子育てするなら、便利な都心?自然豊かな郊外?

六車奈々の子育てコラム「あいことばは、まあいっか」 #42

FAMILY
2023.09.12

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独身時代は仕事が最優先だった私。昼はバリバリ働いて、夜は仕事仲間や友達とおいしいレストラン。仕事を第一に考えたとき、都心は必要なものがすべて揃った最高の環境でした。

結婚してからも、都心は良いものでした。私が住んでいた下北沢という街は、車の通りも少なく公園が多いので、娘を連れて毎日あちこちの公園へ遊びに行きました。また児童館にも多くの親子連れが来るので、先輩ママさんとも話ができました。都心は子育てにも便利で、とても良い環境でした。たった一つ、「家賃が高い」ということを除いては(笑)。

そうなのです。都心は何といっても家賃が高い!夫婦二人で働いても、その大半が家賃と駐車場代に消えていきました。
ところが娘を出産してからの私は、仕事が激減。レギュラー番組も全て終わり、また夫の仕事も落ち込んだ時期で、毎月支払っていくことは困難な状況に陥りました。

そこで選んだのが、家賃の安い場所への引っ越しです。移り住んだのは、夫の生まれ故郷・神奈川県の郊外。自然豊かな良い場所ですが、徒歩圏内にスーパーはなく、車がないと買い物すらできません。また最寄り駅までは路線バスを利用しなくてはならないのに、便は少なく終バスも早い。徒歩圏内にはカフェも児童館もなく、さらに夫の親戚以外は知り合いもいませんでした。

「ここに住むのか…。」

熱望して郊外に来たわけではなかったので、正直なところ最初は辛かった〜(笑)!

「早く東京に戻りたい。」

引っ越した当初は、そればかり考えていました。
ですが、この町に住んで約7年。今思うことは、「郊外に引っ越して、本当によかった!」です。

都心と郊外。それぞれ良さはあると思いますが、今回は私が子育てする上で、「自然豊かな郊外に引っ越して良かった」と感じることをお伝えしたいと思います。

自然の多い郊外は、子育てに最高!

今住んでいる郊外の良さは、なんといっても自然の多さ。家から歩いてすぐのところに山や川、林や田畑がたくさんあります。

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私が大好きな林と川。どちらも歩いてすぐのところです。

四季折々の自然に触れられることが、子育てをしていて一番の魅力です。

生き物との触れ合い

ちょっと家の外に出ると、さまざまな生き物に出会います。
都心ではなかなか見られないホタルもこちらではたくさん見ることができますし、てんとう虫の羽化やカエル団子(春になるとメスをめがけてオスが群がり、団子状態になる)、モグラの穴からモグラが巣立ちするところなど、めったに遭遇できないようなドラマティックな場面にも出会えたりします。

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自然が多いので、生き物たちのドラマティックな瞬間に出会えます!

そうそう!我が家では、川でとってきた魚や沼エビなどを飼っています。

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左上:魚がとれているか確認中
右上:すっかりエビとり名人!一回で30匹以上はとります(笑)
下:自分が捕まえた魚(アブラハヤ)だけに、水槽を見るのも楽しい

近くの川でたくさん泳いでいる「アブラハヤ」という魚は、神奈川県で準絶滅危惧種に指定されている貴重な生き物。我が家の水槽では、稚魚から捕まえたアブラハヤが大人になって卵を産み、命を繋いでいます。

自然の「おいしい」がたくさん!

近くの牧場で牛や馬、ヤギを見た後、搾りたての牛乳やソフトクリームを味わったり…

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山で採れたたけのこで、たけのこごはんを食べたり…

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地元のおいしい自然を味わうことができます。
また近くの農家さんの無人販売所で、野菜や果物が購入できるのも楽しいです!

自然相手の遊びは、クリエイティブ!

自然の中での遊びも最高です。木登りなんてお茶の子さいさい、木を狙い撃ちして水鉄砲したり、花や木の実でおままごと、さらにはどんぐりの上をすべる「どんぐりスキー」なんて遊びを考えたり、子どもは遊びの天才!

柔軟な脳で、大人が想像もしない遊びを無限に繰り広げます。

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特別なお出かけをしなくても、ちょっと家を出れば、遊べる場所がいっぱい!
ピクニックや虫取り、川遊びなど、いつでもどこでも楽しめます。

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子どもは脳にどんどん刺激を受けて、自然を相手にクリエイティブな遊びを生み出していきます。私はそれを見ながら、子どもが自然の中でのびのび育つ素晴らしさを、いつも実感しています。

家賃の安さに驚き!さらに保育園にも入れた!

さて、気になるのは家賃ですよね。今住んでいる場所は、東京に住んでいた時と「広さ」はそのままで、「家賃+駐車場代」が三分の一以下になりました(笑)。郊外最高です!

生活にゆとりも出るようになり、今は娘が「習いたい」というダンスや水泳、体操教室など存分にさせてあげられています。

また、下北沢では0歳児クラスから保育園入園を申し込みましたが、あえなく落選。聞けばその年の世田谷区は、100人の枠に1100人の応募があったとのこと。「このままだと、本格的な仕事復帰は無理かもしれない」と不安でしたが、引っ越し後は素晴らしい保育園に入園できました。保育園の周りも自然がいっぱい。森や山、川などにしょっちゅう出かけたり、近くの畑に大根を掘りに行ったり、お月見になると野原にススキを取りに行ったりと、のびのび健やかな毎日を送ることができました。

時代の流れが、郊外のデメリットを払拭!

郊外のデメリットは、通勤に時間がかかること。

ですが3年前、時代の流れが一気に加速したことで、「1時間のミーティングのために往復4時間かけて出かける」ということがなくなりました。今やミーティングは、すべてリモート。効率よく打ち合わせができる時代になり、肉体的・時間的に本当に楽になりました。

ちなみに私は講演を多くさせていただいていますが、今年に入って少しずつ現地開催が増えています。同じ会場で、同じ空気を吸って、目の前のお客様のリアクションを見ながら講演をするのは、やはり最高です。「現場集合」と「リモート」、必要に応じて切り替えられる時代になったことは、「どこに住むか」を改めて考えるきっかけになったのではないかなと思っています。

さらに私が住んでいる地域は、ここ数年で交通の便が非常に良くなりました。最寄り駅までは相変わらず路線バスしかありませんが、駅から新横浜までは直通、渋谷や新宿も乗り継ぎなしで行けるようになりました。新幹線に乗るのも、都内へ行くのも、以前に比べて圧倒的に便利で時短になりました。


こうして考えてみると、今の我が家にとっての郊外暮らしは、デメリットよりメリットの方が圧倒的に上回っており、良いタイミングで引っ越せたなぁと実感しています。

都心と郊外。
時代が大きく変わった今、「どこに住むか」は、改めて考え直す良いタイミングかもしれませんね。

我が家もこの先、娘の進学などでいつか都心を選ぶ日が来るかもしれません。
ですが今は、自然の中でのびのび育つ娘を見て、幸せを感じる毎日です。郊外生活、バンザイ!

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