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ヒトって、何を食べれば良いの?がストンと腑に落ちたできごと

六車奈々の子育てコラム「あいことばは、まあいっか」 #44

FAMILY
2023.11.15

日々の料理を作るとき、どんなことを意識していますか?

「簡単に作れる」「安い」「冷蔵庫の残り物を使い切る」など色々と出てきますが、私の場合、上位は「おいしい」と「栄養バランス」です。

皆さまはいかがでしょう。「おいしさ」と「栄養バランス」を重視して日々の食事を考えている方は、多いのではないでしょうか?

まず一つ目の「おいしい」は、体だけでなく、心にも嬉しいですよね。私は食べることが大好き。おいしいものを食べると、幸せな気持ちになります。辛いことがあったときも、おいしいごはんを食べると、「よし!がんばろう!」と前向きな気持ちになれるから不思議です。

だから私は、料理をするときも、外食をするときも、「おいしい」を大切に考えています。

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ですが、二つ目の「栄養バランス」って難しいですよね。そもそも「ヒトは何を食べると良いのか?」を考える機会って、あまりないかもしれません。

そんな中、講演活動を通して私が「これはぜひ、アイスム読者の皆様にもお伝えしたいなぁ」と思ったことがありました。

一つ目は、「なるほど!」と深く納得したこと。
二つ目は、「誤解のないように伝えなきゃ!」と気付かされたこと。

そこで今回は、「ヒトって何を食べれば良いの?」を、この二つのポイントから考えてみたいと思います。

なるほど納得!〜歯を見れば、「食性」がわかる!〜

「ヒトは本来、何を食べる生き物なんだろう?」

数年前、講演に向けて猛勉強していた時、ふと頭をよぎりました。
その時の講演テーマは「ダイエット」だったので、ヒトが本来食べるべきものを食べれば、太らないんじゃないかなと思ったのです。

そこでいろいろと調べてみたところ、「なるほど〜!」と納得するものに出会えました。
「動物は、歯を見ると食性がわかる」というものです。(食性:動物の食べ物に関する習慣や性質のこと)

たとえば肉食動物は、肉を引き裂いたりしやすいように犬歯などが鋭くなっていたり、草食動物なら草をすり潰せるように門歯や臼歯が発達していますよね。

では、私たちヒトはどうでしょう?
ヒトの歯は、全部で32本。その割合は、

・臼歯(穀物などをすりつぶす役割):16本
・犬歯(肉などを噛み切る):4本
・前歯(野菜などを細かく切る):8本

ここから食性を考えると、

主食(穀物類):主菜(肉・魚など):副菜(野菜類)=4:1:2

ということになります。
そう思って考えてみると、いわゆる「定食メニュー」というのは、ヒトに適した食事だということがわかりますよね。「なるほど〜!おもしろい!」と、私は深く納得しました。

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わが家の場合、私が「おかず大好き」なので、時間のある時にパパッと常備菜を作り置きして、なるべく副菜を多めに出したいと思っていますが、忙しいときはこれにならって、「定食メニュー」をイメージして作っています。魚か肉のメイン料理に、ごはんと味噌汁。味噌汁はインスタントになることもあります。副菜はブロッコリーをシリコンスチーマーに入れてレンチンすれば、立派な一品!あとは豆腐を切って出すだけの冷奴で、無理せず副菜を加えるようにしています。

外食やコンビニで買うときも同じように、「ラーメン&炒飯」「親子丼&うどん」のような炭水化物の組み合わせは避けて、定食メニューをイメージするように意識しています。例えば娘が「たらこパスタ」を選んだ時は、サラダとチキンを加えるといった感じ。

迷ったときは、ヒトの食性にならって「定食メニュー」を思い浮かべると、献立しやすいかもしれませんね。

「誤解のないように伝えなきゃ!」と気付かされた!〜肉と魚、どっちがいいの!?〜

ある講演で、労働組合の皆さまにお話をしたときのこと。最後の質疑応答で、こんなご質問をいただきました。

「お肉は食べないほうが良いのでしょうか?」

実は、この時のテーマは「ストレスと幸せホルモン」で、腸ケアについてお話をしました。

「善玉菌を増やして腸内環境を整えるにはどうすればいい?」ということがメインの講演。すると、悪玉菌を増やすお肉は完全な悪者として伝わっていたのです。そこで受講者の方はつい、「お肉は食べちゃダメなのかしら?」と思ってしまったようでした。

いや〜!これは本当に良い「気づき」をいただきました。
そうなのです!「腸内の善玉菌を増やす」という観点から見ると、食物繊維たっぷりの野菜がヒーローで、お肉は悪者になってしまいます。

では、お肉は本当に悪者でしょうか?いえいえ、とんでもない!お肉には「たんぱく質」や「鉄分」という素晴らしい栄養素が多く含まれていて、これにはどんな野菜も敵いません。つまり「たんぱく質」や「鉄分」という観点から見ると、お肉はヒーローなのです。

これは、油でも同じことが言えます。「体に良い油」という戦隊ヒーロー番組を作るなら、青魚がヒーローで肉は悪者になりがちですが、「たんぱく質」という戦隊ヒーロー番組では、肉は悪役どころかヒーローなのです。

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要するに、何事もバランスが大切ってことですよね。一方向からしか物を見ないと偏った考えになってしまうものだと、改めて勉強になりました。以来、どのテーマで話すときも、この話を付け加えることにしています(笑)。

そんなわけで、肉も魚も卵も野菜も果物も、もちろん穀類も、ヒトにとって「都合の良い面と悪い面」を持ち合わせています。もし「これさえ食べておけば、他のものを一切食べなくていい!」というほどの完全食があれば、おそらくヒトもパンダのように笹だけを食べるようになっているだろうし、コアラのようにユーカリだけを食べるようになっていると思います。

いろんなものを食べてこそ、ヒトの血となり、肉となっていく。
改めて再認識した出来事でした。


こうして考えてみると、ヒトが古来繰り返してきたことは、ちゃんと私たちの体や食性として残っているのですね。

今回は、「栄養」をちょっと違う角度で捉えてみましたが、「へぇ〜」と頭の片隅にでもおいていただけると嬉しいです。そして食事は栄養バランスも大事ですが、何より「おいしく楽しく!」食べたいですね!

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イラスト:あきばさやか
撮影:曽我美芽
ヘアメイク:岩川えり

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