混ぜるんや、大阪のカレーは混ぜるんや。
アイスムとnoteによるエッセイコンテスト第三弾では、三名の受賞者を選ばせていただきました。第三弾では「うちのカレー」をテーマに、オリジナリティあふれる、おうちで作れるカレーをご紹介します。レシピはもちろん、一人一人の料理に込められた物語もぜひ楽しんでくださいね。
今回は、ニッポンの洋食大好き!料理をしつつ物書きもしているトケイヤkitchenさんのエッセイ「混ぜるんや、大阪のカレーは混ぜるんや。」です。思い出深い大阪カレーには、香味野菜がたっぷりと入っているそう。ぐるぐる混ぜるのも楽しそうなカレーレシピは必見です。
「カレー」というと、こういう絵が頭に浮かぶ方は多いと思います。
お皿の半分に白いごはんが輝き、その周囲を埋め尽くすのは琥珀色のカレーソース。
スプーンですくったカレーをごはんにからめてひとくちパクリ。
ごはんとカレーはそれぞれ独立して色と味を主張しながら存在し、それを一緒にすくってまた食べる。パクリ。
でも、私がそんなカレーを知ったのは、中学生の頃でした。
え?じゃあそれまではどんなカレーを知っていたの?
と問いたくなりますよね。
想い出のカレースタイル
私がずっと知っていたカレーは、これです。
今となっては全国的にも知られていると思いますが、いわゆる「大阪スタイルの混ぜカレー」。
これをアレンジしたようなカレーが実家の定番でした。アレンジといったのには理由があります。
わが家でもカレーはこんな感じで、ごはんとカレーはセパレートで盛り付けられていました。
でも食べるときに、ここにまず卵を割り落とします。
それからウスターソースをかけます。
そして全体をよく混ぜてから、食べていたんです。
それがカレーだと思っていました。
その後、外でカレーを食べるようになって「カレー、混ぜないんだ」とか「ウスターソースはかけないの?」とか、いろいろ思うところはあったのですが、その時を経て、今では一般的なカレーがスタンダードだと思っています。
でも、わが家のあのカレーってなんだったんだろう。そんな思いはずっとありました。
そしてたまたま見ていたテレビで知ったのが、「自由軒」さんのカレーだったのです。どういう経緯かはわからないのですが、わが家のカレーは、まさにあの大阪名物 自由軒さんのカレースタイルでした。
大阪スタイルのカレーは、エコレシピでもある
今でも懐かしくなって、たまに食べたくなるこの大阪スタイルのカレー。
トケイヤkitchenでは、エコレシピの定番です。
なにがエコなのかというと、このカレーを作るとき、メインのカレーソースはリメイク素材なんですよね。
カレーやビーフシチューを煮込むときに、にんにくとか玉ねぎとかセロリとか、いわゆる香味野菜をメインのお肉と一緒に煮込むのですが、冒頭の写真みたいな欧風カレースタイルにするときは、煮込んだ後にこしています。
こした後の香味野菜は、お肉やフォンドボー(だし汁)の旨味を吸っているわけで、捨てるなんてもったいなさすぎるんです。
そこで思いついたのが、懐かしい混ぜカレーにすることでした。
大阪風混ぜカレーのエコレシピ
材料(大まかな目安)
まずは、香味野菜を刻みます。
リメイクレシピとして、煮込んだ後の香味野菜を使いますが、ふだんであれば、にんにくと玉ねぎのみじん切りとひき肉や牛肉の細切れでOKです。
大阪のご当地グルメがベースなので、お肉は牛肉がおすすめです。大阪のカレーには牛肉を使うことが多いのです。
バターで炒めたら、そこにカレー粉をプラス。
全体にカレー粉がなじんだら、次はケチャップを加えます。
全体がなじんだら、そこに水を少し加えて軽く煮込みます。
ソースができたら、そのままごはんを投入。
全体を混ぜながらよくからめます。
お好みでこしょうやカイエンヌペッパーを足して、香りと辛みを調節してください。
盛り付けは命
さあ、盛り付けをしましょう!このカレーの大きなポイントです。
お皿の中央をあけて、ドーナツ型に盛り付けます。
真ん中に卵をどどーんとおき、ウスターソースをまわしかけます。
このルックスが命です。
そして、食べるときはもちろん、これ。
卵を崩して混ぜながらいただきます。
混ぜるんや、ぎょうさん混ぜて食べるんや
ウスターソースのスパイシーさがカレーのアクセントになりつつ、卵がまろやかさを加えてくれて、スタンダードなカレーとは違う個性的なおいしさなんです。
でも味のベースはカレー粉なので、やっぱりカレーでもあるのです。
混ぜて、混ぜて、一体感の出たカレー。おしゃれなカレー屋さんも増えましたが、こういうやんちゃなカレーもおいしいですよね。
ぎょうさん混ぜてもりもり食べるんがええんやで。
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