混ぜるんや、大阪のカレーは混ぜるんや。

アイスム × note「私のイチオシレシピ」 #9 〜うちのカレー〜

FOOD
2023.01.17

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アイスムとnoteによるエッセイコンテスト第三弾では、三名の受賞者を選ばせていただきました。第三弾では「うちのカレー」をテーマに、オリジナリティあふれる、おうちで作れるカレーをご紹介します。レシピはもちろん、一人一人の料理に込められた物語もぜひ楽しんでくださいね。

今回は、ニッポンの洋食大好き!料理をしつつ物書きもしているトケイヤkitchenさんのエッセイ「混ぜるんや、大阪のカレーは混ぜるんや。」です。思い出深い大阪カレーには、香味野菜がたっぷりと入っているそう。ぐるぐる混ぜるのも楽しそうなカレーレシピは必見です。


「カレー」というと、こういう絵が頭に浮かぶ方は多いと思います。

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お皿の半分に白いごはんが輝き、その周囲を埋め尽くすのは琥珀色のカレーソース。

スプーンですくったカレーをごはんにからめてひとくちパクリ。
ごはんとカレーはそれぞれ独立して色と味を主張しながら存在し、それを一緒にすくってまた食べる。パクリ。

でも、私がそんなカレーを知ったのは、中学生の頃でした。

え?じゃあそれまではどんなカレーを知っていたの?
と問いたくなりますよね。

想い出のカレースタイル

私がずっと知っていたカレーは、これです。

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今となっては全国的にも知られていると思いますが、いわゆる「大阪スタイルの混ぜカレー」。

これをアレンジしたようなカレーが実家の定番でした。アレンジといったのには理由があります。

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わが家でもカレーはこんな感じで、ごはんとカレーはセパレートで盛り付けられていました。

でも食べるときに、ここにまず卵を割り落とします。
それからウスターソースをかけます。
そして全体をよく混ぜてから、食べていたんです。

それがカレーだと思っていました。

その後、外でカレーを食べるようになって「カレー、混ぜないんだ」とか「ウスターソースはかけないの?」とか、いろいろ思うところはあったのですが、その時を経て、今では一般的なカレーがスタンダードだと思っています。

でも、わが家のあのカレーってなんだったんだろう。そんな思いはずっとありました。

そしてたまたま見ていたテレビで知ったのが、「自由軒」さんのカレーだったのです。どういう経緯かはわからないのですが、わが家のカレーは、まさにあの大阪名物 自由軒さんのカレースタイルでした。

大阪スタイルのカレーは、エコレシピでもある

今でも懐かしくなって、たまに食べたくなるこの大阪スタイルのカレー。
トケイヤkitchenでは、エコレシピの定番です。

なにがエコなのかというと、このカレーを作るとき、メインのカレーソースはリメイク素材なんですよね。

カレーやビーフシチューを煮込むときに、にんにくとか玉ねぎとかセロリとか、いわゆる香味野菜をメインのお肉と一緒に煮込むのですが、冒頭の写真みたいな欧風カレースタイルにするときは、煮込んだ後にこしています。

こした後の香味野菜は、お肉やフォンドボー(だし汁)の旨味を吸っているわけで、捨てるなんてもったいなさすぎるんです。

そこで思いついたのが、懐かしい混ぜカレーにすることでした。

大阪風混ぜカレーのエコレシピ

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材料(大まかな目安)

  • 煮込んだ後の香味野菜…適量
  • バター…5グラム
  • ごはん…お茶碗1杯分
  • カレー粉…大さじ2
  • ケチャップ…大さじ1
  • 水…1/4カップくらい

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まずは、香味野菜を刻みます。

リメイクレシピとして、煮込んだ後の香味野菜を使いますが、ふだんであれば、にんにくと玉ねぎのみじん切りとひき肉や牛肉の細切れでOKです。

大阪のご当地グルメがベースなので、お肉は牛肉がおすすめです。大阪のカレーには牛肉を使うことが多いのです。

バターで炒めたら、そこにカレー粉をプラス。

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全体にカレー粉がなじんだら、次はケチャップを加えます。

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全体がなじんだら、そこに水を少し加えて軽く煮込みます。

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ソースができたら、そのままごはんを投入。

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全体を混ぜながらよくからめます。

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お好みでこしょうやカイエンヌペッパーを足して、香りと辛みを調節してください。

盛り付けは命

さあ、盛り付けをしましょう!このカレーの大きなポイントです。

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お皿の中央をあけて、ドーナツ型に盛り付けます。

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真ん中に卵をどどーんとおき、ウスターソースをまわしかけます。
このルックスが命です。

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そして、食べるときはもちろん、これ。
卵を崩して混ぜながらいただきます。

混ぜるんや、ぎょうさん混ぜて食べるんや

ウスターソースのスパイシーさがカレーのアクセントになりつつ、卵がまろやかさを加えてくれて、スタンダードなカレーとは違う個性的なおいしさなんです。

でも味のベースはカレー粉なので、やっぱりカレーでもあるのです。

混ぜて、混ぜて、一体感の出たカレー。おしゃれなカレー屋さんも増えましたが、こういうやんちゃなカレーもおいしいですよね。

ぎょうさん混ぜてもりもり食べるんがええんやで。

トケイヤkitchenさんのnoteはこちら

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編集・構成:佐々木沙枝

アイスム座談会