもしれない。

さて、今回のお悩み相談は以上よ。
このコーナーでは読者の方からのお悩み相談を随時募集しているわ。
恋愛でも学業でも仕事でも、あなたがどんなことで悩み、どんな風に解決したいのか、できるだけ詳しく簡潔に教えてくれると助かるわ。
送り先は、アタシのツイッターアカウント(@BS_dim)のDMか、メールフォーム(okama.onayami@gmail.com)まで。
【お悩み相談内容】と【年齢、性別、職業など簡単な自己紹介】を忘れずにね。いただいた相談内容、個人情報はこのコーナー以外では利用しないし、長期的に保管することもしないから安心して。

でも、いいこと。最後にもう一度言っておくけれど、なんでもオカマに頼るのは終わりの始まりよ。

投稿者名

BSディム

夜な夜なネオン街をねり歩くアラサーのオカマ。
昼間は真面目な係長だが、退勤から3駅で夜の帳をドレスに変える。
中学2年生で周囲にカミングアウトし、以後オカマとしての人生を歩む中堅オカマである。
Twitter:https://twitter.com/BS_dim Blog:http://aiokama.hatenablog.com